あらすじ
蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる──。「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん……さまざまな人と出会う、かけがえのない日々。心ふるえる長篇小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これは、人がどうやって居場所を見つけていくか、つくっていくかの話だと感じた。
ちなみに、安西はけっこう嫌いなタイプだった笑。
けれど、碧が自分で突き進むうちにまわりを巻き込み、自分の好きなものを知り、そこに向かって未来を描いて希望を見出していく姿がすごくかっこよかった。
幸せってなにか、親が与えるものじゃなく自分で掴んでいくものだ。たとえそれが苦しみを伴うものだあっても、結果的に傷つくことであっても。強さを持ちたいと思える一冊でした。人間らしさに溢れていて、寺地さんの小説、やっぱり好きです。
Posted by ブクログ
中学生時代にいじめられて拒食症も発症した碧だが、ある日、森の中で出逢った見知らぬ女性からハチミツを貰い立ち直ることができた。
30歳になり、長年付き合って同棲している恋人の故郷へ行くこととなった碧。きっかけは彼の故郷に蜂蜜があった事。ただ、この恋人は仕事が続かないどうしようもない男性。故郷の自宅の離れに住むことになったのに、恋人の父親の反対で碧だけ家を出ることに。
精神的にも弱いはずの碧の奮闘が始まる。ハチミツに導かれながら、養蜂家になって行く碧。一人でも生活して行く碧に嫉妬と反発する恋人。なぜか読んでいて、駄目な彼にイライラしてくる。
最後に、あの自分を立ち直らせたハチミツの秘密が判明し、碧の進むべく道が見えて気持ちも明るくなって来る。
Posted by ブクログ
「そこで生きていくためにはしっかり自分の根っこを張らなければいけない」
黒江と碧の掛け合いはクスッと笑わされた。
巣箱を壊されたところは切なかった。
いろんな感情を揺すぶらされた。
いい読書をさせてもらえた。
Posted by ブクログ
30歳の碧。頼りない恋人との関係も煮えきらず定まらず、いつも気を使う碧をとても焦ったく感じたが、新天地で蜂蜜園を手伝いながら、孤独ながらも人脈をつくり支えられて強く生きる姿に勇気をもらった。蜂蜜園の蜂たちが悪意ある人間に殺虫剤などで襲われて全滅になる描写は、苦しくて悔しくて涙がとまらなかった。女王蜂を庇うように蜜蜂たちが折り重なり命が消えた描写は堪らなく泣けた。いつの間にか私も碧とこの物語の中で、一緒に生きている気持ちになっていたんだな…と感じた。私も大好きな蜂蜜。黒江さんと碧の蜂蜜をスプーンでひと口、いただいてみたいな。
Posted by ブクログ
日常の感情が素直に描かれていて、とても自分の好みでした!
ミステリーもいいけど、「そうだよね、私も頑張ろ」って思える小説も本当に素晴らしいと思います!
Posted by ブクログ
え、好き..。寺地はるなさん初読み。少々とんとん拍子でうまく行き過ぎ感もあるけれど、じんわりとあったかくて、そして蜂蜜を使った料理がおいしそう。
『ごはんはなくならない』の所がいいな。
寺地さん他の作品も読んでみよう。
Posted by ブクログ
寺地はるなさん初読。表紙のパンケーキが素敵でなんだか良さそう、くらいの気持ちで読んでみたのですがとても良かった。素敵でした。
想像していたよりガチでハチミツの話でした(?)え?主人公可哀想すぎない?と最初は思ったけれど、違うな。現実、こうやって生きていくのかもしれない。そして、だんだんと魅力的になっていく。すごい。
ハチミツたっぷりのパンケーキが食べたいです!!
Posted by ブクログ
いい話だった〜。読み終わった後にスッと内容が心に染み渡りました。
碧が見知らぬ土地で、何も持たない中地元の人たちに力強く馴染んでいっている姿が自分にはないパワフルさで少しびっくりしたけど、解説でも言われているみたいに「自分の居場所」を作っていくってそういうことだよな…としみじみ思いました。
Posted by ブクログ
碧(みどり)と養蜂家の黒江とその娘の朝花(ともか).スナックのママのあざみさん。色んな人の出会いで少しずつ変わっていく。最後には繋がる。暖かい小説。蜜蜂ってすごい!
Posted by ブクログ
碧が安西に依存しているように感じて、そわそわした。安西は甘やかされすぎて、影の部分を知らないで大人になってしまった。あなたが好きなことをできていたのは周りのおかげなんだよ、って安西に言いたい。
ご飯を食べるって体にも心にも元気と栄養を与えるのもなのだということを感じた。ご飯を食べることはとても楽しい。誰かと食べるともっと楽しい。
食べたものは無くなるけれど、思い出としてずっと自分の中に残り続けるという雰囲気の言葉があった。今まで気づいていなかったけど、多分わたしが食べることが好きなのは、誰かと食べたご飯はとってもおいしく感じるから、思い出になるからなのだと思った。
Posted by ブクログ
この本を読んで、まず心に残ったのは
「誰かと一緒にご飯食べて楽しかったとか美味しかったとか、そういう記意ってずっと残るから、食べてもなくならないよ。記憶が残るなら、それはご飯も残ってるってことだよ。という言葉。
気づかないうちに “なくなること” を惜しんでいたけど、なくなるのは形だけで、感じたあたたかさは残り続ける。それに気づけた瞬間、日々の食事にも少しだけやさしい光が差した気がしました。
もう一つ深く刺さったのが
「自分の居場所があらかじめ用意されてる人なんていないから。いるように見えたとしたら、それはきっとその人が自分の居場所を手に入れた経緯なり何なりを、見てないだけ」という言葉。
居場所って誰かに与えられるものじゃなくて、自分で決めて、歩いて、時にはぶつかって作っていくものなんだと感じました。
碧が、環境の変化に飲み込まれそうになりながらも “自分で選ぶ” という姿勢を崩さないところがすごく好きでした。
わたし自身も、変化の中で不安を抱えることはあるけど、行動や選択次第で未来はちゃんと変わる…そんな小さな勇気をもらいました。
黒江の不器用な優しさも印象的でした。
外から見える雰囲気や噂だけで人を判断してしまいそうになるけれど、その裏にある事情や思いを知った瞬間、まったく違う姿が見えてくる。
“見えているものがすべてじゃない” という当たり前を、あらためて胸にしまいたくりました。
蜜蜂や養蜂の世界の描き方にもワクワクし、知らないことが多くて、それが逆に心地よかったし、ハチミツの食べ方がいちいちおいしそうで、すぐにでも試したくなりました。
読み終えてみると、この物語は
“やさしさの形” と “自分の足で立つこと” を、すごく穏やかに教えてくれる本でした。
今のわたしに必要な言葉がたくさん散らばっていた気がします。
Posted by ブクログ
自分のためにもう少し頑張ってみようと思える本。
知らない土地でも、少しずつ周りと関係を築き、養蜂の楽しさを見つけて、自分の居場所を自分で作る碧は逞しくて憧れる。
それに対し、恋人の安西は、人生そんなに甘くないという現実から目を背ける弱さがあったが、根から悪い人でなくてよかった。彼は自分と対象的な、碧の強さが眩しかったのだと思う。
「蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日はきっと今日より良くなる。」
不思議と力が湧いてくる言葉。碧のように、悲しい時こそ、食べることを大切にしたい。
Posted by ブクログ
最初の始まりは、いじめられてて、明日が来なければ良いと思ってて、家族ともうまく行っていない、かなり暗い雰囲気で、大人になってもそれを引きずってるのかなと思った。でも、そうではなくて、小さいときの蜂蜜をめぐる出来事を糧に、強くしなやかな女性になっていて、大人のエピソードは、蜂蜜のせいかもしれないけど、黄色とかオレンジとか温かい空気があった。碧の考え方がすごく素敵で、色んなことを真剣に考えるのに、軽やかさもあるなぁと思ってときめいた。
ご飯が大事、とか、色んな大切なことが含まれてる素敵なお話。
Posted by ブクログ
「水を縫う」を読んでその雰囲気が好きだったので、寺地さんの2冊目を読みました。
碧はとても真面目で不器用だけど、強さも持っていると感じました。蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなる、自分の力で明日を良くすることはできるということに支えられていたのだと思います。
黒江と出会い、自分を変えた蜂蜜と関わることで新たな居場所を飄々と切り開いていく。
考え方、取り組み方次第で変わるんだということを改めて考えさせられました。
Posted by ブクログ
運とかタイミングじゃなくて自分が行動したから今の結果があるんだよね
自分次第で環境は変えられる。でもなかなか上手くいかないのが現実だけどね、
自分ももっと若かったら新しい場所で新しい生活を始めたいな。
あと蜂蜜食べたくなった
私は安西みたいな男も嫌いだし、安西の父親が1番大嫌い
Posted by ブクログ
恋人の故郷の街に移り住んた女性が、養蜂に魅せられ、見知らぬ場所で自分の居場所を作っていく。
それは決して平坦ではないけれど、自分を助けてくれる人達と、昔蜂蜜をくれた女性との思い出と共に力強く生きていく碧を応援したくなります。
作中に登場する蜂蜜を使った料理がどれも美味しそう!
Posted by ブクログ
人との関係も、記憶も、食べ物も、消えてしまうよう見えてもそれは全部自分の中にちゃんと蓄積されている。どれだけ辛くて苦しくてもちゃんとご飯を食べて今日を生きる。
Posted by ブクログ
世の中、優しさばっかりじゃできてないけど、悪意ばっかりでもないんだよね。
そりゃ、やられっぱなしで膝をつくこともあるけど、大小の差はあれチャンスだってある。
主人公の碧は、そのチラッと見えたチャンスの兆しをつかむのがうまい。
パッと見には地雷の匂いがしても、彼女は的確に機会を掴んでいく。
最初の頃の碧は、仕事は自分の思いとはちぐはぐで上手くいかず、婚約者もどきはグニャグニャしててろくでもなく、なんか色々ぱっとしない30歳。読み始めは、正直、あらやだ、こんなイケてない女の日常を読まされるの?と思った。けど、結婚の挨拶で婚約者の親に会ったところから風向きが変わる。
そこまでは流され感があったけど、そこからは、流されているというより、躱している?感じ。人の悪意やちょっといやらしい好奇心とか、必要以上に相手しない。自分に必要なものはちゃんと見極めるけど、いらないものはスルーできてる、というか。
だから、多少のトラブルがあったとて、そんなことに悩んでどうすんの?とか、何でそいつのこと構うの?みたいなモヤモヤを感じることなくとても軽やかに読めて、それがとても心地よかった。
これからも、彼女の周囲は色々ありそう。
ショッピングモールも結局どうなるかわからないし、例の婚約者の親も同じ街で暮らしてるし、あの親子は今後も揉めるだろうし、養蜂も自然相手のお仕事だし。
だけど碧は変わらずに、いるものといらないものを見極めながら、いい感じに街になじんでいくんじゃないかな。
Posted by ブクログ
ツラかった中学時代の主人公を救った
はちみつを差し出した幼い子を連れた女性
。女性の言葉とはちみつに助けられ、大人になった主人公の生き抜く力にこちらもパワーをもらった。
強い人ではなく、ストレスで胃は痛くなるし、言いたいことをズバズバ言えるわけではないのだけど、一歩踏み出す勇気はしっかり持っていて、その一歩がまわりの人を惹き付けていく。
食べ物の描写も美味しそうで、自分でも蜂蜜を使った料理を作ってみたくなった。
蜂蜜が今までよりも味わい深く感じるような一冊でした。
Posted by ブクログ
途中までは、ああ、綺麗な話なんだな、って思ってた。
トラウマがありながらも、新しい土地でチャレンジができる、碧。
でも、「傷つける」のが怖くて、自分の言葉で関係性が変わるのが怖くて、安西に何も言えなくなっていくところや、最後の安西と交わす言葉、手渡されたデッサンの描写を読んで、きゅきゅきゅーって胸が苦しくなった。
ひとまず、ホットミルクに蜂蜜入れて飲もう◯°
Posted by ブクログ
最初はなんで安西みたいなどうしようもない男と…とは思った。けれども読み進めていくうちに、碧の思い切った行動の理由が分かり腑に落ちた。
碧ってどちらかというと内向きで、考えすぎてしまうところがあるけれど、自分の芯に従って「やる」と決めたことはやるし時に大胆な行動にも出られる。そんな性質が魅力的で眩しかった。
不器用な登場人物が多いと思う。そんな中で地道に足許の土を耕していって着実に居場所を作った碧の生き方は、生というものに光を与えすみずみまで照らしていた。
そんなことを考えさせながらも時折はっとするような景色を見せてくれる。やわらかな、水彩絵の具のような文体で描かれるそれらの景色は、でも色鮮やかで。
はっと目を引くビビッドな色合いではないけれど、ずっと見ていたいと思わせる絵画のようだった。
Posted by ブクログ
たった一人の出会いとその人からのコトバで救われることがある。
ココロが疲れている時ほど、気付けたり染みたりするコトバがある。
流れるように過ごしてしまう忙しい日々。
この本を読んで、今日一日に向き合うこと、自分を大切に過ごすこと。
それが明日の自分につながることを感じた。
自分の居場所は自分で創る。一生懸命に生きてると必ず応援してくれる人や助けてくれる人に出逢い、気づけば居場所ができていた碧。
それは簡単なことでなく必死に、辛い気持ちや不安も全部抱えながらのこと。
だからこそ、逞しく強くなっていく。
そういう人は魅力的だし、そういう人生は豊かだと思った。
読み終えて希望と活力が湧く本だった。
主人公は強い。。
主人公が強い人だなぁと思いつつ、逆境に立ち向かって行くとこがすごいです。
ただ、ハッピーエンドが好きな方には向いていないお話かと思います。。
Posted by ブクログ
食事を共にした記憶は残るから食べたものはなくならないっていう発想は素敵!
過去の苦い経験を思い出す話が出てきてちょっと心にダメージをくらいながら読むことになったのは想定外でしたが主人公はそれすらも受け入れ力にしていた。
Posted by ブクログ
最初は主人公の碧にも恋人の安西にもイライラしてしまい、読み進められるだろうかと思った。
だけど碧が周りとの関わりのなかで逃げずに頑張って毎日を過ごす姿にどんどん引き込まれて読むのが楽しくなった。
みんなダメでどうしようもない部分を抱えて頑張っている。素敵な出会いや気持ちのやり取りに暖かい気持ちになる。
蜂蜜一時期ハマっていて最近ご無沙汰。
久しぶりに蜂蜜買ってこようかな。
すぐに本に感化される私だった。