寺地はるなのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ裏表紙のあらすじに『あなたのための物語』と書いてあったが、想像以上に『わたしのための物語』だった。
家庭環境や生育環境はそこまで似ていないけれど、
希和の感じる鬱屈や不安にとても共感できた。「そうそう!こういうことあるある!!」と、読みながら何度頷いたことか。
会話していて楽しいと感じた相手が、別の人に対して無自覚のマウントや無理解な言動を屈託なく行なっていたり。自分を(少なくとも自分から見たら)理由なく嫌い低俗なイジワルをしてくる相手が、子どもに対しては素敵で心に残る言葉をかけていたり。
『いいひと/いやなひと』という二元論では表せない、『ふつうのひと』のグラデーションをとても繊細に書き表していると感じた。
作中で起こる事件や希和と周囲の人々との関係は、決してスッキリ解決はしない。
だけど自分の声のありかをはっきりと定めた希和の今後は、きっと明るい。そう感じさせる、希望の持てるラストだと思った。 -
Posted by ブクログ
寺地さんお得意の(?)、少し不器用な人たちの“つながり”と再生を描いた物語。
本書は、中学時代の卒業制作で繋がった男女4人(永瀬珠、高峰能見、森侑、木下しずく)の30年間を、2025年から1995年へと時間を遡りながら紐解いていく構成となっております。
時間を戻るたびに今の彼らを作っている記憶の断片が繋がり、輪郭が鮮明になっていき、最終章で改めて2025年に戻ることでこれまでの出来事が繋がってくるという流れが秀逸でしたね。
物語に大きなハプニングが起きるわけではありません。
ですが、珠をはじめ、登場人物それぞれが抱える「生きづらさ」の描写が絶妙で、じんわりと心に沁み入ってくるのですよね・・。
4人の関係性も、単なる「友達」という言葉では括れない、“仲が良くも悪くもない兄妹”のような不思議な距離感。
つかず離れず、でも心の底では信頼し、気に掛け合っている・・そんな彼らの温度感がとても心地よいのです。
特に、コミュ障で普段は感情を表に出さないしずくが、珠を軽んじたり傷つけようとする相手に対してブチギレる場面や、珠としずくの「サイン」の意味が判った時は、グッとこみ上げてくるものがありました。
因みに本書のタイトル&表紙のイラストにもなっている「雫」のモティーフですが、
「雨の雫はあつまって川となり、海へと流れ込み、やがて空にのぼっていく。その繰り返しが『永遠』を意味する」
・・とのこと。
読み終えた後、自分の心の中にも小さな宝石の輝きが瞬いたような・・温かな余韻に包まれた次第です。
最後に余談ですが、私はカフェで本書を読んでいまして、丁度ラストに差し掛かった時、偶然店内のBGMで『STAND BY ME』が流れてきたんですよね・・ストーリーのエンディングとメロディーの雰囲気がマッチし過ぎて、不覚にも涙が零れそうになっちゃいました。
・・ということで“『STAND BY ME』込み”での★4でございます~(^^♪ -
Posted by ブクログ
下着って誰の為のもの?繊細なレースや刺繍、色や形。第一話はサイズも変わって着れなくなった下着をリメイクしてほしい。ポーチやハンカチでなく下着として。そこで「お前の下着なんか誰が見たいんだ、いい歳してみっともない」と言われる。女性にとっての下着は、このデザインは、男の人の為ではない。この手間ひまかけられた美しいものを身に纏う事で自分はかっこよくて強い気がして頑張れた。自分の身を守る鎧のようなもの。ルッキズム。特に女性は化粧をして当たり前、キレイにいるべきもの。それは昔は男性目線で評価されるものだったモノが、今は自分の為のモノ。化粧だって自分がキレイになるのが嬉しいから、今日の私ビジュがいい!でご機嫌になって自信になると強くなれる。むしろデートより女子会の方が気合がはいるようなもの。下着だってそう、この蝶のレース花の刺繍は見ているだけで私達がうっとりする。それは蝶や花だけでなく、それが絶滅動物だったり苔だったり。男性受けより、女性受けより、自分受け。
そうやって自分が自分の為であるように、素直に正直にまっすぐに生きていこうとする人達のお話し。