寺地はるなのレビュー一覧

  • 夜が暗いとはかぎらない

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    ネタバレ

    人はみんな目に見える情報を第一にする
    例えば「あの人は優しそうだから」「しっかりしてるから」そんな見かけから受け取る情報をすべてだと思ってしまう。

    でもどんな人にだって暗い一面はある
    優しいと思っていた人はNoが言えずためこんでしまう人だったり、しっかりしてそうな人はそのイメージを崩さないように無理して頑張っていたり

    そして誰もがそんな本当の自分に気づいて欲しくて、手を差し伸べてほしくて足掻いている



    あかつきマーケットのあかつきんが失踪して神出鬼没に現れ、人助けをしていく
    あかつきんが人助けをするのは心に何かを抱えている人がほとんどだ
    誰もが心の内側に人には見せられない弱さを抱え

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    2022年11月04日
  • ガラスの海を渡る舟

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     祖父のガラス工芸工房を引き継いだ兄妹の10年間を描く。3つの章と序章・終章の計5章からなる。

          * * * * *

     生きにくさ。
     グレーゾーンを含め発達障害の要素を持つ人にとっては、日常的に感じていることではないでしょうか。

     幼い頃から自閉スペクトラムの特徴が濃く表れていた道もその1人だと思います。
     「みんな」と同じことが自分1人だけできずに、周囲からは疎まれ、侮られる日々。さぞかししんどかったであろうことは想像に難くありません。

     けれど道は自分の特性をきちんと理解し、他人との違いを受け入れた上で羨望や嫉妬を感じることなく生きてきたのです。
     自分にできることに注

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    2023年08月16日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    どんな人にも、ぱっと見ではわからない一面があり、
    深みがあり、感情があり、ドラマがある。
    その一つ一つを丁寧に掬い上げて、
    人のあたたかさを、手ずから渡すように
    ぬくもりや、やわらかさを
    そっと崩れないように渡された。
    そんな読後感。

    どれも、あぁそんな感情あるな、と
    胸の奥で共鳴したり、あまりの教官に
    涙ぐんでしまったり。

    どのお話もとてもよかった。
    過ぎていく日々が、とても嬉しく
    ありがたく愛しくなるような短編集。

    >>備忘録として

    P263
    生きているあいだに誰かをじゅうぶん大事にしたと、だから別れは辛くないと、そんなふうに言える人はすくないと思う。そこまでの覚悟を持

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    2022年08月28日
  • 夜更けのおつまみ

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    少しずつそれぞれの作家さんのお話がいただける、まさに「おつまみ」な本。
    読み進めていると、缶ビールが2本、空の状態で目の前にありました。

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    2022年07月24日
  • みちづれはいても、ひとり

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    出来事や会話や状況に対するふたりの受け止め方、その表現とリズムがかなり好み。少し笑えて、核心もついていて、それでいて面倒くさくない感じが良い。

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    2022年05月21日
  • 正しい愛と理想の息子

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    途中漫画とPMSを挟んだから読むのに時間がかかってしまった。もう一度集中して読まないと感想が纏まらない。
    ハセの声、津田健次郎さんで再生された。
    寺地はるなさんの本は初めて読んだが、描写が素晴らしいと思った。キャラクターの気持ちや情景をすんなり想像することが出来た。
    最終章の「こいつは俺の大嫌いな職業で、だから、俺にはできないことができる」という言葉が印象に残った。
    嫌いな人とも補い合って生きている。それぞれに名前と人生があり、みんな繋がっている と改めて気付かせてくれる。自分がもし小説を書くとしたら、こんな作品を書けたら良いなと思った。
    時間がある時に一気読みで再読したい。

    追記
    民恵とい

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    2022年04月16日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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     あかつきマーケットを中心にした町で暮らす人々を描く群像劇。
     3章仕立てで、第1章はプロローグを含めて9つの短編、第2章は5つの短編で構成され、第3章のみ単独でエンディングとなっている。

          * * * * *

     閉店決定的のマーケットや、起死回生策として作られたゆるキャラ「あかつきん」のイマイチのイメージによくマッチした、垢抜けない町の垢抜けない住民たち。
     その1人ひとりに温かな光を当て丹念に描いた、いかにも寺地はるなさんらしい作品だったと思います。

     また、各話の主人公がリレー形式でつながっていくのもよかったけれど、章題がシャレていて感心しました。

     住民たちの悩みや困

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    2022年04月14日
  • ビオレタ

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     「いつも心に棺桶を」
     「松竹梅で言えば蓼」
     風変わりなフレーズが要所で登場する、一風変わった作品というのが第1印象でした。

     登場人物もしかり。浮き世離れした人々が次々と出てきます。
     テンポといい醸し出される空気といい、川上弘美ワールドかと見紛うよう。これが寺地はるなさんのデビュー作とは驚きでした。

     それにしても登場人物が皆、キャラが立っていていい。特に菫さんが強烈です。
     菫さんは妙のいびつと言ってもいい不器用さを叱咤するのですが、菫さん自身もなかなかに不器用です。なのに偉そうなのです。
     そしてそこがまた魅力的なのでした。 ( いちばん気に入ったのは妙の父親ですが。)

     で

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    2022年04月01日
  • 大人は泣かないと思っていた

    購入済み

    大好きな作家さんです

    寺地はるなさんの小説が好きでこちらも購入しました。
    全て繋がった物語ですが、短編集のような形になっておりサクサク読み進めることが出来ました。
    たくさんの人の目線で書かれており、それぞれの人生や価値観を考えては泣き、を繰り返していたのでとても読み応えを感じました。
    寺地はるなさんの暖かいお話が大好きです。

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    2022年02月28日
  • 月のぶどう

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    不覚にも結婚式シーンは泣いてしまった。
    寺地さんは個人個人をすごく丁寧に描く作家さん。
    わかるわ~、って頷くことばかり。

    そして国産ワイン。
    私も好きです。
    こんなご苦労がたくさんあったとは知りませんでした。
    やっすい輸入ワインに走ることもあるけど、心して国産ワインを大切に飲もうと思います。
    グラスにも凝りたいけど、なかなか難しいかなー(笑)

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    2022年02月24日
  • ほたるいしマジカルランド

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     大阪北部の遊園地を舞台にした、7編からなる群像劇で、描かれるのは日曜日のイルミネーションイベントに向けた1週間です。


     訪れる人が笑顔になるのが遊園地というものだけれど、従業員にはそれぞれ抱える事情があり、性格があり、人生観があります。
     彼らのそんな姿が、寺地はるなさんらしい丁寧なタッチで紡がれていました。共感と希望を心に残してくれるストーリー展開も相変わらず見事です。

     感心するのは、各話の脇で登場する人物にまで十分な存在感を与えるキャラ設定をしているところです。
     佑や「木曜日」の照代さんはともかくとして、「水曜日」の野上さんや「金曜日」のあおいさんにまできちんとした背景を用意し

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    2024年10月22日
  • みちづれはいても、ひとり

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    本を読みなさい。きっとあなたを遠くに連れて行ってくれる。
    自分がやってない何かをやっている人に「フッ、よくやるわ」という視線を向けて何者かになったような気分になるのは、あさましい。
    他人から際限なく引き出せる優しさなんてない。
    興味のない話に興味深げに相槌を打つ技術を、今日人至るまで会得することができないまま中年になった。
    自分が正しくも美しくもなく生きていることを知っている私はせめて、他人が心から欲するものを価値がないと嗤ったり否定したりはすまい、と誓う。

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    2021年09月05日
  • みちづれはいても、ひとり

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    おしゃれなカフェに置いてあったので、試し読みしたところ面白そうなので購入した

    はじめ、都会在住の社会や男に疲れたアラフォー独身女性が自然いっぱいの島に滞在し、大切なものを見つけ直す、やり直すぞー!って感じの爽やかな内容かと思っていたが
    実際は、人の醜い部分だったり、命ある限り、生きていかねばならないという決心だったり、題名の通り、結局は1人なんだと感じさせる部分だったり
    読む前には気づかなかったが深みのある物語だった

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    2021年08月18日
  • 月のぶどう

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    しっかり者で責任感が強い光実と、中途半端な歩の2人の物語は、歩の立場に共感しながらでした。若いうちは、いつか天職が見つかると根拠も無しに思っていましたが、そんなものはやはり無い。だからといって、頑張らなくていい理由にはならない。この世の仕事はすべて必要で重要。自分に言い聞かせるように読みました。読後感もとてもよく、心地のいいものでした。とても面白かったです。

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    2021年07月05日
  • 月のぶどう

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    世の中にあるたいていのモノは、全て誰かの地味な作業によって生み出されている。
    必要のない仕事は、この世の中に存在しない。必要出なかった、もうとっくに無くなっている。
    情熱とは、仕事を続けていく上で徐々に喜びとか、面白さがわかってきて、その上で段々育っていく

    就きたかった職業でなくても、真摯に、一途に、日々取り組んでいるとしたら、それはとても美しい生き方。
    共感なんてもんは、何の役に立たない。ただ誰にでもいろいろあるということを理解するだけでいい。それが他人を尊重するということ。
    うまくいかないことがあっても俺が悪いとは思わない。俺のやり方が悪かったと考え他のやり方を試してみる。

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    2021年05月22日
  • 月のぶどう

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    すごく良かった。ラストの少し前にある出来事には、感動して陽の光やワインの煌めきがありありと目に浮かんで、泣いてしまった。
    寺地さんの本は、悪人がギャフンと言わされることもないし「間違った」行動や言動が猛省される描写もないんだけど、伝えたい人にはちゃんと伝える、そこがいい。登場人物みんなが生きている、生きていく感じ。

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    2021年04月25日
  • 夜更けのおつまみ

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    このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
    どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
    あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
    人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
    さらに、一編ずつが短いのもポイント。
    ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰

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    2020年07月14日
  • 月のぶどう

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    双子の光実と歩
    家業を継ぐ光実と何をしても飽きてしまう歩
    優等生で美人の光実。
    何をやってもうまくいかない歩。

    母親が急死し、家業をやることになった歩。
    ワイン作りはわからないことだらけ。少ない従業員とも上手くいかず…。

    母親である人物や家族へのそれぞれの思いやコンプレックス。
    特に母親の死に対しては家族もどこかギクシャクしている空気も伝わってくる気がした。

    でも、心に残るような文章やはっとさせられる言葉があちらこちらにちりばめられていて、励まされた。
    仕事のこと、家族のこと、色々なことが作品に溢れていて素敵な作品でした。

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    2019年11月30日
  • 世界はきみが思うより

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    寺地はるなさんの作品を初めて読んだ。
    いい読書時間を過ごせた。
    本屋大賞っぽい内容なので、多くの人が読むといいなと思う。(詳しくは書けないけれど)

    印象に残ったところ二つ

    純文学とは「人間の愚かさ、欲望、闇、本質を問う」ものだから、愚かで欲望に屈しやすい父が自分を肯定してもらえるから好きなんだなというくだり、ドキッとした笑

    子どもの存在を唯一の生きがいにしたら、なんか子どもがしんどくなるやろなという香川さんの言葉。
    あっという間の子育ての時間。めっちゃ愛を与えて、あとは子どもが自分より大事な人を見つけて歩き出す背中を見つめる母たちの姿は,今の自分にはなかなか沁みました。
    (こうやって要約

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    2025年12月22日
  • 今日のハチミツ、あしたの私

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    碧(みどり)と養蜂家の黒江とその娘の朝花(ともか).スナックのママのあざみさん。色んな人の出会いで少しずつ変わっていく。最後には繋がる。暖かい小説。蜜蜂ってすごい!

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    2025年12月22日