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Posted by ブクログ
文庫本で読んだ。解説が宮下奈都さんなのもときめいた。
人生のどん底にいた、居場所がなかった主人公が、ある女性がわけてくれた蜂蜜によって、人生を動かしていくお話。
作中の泣いた赤鬼の挿話が、マッチしていてまた泣ける。じぶんを犠牲にしてまで誰かのことを想う人。しなやかにじぶんの居場所をひろげていく人。それぞれが何かしらのつらい背景を持ちながらも、今,ここを生きていく。
『たとえ明日世界が滅ぶとも、それでも私はりんごの木をうえる』というルターのことばを彷彿とさせる物語であった。
Posted by ブクログ
(2021.11)
「皆に嫌われているんです。」という少女?に対して
「違うね。これからもずーーーと嫌われたまま生きていきそう。」
と答える。
「あなた自身が、あなたを大事にしないから。あなたがあなたを嫌っているから。だから周りの人はみんな、ますますあなたを大事にしないし、嫌いになる。こいつはそういうふうに扱ってもいいんだって思われてしまう。」
と、最初からグッと掴まれた。
始めましての人に、こんなに直球に伝える。でもちゃんとはちみつという優しさを「蜂蜜をもう一匙足せば、たぶんあなたの明日は今日より良くなるから。」という呪文も添えて。
この先、どうなるかワクワク。
中盤
食べたらなくなるのに手をかけてご飯を作る意味が分からない、高校生の朝花に
「なくならないよ。記憶が残るなら、それはごはんも残っているってことだよ。」
痺れたーーー。
後半、黄色が~水色が~という書き方に、茶目っ気があって可愛いな、と思う。
何だか分からないけれど後半は泣けてきた。1人だったら遠慮なく泣いていただろう。青鬼の黒江さん、碧の根っこの張りっぷり、朝花の賢さも、文章の間にある優しさも、いろいろな蜂蜜を味わうように堪能できた。
あれ?
最初から最後まで心掴まされている!
そして気づいたら、蜂蜜入れて紅茶飲んでる!「リバース」からのこの本なので、蜂蜜漬けになっている今日この頃。本にもどっぷり漬かって漬かりっぱなしになりたい。
Posted by ブクログ
気になっていた寺地はるなさんの小説。
もし明日人生が終わるとしたらー
喜ぶと思う、と感じていた碧が居場所を見つける、のではなく居場所を自らつくっていく様が優しくあたたかく描かれていた。
食べること、生きていくことって大事だなあ。蜜蜂がこんなに美しい生き物だと思わなかった。蜜蜂も人間も生きていくために犠牲を伴って、それでも生きていく。場所が変わっても環境が変わっても、生きていくしかない。
「自分の居場所があらかじめ用意されてる人なんていないから。いるように見えたとしたら、それはきっとその人が自分の居場所を手に入れた経緯なり何なりを、見てないだけ」
これから生きていく中で大変なこともたくさんあると思うけど、どんなに辛くても今日はなにを作ろうかな、っておいしいご飯を食べたいなあ。それもしんどかったら「明日が今日よりも良くなりますように」っておまじないをかけて蜂蜜の入った紅茶を飲みたいなあ、と思わせてくれるような、背中を押さずに、そばに寄り添ってくれるようなお話だった。
主人公は強い。。
主人公が強い人だなぁと思いつつ、逆境に立ち向かって行くとこがすごいです。
ただ、ハッピーエンドが好きな方には向いていないお話かと思います。。