あらすじ
実家である天瀬ワイナリーを営み発展させてきた母が、突然倒れ、かえらぬ人となった。優秀で美しい母を目指して生きてきた双子の姉・光実(みつみ)と、二十六歳になっても逃げることばかり考えている弟・歩(あゆむ)は、自分たちを支えてくれていた母を失い、家業を継ぐ決意をする。 デビュー作『ビオレタ』で高い評価を集めた期待の新鋭による、優しい涙がこみあげる感動作。
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かなり好きでした。
あずみちゃんの母への想い、歩との関係性、互いに紡ぐ言葉、自分を見てるようで、苦しくなった
登場する人物みんなが、それぞれ良い変化をしていく
最期を描かないあたりもとても良い
みんなが幸せになりますように
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天瀬ワイナリーが舞台。
ワイン造りを学ぶ歩と双子の姉の光実、周りの人たちとのかかわりで2人が人として成長していく。
そのままドラマになりそうな感じ。
普段はイタズラ好きの祖父が、時たま発する言葉に重みがあった。
平気で弱みをみせられる人がほんとうに強い人だ、という言葉や、結婚する光実への言葉は、とてもよかった。結婚生活が長い人にも響くと思う。
デザートワインが出来上がる頃、歩とあずみが笑顔でまた会えますように。
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真ん中あたりからググッと引き込む展開はさすが。
今回一番ハッとしたフレーズは、
「『ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん』
ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」
これは寺地さんの作品を読むようになって、私がたどり着いた境地のようなもの。
私自身は姉妹で比べられたという気はしていないけれど、双子の姉たちは常に感じていたかもしれず、特に自己肯定感が低いと最近になって私に話してくれた下の姉に読んでもらいたいと思います。
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不覚にも結婚式シーンは泣いてしまった。
寺地さんは個人個人をすごく丁寧に描く作家さん。
わかるわ~、って頷くことばかり。
そして国産ワイン。
私も好きです。
こんなご苦労がたくさんあったとは知りませんでした。
やっすい輸入ワインに走ることもあるけど、心して国産ワインを大切に飲もうと思います。
グラスにも凝りたいけど、なかなか難しいかなー(笑)
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双子の光実と歩
家業を継ぐ光実と何をしても飽きてしまう歩
優等生で美人の光実。
何をやってもうまくいかない歩。
母親が急死し、家業をやることになった歩。
ワイン作りはわからないことだらけ。少ない従業員とも上手くいかず…。
母親である人物や家族へのそれぞれの思いやコンプレックス。
特に母親の死に対しては家族もどこかギクシャクしている空気も伝わってくる気がした。
でも、心に残るような文章やはっとさせられる言葉があちらこちらにちりばめられていて、励まされた。
仕事のこと、家族のこと、色々なことが作品に溢れていて素敵な作品でした。
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農作物を育てその原材料をもとにそれぞれの楽しみ方を提供できるワインを作る、地味で根気のいる仕事を通して、誰もが成長できるチャンスがある、ということを大阪南東部の葡萄畑を舞台に物語は進む。娘は式をあげなかったので祖父の言葉がやけに身に沁みました♪
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姉弟共に貼られたレッテルや、慣習に抗いなから前に進んで行く姿から目が離せませんでした。
嫌なことや面倒なことからも逃げ出さないという二人の気持ちにも共感しました。
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優秀な光実と「出来の悪い方」な歩の双子の姉弟が亡くなった母の跡を継いでワイナリーで働くお話。
私も「出来の悪い」側の人間だと思い込んで生きてきたので、自分を卑下してはふてくされながら大人になった。だから歩の気持ちがよく分かったし、歩に対する周りの言葉がグサグサと刺さる。
ページをめくるハッとする言葉に出会う。歩以外にも光実やワイナリーで働く人々、友達…周りの人たち皆それぞれに共感できる部分があって、ぐんぐんと物語に惹き込まれ一気に読み切った。
1歩ずつ前に進む皆を見て、私も今から変われるかなぁなんて思った。
●ちょっとだけ期待をしていた、というようなことを歩は言った。新しいことをはじめるたびに、いつも期待をするのだと。自分にはなにかがあるんじゃないかと。他人より抜き んでた部分が、周囲も自分自身も今まで気がつかなかった素晴らしい能力が、その新しい なにかをはじめたことで目覚める、そんなことが起こりはしないかと。(中略)
「そういうのはさ、なんの努力もしたくない人が見るタイプの夢やと思う」
●「ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん。ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」
●天職ではなかった。昔から夢見ていた仕事でもなかった。
それでも仕事にちゃんと向き合うことはできると思った。
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なんかこう、逃げてばかりいてなかなか向き合わない歩に最初はイライラさせられるけど、着実に成長して、それを周りが認めていくのがいいなあ。でもそれを和葉さんが悲しむのはよくわかる。
あとは、冨美雄さんの「うまくいかないことがあったらやり方が悪かったと考えてやり方を変える、自分を嫌いな人に好かれようと頑張らないっていう考え方は、正にそのとおり!!
それから、光実の結婚式でのおじいちゃんの言葉にもやっぱりそのとおり!!
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寺地はるなさんらしい、一人ひとりの人生が伝わってくる内容だった
・光実の由来が素敵
・おじいちゃんもちゃんと光実のことを認めてた
・母に憧れながらも、自分らしく
最後歩が受け取った手紙の内容が気になるけど、きっと生き生きと仕事をしてる歓びを綴ったものではないのかな
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偉大な存在だった母が亡くなった。
母の跡を継ぐよくできる姉、そして姉よりできないという思いがありつつ、戻ってきてワイン作りを手伝う弟。2人のそれぞれのありそうな生きづらさや、その中で重ねていく日々に思いを重ねながら読んだ。
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何やっても上手くいかない歩と出来のいい方の双子の姉光実。歩は姉に引け目を感じて実家から離れて生活をしてきたが、母親が亡くなり、家業のワイナリーを手伝うことになる。不器用ながら少しずつ葡萄づくりやワインづくりをしていく歩に好感が持てる。出来の悪い弟を助けようとしている光実は心の奥底では歩のことを蔑んでいるようなところがある。ワイナリーの職人(上司)は初心者の歩に対してちょっと冷淡かなって思える。
少しづつ成長していく歩、人間的にも一番かなって思える。
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双子の姉弟が家業のワイナリーを亡き母の後に継ぐために試行錯誤する。
二人の考え方、性格の違いが引き寄せあったり反発したりする。周囲の人達の優しさに支えてもらいながらお互いの目指すところがはっきりとしてくる。
頑張れ!と応援したくなる。
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寺地はるなさん…双子の成長物語です。
こう言うの書かせたら間違いないですね〜
ちょっと読むのに時間かかりました。
わたしの姉妹達(三姉妹です)と両親との思い出が
作品と似ていたから(u_u)
兄弟姉妹って最初のライバルかもしれませんね。
「出来のわるいほう」歩の気持ちが良くわかります笑
父親、祖父、友人達…理解のある人達に囲まれて
二人が成長し素敵なワインを作り出す日を楽しみに待ちたいとそんな気持ちになりました(^ ^)
Posted by ブクログ
「ワインの製造」と言った場合の工程範囲の広さに改めて驚きつつ、面白く読ませて頂きました。中心人物達の年齢設定が、自分の直感より上で最後まで馴染めなかったが、自分自身の同年齢の頃の事やら、段々と実質的な大人と言える状態迄に必要な期間が長くなって来ていると言う話を思い出したり。何れにせよ、幼少期からの自身への刷り込みの影響力の強さに思いを馳せた。
Posted by ブクログ
急死した母の後を継いで、ワインづくりに奮闘する双子の姉弟の成長と自立を描くお仕事ヒューマンドラマ。
* * * * *
大阪南部の山間にあるワイナリー。そこで醸造家を目指して修業中の姉弟には、双子ならではの苦悩があります。
何かと比較されることの多いのがきょうだいというもの。ましてやそれが双子ならなおさらでしょう。出来の良し悪しに関わらず、周りの評価が本人たちの縛りとなるのはよくあることです。
その葛藤と呪縛からの脱却を、寺地さんらしい丁寧なタッチで描かれていました。
何でもソツなくこなす姉の弱さ。
逃げ癖のある弟の強さ。
表裏一体の双子の自覚と覚悟。クライマックスの人前結婚式のシーンは素晴らしいの一言です。
ところで、エピローグの最初に出てくるあずみからの手紙って……。
長い手紙であり、すぐに返事を書けないような内容のように思われます。
ああ気になる、その内容。もちろん、あえて明かさないことは重々承知しています。それでも知りたくて仕方ありません。どんな物語を歩のために用意するのかを。
これはもう意地悪だよ、寺地さん。
だから☆1つ減点です。続編で描いてくれるなら、そのときは満点に訂正します。
また本作ではワイン造りの工程も興味深く描かれており、お仕事小説としてもよくできていることを付け加えておきます。
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描写が細かくて引き込まれました。亡くなってしまったお母さんが子供達を想う気持ちがよく伝わった。その想いが、実は上手く伝わっていなかったり、誤解されていたり…なるほどなぁと思いながら読み終えました。なんだか足りないものを自然に補いながら、頼り頼れるのも兄妹ならはで温かい気持ちになりました。
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ワイナリーを営む家の中心だった母が突然亡くなる。双子の姉、光実を手伝う事になった弟の歩は、出来の悪い方だと思っていた…。なんだろう、この作者の作品は、じわじわ心に刺さる、泣きそうになる。自分の事ばかり考えちゃうが、みんな誰かに支えられている。自分の方が上だと思うとホッとしてしまう心理や成長の様子が刺さる、ほんと。
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ワイナリーが家業の男女の双子のお話。
お酒はなんでも好きだけどワインは敷居が高いイメージがあって…でも歩がいるワイナリーに行ってみたい。
ワインができるまでの工程を季節の移ろいとともに描写されていて興味深かった。
美晴が意外にハマった。
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歩のひたむきな姿が良かった。
母から逃げ、ダメな子で過ごしていたが、母の死をきっかけにワイナリーに戻ってきた。
ここでやっていくしかない、っていう覚悟で、必死に勉強し続ける歩。
不器用だけど、少しづつ成長していくお話。
他の家族もみんないろいろあって、何かを抱えていて、でも、良い方向に向かってくれて、心温まる一冊でした。
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「ダメな子」がいつの間にか、すごく味のある人間に成長している、という寺地ワールドの真骨頂のような作品でした。
ラストのボイスレコーダーでの挨拶を始め、祖父の台詞が素晴らしい。
他の登場人物も名言が多く、父と光実の次の言葉が印象深かった。
P87 父の台詞
「大切やない、必要のない仕事はない。必要でなかったら、それは職業として成立せんからな」
P127 光実の気持ち
誰かが大切に持っている夢は、その人自身がそっと手を開いて見せてくれるまで、軽々しく触れてはならないと思う。
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関西のとあるワイナリーのおはなし。
寺地さんの本は2冊目だけど、ひとつの家族を長期的に書くのが好きなのかな。
つとつとと、3年間くらいの話が書かれているので、途中、ちょっと長いな…と思ったところもあり。
じーんとくるいくつかのシーンがあったな。
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出来のいい光実と出来の悪い歩。二卵性双生児の二人が母の死をきっかけに家業のワイナリーで一緒に働くことに。
周りの双子を思い出しても、なぜだか対照的な性格なことが多い気がする。この二人も相手を羨ましく感じたりコンプレックスを抱えているのだけど、ワイン作りを通して徐々に解き放たれていく様が心地よかった。
そして、祖父がいい味を出している!結婚式の言葉がよかった。
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展開が気になって一気に読んでしまった。双子の主人公のどちらも生きることに不器用さを抱えていて読んでいてしんどくなる部分もあった。でも、そのひたむきさから、良いワインがいつかできるだろうと思わせる明るい未来でお話が終わって救われた。
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ワイン造りのお仕事小説。
性格の異なる二人の双子主人公。それぞれの視点で仕事に対して向き合っていく様は前向きな気持ちになれる。
小説だと感情が高まったシーンで少しだけ現実外れした台詞が出てくるように思うが、本作はギリギリ現実的な範囲の言動であるように思う。一番フィクション味があるのはお祖父さんがイタズラ好き設定であることなのではないか。
視点の切り替えが多いのだが、行アキのあとにどっちになってるが毎回わかりにくくて少し読み辛い。仕事の描写がしっかりしている分、少々長く感じてしまった。気分と合っていなかったのかも。
Posted by ブクログ
実家である天瀬ワイナリーの中心だった母が、突然かえらぬ人となった。優秀で美しい母を目指して生きてきた双子の姉・光実(みつみ)と、二十六歳になっても逃げることばかり考えている弟・歩(あゆむ)。家業を継ぐ決意をする歩むと光実の物語。
ワイナリーで働く人や出会った人とのお話だが物語は淡々とすすむ。家族だからわからないこともあるし、家族だから支えられることもある。「血のつながり」がしんどいなと思わせる描写もあったが、読み終えた。
本文でいいなと思った言葉。
****************
「大切やない、必要のない仕事はない。必要でなかったら、それは職業としてせんからな。」この世の仕事はすべて必要で重要。
Posted by ブクログ
ワインができるまで。そして、歩くんと光実ちゃんの成長のおはなしでした。
あずみちゃん、いいですね。
短編でいいから、3年後くらいの2人が見たいな。
赤ちゃんがいたり、従業員がふえてたり、あずみちゃんが帰ってきたりしてたら楽しいだろうな。
この方の本は、優しかったり柔らかだったりするのに、どうしてこんなに人の痛みや弱さが鋭く描かれるんでしょうね。
本当にすごいと思います。
Posted by ブクログ
大阪のワイナリーを営む家族の話。
理想に邁進する母の姿を追う立派な姉。
その姉に比較され続けた双子の弟。
軸はこの双子なんだけれど、父や叔父や叔母や友人や、ひとりの人間が死んだあとから始まる物語。
みんな我慢したり勝手したりして見なかったこととか無かったこととかにすればそれでよかったのだろうけど、ひとつ歯車がはずされるとガタガタと脆くも崩れ去るって感じ。
20才半ばにして人間関係再構築っていうか、知ってるつもりでいた近しい人の新しい面を知るって。
まあ、家族ドラマ、人間ドラマ。
しかし立派な姉が眩しすぎて後ろ向きになっていた弟。
なんかダメなネガティブな思考になって「自分を正当化」しようとしてるけど、結局は家持ち土地持ち、そして最後には才能持ちって描かれて、へえーそうなんだー…って気持ちになったわ。
いや、悪いってワケではないんだけど。
物語だし。
こうした点は作中、弟くんに嫌がらせをするキャラも言ってるんだけど、自分は正直そうだよなあ…て同意してしまったわ。
ドラマ、ドラマ、ドラマ、
何かを越えることが、何かを変えることがドラマ。
分かっては居るんだけど、じゃあ初めから…って考えてしまったわ。