寺地はるなのレビュー一覧
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ネタバレ税理士事務所で事務として働いている万智子が、顧問先のドレスクチュールでも働くことになり、歳の離れた友人ができたり、なりたい自分について考えるようになるお話。
優しい気持ちになるのに、自立したいなと前向きになれる一冊だった。
読みたかった寺地作品だー!という印象。
タイトルは、理想の地を指しているのかと思っていたけど、早々に不安定な足場のことを指していることが分かって、その時点でもう面白くなる予感しかしなかった。
登場人物が多くて混乱した部分もあったけど、万智子の持っている偏った考えを、過去もしくは今の私も持っていることに気付いてハッとさせられた。
了さんたちみたいな友人素敵だなあ。
早田さんのことも私だったら理解しようとせずに去っていってしまうかもしれない。
早田さんと同じ方向を見て歩いていこうとしながらも、それを恋愛として捉えてるわけじゃないのもいい終わり方だったなあ。
でも今回一番素敵だったのは、万智子の父。
亡くなった妻を自身の半身と感じて、娘が泣いているかもと鳥取から大阪に来てくれる。娘の職場で「ほんとうにいい子なんです」と言われて「存じております」と返す父。素敵。 -
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場所は九州北部にある星母島。
母小岩が近年パワースポット。
民宿「えとう」と託児所を営む、「モライゴ」の千尋。
千尋のことを大切に思う麦生。
育ててくれた政子。
政子の娘、亜由美。
孫のまつりには、10代で産んだ息子の陽太がいる。
民宿を訪れる人達が、母小岩を目指して訪れる。
それぞれが親子関係、人との繋がりに悩みをもっている。淡々と接する千尋や麦生。
人は、それぞれが大変に思うこと、葛藤、嫉妬、孤独などがある。それを他人から意見されることにより、何かの気づきを得ることがある。そんなことをこの島を訪れた人が経験し、また生活をしていくであろう、そんな物語のように私は思えた。千尋自身も、色々な人と接して本当の自分の思いや、島の人の思いを知り、最後に月の見えかたは自分の心が反映されていることに気づく。誰もが月を眺めた時、のんきそうに見える日が多ければ、いいなと思った。
第1章 あなたのほんとうの願いは
第2章 彼女が天使でなくなる日
第3章 誰も信頼してはならない
第4章 子どもが子どもを育てるつもりかい
第5章 虹
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ソノガラス工房で働く兄と妹、道と羽衣子の 20年にわたる物語。同じ時期の出来事と思いが道と羽衣子、それぞれの立場から語られる。
多分発達障がいであろう道の特別感を羨む羽衣子の気持ちが、共に仕事をするようになってから起きる出来事で変わっていく。道は、具体的に言われないとわからない自分から少しずつ変わっていく。
2人の祖父の死でお互いの気持ちをぶつけ合ったところから徐々にお互いを認めあうようになるのだが、大切な人の死を受けいれていくのに、頑張って前を向く必要はないという言葉。力をもらえた。「泣かないでとか、いつまでも泣くなとか言うのは弱いから。泣いているのを受け止める体力がないから。」道の言葉がとても響いた。誰1人として同じ人はいないのだから、普通とか特別とかはないという道の言葉もすとんと心に入っていった。
大切な人の死を経験して、初めてわかることは本当に多い。それぞれのやり方で自分を慰めればいいと言ってもらえた気がした。ガラスの骨壺は、とても素敵だと思う。忘れたくなくても忘れてしまうのが人なのだけれど、忘れたくないという思いを大切に生きていきたいなと思った。 -
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ネタバレ九州にある星母島。託児所付きの民宿が舞台。
そこに泊まりに来る客たち。皆んな事情は違えども「子供」との関係に悩んでいる。
夜寝ない、育てにくい子、敏感な子、癇癪、喋らない…などなど
子供を自分の天使のように思い過ぎる毒親…
現在3歳1歳子育て中の私は、出てくる親たちに何度も共感し、痛いほどわかる苦しみに少し泣きました。
「親になったからって急に別人になれるわけじゃない」
「板の間で良いから大の字で1時間寝たい」
「子供が嫌いなわけじゃない。可愛くて仕方がない。この感情に名前はつけられない。だって子供を産むまで知らなかった感情だから」
あーーーわかる。泣
民宿の千尋、麦生、政子さんがあまりにも大きな器で子供を包んでくれるから、一瞬自分がダメに感じてしまいそうになるけれど、
この本のすごいところは、綺麗事はひとつもないところ。
なんというか、民宿の全員のことを信用できてしまう。本当にこの民宿があったら、私も絶対行きたい!そう思ってしまうほど、読み終わる頃には皆んなのことが好きになっています。
「子供を産んでも産まなくてもその人の価値は変わらない。やったことがないからわからないでしょ?という人は嫌い。」
「みんなの話は聞いてません。私とは違う」
そう言い放った千尋はかっこよかった。
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ネタバレどうしよう。すごく良いお話を読んでしまいました。
読み終わりたくなかった。居心地が良すぎて、まだ浸っていたかった。
妙ちゃんが癒されて前を向いていくお話ですね。その過程がすごく素敵。
菫さんも千歳さんも蓮太郎くんも、みんな素敵かよ。
庭にスミレ植えるの断固拒否な菫さん可愛いし、千歳さんホワホワしてそうでなんとも可愛らしいし、蓮太郎くんのピュアさと健全さは愛おしくてたまらない。超かわいい。
人生には痛いこともたくさんあるけど、棘はいつしか風化して少しずつ丸くなっていくのかな、などと考えました。
途中クスリとできたり、素敵な言葉があったり、やはり寺地さんの小説は好きだなぁとしみじみ思いました。
心が疲れてる時期に読めてよかった。 -
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真ん中あたりからググッと引き込む展開はさすが。
今回一番ハッとしたフレーズは、
「『ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん』
ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」
これは寺地さんの作品を読むようになって、私がたどり着いた境地のようなもの。
私自身は姉妹で比べられたという気はしていないけれど、双子の姉たちは常に感じていたかもしれず、特に自己肯定感が低いと最近になって私に話してくれた下の姉に読んでもらいたいと思います。 -
Posted by ブクログ
小説みたいな奇跡や不幸って、生きていても正直そんなに起きない。でも生きていれば、ちょっと気になることとか、モヤっとすること、小さなハッピーは起きたりする。それをこんなに上手に言語化できる人がいたんだと感動した。
短編になっていて、登場人物が少しずつつながっていく、よくある形式だけど、どの登場人物の気持ちもちょっと分かる気がした。
「夜が暗いとは限らない」というタイトルは、「夜は当然暗い」という前提が含まれている。毎日前向きに!と無理しなくても良いよと言ってもらえているようで、気持ちが楽になった。
以下フレーズを抜粋。
朝、という言葉はたいていは良い意味でつかわれる。たとえば「朝の来ない夜はない」というような。だけど朝が明るいとは限らない。どんなことがあっても、時間がめぐれば朝はかならずやって来てしまう。ままならぬ思いや不安を抱えて迎える朝はたくさんある。生きていれば、いくたびも。