あらすじ
同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている3人。4歳の娘を育てるシングルマザー、朱音。朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦、莉子。マンション管理会社勤務の独身、園田。いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は恨みとなり、やがて……。「生きる」ために必要な救済と再生をもたらすまでのサスペンス。
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Posted by ブクログ
寺地はるな『わたしたちに翼はいらない』を読み、静かに心を揺さぶられた。
“幸せへ飛ぶ翼”ではなく、“地べたを歩く覚悟”を選ぶ物語。
弱さを抱えたまま、それでも前に進もうとする人の強さが胸に残る。
決して軽くないけれど、深く救われる一冊だった。
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子供の時や学生の時のくだらないことをまだ引き摺っている自分にとっては、なんて優しく強い物語なんだと感じた。幼稚さ、何様なのか、と感じる大人になっても存在する人間関係とそういう態度を取る人のベースにあるものの見方を言葉で表してくれている。
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本の感想にはなっていないけど
「水を縫う」では家族のことが書かれ、なんだかふわっと暖かくなるような文章だったから
そんなのを緩く期待していたのか
前情報なしに読み進めると
なんか、えぐられるような気持ちだったー
著作の内容の振り幅がすごいなと思った
会いたくない(会えんけど)
どんなふうに人間をみる方なんだろうと思ってしまう
ぐんぐん読めて一晩で読めて寝不足です
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登場人物それぞれの抱える鬱屈した思いや痛み、どす黒い感情に気持ちがザワついて落ち着かず、自分の中にもある心の痛みを刺激されるような読書だった。他者に惑わされる事なく、ブレない自分の考えを持つ朱音の強さと、人との距離の取り方に惹かれた。最終的な朱音と莉子の関係も清々しくて好感が持てる。
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どの主人公園田、莉子、朱音境遇も信条も異なる3人の誰しもに共感できる部分がある、
不思議な惹き込まれるストーリーと心理描写。
最後の友達じゃなくても相手を思うことができる
皆んながそうあって欲しいように空気を読んで行動する
学生時代のあるあるな雰囲気
「王様」の大樹
負けたくない…でも何と戦ってるの?
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前に読んだこの著者の本と同じく不思議な雰囲気の話でした。最初は誰が誰なのかよく分からず、さほど多くもないのに登場人物の一覧を付けてくれよ思いながら読んでいました。復讐劇が始まってからは集中度が高まり、最初と最後の女の子3人組もその母親たちもちゃんと誰なのか分かりました。少し難しく、ストーリーや結末に納得出来ない点もありましたが途中からは一気読みでした。読後感はもやもやが残りあまり良いとは言えません。それほど目立つ子供ではありませんでしたが、私も中学生の頃が最も自分の未来を明るく感じていたと今思います。
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人生の選択や価値観について考えさせられる。
学生時代、莉子側にも園田側にもなったことはないが、そういう人いたかな…と思わせる現実と隣り合わせの物語。
最後の莉子と朱里のようなベタベタしない関係性が理想なのかな。
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お互いの心のうちを勝手に決めつけて、すれ違ったり困惑したりする、そういう小説が好きで、これもまたそういう話だった。
時間をかけて読むには少々向いてなくて、もっと一気に読めばよかった。視点が結構切り替わり、関係性を把握したまま読むべきだった。
ありきたりの美しい結末ではなくて、もっと醜くてもいいという決意。「友だち」という関係性だけではない、もっと異なる関係性。そういうものがしっかり描かれていた。
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☆3.8
物語としてスッキリしていて読み易かった。
自分はどちらかというと朱音や園田の側だと思う。
この2人の心境に共感すると共に、莉子のような人たちの心境に触れることができたことは私にとって大きい。
地元に残った人たちがあの頃のままキラキラしているように見える時もあれば幼く見える理由もよくわかった。
人生のピークは人それぞれ違くて、人はそのピークに縋りたくなるのだろう。
学生時代を引き合いに出すのは幼稚と言いつつ、朱音も園田もそこに囚われている。
そこから断ち切ろうと思うのか埋もれてもいいと思うのかの違いが大人なのかなと思う。
読み始めた時は莉子みたいな女に嫌悪感を抱いていたが、最後には莉子の成長に感動していた。
自分と向き合って過去を断ち切ることで人は前に進めるのだなと思った。
必ず皆どこかで繋がっているという事実が人を強く自立させるのだと思った。
Posted by ブクログ
どう見られているかとか、コミュニティの中での立ち位置とかにとらわれそうな時に読み返したいかも。
よく、学生時代は人間関係しんどかったな…って思うけど、
しんどい人間関係は、職場でも、保護者間でも、旧友でも、学生時代に限らず起きるんだよな、と気付かされた。
誰かと関わるとき、相手の評価を自分の価値だと思うと、誰かに寄りかからないと立てなくなっちゃう。
「え、わたしたち友だちじゃないよ」
「うん、友だちではない」
っていう関係性の方が、相手のことをしっかり見れているのかもってなった。
どう見られているか、相手によく思われるにはどうしたらいいかばかり気にしてしまうので、朱音の考え方や他者との距離の取り方は、
ぐらぐら〜っとしそうな自分を、そっとまっすぐに立たせてくれるような感じだった。
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寺地はるなさん三冊目。
彼女の著作には、上っ面だけではない
人生の本質というか、本当に大事なことが書いてあるような気がします
『地べたを歩いて生きていこうと決めた。わたしに、翼はいらない』
『もうこれ以上一緒にいてはいけない。手を差し伸べたら園田はきっと朱音に依存する。
今だって自分と自分の大切な人を守るだけで精一杯なのに』
『友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うこと、幸せを願うことはできる』
『ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない、でも過去に置いていく』
淡々とした文体なのだけど、ひとがひとを傷つけるときの描写、苦しみを抱えているひとの描写がとても上手い作家さんだと思う
どう書いたらいいか難しいけど、
(このストーリーの中では)人間って、傷つく総量が決まっていたり、反対に傷ついたひとは他のひとを慰める、癒せるようになる量が増えるのではないだろうか
(稀有に辛い生い立ちの人はまた異なると思われるが、自分の手で人生を好転させているひとも多いのだから)
学生時代に『無敵』だったとしても、その後の人生が順風満帆にいくとは限らない、逆に世間知らずで痛い思いをしたりする
幼少期や学生時代に辛かったひとは、その痛みを抱えて相手のことを慮り、優しくなれる
そんなことを考えた。
人生には、『さようなら』も大事なんだな、と
Posted by ブクログ
自分が輝いていた10代。
自分がしいたげられていた10代。
どんな10代でも、それを引きずり続けている莉子と、園田。
そんな二人とそれぞれの立場で出会う朱音。
という構図でしょうか。登場人物が多くて、少し複雑でした。
莉子の夫の大樹が本当に嫌で(「嫌なやつ」なんて簡単な言葉でまとめたくないほどに嫌)、私も復讐したくなった。
こういう人間性はどのようにして生まれるのか、もはや興味が湧いたんだけど、結局わからなかった。親や友人がどんなに持ち上げても、ここまでになれるのだろうか。
お母さんがいい人そう(頼らないが)なだけに、悲しみすらおぼえた。
読みながら、みんな別れ別れになってしまうんだろうなと思っていたから、ラストはうれしかったな。
友達じゃないけど、同じ時間を共有したり、思いやりをもったりできる、幸せを願える。
3人とも、きっと同じ気持ちを共有してることでしょう。
Posted by ブクログ
同じ地方都市に生まれ育ち、それぞれに鬱屈した思いを抱えるアラサーの男女3人をめぐる小説。
自分は子どもの頃にいじめられたりしていたわけではないが、学校の主流層からは外れたポジションにいたので、朱音や園田の思いや考えにはわかるところがあった。一方、莉子は、かわいそうなところはあるが、自己中心的思考に思えてあまり共感できなかった。また、莉子の夫でクラスの「王様」だった中原大樹はまったく関わり合いたくないタイプの人間だと感じた。地方都市に生きる20代~30代の人間を、そのどす黒い内面も含めて、よく描けていると思う。
本書のタイトルにも表れているが、第三者からのいっけん前向きなアドバイスが本人にとっては呪いの言葉になり得るのだということも認識した。
本書の主要登場人物3人の行きついた関係のような、相手に依存するのではなく、友だちと言えなくても、お互いに支え合う(ことがある)関係というのも人間関係の在り方の一つとしていいんじゃないかと感じた。
最後は、3人ともどこか吹っ切れたような、希望の持てる結末で、よい読後感だった。
Posted by ブクログ
学生時代のカーストのことや陽キャ、陰キャの会話がすごくあるあるで共感できた。
登場人物がそれぞれ個性があって、私は莉子がすごく好きでした。
いい大人で母親なのにいつまでも少女のように何もかも自分中心な思考が見ていてある意味潔いし、あぁ自分にもこういう部分あるなぁと考えさせられました。
ママ友が絡む話が好きな私はとても好きな作品でした。
Posted by ブクログ
母親の心の内がダダ漏れだった。と同時に私も子育て中で共感する事が多々あった。一度傷ついた心はずっとそのまま。忘れるか、逃げるか、向き合い捉え方を変えるかしかできない。自分の心も守りながら、相手を傷つけないよぅに接する難しさを感じた。
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地元にいると、いつまで経っても同級生。良くも悪くも離れられない。常に昔に戻される。戻りたくないのに、まとわりつく。
人にジャッジをしてしまう、何気ない、いつもの“ノリ”。
自分の自信は、評価する方に立ち位置を持ってくることで存在意義をもたせる。それは大人になっても立ち位置は変わらず…変わらないはずと思い込みたい。自分を守るため、抜け出せない。
同級生。ママ友。嫁。夫。姑。自分。
虐めた側、虐められた側。
殺したい程の苦しさ。
どうしようもない囲いを破りたい。
私だって!!苦しかった。
わかってよ。
自分の為に一歩踏み出す勇気はいつ出せるのか。
その一言が自分を救う。
今迄読んだ本より、広がる「黒」が強く感じられ、
なぜだろうと思ったのですが、今まで読んだ本の中では、それぞれの人物の持ち色が少しずつ混ざって濃い色になっていったのだなと感じました。
心の苦しさは変わらないのですが、またひと味違った町田ワールドでした。
Posted by ブクログ
面白かった
自分の中学生の頃を思い出し、妙に納得したり共感したり
確かにこんな瞬間があった
こんなふうに信じていた
あの言葉だけは許せなかった
いつも何かを探していた
そして気づくと大人になっていた
たくさんの時間が過ぎても心の奥にはあの頃の残酷な自分や傷ついた心がずっと残っていたことを知る
改めて自分の歩いて来た道を振り返ってみた
なんて未熟なままなのだろう、と思い知った
Posted by ブクログ
サスペンスか????
ジャンルは大事ではないけれども。
にしても、小さなサークルの中で誰が誰だかわからんくらいマイナス感情が絡み合っちゃっていて、大変である。最後まで読むと、そこまで絡むんか!とびっくりする。
Posted by ブクログ
読んでる最中に、あれ、この人とこの人は同一人物だっけ?と思うことがあり何度か振り返った。てっきり園田、莉子、朱里で大樹を殺害する話かと思ったから予想外だった。なんだか、人々の見栄とか社会の中の不自由さを描いていて、どの家庭にも色々あるなと思い知らされた
Posted by ブクログ
難しかった。学校でも働いても結婚してもどんな環境に行っても人間関係はついてまわって悩みの種になるけど、人と本気で関わった時代は思い返して1番あのころはよかったなと思うんじゃないかと思った。
結婚して専業主婦になるのも幸せなだけじゃないかもね、逃げみたいになる。
手に職は大事だと思った。でも子供が出来たら専業主婦がいいね。
いい旦那を捕まえようと思った。
Posted by ブクログ
p199
「でもおかしくてもいいじゃないですか。他人にそれだけ?って言われるようなことでも、園田さんにとっては重要なことだったんでしょう。」
p206「だって娘よ。自分の娘よ。幸せになってほしいじゃない。だから悩むの。莉子も芽愛にたいしてはそうだ。かわいい洋服。すてきな両親がそろった、笑顔の絶えない暖かい家庭。すべてを与えたかった。すべては芽愛の幸せの為。でもそれらはほんとうに芽愛にとっての幸せの条件だったのだろうか。
誰もが迷う。誰もが間違う。母でさえも。わたしが、そうであるように。」
Posted by ブクログ
シングルマザーやスクールカースト上位にいた夫婦、いじめられていた人など、そういう人いるなあと感じながら読んだ。
大樹みたいな人は嫌いだ。でも、こういう人と日常関わっていると、こどもも同じような思考になっていくんだろうなと危機感を感じた。
Posted by ブクログ
人間の闇?!の部分を垣間見たような、ドロドロとしたものが押し寄せてきた。人にはこう思われたいという自分を演じ続けると、終わりが見えなくなり、いつの間にか泥沼にハマっている。今の私だ。グサリとささる作品だった。
Posted by ブクログ
重たい。読み切るのに少ししんどかった。だけど、読み終わるとスッキリ清々しい気持ちにさえなった、不思議な感じ。
過去、現在、未来…どんなに憂いても過去は変えられないし、未来のことなんて分からない。だったら、その瞬間の自分の気持ちに正直でいたいなと思う。
Posted by ブクログ
繊細で触れてほしくない部分をピンポイント爆撃することが上手い作者さんだと思っていたのですが、見事に私の黒歴史の琴線に触れてこられました。
市街地を避けて軍事施設に的を絞って無力化させる戦略なんですが、学校や病院の地下に拠点をおいていると民間の犠牲者は増え憎しみを増すばかりで価値観までは破壊できない。この3人の価値観バラバラで極端すぎて自分勝手で好きになれない。
シングルマザーの朱音に、専業主婦の莉子、それに影の薄い独身の園田。フラッシュバックする中学時代。
どれもこれも忌々しくって吐き出したくなってしまう。
人と関わることが恐ろしく思えるそんなコンプレックス全開にさせてくれました。
人と比べてどのポジションにいるかって大事なことだと思うんですよね。協力しあうことも、許しあうことも、最適解かどうかわからなくても立ち止まれないし、
朱音と莉子には同じ年の女の子がいるのですがどう育っていくのだろうか気になる
Posted by ブクログ
2024.10.2
苦しかったけど、いろんな立場やいろんな思いを持ってる人たちの気持ちを知ることができてよかった。
いじめの加害者、被害者、シングルマザーやモラハラ夫の妻など。
最後は自分を大切にして前向きに進む姿が良かった。
Posted by ブクログ
世界の電機メーカーのお膝元、電車の便もよく、便利で開放的な市。大学もいくつかあって、出たいとは思わない。親や親戚、夫婦も友達も、保育園のママ達も中学の頃からの知り合い。いじめっ子だった夫、離婚したシングルマザー、転勤で戻ってきた元いじめられっ子。
読み進んでようやく形作られてきた人物像が、別の話者の語りで再構築を強いられる。世の中みんなが世界。小説ならでは、です。