寺地はるなのレビュー一覧

  • 白ゆき紅ばら

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    もう何とも言えない気持ち悪さが終始ついて回る。慈善事業というものは決して『心の綺麗な強く優しい人』が、これまた『心の綺麗な困っている弱者』を救済し、感謝に涙を流すといった童話のようなものではない。それをまざまざと見せつけられたように思う。介護や福祉の体制が中々完全に整わないのは仕事の大変さや賃金の問題もあるが、この助ける側と助けられる側の意識の乖離が大きいような気がする。
    志道も実奈子も、『偽善者』というのがピッタリの人間だけど、この物語に出てくる全ての人が多かれ少なかれこれにあてはまる。祐希を助けてくれた人達も皆どこか完全ではない。
    読後は完全にスッキリとはしないが、少しの希望が救われる。

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    2024年05月12日
  • 正しい愛と理想の息子

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    ネタバレ

    寺地さんの小説で、初めて暴力的なシーンや詐欺という反社会的な描写に出会った。暗くて救いようのない主人公かと思いきや、最後は大切なことに気づかせてくれる、やっぱり寺地さんの小説だと思った。

    幼い頃から貧困にあえぎ、10代で詐欺に手を染め、お金のためなら他者への共感力や思いやりとは無縁になってしまえた青年が、相棒やその認知書の母を通して、慈しみの情が芽生えていたことに気づいてゆく。

    こどもをないがしろにして他者へ貢献してしまう母親、理想を押し付けてしまう母親。こどもは親の関心が得られない寂しさや、呪縛から逃れられず大人になってから苦しむ。

    誰かに見守られながら泣きたい日もある。解説の原田ひか

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    2024年05月07日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    自分 「川のほとりに立つ者は」が面白くて他の作品もと手に取りました。人間の一筋縄ではいかない難しさや優しさを表現しているなってこの作品でも思いました。
    自分らしく自分の人生を生きることは難しいと思います。誰かの影響を受け誰かに頼り生きているのが人生のように思います。
    「大人は泣かないと思っていた」は短編集ですが、つながったお話です。最後のお話「君のために生まれてきたわけじゃない」、父への思い、母への思い、元カノへの思い、親友への思い、恋人への思い、色々な思いがあふれていて、そうやって生きている人間の美しさや強さなんかが感じられました。良い作品でした。ありがとうございました。

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    2025年12月03日
  • 白ゆき紅ばら

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    良かった
    寺地さんの作品は人の弱い部分を上手に描く。

    対照的な二人の、それぞれの苦しみ、戦い方が印象的だ。
    子供の無力さ、子供を子供でいさせない大人、自分の出せない答えを子供に押し付ける大人、搾取する大人…
    春日先生のような大人が一人でもいてくれて良かった…

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    2024年04月22日
  • やわらかい砂のうえ

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    寺地さん作品ですー
    定期的に読み進めてます!


    税理士事務所で働く万智子が
    ウェディングドレスのサロンの手伝いもすることになり、
    そこでの出会いで少しずつ成長していく話


    この主人公の万智子、
    なかなか面倒くさい人物で、、、
    どことなく自分に似ているところがありまして。笑


    会話の瞬発力が圧倒的にないところ、
    あとから脳内反省会してわーってなるところなど、ちょっと私?ってなりました。


    前はポンポン、なんなら何も考えずに話してたのに
    大人になって友達と会う機会が減ってきたからか
    会話の瞬発力の低下がすごくて、、
    後からああ言えばよかったのか、とかよく考えるんですよね。。


    でもこ

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    2024年04月19日
  • みちづれはいても、ひとり

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    島に着いてから急激にサスペンスめいてきたからドキドキしていたけど、ちゃんと救いのあるラストでよかった。
    みんな結局は1人きりだということが救いとして描かれていることに、本当に慰められる。
    特に人間関係に疲弊してる時とか、自己犠牲に酔ってる時とかに。今だ。

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    2024年04月17日
  • 月のぶどう

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    ネタバレ

    寺地はるなさんらしい、一人ひとりの人生が伝わってくる内容だった

    ・光実の由来が素敵
    ・おじいちゃんもちゃんと光実のことを認めてた
    ・母に憧れながらも、自分らしく

    最後歩が受け取った手紙の内容が気になるけど、きっと生き生きと仕事をしてる歓びを綴ったものではないのかな

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    2024年03月30日
  • 白ゆき紅ばら

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    「のばらのいえ」という母子シェルター的な施設で育った、祐希と絋果。
    重くてしんどい中にも時々光が差し込むような、暗く長いトンネルを抜けるような。
    言葉は呪いになる。けれどもその呪いを解くこともできる希望が見えた。
    2人の道がこの先、別れようとも幸せになれますように。

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    2024年03月28日
  • やわらかい砂のうえ

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    序盤で、一歩踏み出せない万智子を見ていると歯痒くてしょうがなかった。そんな万智子に対し、どストレートに言えるあつまりの女性たちがカッコいい。
    終盤になるにつれ万智子が変わっていったのは、見ていて嬉しい気持ちになった。

    本多先生の言葉にグッときた。
    「役に立つとか、立たないとか、人間は道具ではありませんからね」
    役立てるよう頑張ります!とか言うけど、こんな優しい心の角度があるんだな、と新しい角度を知れた。

    「孫もいる爺さんが何を言うかと笑うかもしれまんが、もう誰の子どもでもなくなってしまったのだと思うと、心もとないですね」
    どんな大人も高齢の方も、みんなみんな親がいて、誰かの子どもなんだよな

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    2024年03月28日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    ネタバレ

    連作短編集のタイトルでもある「彼女が天使でなくなる日」。
    彼女というのが宿泊客だったのが違和感だったけど、ラストで「神は絶対であり、その神に仕える天使は善であり、対抗しうる力を持つものは悪とされる」ということを踏まえて「天使になどならせてはいけない。誰ひとり」になるんだな。すごい仕掛けだ。
    理津子が民宿えとうみたいな場所を作る話も読みたいな。

    途中で出てきた蜂蜜は「今日のハチミツ、あしたの私」の蜂蜜かな?他は気付けなかったけど、こんな仕掛けがあるなら理津子さんの話もある気がしてしまう。

    「倦怠期真っ最中の恋人に抱かれながら昔の恋人を想う女のように、からあげを咀嚼しながら寿司と刺身のことを考

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    2024年02月25日
  • ビオレタ

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    ネタバレ

    『いつも心に棺桶を』が社訓のビオレタ。
    店主の菫さんの名前をイタリア語にして、
    ビオレタ。

    なかったことにはしたくないけれど、ひっそりと埋葬したいなにかを、手作りの棺桶に入れようとする人たち。そうやって心にけじめをつけて、また新たな一歩を踏み出す人たち。
    ビオレタのようなお店がある、という存在だけでも心の支えになりそうな気がした。

    「誰かの庭になる」という発想は面白いと思った。私は誰かの庭になれているだろうか。誰にでも開かれた、陽の光が燦々と差し込み、植物が生き生きと育まれている、風通しの良い庭。わたしも誰かのそんな庭になりたい。

    少しファンタジーも入るのかな。紆余曲折ありながら年上の彼

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    2024年02月22日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    6人の作家からなる冠婚葬祭の短編集です。
    他の作品も読んだことがある作家さんの短編は流石だなと。
    普段短編集、それも作家さんが違うと話についていくのに少し戸惑いますがすぐにその世界に入る事が出来ます。
    そしてやっぱりその先も読んでみたくなります。
    人の弱さ、憎しみ、罪悪感、どうしようもないものを描くのが上手く伝わってきます。
    短編集なので時間をかけてゆっくりと読み終えられました。

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    2024年02月20日
  • やわらかい砂のうえ

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    p.159 「あの男の人に会ったとき、正直、ひーさんのこと、信じられないと思ったんですけど。でも、じゃあ、じゃあ、ギリギリ許せるような感じがしないでもない、かな…」「何、それ。許すも何も、これは許さんたちの問題やろう」

    だって、いけないことでしょう。間違った事は言っていないはずなのに、どうしてこんなに怖い顔でにらまれなければならないのかわからない。

    「配偶者がいながら、他の人と関係を持つのは、いけないことですから」
    「そうかも知れんけど、許すとか許さないとか、赤の他人のあんたが言うことではないよな」「赤の他人って…冬さんは友達って言ってくれましたけど」「友達は、他人や」

    p.161

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    2024年02月18日
  • やわらかい砂のうえ

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    すみません。私もつい、相手に自分の価値観や考えを押し付け、人を評価したり、好きになったり嫌いになったり...。やっぱり自分に自信がないんでしょうね。もう少し、人の評価を気にせずに生きていけるようになりたいなと思います。

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    2024年02月14日
  • やわらかい砂のうえ

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    『傷つくほうがおかしいとか弱いとか、それは傷つける側の理屈。
    不愉快だと思ったことは不愉快だと言う。失礼なこと言われたら、ちゃんと怒る。自分のために怒る義務がある。それが自分を大切にするっていうこと。』

    「美しくなる」ということは、他の誰かのようになることを目指すのではなく、自分が自分のまま世界と向き合う力を得ること。

    とても勇気づけられるお話でした。

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    2024年02月12日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    閉鎖が決まっている商店街のキャラクターの着ぐるみを中心にそれぞれの暮らしが綴られたヒューマンドラマ

    楽器店に勤める旦那さんの話が良かった
    その頑張りはどこかで誰かが見てくれてるのかもしれない

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    2024年02月11日
  • やわらかい砂のうえ

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    主人公の万智子が好きにはなれなかったけど、20代の頃は、人は多かれ少なかれ万智子のようなところがあるのかもしれない。

    了さんとはじめて会った時、了さんの腕時計を預かるのに、万智子はハンカチを出して腕時計を受け取った。
    その時に了さんは、万智子は信用に足る人だと感じたと話す。万智子は、
    『冬さんの事情。美華さんの怒り。菊ちゃんの不安と、早田さんの苛立ち。わたしはそれらを、もっと尊重するべきだった。彼らの心は、彼ら自身のものだった。わたしはただ欠けたりや不用意に傷をつけることのないように、そっと手のひらにのせればよかった。正しいとか間違っているとか、賢しらにジャッジすることよりも大切なことがあっ

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    2024年02月10日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    ネタバレ

    寺地はるなさん3作目。
    その中で1番良かった。 

    ずけずけ常識や普通に異を唱える千尋の心に刺さる言葉や、見事だなと思う表現がいくつもあった。
    特に心に残ったのは
    「多くの人は友達を良いものだと思い過ぎなんじゃないでしょうか。そうでもないことをあなたが身をもって証明してくれています。」
    私も破綻したけど、ずっと引っかかる友達関係があって、麻奈のようにその子を親友と思い続けてきた長い期間が過去にあったからすごくモヤモヤしていたが、それを客観的な視点で見れてなんだか少しスッキリした。
    もう一つは、
    「願うだけなら誰でもできる。願いは全ての種子だ。種子がなければそこから芽を伸ばし、葉を広げることもで

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    2024年02月13日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    ネタバレ

    飛鳥井千砂さんの作品が読める!ということでご本を見つけて即買いしました。
    飛鳥井千砂さんのお話もちろんサイコーだった!そしてほかの作家さんのお話も面白かった。

    飛鳥井千砂さんの書く主人公の女性がとっても好きで、今回のもうすぐ十八歳も夢中になりながら読んだ。
    後半の展開に、主人公の気持ちになってえ!?え!?となった。主人公に起こったことを知っているから、締め方に納得した。ぜひ読んでほしい!

    お話が進むにつれてページを捲る手が止まらなくなったのは雪舟えまさんの二人という旅。
    最初は設定の読み込みに苦戦したんだけれど、読み込めた後には、どうなるんだろう??どこにお話しが着くのだろう??と興味津々

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    2024年01月26日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    ネタバレ

    飛鳥井千砂さんのもうすぐ十八歳【冠】
    18歳で子供を持つという事

    寺地はるなさんのありふれた特別【冠】
    幼馴染のこどもと自らの成人式。予想外。

    雪舟えまさんの二人という旅【婚】
    宇宙ものはそもそも苦手なので、読み始めは理解できなかったが、途中から、どうなるのかなに変わった。読まず嫌いはいけない。
    二人とはシガとナガノの『旅』についてだと思っていたが、シガの発した一言で『二人』が別のものだと気付いた。
    「結婚生活も、人生そのものもー向き合うべきものを直視せずに時間だけ過ぎていくんじゃ、本質的には何も始まらないまま終わるってことさえ、あるのかもしれないね」

    嶋津輝さんの漂泊の道【葬】
    希和子

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    2024年01月25日