寺地はるなのレビュー一覧
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学校に行かない熊さんがいう。「なにか理由がないと、泣いたらあかんの?」「すごい説明してほしがる。私を理解しようとする。でも頼んでないし。」
「納得させてくれな承知せえへんでって」
實成が、なるべく人と関わらないでいこうとしていたけれど、夜の散歩の人数がふえてくる。
松江さんや、伊吹さん、塩田さん、みんな深く人と関わることを避けてきたように思う。
そしてみんな、ちょっとしたことでも考えて、言葉を返している。相手に不用意に踏み込まない。
周りには、悪い人ではないけれど、普通を押し付ける人たちや、ちょっと言葉を悪くする人が、やっぱりいて。
夜の散歩の人たちには、ほっとさせられました。
最後の方、隣の人の正体が幽霊ではなかったことなどにちょっと驚きました。
いつも月夜ではなく、それぞれがいつか月夜。それでいいなと。 -
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評価はあまりよくないけど、私にとっては久しぶりに寺地さんらしい、という気持ちになった作品でした。自分自身がちょっと疲れていても、読んでいてなんとなく温かい気持ちになれる、ような。決して幸せいっぱいな話ではないのですが。
「ハッピーエンドって作中人物が幸せになるっていう意味じゃないんですよ、本を閉じた読者が「ああおもしろかった、また明日からも頑張ろう」とか、そんなふうに思える結末のことなんです。」
一気読みではなく、毎日少しずつ読んだので、最後に「おもしろかった」と思うというより、なんとなく1日の疲れとかもやもやを忘れさせてくれた感じでした。
「あたしね、本ってドアなんだと思ったの。自分が今いる場所と違う世界が繋がってるドア。本の数だけ世界があって、誰かが開けてくれるのを何日だって、何十年だって待っていてくれるのよ。」
だからこれからも本を読み続けます。
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閉鎖的な村社会から飛び出して十数年、久しぶりに集まって会うことになった三人の幼馴染の、悩みや葛藤、その先に踏み出す未来を描いた物語です。
メインの主人公は、高校を卒業すると同時に家出して十数年、まったく地元に寄りつかなかった作家志望の天。この先も喧嘩別れした家族の元には戻る予定がなかったのだが、ある日幼馴染のミナから幼馴染で当時よく一緒にいた三人で会おう、という連絡をもらう。中学を卒業した時に、お互いに宛てて書いた手紙が見つかったのだという。三人でそろって開封しようと言われたが、その手紙に書いた文章を思い返すうち、彼女の中に当時の記憶が蘇ってきて――。
このお話は、何人もの目線から多角的に物語が進むオムニバス形式になっています。視点が違えば、同じ物事でも捉え方が違う。こんなにも人は見事にすれ違っていくことができるのか、と思う部分もあれば、ああ私もこんなこと考えてた時期があったかも、と共感できることもあり、この作者さまは本当にもやもやとして捉えどころのない感情の動きを落とし込むのが上手いなあと感じます。十代の正しい感情に上手く置き換えることができないもどかしさや、もやもやとしてすっきりとしない、あの感覚。するりと読めるのに色々と考えさせられる内容でした。
自分が羨んでいる『誰か』は、自分が思うほど自分の優位に立っているわけじゃなく、自分も全く気付かないうちに誰かにとっては羨ましく思われる部分があるのかもしれない。けれど、結局自分には他人から見た自分のことは見えないし、自分が自分であることしかわからない。だからこそ、この答えのない物語が心の中に沈んでいくのかもしれない。そんなことを考えながらラストまで読み切らせて頂きました。
多角的に物事を捉えること、理解しようとすることは難しいことだと思うけれど、自分が見えるものが全てではないと知っているだけで、人は少しだけ周りとのすれ違いにも寛容になれるのかもしれません。私も、そうありたいと思います。 -
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夜が暗いとは限らないし、必ずしも朝が明るいとも限らない。
今の私は努力をしている訳でもなく、ただ毎日を淡々と生きている。何も変わらず、何も成長していない。周りのみんなはずっと日々を生きていて、成長していて好きなことを見つけて、毎日楽しく過ごしているんだと思ってた。でもそうじゃないのかもしれない。もしかしたらいつも笑顔の人も家で泣いているのかもしれないし、優しい人は実は影で苦しんでいるのかもしれない。でも、それを無理に知ろうとは思わない。そこは他人が入り込むべきではないから、それぞれがそれぞれの思いを抱えて生きていくのがいいと思った。
この本は、こうしなさいとかああしなさいとか読者に言っている訳でもなく、考えろと訴えているわけではないと思う。こういう人もいるんだよ、と教えてくれた1冊。 -
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寺地さんの本にハマり中の私が以前から読みたかった本の一つで楽しみにしていました。
真面目でいい子なんだけど、
めんどくさい女の子万智子が、
かっこいいけど、
いまいち女の子のことをわかっていない
実はダサい早田くんとの恋に悩み
いろいろな世代のいろいろな人に関わることで、
まっすぐしか見えなかったり
ぐずぐず落ち込みがちな性格が
少しづつかわっていく物語です
なんとなく読みながら、
私も、実はめんどくさい人間で
すぐモヤモヤしちゃうので
人との距離を一定にあけて
楽に過ごしたいなぁって思いがちな人なので
真智子のモヤモヤになんとなく共感するところもあり、
了さん、美華さん、冬さんていう
素敵なお姉さま方と知り合ったにことで、
時には厳しく愛をもって指摘されたり、いろいろ相談に乗ってもらえたりと、
自分の見えている世界だけがすべてではないという事に気付かされ素敵に
どんどん成長していく万智子が
すごく可愛らしく大好きになりました。
冬さんに
「めんどくさい人は、悪いことじゃないけどね。簡単で扱いやすい人より良いよ」って言ってもらった時
万智子と同じぐらい私もうれしくなりました。
自分に自信を持って生きるってそう簡単ではないけど、自分を認めながら自分を信じて頑張れたらいいなと思いました。
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24歳の駒田万智子さんの成長物語
彼女に手を差し伸べる
70代の了さん
50代の美華さんと冬さんとの年齢差を超えた
友情のような関係がとても良かった!
自分たちが通って来たからこそみえる
若さゆえの未熟さ 純粋さ 潔癖さ 傲慢さ
個性と生き方に裏打ちされた了さんたちの言葉は
絶妙なタイミングで
万智子さんの元へ届き
一歩を踏み出す原動力になっていきます
人生の先輩たち
素敵だった!
鳥取生まれの万智子さんは
生まれ育った場所から離れて
一人で暮らしていくことが
やわらかい砂の上を歩いているようだと言います
とても寂しく不安で
足が地面に着いていないような不安定さ
でも私には物語を通して
万智子さんが足の裏で砂を押しながら
一歩一歩踏みしめて歩いているように見えました
それは確実に前へ進んでいける
力強い歩みのようにも思えました
万智子さん自身が潜在的に持っている
成長する力
それを引き出した了さんたちのように
私も年を重ねていけたらいいな
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関西の街の小さな製菓会社を舞台にしたお仕事小説。
春に始まって春に終わる物語。
社長の親戚で入って来た主人公が、会社の昔からの慣習を変えていこうとするが、何でも新しいから便利だからって変える事が正しいのか?波風を立てずにただ会社に言われるがままの条件を受け入れて働く亀田さんのような働き方が良いのか?自分も働いていて同じような事を考えるし、小さい会社なりの暗黙のルールとか敢えて言わない風潮とかわかるなー。と思いながら読みました。
仕事に行き詰まった時に、思い出しそうな本でした。
表紙もそうですが、和菓が美味しそうでこまどり庵に行ってみたいと思いました。