寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
月夜、静かに歩き続ける。モヤヤンと距離を置き、自分を見失わないようにするためー。
「いつか月夜」というタイトルと、群青色の表紙を目にしたときから、月明かりのもと、夜風を感じ、目的なく散歩する静かな時が連想された。夜寝る前に、一章ずつ読み進めると、毎晩、自分も一緒に散歩しているような気持ちになった。
モヤヤンの存在は、自分の中にも確実にあって、これまでも何度も遭遇したことがある。ぐっと重くどんよりとした風向きが、突然自分の頭上にだけ現れ、体ごと飲み込まれる。そこに引きずられるのも、抜け出すのも、結局は自分次第ではあるけど、この物語のように、決して近すぎず、遠すぎない距離感の間柄だからこそ、何者で -
Posted by ブクログ
もうすでに2回読みました…
この短期間でも、1回目と2回目で感じることが少し違っていて、なんだか不思議。
それだけ、読む側の状態によってさまざまな受け取り方ができる物語なんだと思う。
寺地はるなさんが描く女性は、いつもどこか物事から一歩引いて、俯瞰しているところがある気がする。
この物語の主人公・鳴海も、どんな出来事にも冷静に向き合える女性。だからこそ、誰もが手を焼いていた少年・栄輝の子守が務まったんだと思う。
けれど、そんな彼女が栄輝の母・彌栄子に対してだけは見せる、普段とは違う一面――。その心の動きの描き方が、またすごく良くて…!
そして、この物語の核は、タイトルと装丁に込められ -
Posted by ブクログ
傷ついた人たちの人生を描いているのに、全体としてやさしい光がある本だった。
人と人との関係は立場ではなく、その人自身の魅力や相性によって作られていく。それを体感させてくれた。
鳴海と彌栄子は、雇われ人と雇い主という関係ではあるけれど、それだけでは言い表せない特別なつながりがあったように感じた。お互いが、立場ではなく相手の人となりそのものに惹かれているところが印象的だった。
私はもともと、人との関わりの中で
立場や役割よりも、その人自身とのつながりを大切にしたいと思うタイプなのだと思う。
だからこそ、現実の中で「ここから先は踏み込まない」という線引きを感じると、少し寂しくなることがある。
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Posted by ブクログ
北澤平祐さんのイラストの表紙がとてもかわいい。
ですが、内容はなかなかヘビーでした。
主人公の羽猫山吹は、頭の中で飼っている架空の犬を撫でることで辛い現実をやり過ごしています。
羽猫家には山吹の姉の紅曰く「まともな大人がひとりもいない」状況です。
祖父は色々な事業に手を出しては失敗し、父親は家業の工務店の仕事を放り出してフラフラしているし、祖母は骨董品屋を経営し家事はほとんどしない(でも、家族の中では一番マシ)、母親は次男の死を受け入れられず心を病み家族への関心を失っています。
子どもって、本当に不自由で無力な存在だなぁと思います。生活の全てを親に依存しているので親に従わざるを得ない…。
今 -
Posted by ブクログ
読みやすくて、すぐに読み終わりました。
主人公の万智子と自分の性格が重なることが多く、共感もあり、自分も魅力的な登場人物から学ぶことが多かったです。
万智子は正しい、正しくないという自分のものさしで他人を判断して、許す許さないと他人の問題に首を突っ込んでしまいがちな点も、自分に突き刺さりました。
人と関係を持つと言うことは、良い面も悪い面も受けとめ、自分がその相手にしてあげたい行動や、かけたい言葉をかけていくことなのかなと考えました。
私も了さんたちのように、年齢も職業も異なって自分のよくない点を指摘してくれるような友達がほしいし、私も自分のこと好きなまま、そんな自分のこと好きになってくれる人