寺地はるなのレビュー一覧

  • ぬすびと

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    連作短編集ではない寺地さんの作品を初めて読んだ。この形式の方が個人的に好みかもしれない。

    泥棒、と言われた鳴海は一体過去に何をしたのか?と不穏な雰囲気で物語が始まったが、スラスラと読み進めることができた。

    読み終わって表紙を見て、20年越しに叶ったささやかな関係性が感じられて良かった。

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    2026年09月18日
  • きよくしぶとくやかましく

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    古い価値観が蔓延る田舎で、家父長制に抗って連帯する女性とホモソーシャルの輪から外れた男性。
    小気味良いテンポの文章と裏腹に気分が重くなる内容だけど、最後はなんだか愛おしい気持ちにさせられる。
    実際の田舎社会がどうなのかはわからないけど、こういう中高生の頃みたいな閉鎖的なコミュニティの中で生きるのは苦しいだろうな。
    わたしだったらきよくしぶとくやかましくを貫く前に、もういやだ!となって逃げ出してしまいそう。穴掘り女の憂さ晴らしじゃ死んで逃げ切りで足りなくない?

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    2026年09月18日
  • 最後の晩餐

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    江國さんの静謐な世界から、金原さんの「うるせw」ってなるギャルいパーティーの落差に風邪をひきそうになる。そこに角田さんの最後の晩餐がきて、くすり、ほろり。おかしな送別会に、故人の詮索、推し活仲間、嘘のような本当の話。粒揃いのおいしい読書体験。

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    2026年09月17日
  • ガラスの海を渡る舟

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    しみじみと伝わる言葉

    兄はある意味泰然と
    妹は求めてやまない愛と甘やかし

    それでも見捨てず、認め合えて良かった

    私も妹なので、100%意のままにならない親に愛に飢えていたかも
    しょうがないね、人間だもの

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    2026年09月17日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    他の人または自分に男らしさ、女らしさ、大人らしさなどを求める人が読んだらいい話かなと思った。
    鉄也の父の葛藤を知っても好きにはなれない。

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    2026年09月16日
  • ガラスの海を渡る舟

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    寺地さんの作品は、盛り上がるようなストーリーではないけれど、心の奥に染み渡るような読後感です。
    心地よく、優しい、穏やかな気持ちになります。
    兄弟って難しいですね。
    同じように育てたよ
    って親は言うけど絶対違うよね。
    って思うことはいっぱいあるし
    母も一生懸命子育てしていたんだろうし
    私も母となりいろいろ考えたり
    反省したりいろいろあります。
    子供は子供なりに感じたり思うこともあって
    葛藤もあります。
    どうやっても
    お互いに言い分もあるし、
    張り合う気持ちや、劣等感
    嫉妬してしまうこともあるけど
    心も身体も少しずつ育っていく

    道 羽衣子も少しずつ大人になって認め合えるようになっていく姿が微笑ましい。
    道の気持ちも羽衣子の気持ちも
    かわいいし、温かい。
    この話好きだなぁ。と何度も思いながら読みました。

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    2026年09月16日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    相手の気持ちを考えすぎて動けなくなってしまう翼。最後はレモンちゃんと良い方向に進み出せてよかった。
    学生の頃は、些細なことに傷ついて悩んで、大人になったらそんな悩みはなくなって毎日が楽しくなるものだと思っていたけれど、大人もそれぞれの苦しさがあって悩みながら日々を過ごしているし、大人の男でも泣きたくなるし、自分の責任を抱えきれなくなることだってあるんだと思った。

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    2026年09月16日
  • 世界はきみが思うより

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    目には見えない、でもそれぞれの事情が人にはある、そんななかで、お互い尊重し合いながら生きる。

    あたりまえっちゃぁあたりまえなんだけど、それが難しいから、この当たり前に心が響く。
    現実にこんなことあったら多分もっと殺伐してそうなことを、特に少年2人はしっかり受け止めている。

    私はこのタイトルのあとに、悪くはない、ってつけるかなぁ、今回のストーリー展開なら

    2026.9.14
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    2026年09月15日
  • ぬすびと

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    ネタバレ

    物語は、40代になった鳴海が喫茶店にいるシーンから、若かりし鳴海が、働いていた喫茶店を通じて、シッターとして、派遣された頃に戻って描かれる。2度と会わないと約束させられ、離れ離れになった2人だったが、
    また、40代の話に戻ってきて、再会するも、切ない展開だった。

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    2026年09月15日
  • ほたるいしマジカルランド

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    積読を抱えるもの泣かせ。といった読後感。

    ほたるいしマジカルランドで働く人たちを、月曜日から日曜日まで追っていく。

    最初は登場人物の多さに「誰だっけ?」となりながら読んでいたのに、曜日が進むにつれて一人ひとりに個性が生まれ、それぞれの家族の形や仕事への向き合い方、好き嫌いまでが見えてくる。

    そして別の日には脇にいた人が、この日はこんなことを考えていたのか、と一週間を階段を上るように少しずつ知っていくのが心地いい。

    だからこそ読み終えると、また月曜日に戻りたくなる。 この日に彼彼女がこう思っていたことを、あの日にはどう思っていたっけ。この登場人物、確かあの日にも出てたよな、と。

    一度読んで星4。 でも繰り返し読むことで、たぶん自分の中では満点になっていく作品なんだろうなと思う。

    積読はたくさんある。 なのに、もう一度マジカルランドに行きたい。 困った。

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    2026年09月15日
  • リボンちゃん

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    他人に変だとか言われても、自分のお守りであるリボンを身に着け続けるリボンちゃんを、強いとか簡単に言えないなと思った。
    むしろ、そういうこと(リボンを常に身に着けることとか)をしなくても平気に生きられる自分は、マジョリティとしての図太さや鈍さに守られているんだろう。
    少なくともそのことに自覚的であろうと常に努めていたいと感じた。

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    2026年09月15日
  • いつか月夜

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    ネタバレ

    最後、塩田さんや松江さんや伊吹さんたちと一緒に歩くことが無くなったのが、悩みから解放されて新たな生活への門出となったのかなと思えていい終わり方だと思った。
    實成が伊吹さんと猫のカフェに行く場面がとても好きだった。塩田さんや松江さんたちを好きだと思うように伊吹さんを好きだと思うこと、夜中にただ一緒に歩いてケーキを食べに行くという名前の無い関係が羨ましい。けれど、伊吹さんとは決別をして新しい生活に進んでいく實成は強いなと思った。

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    2026年09月14日
  • いつか月夜

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    ネタバレ

    みんな何かを抱えていて、それの傷の舐め合いでもなく、ただ歩く。しかし最終的には自分がどうしたいか、おかしい方に流されてそれが楽だと思わないようにすることが大切だと感じた。

    もう二度とフルメンバーの散歩は実現しないのだろうけれど、それぞれが1人でも正しいと思うほうに歩いていくのだろうと、そう思った。

    個人的に気になったのが、自分がこの本を手に取ったのがあらすじで面白そうと思ったからであるが、思ったような話じゃなかったなと感じた。モヤヤンの登場が少なく、人間模様が丁寧に書かれていたが、得体の知れないもの、モヤヤンに苦悩する様と自分を照らし合わせたいと思っていたので、少し驚いた。(それが悪いという訳では無い)

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    2026年09月13日
  • ほたるいしマジカルランド

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    連作短編集。寺地はるなさんの「水を縫う」「世界はきみが思うより」に続いて京阪沿線っぽいところが舞台。ひらかたパークがモデルになっています。
    ほたるいしマジカルランドの社長の名物社長が病気になり、社長と祐の関係には少し無理が…と思いつつも、働いて人々がそれぞれの悩みを持ちつつ、目の前の仕事をコツコツとする姿は等身大の人々でした。
    好きだったのは火曜日の村瀬草。
    村瀬のイケていないのにプライドが高いところ、人を妬んだり、人に助けを求められなかったり…私もそんなところあります。素直なところもある村瀬が憎めなくて、面白かった。ちなみに串から直接食べる派です。

    男の子の母としては、水曜日の篠塚八重子系のお話に弱い。
    家事ってつらい。子育てってうまくいかない。それを立て直すのって一人では難しい。負のループに入ってしまう。
    それでも母を恋しく思ってくれる子どもにありがとうって言いたい。

    遊園地の経営としはてありえない体制だけれども、それはファンタジー。楽しく読めました。

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    2026年09月13日
  • 白ゆき紅ばら

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    寺地作品はこれで3作目。家族運営の母子保護施設の話。偽善、支配、負担、束縛。子供の心を支配し都合良く動かすことに、一切の疑問をいだかない。読んでいて辛くもあったが、祐希の運命に流されず不幸に屈しない静かな強さが印象的だった。
    途中の展開も、少しミステリー要素が含まれ、どうなっていくんだろう?と気になるところから一気読み。家族の歪みと再生を書かせたら、右に出る人はいないんじゃない?と思わせる、いい作品だった。

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    2026年09月13日
  • 雨が降ったら

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    雨が降ったら。
    傘をさす?ささない?
    レインコートを着る?
    レインシューズを履く?

    雨が降るかも。
    傘は持ち歩く?持たない?
    折りたたみ傘を持ってく?長い傘を持ち歩く?

    人生自分では選択出来なかったこともたくさんある。選択できた事もたくさんある。
    悲しい時にさしたい色の傘は何色?
    嬉しい時に着たいレインコートはどんな柄?
    傘を選ぶように自分の好きに向かって進んでいけたらいいのに。いや、進んで行っていいのだと、ちょっと背中を押される。

    雨ってちょっと憂鬱だけど、お気に入りの傘1つ欲しいかも。選ぶときワクワクするから。
    さす時もワクワクするから。

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    2026年09月12日
  • ほたるいしマジカルランド

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    表題の遊園地で働く人々の悲喜こもごも

     面白かったです。連作のかたちでそれぞれの皆さんの抱えたあれこれが紐解かれ、少しの救いが与えられるような。遊園地が舞台と言ってもお仕事小説ではなく、あくまで個々の生き方を重くならないレベルで掘り下げる感じです。

     軽い、と言ってしまうとそれまでですが、むしろその軽さが寺地はるな作品の良さだよなあ、と改めて思いました。心情的に共感する部分を多々感じさせながら、そこまで深く入り込むこともなく、激情なくふんわりとよかったなあ、と思わせてくれるという。

     ラスト、無理に登場人物同士をくっつけた話にせずそれぞれのエピローグとしたのも、無理な構成にならなくてよかったと思います。気持ち良い読後感でした。

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    2026年09月12日
  • 世界はきみが思うより

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    世界はきみが思うより、その後にぱっと思いついたのはネガティブな言葉でした。私自身の経験がそういう発想になっているとしたら寂しいことだなって思います。世界はきみが思うより、優しい世界であって欲しい、私は読後にそう思いました。

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    2026年09月12日
  • 雨が降ったら

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    安定の寺地はるなさん!
    いつも読み心地が良くて、今回もさくさく読み進めました。

    私はすごく悩んでいたわけでも、すごく辛かったわけでもない。
    でも、心の中でほんの少しひっかかっていたことが、解けるような感覚がありました。
    「誰かを頼る図々しさ」
    この言葉がとても好きです。
    図々しさ(もちろんいい意味で!)を持っている人、そしてそれを受け入れられる人。
    どちらも素敵でした。

    雨が降ったら傘をさせばいい。
    辛かったら頼ればいい。

    こんなにシンプルで心強い言葉を貰えて、本当に良かったです。

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    2026年09月12日
  • 最後の晩餐

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    ネタバレ

    最後の晩餐がテーマの7編からなるアンソロージ。
    好きな作家さんばかりが、異なる切り口で書いた物語、一つ一つがとても面白かった。

    人生の最後に何を食べるのか?なかなか悩ましい、重いような軽いような命題。
    最後の食事は、何を食べるか、どういうシチュエーションで食べるか、誰と食べるか、一人なのか、一人の人生が表されているようで、様々な想像が生まれる。
    意識をしていても本当に食べれるかどうかも分からないけれど、考えるだけで、酒盛りのネタに十分になりそうで、でも実は色々考えさせられる。

    個性あふれる作家さんの物語は、色々な観点で描かれていて、其々の文体があり、あっという間に読んでしまった。

    個人的には、角田光代さんの『最後の鰻』が笑えて、ほろっときて、沢山の家族に看取られて、あるあるって感じもして、大往生で好きだった。

    藤野千代さんの『もうひとりのねえちゃん』は、家族が身近にいなくても、誰かがいてくれるってのも幸せの一つだと思えた。TVで『団地のふたり」が放送されているので、ノエチとなっちゃんの関係が思い浮かんだ。

    寺地はるなさんの『小曽根幸子の送別会』は、小曽根さんがかっこいい。主役がいない送別会のシーンはスカッとするものがあった。

    江國香織さんの「コインランドリーの夜」は、コインランドリーという場が秀逸。機械が回る音、無機質な感じが上手く描写されていて、流石って感じだった。

    原田ひ香さんの『最後に何を食べたの?』は、ちょとミステリーがあって、最後にあーちゃんが恭一によって、救われるのがホッとさせられた。

    しかし、このメンバーの食べ物の描写は流石上手いなぁと改めて思った。

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    2026年09月11日