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Posted by ブクログ
つらさを抱えて生きる三人が交錯する物語。
正直寺地はるなさんを「そろそろ結婚あきらめて自分探し始めようとする女性向けの話を作る作家たちの一人」というように意地悪にとらえていたことを申し訳なく思いました。そのくらい、とても素晴らしい作品でした。
いつもどこかの小さな会社の中で起こる日常のちょっとした延長でしかない、その辺の女性の等身大の話なのに、登場人物が交錯しつつ話が絡み合っていき、それぞれの持つ負い目や恨みを消化できずに持て余す、薄暗い感情をどうにか処理したいというかなり深く暗い心理描写がとても巧みに描かれていると思いました。
特に秀逸と感じたのが、莉子のような本来勝ち組となっている存在の、何一つ勝ててやしない、それを処理できず認めることもできないまま大人になってしまった内情を描いているところです。こちら側のヒリヒリした心情をこれだけ出しているのは結構すごいなと思いました。
こういう方面は桐野夏生テイストに感じていますが、そこまでのおぞましさ苦しさには踏み込まず、俯瞰して眺めればやっぱり身の丈プラスアルファくらいの範疇にうまく収めているのが寺地はるなだなあ、とまた感心したりしました。
全作品を読んだわけではないですが、これは手に取ることができてとても良かったです。
Posted by ブクログ
今まで読んできた寺地はるなさんの作品とは違った印象を受けた作品。人の心の奥の黒い部分を浮き上がらせていた。同じ町で育ち、今も暮らしている3人の心の声を聞いている感じだった。
スクールカーストで上位にいた人間が大人になってもそのままでいることが許せない思いになった園田律。そして上位にいることにしがみついていた中原莉子。小学生の頃のいじめから不用意に人と関わらないようにしてきた佐々木朱音。この三人それぞれが、親への思い、子どもや姪への思い、夫への思い、友達への思い、世間への思いを抱えた日々は、読みごたえがあった。
傷ついた人が傷つけた人に対する思いは、自分で消化するしかないのかもしれない。他人に依存することで解決しようとするのは違うんだと思えた。
タイトルの意味がわかったときには、なるほどと思った。大人になって初めて気づくことは多い。友達じゃなくても助け合える関係が、ちょうどいい。
子どもたちは親を見て育つ。子どもに対してもごまかさず、大人と同じような言葉を伝えたい。最後にそう思った。
Posted by ブクログ
☆3.8
物語としてスッキリしていて読み易かった。
自分はどちらかというと朱音や園田の側だと思う。
この2人の心境に共感すると共に、莉子のような人たちの心境に触れることができたことは私にとって大きい。
地元に残った人たちがあの頃のままキラキラしているように見える時もあれば幼く見える理由もよくわかった。
人生のピークは人それぞれ違くて、人はそのピークに縋りたくなるのだろう。
学生時代を引き合いに出すのは幼稚と言いつつ、朱音も園田もそこに囚われている。
そこから断ち切ろうと思うのか埋もれてもいいと思うのかの違いが大人なのかなと思う。
読み始めた時は莉子みたいな女に嫌悪感を抱いていたが、最後には莉子の成長に感動していた。
自分と向き合って過去を断ち切ることで人は前に進めるのだなと思った。
必ず皆どこかで繋がっているという事実が人を強く自立させるのだと思った。
Posted by ブクログ
どう見られているかとか、コミュニティの中での立ち位置とかにとらわれそうな時に読み返したいかも。
よく、学生時代は人間関係しんどかったな…って思うけど、
しんどい人間関係は、職場でも、保護者間でも、旧友でも、学生時代に限らず起きるんだよな、と気付かされた。
誰かと関わるとき、相手の評価を自分の価値だと思うと、誰かに寄りかからないと立てなくなっちゃう。
「え、わたしたち友だちじゃないよ」
「うん、友だちではない」
っていう関係性の方が、相手のことをしっかり見れているのかもってなった。
どう見られているか、相手によく思われるにはどうしたらいいかばかり気にしてしまうので、朱音の考え方や他者との距離の取り方は、
ぐらぐら〜っとしそうな自分を、そっとまっすぐに立たせてくれるような感じだった。
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