寺地はるなのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
北澤平祐さんのイラストの表紙がとてもかわいい。
ですが、内容はなかなかヘビーでした。
主人公の羽猫山吹は、頭の中で飼っている架空の犬を撫でることで辛い現実をやり過ごしています。
羽猫家には山吹の姉の紅曰く「まともな大人がひとりもいない」状況です。
祖父は色々な事業に手を出しては失敗し、父親は家業の工務店の仕事を放り出してフラフラしているし、祖母は骨董品屋を経営し家事はほとんどしない(でも、家族の中では一番マシ)、母親は次男の死を受け入れられず心を病み家族への関心を失っています。
子どもって、本当に不自由で無力な存在だなぁと思います。生活の全てを親に依存しているので親に従わざるを得ない…。
今作は、機能不全家庭に育った子どもたちが自分の人生を見つけていく物語でした。
山吹が8歳の頃からの30年間を描いています。
山吹は母親のためにとある嘘をつき母親を守ろうとしますが、祖母はお母さんから離れて暮らしなさいと言います。また「自分の人生を生きなさい」と言うのです。「誰かを助けるため、守るために、って言うたら、聞こえはよかよ。でも、人生に失敗した時、行き詰まった時、あんたは絶対、それをその誰かのせいにする。その誰かを恨むようになる。そんなのは良くない」と言うのですが、まさにその通りだなぁと思います。
自分の人生を生きることで、山吹と紅は大人になってから親たちを許す訳ではないけれども認めて受け入れることができるようになります。
許せないことは許さなくていい、立場が違う人の選択を笑うな、という寺地作品によく出てくるメッセージが相変わらず良くて、寺地はるなさんという作家を改めて好きだなぁと思いました。 -
Posted by ブクログ
読みやすくて、すぐに読み終わりました。
主人公の万智子と自分の性格が重なることが多く、共感もあり、自分も魅力的な登場人物から学ぶことが多かったです。
万智子は正しい、正しくないという自分のものさしで他人を判断して、許す許さないと他人の問題に首を突っ込んでしまいがちな点も、自分に突き刺さりました。
人と関係を持つと言うことは、良い面も悪い面も受けとめ、自分がその相手にしてあげたい行動や、かけたい言葉をかけていくことなのかなと考えました。
私も了さんたちのように、年齢も職業も異なって自分のよくない点を指摘してくれるような友達がほしいし、私も自分のこと好きなまま、そんな自分のこと好きになってくれる人に出逢いたいな。
もう一度読み返したい作品です。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ最近はお見舞いに行きたくても距離や仕事など様々な事情で行けない家族が増えている。お見舞い代行とは面白い着想だと感じた。病床にあって、医療者が提供しがたいもの。そして、患者さんが希求するもの。それは人間的ななんでもない、温かい交流である。
少数派、個性派の雨音の感性から紡がれる等身大の心情の数々は、言い得て妙である。寺地さんは、みんなが当たり前にできることができない、その代わりにみんなができないことを難なくできてしまう、などという登場人物の世界線を描くのが、ピカイチ上手だと感じる作家さんである。
少数派だからこそ得た葛藤と、その中に散りばめられた愛しい要素を拾い上げた小説だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハセと沖は女を騙してお金を稼ぐ詐欺師だ。悪いヤツに違いないけど憎めない。騙されても仕方ない女たちなら許せるくらいだ。応援したくなってしまう。後半の老人を騙すのはさすがに賛成できないけれど。極悪人でない二人は結局いい人を騙すことはできないだろう、、
ハセの生い立ち、境遇には同情するけどハセが思ってるようにどうしたらよかったのかと問われると答えられない。確かに生きていくだけで精一杯だったと思う。
沖の生い立ちにも複雑な心境となる。両親が教師、よくあるかもしれないけど勉強が嫌い、こちらも辛い幼少時代だったと想像できる。長い間絶縁状態だった母親と再会するも認知症となっていた、、感情が揺れるのは当たり前だ。32歳という中途半端な二人の未来が明るいことを願いたい。
息子に読んでもらいたいけどムリかー -
Posted by ブクログ
もやもやを遠ざけるため、ひたすら歩きたくなる気持ちわかります。
夜になんとなく集って歩くことになった5人。
それぞれが譲れないこと、日常には抱えるものがあり、歩いて話して心通わせ、人に話せば心が軽くなるのだと伝わります。語らいのなかで、現状に向かっていきます。相手に踏み込んでいかない関係性が良かった。
言葉のやり取りが、優しいのに、ずきっと胸にきます。みけねこ洋菓子店が出てきたところでほっとしました。
塩田さんの存在は貴重で、ありがたい出会いです。
どうかしてもらおうとかでなく、自分をみつけてくれる、それだけでよかった、すごくわかる。
もっちゃんのエピソードもう少しほしかった。
大きな出来事では無く、問題に向き合う考え方が描かれていると思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私の祖父は、桐矢の祖父と違い、「みんなそれぞれ考え方があって受け入れる性格まるっこいじいちゃん」だったので、最初読んでて桐矢の祖父の横暴さや「典型的なステレオタイプの昭和の頑固迷惑爺」がしんどかったし、そんな祖父と生活しなきゃいけなくなった桐矢に同情しかなかった。そんな正直鼻つまみ者な祖父と祖父が若かりし頃営業を頑張ってたレトルトカレーでちょっとずつ距離が近づいていくところをみて「人情は多少あるんだけどね…」って感じだった。
桐矢の祖父は家族の愛情を知らずに育って食べ物にも苦労したから、家族を持つことに戸惑いもあったし、食べ物の恩のこともあって必死だったこと。そういう面を知ると仕方ない部分もあったんだなとは思うけど、関わりある当事者としては「だから何?」なんだよなぁともどかしい。
桐矢の祖母の真実をちゃんと桐矢はつつみ隠さず伝えたのは良かったと思う。祖父は「隠しとけ」って言ったけど、それを「守る態で人の知る権利を奪うのは最低や。親でもやってええことと悪いことがある。おじいちゃんはすぐ男は、男はって言うけど、男らしいことのなにがそんなにええねん。自分で自分を不自由にしてるだけやろ、馬鹿らしい」はまさにその通り。人生を積み重ねていって世代間のズレがもどかしくも切ない話だった。 -
Posted by ブクログ
寺地はるなさんの作品はいくつか読んでいるが、
エッセイは初!表紙もほんわかして可愛らしい!
私と同世代なので、感覚が近い所がいくつもあり、何度も励まされたり、笑わせてもらった。
そして、ふいに勇気づけられたり元気ももらえた。
一つ一つのコラムから溢れるメッセージというより、まぁ同じ時代に生きとる者同士、ぼちぼちいきましょう〜という感覚の、肩の力をそっとほどいてくれるような作品だった。
リヴァー・フェニックス、私も好きだったなぁ。
久しぶりに当時の胸キュンを思い出させてくれた寺地さんに感謝。
小説では分からない、寺地さんの心に少しだけ近づけた気がして、親近感がわいた。
今後も作品を読んで、応援しつづけたいと思う。
そして、カメラの前で無茶ぶり笑顔なんて気にせず、マイウェイを闊歩していって欲しい。