【感想・ネタバレ】タイムマシンに乗れないぼくたちのレビュー

あらすじ

愛され度200%! 大人気著者初の短篇集

商店街で働く南優香は、いまよりほんの少し愉快に生きるためのライフハックを思いつく。今日から私、殺し屋になる――(「コードネームは保留」)。
博物館の片隅で現実逃避に余念のないサラリーマンと小学生。つい悩みを吐露し合ってしまった二人の本当の願いは……(表題作)。
読むほどに心が楽になる、7つの物語。
解説・森川すいめい

目次
(1)コードネームは保留
(2)タイムマシンに乗れないぼくたち
(3)灯台
(4)夢の女
(5)深く息を吸って、
(6)口笛
(7)対岸の叔父

単行本 2022年2月 文藝春秋刊
文庫版 2025年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

妄想し自分はここに居る誰とも似ていない。同じ属性じゃないと感じ、それに合わせた設定を作って生きていく。
そんな主人公の孤独や生きにくさを感じ切なくなりました。
100人に愛されなくてもいい。たった1人理解し合える存在がいることがどれだけ幸せなのか、どれだけ心強い事か気づかせてくれるお話でした。

SNSで多くの目に晒される今、数で物事を捉えてしまうが、本質を見失ってはいけないと思いました。
今私を知り私を好きだと思ってくら人をまずは知って大切にしていきたい。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

2025/07/19
寺地さんの小説は読んでて心が温かくなるものばかりで、この小説もその一つだと思います。
7作の短編が収録されていてそれぞれが独立した話で読みやすい内容になっています。
それぞれに言及はしませんが、設定もそれぞれの作品で異なっていて、その中に特有のユニークさとか人間らしいちょっと難しい部分とか色々な描写が盛り込まれています。
タイトルの内容は二つ目に収録されている話で出てきますが、どういうことなんだ?と思いながら読むのも面白いのかなと感じました。

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

「店長、フレディマーキュリーさんからお電話です」のセリフにふふっと笑った。
マレオさんのような生き方がうらやましい。周りに左右されることなく、個を貫くスタイル。きっとストレスとも無縁なんだろう。いや、マレオさんにもマレオさんにしか分からない悩みがあるかもしれないけど。
ときどき肩の力を抜いていこう…と言い聞かせても、今日も気を遣いまくって疲弊する自分の姿が思い浮かぶ。でもちょっとした合間にこういう本を手に取って深呼吸できたらいいな。
そういえば寺地はるなさんの本、お初でした!

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

生きづらさを感じながらも懸命に生きる人たちの物語を描いた短編小説集。

表題作の中の「だいじな人って、たまにやっかいだよね」という言葉が心に残った。

「口笛」という作品からは、女のしあわせって何だろうと考える時間をもらった。

他には「夢の女」も印象に残った。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

本の帯にある「さみしさに、ほっとする」というフレーズに惹かれて購入。
短編集だから毎日少しずつ…と思っていたのに、気づいたら一気読みしていた。

各短編の書き出し。気になる…と、わくわくした。

作中には、時々、突如パワーワードが出てきて、クスッと笑わされる感じも好き。

どのお話も、なんとなく、さみしい。そのさみしさは、決して否定的なさみしさではない。さみしさのなかで、自分を読み解き、受け入れ、他者に優しい人たち。
集団の暴力性について。人間関係における感情がリアルに丁寧に描いてあるので、そういったシーンを読むと心がきゅっとなった。
いろんな生き方がある。そのことが粛々と描いてあり、どの生き方も尊い。


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2025年06月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世間のいう普通や幸せから少し外れた人達、でも誰にでも当てはまる気もする人達の短編集。
個々の葛藤が完全に解決する訳ではないが、それでも他者との繋がりを感じたり、自分から一歩を踏み出したりする場面が描かれており、心が暖まった。

「深く息を吸って、」が一番好きだった。心情の微細な部分まで追いかけて表現されているため、「きみ」が最後に立ち向かう場面の緊張感が手に取るように伝わってきて、短い作品ながらも最後は没入して読んでいた。
世間における「きみ」の濃度と、呼吸の深浅の比喩も、とても好きな表現だった。

一方で「対岸の叔父」は、世間に立ち向かうことが全てでなく、逃げる道もあると教えてくれるようで、話のコミカルさもあって心の緊張が解れるようだった。

全体を通して、様々な生き方を肯定してくれる短編集だった。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

登場人物たちの“現実”を思うと、胸が痛くなることもしばしば…
なんてことなく言った言葉、言われた言葉は簡単に刃にも、縋れるものにもなる。
寺地はるなさんの物語は、現実を包み隠さずドロドロに澱んだ部分もまっさら真っ白な部分も表現されていて、私もきちんと現実を見ることができている気持ちになる。苦しくもあるけど、読まずにはいられない一冊。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

小学校から様々な助けてもらいたい場面がありました。私も彼らは宇宙人なんだ、と思っていたかもしれません。先輩からパンを6個食べさられた時にも、毅然とした態度は全く取れませんでした。助けてくれたのは、自分自身の唯一強靭な消化管でした。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SNSで紹介されてたのをきっかけに読んだんだけど,紹介してたのが,社会正義に基づいて,理詰めでバッサバッサと官僚や政治家を斬っていく,あの鋭い舌鋒の政治家.
しかも,YouTubeではちょっとコミカルな顔も見せるギャップの持ち主で,日本の“政治界の頭脳三傑”の一人だと思ってるような人.
…が!このタイトル?この表紙?この作風??
えっ,本当に!?と思いながら読み始めたけど,読後にはしっかり納得していた.
というか,むしろこの人がこの作品を勧めていたことが,自分にとっては強く印象に残った.

物語は静かで,日常の細やかな場面が中心.
でも,そこにさりげなく差し込まれる言葉たちが,じわじわと心に沁みてくる.
特に「好きな人に,いい枕で寝て欲しいと思っています」という一言には,ぐっときた.
(どんな場面で出てくるセリフなのかは,ぜひ本編で確かめてみてほしい!)
自分が何かをすることよりも,その人が穏やかに過ごしてくれていたらいい,という祈りのような感情.
無償の愛って,きっとこういうことなんだろうな.

誰かのために祈るって,実は自分のためでもある.
そしてそれは,同情でも,理解でもなくて,
立場や価値観を超えて「そばにいたい」と思える,ただそれだけの共感.
でもそれが,たぶん,いちばん尊くてむずかしい.
そうなりたいけど,でもどこか違う気もして…
そのモヤモヤを抱えながら,最終話「対岸の叔父」に辿り着いたとき,
“ぼく”の視線に,自分の気持ちが少しだけ重なった.

思い出したのは,シルヴァスタインの『おおきな木』(これもきっと,読んでみてね)の最後の一言.
「でも,それはほんとうかな?」
優しさや共感が,もしも犠牲の上に成り立っていたとしたら,
それはほんとうの優しさだろうか?
その問いを,そっと胸に残してくれる一冊だった.

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

・コードネーム保留
商店街で働く南優香は、いまよりほんの少し愉快に生きるためのライフハックを思いつく。今日から私、殺し屋になる。

・タイムマシンに乗れないぼくたち
博物館の片隅で現実逃避に余念のないサラリーマンと小学生。つい悩みを吐露し合ってしまった二人の本当の願い

・口笛

・夢の女

・深く息を吸って

・灯台
いつも第三者になってしまうわたし、、

・対岸の叔父

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

孤独と生きづらさ(でも決して淋しくはない)のお話たち
すばるの「『会社員の役を演じているつもり』で出勤」は名(迷)言、杉田くんの登場前後で涙、
やさしさATMに憧れる、必殺技「おなじはなし」「うわのそら」、伸樹くんは素敵

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集。最近はノンフィクションやエッセイを読んでいたので、久々の小説復帰。

全体的に、序盤は閉塞感があるが、終盤は開放感を得られる物語だった。マジョリティから少しはみ出た人たちの日常を描くのが上手い。
コードネームは保留、夢の女の二編が好みだった。現実逃避するために、自らにコードネームをつけて役を演じようとする女性、日常の憂いから逃れるために秘密のSF小説を書いていた男性。、生きるって奥深いな〜。

夢の女は、どことなく神様のビオトープに近しい雰囲気を感じることができた。
また、対岸の叔父では、『川のほとりに立つものは』に通じる表現が散りばめられていた。


小説復帰したが、何かを得ようと思って読むのではなく、雰囲気を楽しむのもひとつの楽しみ方だと思った。文芸誌を読むのも一考かもしれない。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

生きづらさを抱えた人達を描いた短編集。年齢も性別の違うそれぞれの孤独に寄り添い、足元を照らしてくれるような7つの物語。
リバー・フェニックスに憧れる少女が主人公の「深く息を吸って、」がよかった。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

殺し屋の設定、博物館、ケンカの仲裁役、旦那のSF小説に出てきた絶世の美女、雑誌、口笛、街で嫌われている叔父。
どれもが主人公にとっての拠り所になっている。
でもそのままでは最後の部分で救われきることができない。支えられながら、一歩だけ、あるいは半歩でも踏み出すことで世界がほんの少し変わる。シンデレラほどは変えられなくても、明日を迎えてみようと思えれば、それで十分だと思う。一人で歩き始められれば見える景色が増えるのかも。

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2025年03月21日

Posted by ブクログ

全体的に切なさが漂うお話が多めの短編集でした。
寺地さんは、日頃、自分でも気づかぬうちに感じている違和感や胸の痛み、みたいなものを描き出すのが本当に上手だと思う。
あるいは、過去のちょっとした罪悪感とか…
世間的にこうしなければならない、こんなことを言ったりしたりするのはちょっと…みたいな固定観念に縛られがちな私の気持ちを代弁してくれていると感じることも多い。
だから、読んだあと、もうちょっとがんばろうと思わせてくれる。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

生きづらい世の中、どうしていいか分からない毎日に苦しんでいる。それは昔からあった感情だが、昨今では特に女性作家によって、描かれることが多い。
読むことで自分の置かれている状況と似ていて、初めて言葉にできるようになり、救われる人もいるだろう。
寺地はるなさん含め、高瀬隼子さん、町田そのこさん、青山美智子さん、千早茜そん、凪良ゆうさん等、そうそうたる面々によってこの分野は今花開いている。少し前には吉本ばななさんや江國香織さん等もそうだ。
本作も心に寄り添う優しい物語だった。一番好きなのは『夢の女』。

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2025年02月12日

Posted by ブクログ

柔らかさが伝わってくる文章で、スルスルと
読み進めていきました。
この作品の登場人物たちはどこか生きづらさを抱えていて、自分自身に問答している印象がありました。
個人的にどの作品にも感情移入できたし、優しい
気持ちにもなれた。
寺地さんの作品も今作が初だったので、もっと
違う作品を読んでみたいです

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

人の数だけ色んな感情であったり、色んな人がいて、色んな形がある。そんな当たり前のことでも何かに追われていたり余裕が無い時は気付くことができないものだと思います。この短編集を読んで改めてもっと寛容な気持ちでいて、また自分の気持ちを強く持っていたいなと思えました。温かな気持ちになりました。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

この作家さんの本は文章は面白い。時々いいこと書いてある。
でも、おばちゃんの世間話みたいだったり、児童文学みたいになったりする変な作品が多い。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

マイノリティであっても何か心の支えがあれば生きていける。ちょっとした処世術が詰まっていた。それは人によって手段が異なる。イコール幸せの形も人それぞれなんだと思う。

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2025年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『しあわせとやらが1種類ではないことぐらい、わたしたちはもうちゃんと知っているはずだ、』p96

短編集。

殺し屋、コードネーム:保留。
そういう設定が斬新で、面白かった。
私もたまにはそんな設定でいく1日があってもいいかも。
なんて、思って想像したら笑けてきました笑

とてもユーモア満載の作品でした。

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2025年04月17日

Posted by ブクログ

昔にタイムスリップしたような感覚を味わう、それぞれのストーリー。おじさんと知り合って、自分の何かを知っていくタイムマシンの話。現実に生きていることと、苦しくて現実から逃れたい。そういう世界を持っているものだ。
殺し屋を妄想しながら生きる女の子もまた、今を避けながら、生きる術を学んでいく。それぞれのストーリーが、心にじんわりと訴えかけてくれる。昔悪かった人が、今まともに働いていると、もとからまじめな人が、真面目なまま大人になって、まじめに働いているよりもずっと素晴らしいことでもあるように語られていた。そういう風に世の中を切っていく。
なにしろ、子供の頃に、ふと通り過ぎていった時のように、なんだか自分の記憶と混じり合って、不思議な世界に引き込まれていくのは読書という体験としても本当に久しぶりだった。いろいろなことを、理性と共に理解して、固めてしまった今の思考体系を、子供の頃に戻していく。会話がトントン進むだけでなく、途切れてしまう会話、その微妙な間みたいなものを、すれ違っているかもしれないことを確かめ合うような、ぎゅっと心を掴まれるような瞬間を切り出している。素晴らしいと思います。

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2025年04月01日

Posted by ブクログ

現実においても言える事だけど、自分が嫌いだなぁと思って敬遠していた人や物事と勇気を出していざ向かい合ってみると、存外知らなかった部分が見えてきたり、実際はそんなに苦手じゃなかったりする事って人生において往々にあるよね。知らない事を苦手に思うのは人間の性とはいえ、知る事で得ることは大いにあると思う。

“知らない事を知る”って行為は凄く労力のかかる事だけど、対人関係や仕事面においても、人生を円滑に生きる上で必要不可欠な事だなぁと改めて身に染みた。

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

寺地さんはなぜもこう生きにくい人を優しく描くんだろう。現実逃避のさせ方が絶妙。
・コードネーム保留
わかるわ~働いてる今でも私、人の変な噂話とかになると、自分は今宇宙人だからと殻をかぶってみる
・タイムマシンに乗れない僕たち
「だいじな人ってたまにやっかいだよね」だから大事なんだな
・灯台
だだっぽいところにひとり立つのは心もとない。だから灯台のような誰かが。「まあ、休んじゃっても大丈夫なんですけどね」がいい。
・夢の女
亡き夫は、妻と娘を守る男のロマンのために夢の女を、作り上げたんだな。
だからこそ残されたものは辛いけど、その想いで妻は生きていけるだろう
・深く息を吸って
は、題名のままだ。吐く息が大きくなると吸う息も大きくなる
いつも息をひそめてなくていいんだよ
・口笛
誰にもそれぞれの苦しみや悲しみや喜びや願いがある。だから「どうして」も、あふれるよ
上手く吹けなくても口笛吹いてみた
・対岸の叔父
「逃げて」そう、逃げて(笑)
対岸の逃げる人に一緒にエールを。
・解説 衝撃の解説(笑)
人の話を聞かない島に行ってみたいけど怖いわ

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

短編集7編
普通と言われる人から少し外れた人たちが主人公.でもそれぞれがその人らしく生きている様子がすごく真っ当なように思えてきて,がんばってねと応援したくなるような主人公たち.

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2025年02月26日

Posted by ブクログ

若干、尻切れトンボ感があり消化不良というか勿体ない印象を抱きました。
7つの短編がありますが、どれももっとこの世界に浸りたい、その登場人物たちを見守りたいと思えるくらい魅力があります。

終わりをあえて書かない、という構成がうまく作用する場合もありますが、この本ではちょっとそこまで到達していないような物足りなさがあったのが正直な感想です。
寺地はるなさんの本はたくさん読んできて、書き切って良いなと思えた本があるからこそ、本作に物足りなさを感じています。

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2025年02月12日

Posted by ブクログ

短めの短編集。スラっと読めます。

「現在」に何か生きづらさ、不自由さを感じている登場人物達が、そんな「現在」にほんの小さな灯りを見つける物語集。タイムマシンに乗って過去をやり直したり、未来へ飛んで辛い今を飛び越えたり出来れば楽なんだけど、当然そんなことはできないので‥。

何か大きな展開があるわけでも、大きく心を揺さぶられるでもないけど、すこーしジワッと温かい小説でした。

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2025年02月07日

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