寺地はるなのレビュー一覧
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寺地さんのエッセイを初めて読んだ。好きな作家さんに出会うと、この人はどういう人生を歩んできたのか、どんな経験を経れば、この心情を表現できるのだろうなどとバックボーンが知りたくなってしまうのだけど、このエッセイを読んで、寺地さんの小説を形作っている根っこの部分が少し覗けたように思う。
大人になるまでに理不尽に怒られる経験が多かったり、上手くできないことが多いと、子供ながらにも、怒られたくない、笑われたくない。どうすれば回避できるか、などと、脳内ぐるぐるエンドレス一人会議が開催されがちだ。大人になってもその癖は抜けず、良くも悪くも他人の心を常に伺い、傷付かない道を探すことで、行動することにも臆病 -
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学校に行かない熊さんがいう。「なにか理由がないと、泣いたらあかんの?」「すごい説明してほしがる。私を理解しようとする。でも頼んでないし。」
「納得させてくれな承知せえへんでって」
實成が、なるべく人と関わらないでいこうとしていたけれど、夜の散歩の人数がふえてくる。
松江さんや、伊吹さん、塩田さん、みんな深く人と関わることを避けてきたように思う。
そしてみんな、ちょっとしたことでも考えて、言葉を返している。相手に不用意に踏み込まない。
周りには、悪い人ではないけれど、普通を押し付ける人たちや、ちょっと言葉を悪くする人が、やっぱりいて。
夜の散歩の人たちには、ほっとさせられました。
最後の方、 -
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ネタバレ「出生の秘密も家族の問題も抱えていないし、壮絶な過去の心的外傷もない」という会社員、實成冬至が主人公。實成は父を亡くした後、得体のしれない不安(モヤヤン)にとり憑かれるようになり、それを遠ざけるため夜道を歩くようになるが、そのうち、それぞれに複雑な事情を抱える会社の同僚や元カノなど、深夜の散歩のメンバーが増えていく。その散歩メンバー間のゆるやかなつながりやほのかな成長を描いている。
大きな盛り上がりがあるわけではないが、心に沁みてくる良い小説だと感じた。迷いながらも善く生きようと日々の生活に向き合う「まじめ」な主人公に好感を持った。
夜の散歩メンバーが解散してしまうという結末は、この小説として -
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評価はあまりよくないけど、私にとっては久しぶりに寺地さんらしい、という気持ちになった作品でした。自分自身がちょっと疲れていても、読んでいてなんとなく温かい気持ちになれる、ような。決して幸せいっぱいな話ではないのですが。
「ハッピーエンドって作中人物が幸せになるっていう意味じゃないんですよ、本を閉じた読者が「ああおもしろかった、また明日からも頑張ろう」とか、そんなふうに思える結末のことなんです。」
一気読みではなく、毎日少しずつ読んだので、最後に「おもしろかった」と思うというより、なんとなく1日の疲れとかもやもやを忘れさせてくれた感じでした。
「あたしね、本ってドアなんだと思ったの。自分が -
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初の寺地はるなさん作品、とても良かった。
ゆるゆるとなんの変哲もなく動き出した物語が、読み進めていくうちにぐんぐんとスピードを上げて、しずかに熱量も高まっていき、気づくと夢中になって読んでいた。
章ごとに変わる語り手に、深く感情移入して胸にグッとくるシーンや、クスッと思わず笑ってしまう言葉がたくさん散りばめられていた。
私が特に好きなのは、黒田さんが語り手の「しずかな湖畔の」。
語り手が息子、姉、母、祖母…ときて、次が父ではなく、黒田さんというところが意外だったが、この章で一気に本作が立体的に見えてきた。
最近では「女らしく」「男らしく」なんてあからさまに言われることはほぼなくなった -
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閉鎖的な村社会から飛び出して十数年、久しぶりに集まって会うことになった三人の幼馴染の、悩みや葛藤、その先に踏み出す未来を描いた物語です。
メインの主人公は、高校を卒業すると同時に家出して十数年、まったく地元に寄りつかなかった作家志望の天。この先も喧嘩別れした家族の元には戻る予定がなかったのだが、ある日幼馴染のミナから幼馴染で当時よく一緒にいた三人で会おう、という連絡をもらう。中学を卒業した時に、お互いに宛てて書いた手紙が見つかったのだという。三人でそろって開封しようと言われたが、その手紙に書いた文章を思い返すうち、彼女の中に当時の記憶が蘇ってきて――。
このお話は、何人もの目線から多 -
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私の好きな寺地はるなさんの本。
やっぱりいい。繊細で透明感があって心に染み入る。
祖父の残したガラス工房を継ぐ兄妹、道と羽衣子のお話。仲がいいとは言えないふたり。発達障害と思われる道は普通のことが上手くこなせない。羽衣子は平凡でない特別を求めているけどなかなか上手くいかない。お互いが理解できないし苦手なふたり。
羽衣子のしんどさを想った。しょうもないと思っている兄にはガラス作りの特別な能力がある。母はいつも兄を見ている。自分は何者にもなれないのではないか、そんな焦りと葛藤の日々。
道は道でしんどかったね。みんなが普通にできることができない自分を持て余して、苦しかった。
十年の年月の中でのいく