あらすじ
実家である天瀬ワイナリーを営み発展させてきた母が、突然倒れ、かえらぬ人となった。優秀で美しい母を目指して生きてきた双子の姉・光実(みつみ)と、二十六歳になっても逃げることばかり考えている弟・歩(あゆむ)は、自分たちを支えてくれていた母を失い、家業を継ぐ決意をする。 デビュー作『ビオレタ』で高い評価を集めた期待の新鋭による、優しい涙がこみあげる感動作。
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Posted by ブクログ
優秀な光実と「出来の悪い方」な歩の双子の姉弟が亡くなった母の跡を継いでワイナリーで働くお話。
私も「出来の悪い」側の人間だと思い込んで生きてきたので、自分を卑下してはふてくされながら大人になった。だから歩の気持ちがよく分かったし、歩に対する周りの言葉がグサグサと刺さる。
ページをめくるハッとする言葉に出会う。歩以外にも光実やワイナリーで働く人々、友達…周りの人たち皆それぞれに共感できる部分があって、ぐんぐんと物語に惹き込まれ一気に読み切った。
1歩ずつ前に進む皆を見て、私も今から変われるかなぁなんて思った。
●ちょっとだけ期待をしていた、というようなことを歩は言った。新しいことをはじめるたびに、いつも期待をするのだと。自分にはなにかがあるんじゃないかと。他人より抜き んでた部分が、周囲も自分自身も今まで気がつかなかった素晴らしい能力が、その新しい なにかをはじめたことで目覚める、そんなことが起こりはしないかと。(中略)
「そういうのはさ、なんの努力もしたくない人が見るタイプの夢やと思う」
●「ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん。ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」
●天職ではなかった。昔から夢見ていた仕事でもなかった。
それでも仕事にちゃんと向き合うことはできると思った。
Posted by ブクログ
寺地はるなさんらしい、一人ひとりの人生が伝わってくる内容だった
・光実の由来が素敵
・おじいちゃんもちゃんと光実のことを認めてた
・母に憧れながらも、自分らしく
最後歩が受け取った手紙の内容が気になるけど、きっと生き生きと仕事をしてる歓びを綴ったものではないのかな
Posted by ブクログ
実家である天瀬ワイナリーの中心だった母が、突然かえらぬ人となった。優秀で美しい母を目指して生きてきた双子の姉・光実(みつみ)と、二十六歳になっても逃げることばかり考えている弟・歩(あゆむ)。家業を継ぐ決意をする歩むと光実の物語。
ワイナリーで働く人や出会った人とのお話だが物語は淡々とすすむ。家族だからわからないこともあるし、家族だから支えられることもある。「血のつながり」がしんどいなと思わせる描写もあったが、読み終えた。
本文でいいなと思った言葉。
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「大切やない、必要のない仕事はない。必要でなかったら、それは職業としてせんからな。」この世の仕事はすべて必要で重要。