寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分が育った小さな町で小学四年の息子を育てる主人公希和。
息子の学校の保護者達とはあまり上手く付き合えない。
夫にも不満はあるのに声に出せない。
自分の言いたい事が言えない。
そんな中で民間の託児所で働くことになり、少し浮世離れした感じのオーナーの要と出会う。
希和の真面目で正直な感じに好感が持てた。
生きづらいだろうな、とも、
潔くてカッコいいな、とも、思った。
長いものに巻かれがちな保護者同士の関係に、巻かれることなく1人でいることは容易なことではないと思うから。
思えば、子供達が小学生の時が1番大変だったような気がする。
物理的な時間は全然ないし、子供達の変化も激しい、子供同士のいざ -
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地元にいると、いつまで経っても同級生。良くも悪くも離れられない。常に昔に戻される。戻りたくないのに、まとわりつく。
人にジャッジをしてしまう、何気ない、いつもの“ノリ”。
自分の自信は、評価する方に立ち位置を持ってくることで存在意義をもたせる。それは大人になっても立ち位置は変わらず…変わらないはずと思い込みたい。自分を守るため、抜け出せない。
同級生。ママ友。嫁。夫。姑。自分。
虐めた側、虐められた側。
殺したい程の苦しさ。
どうしようもない囲いを破りたい。
私だって!!苦しかった。
わかってよ。
自分の為に一歩踏み出す勇気はいつ出せるのか。
その一言が自分を救う。
今迄読んだ本より、広が -
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ネタバレ主人公の三葉は勤めていた会社を辞めて、現在は病院の付き添いやお見舞いなどを家族などに代わって行う『しごと』をしている。
三葉が淡々としていて冷たい印象に感じることもあったし、はっきりとしているところには憧れた。この本を読んで感じたのは、人の気持ちを感じ取るのって難しすぎるし、やらなくてもいいのかも。もっと正直に生きよう!だった。三葉は『しごと』を通して、頑固なお爺さんやおしゃべりな女性たちと出会い、変わっていないけどきっと変わってる。普段は『言われたことはやりますが、必要がないことはやらないし、やりたくないこともやりません』という雰囲気の三葉が、家族との思い出の遊園地に行きたいという頑固爺さん -
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ネタバレ優秀な光実と「出来の悪い方」な歩の双子の姉弟が亡くなった母の跡を継いでワイナリーで働くお話。
私も「出来の悪い」側の人間だと思い込んで生きてきたので、自分を卑下してはふてくされながら大人になった。だから歩の気持ちがよく分かったし、歩に対する周りの言葉がグサグサと刺さる。
ページをめくるハッとする言葉に出会う。歩以外にも光実やワイナリーで働く人々、友達…周りの人たち皆それぞれに共感できる部分があって、ぐんぐんと物語に惹き込まれ一気に読み切った。
1歩ずつ前に進む皆を見て、私も今から変われるかなぁなんて思った。
●ちょっとだけ期待をしていた、というようなことを歩は言った。新しいことをはじめるた -
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これはタイトルが好きすぎて。
誰でもこの気持ちになったことがあるんじゃないかな。
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羨み、傷つき
心揺れる10代。
そして年月を経て踏み出す
大人たちの新たな一歩。
万人向けに量産された
「大丈夫」ではなく、
自分の人生にとって必要な
「大丈夫」を与えてくれる――
(伊藤朱里)
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中学の同級生、天、ミナ、藤生。
天は家庭に違和感を覚え、閉塞感のある田舎から脱出したい。
ミナは、藤生のことが好きだが、藤生の気持ちを知って言えない。
藤生は天が気になって仕方ない、一緒にいたいと思っていたのに。
そ -
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ネタバレ行き場のない母子を引き取り共同生活をする場「のばらのいえ」、理想郷に思えるこの家に澱み沈殿しているヤングケアと未成年少女に対するハラスメント。
どうしようもない絶望感が終始溢れていて読み進めるのが辛い。ここを脱出したらしい主人公祐希は、何故またこの地獄に戻ってきたのか?
志道というサイテイ最悪の男が出てくる。根拠のない自信と捻じれた自己嫌悪と浅薄な差別意識をもつ男が、不労所得を得て成長を拒んだ時、弱くて恐ろしいモンスターが生まれるわけか…。
最後に希望があってよかった。祐希たちだけでなく、保も英輔も、これからはできるだけ幸せに、哀しみはあっても絶望だけはないように生きて行って欲しい。