寺地はるなのレビュー一覧
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p.159 「あの男の人に会ったとき、正直、ひーさんのこと、信じられないと思ったんですけど。でも、じゃあ、じゃあ、ギリギリ許せるような感じがしないでもない、かな…」「何、それ。許すも何も、これは許さんたちの問題やろう」
だって、いけないことでしょう。間違った事は言っていないはずなのに、どうしてこんなに怖い顔でにらまれなければならないのかわからない。
「配偶者がいながら、他の人と関係を持つのは、いけないことですから」
「そうかも知れんけど、許すとか許さないとか、赤の他人のあんたが言うことではないよな」「赤の他人って…冬さんは友達って言ってくれましたけど」「友達は、他人や」
p.161 -
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主人公の万智子が好きにはなれなかったけど、20代の頃は、人は多かれ少なかれ万智子のようなところがあるのかもしれない。
了さんとはじめて会った時、了さんの腕時計を預かるのに、万智子はハンカチを出して腕時計を受け取った。
その時に了さんは、万智子は信用に足る人だと感じたと話す。万智子は、
『冬さんの事情。美華さんの怒り。菊ちゃんの不安と、早田さんの苛立ち。わたしはそれらを、もっと尊重するべきだった。彼らの心は、彼ら自身のものだった。わたしはただ欠けたりや不用意に傷をつけることのないように、そっと手のひらにのせればよかった。正しいとか間違っているとか、賢しらにジャッジすることよりも大切なことがあっ -
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ネタバレ寺地はるなさん3作目。
その中で1番良かった。
ずけずけ常識や普通に異を唱える千尋の心に刺さる言葉や、見事だなと思う表現がいくつもあった。
特に心に残ったのは
「多くの人は友達を良いものだと思い過ぎなんじゃないでしょうか。そうでもないことをあなたが身をもって証明してくれています。」
私も破綻したけど、ずっと引っかかる友達関係があって、麻奈のようにその子を親友と思い続けてきた長い期間が過去にあったからすごくモヤモヤしていたが、それを客観的な視点で見れてなんだか少しスッキリした。
もう一つは、
「願うだけなら誰でもできる。願いは全ての種子だ。種子がなければそこから芽を伸ばし、葉を広げることもで -
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ネタバレ飛鳥井千砂さんの作品が読める!ということでご本を見つけて即買いしました。
飛鳥井千砂さんのお話もちろんサイコーだった!そしてほかの作家さんのお話も面白かった。
飛鳥井千砂さんの書く主人公の女性がとっても好きで、今回のもうすぐ十八歳も夢中になりながら読んだ。
後半の展開に、主人公の気持ちになってえ!?え!?となった。主人公に起こったことを知っているから、締め方に納得した。ぜひ読んでほしい!
お話が進むにつれてページを捲る手が止まらなくなったのは雪舟えまさんの二人という旅。
最初は設定の読み込みに苦戦したんだけれど、読み込めた後には、どうなるんだろう??どこにお話しが着くのだろう??と興味津々 -
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ネタバレ飛鳥井千砂さんのもうすぐ十八歳【冠】
18歳で子供を持つという事
寺地はるなさんのありふれた特別【冠】
幼馴染のこどもと自らの成人式。予想外。
雪舟えまさんの二人という旅【婚】
宇宙ものはそもそも苦手なので、読み始めは理解できなかったが、途中から、どうなるのかなに変わった。読まず嫌いはいけない。
二人とはシガとナガノの『旅』についてだと思っていたが、シガの発した一言で『二人』が別のものだと気付いた。
「結婚生活も、人生そのものもー向き合うべきものを直視せずに時間だけ過ぎていくんじゃ、本質的には何も始まらないまま終わるってことさえ、あるのかもしれないね」
嶋津輝さんの漂泊の道【葬】
希和子 -
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行き場のない母子が暮らす「のばらのいえ」。そこで育った祐希は未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出す。それから10年。のばらのいえに連れ戻された祐希は、ずっと心配だった幼馴染の紘果と再会を果たす。
性的虐待、ネグレクト、ヤングケアラー、子どもたちを見下し搾取する大人たちがひたすら悍ましいが、祐希と紘果の優しい想いが僅かな救い。グリム童話の「しらゆきべにばら」が象徴的に引用される。
女性の幸せは男性から与えられるものではない。重苦しい話ですが、どうか祐希と紘果に自由な明るい未来が開けますように。いい子は天国に行ける、悪い子はどこにでも行ける。 -
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忙しさを理由に伝えないことか積み重ならないように。
相手の感情は相手のもの、私の感情は私のもの。
それぞれの感情をどのように受け止めるのかはそれぞれのもの。
それぞれに伝えるしかない。
辛い時、心を遠くに飛ばす…など、傷つかないように蓋をしている感情やもやもやして表せなかったことを言葉にして寄り添ってもらえてる感覚にしてくれる作家さん。
下記は心に響いた箇所。
『自分の都合の良い素敵な人生の物語の展開を夢見るのは自由だけど、感情も事情もある他人に都合の良い役柄を押しつける人は、僕は大嫌いだな』
『多くの人は「友達」を良いものだと思いすぎなんじゃないでしょうか』
『励ましのつもりでそう -
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これはダークサイドな寺地はるなさん。
寺地さんのダークな本はあまり好んでいなかったけど、この本はこれまで読んだダークなものの中では一番良かったと思う。
「君は何も出来ない」「出来ない君を守ってあげる」
そういうことを言う男、虫唾が走りませんか?
志道という男に支配された「のばらのいえ」。
そこで育ち、召使いのように障害のある子どもの世話を押し付けられた祐希。なにもできない子と言われ続けた紘果。
色々な方法で、色々なかたちでの束縛。愛のようで、身勝手なもの。
この本の中で、祐希が紘果にナイフを持たせてキウイフルーツをカットさせる場面がある。
なんてことない、多分半分に切っただけ。それをスプー -
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あかつきんちゃんという被り物キャラを軸とした人間関係のお話の短編集?というか、繋がっているんだけど1つ1つ独立したお話でありながら登場人物はスライドしていく。
身につまされるエピソード多くて、ちょっと説教ぽくて
苦しくなったりもしたけど
根本に弱いものの味方だし
最終的に救われる感じでまとめてくれてるから
読みやすくて良かった
気を張って義理の母の前でうっかり涙が出てしまう若い母の話とか、私もうっかり泣いちゃった
今まで生きてきた中で、経験あるような細かなエピソード
普通というけど普通の基準とは何?普通から外れたらとたんに大勢から非難されてみたり
勝手な印象で人をカテゴリわけしてたり、されたり