寺地はるなのレビュー一覧
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真ん中あたりからググッと引き込む展開はさすが。
今回一番ハッとしたフレーズは、
「『ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん』
ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」
これは寺地さんの作品を読むようになって、私がたどり着いた境地のようなもの。
私自身は姉妹で比べられたという気はしていないけれど、双子の姉たちは常に感じていたかもしれず、特に自己肯定感が低いと最近になって私に話してくれた下の姉に読んでもらいたいと思います。 -
Posted by ブクログ
どんな人にも、ぱっと見ではわからない一面があり、
深みがあり、感情があり、ドラマがある。
その一つ一つを丁寧に掬い上げて、
人のあたたかさを、手ずから渡すように
ぬくもりや、やわらかさを
そっと崩れないように渡された。
そんな読後感。
どれも、あぁそんな感情あるな、と
胸の奥で共鳴したり、あまりの教官に
涙ぐんでしまったり。
どのお話もとてもよかった。
過ぎていく日々が、とても嬉しく
ありがたく愛しくなるような短編集。
>>備忘録として
P263
生きているあいだに誰かをじゅうぶん大事にしたと、だから別れは辛くないと、そんなふうに言える人はすくないと思う。そこまでの覚悟を持って誰かに接している人なんて、めったにいないんじゃないか。
P264
「生きてる自分を大事にするのがいちばんの供養やと思ってる」
たとえば、ばあちゃんから教えてもらったやり方で料理をすること。それを食べて今日も明日も生きていくということ。ばあちゃんが生きていた頃と同じように、テーブルに花を飾ること。習慣だから、花を飾るたびにわざわざ思い出したりはしない。
ばあちゃんはもうじいちゃんの一部になっている。ばあちゃんだけじゃなくて、今までの人生でかかわった人ぜんぶが、自分の一部だ。好きな歌をうたっていた歌手、かっこよかった俳優、仕事を教えてくれた上司、通りすがりの人がしてくれた親切。そういうもんぜんぶ、自分の中に取り込んで生きとる、とじいちゃんは言う。
P265
「死んだ人間は、天国にもどこにも行かん。死んだら小さい、たくさんのかけらになって散らばって、たくさんの人間に吸収される。生きてる人間の一部になる。とどまり続ける」
「じゃあその生きてる人間が死んだら?」
「また、この世に残ったやつの一部になる」
そうやって続いていくんやで。じいちゃんの声がやけにやさしくて、うっかり泣いてしまいそうになる。
P316
朝は明るく、夜は暗い。それはただ地球がまわっているだけのことだ。明るいことに良い意味も、暗いことに悪い意味も、含まれてはいない。ただの朝と夜だ。それでも自分たちはくりかえす「ただの朝と夜」を幾度も越えていくしかないのだろうと思いながら、カゴに顔を伏せた母の、以前よりずいぶん白くなった髪の生え際を見ていた。 -
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途中漫画とPMSを挟んだから読むのに時間がかかってしまった。もう一度集中して読まないと感想が纏まらない。
ハセの声、津田健次郎さんで再生された。
寺地はるなさんの本は初めて読んだが、描写が素晴らしいと思った。キャラクターの気持ちや情景をすんなり想像することが出来た。
最終章の「こいつは俺の大嫌いな職業で、だから、俺にはできないことができる」という言葉が印象に残った。
嫌いな人とも補い合って生きている。それぞれに名前と人生があり、みんな繋がっている と改めて気付かせてくれる。自分がもし小説を書くとしたら、こんな作品を書けたら良いなと思った。
時間がある時に一気読みで再読したい。
追記
民恵という名前、親がどんな意味を込めて名付けたのかまで想像してしまった。キャラクターの名前にまでこだわりを感じる。寺地はるなさん、すごい。 -
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あかつきマーケットを中心にした町で暮らす人々を描く群像劇。
3章仕立てで、第1章はプロローグを含めて9つの短編、第2章は5つの短編で構成され、第3章のみ単独でエンディングとなっている。
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閉店決定的のマーケットや、起死回生策として作られたゆるキャラ「あかつきん」のイマイチのイメージによくマッチした、垢抜けない町の垢抜けない住民たち。
その1人ひとりに温かな光を当て丹念に描いた、いかにも寺地はるなさんらしい作品だったと思います。
また、各話の主人公がリレー形式でつながっていくのもよかったけれど、章題がシャレていて感心しました。
住民たちの悩みや困難を描く第1章。
闇の中にいるようでありながら、各話とも好転の兆しを仄かに感じることから、それは暁闇であることがわかります。
次に「昼の月」のように頼りなげではあっても、希望の光を人々がきちんと認識したさまを描く第2章。
そして、町の中心だったマーケットが閉店となりお得意客も働く人々もより所をなくしたかに見える第3章。
それでも、悩みを抱えていた人々はそれぞれに少し強くなり、次のステップを踏み出していきます。その姿を、表題にもなったタイトルの『夜が暗いとはかぎらない』が見事に表していると思いました。
参りました。 -
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「いつも心に棺桶を」
「松竹梅で言えば蓼」
風変わりなフレーズが要所で登場する、一風変わった作品というのが第1印象でした。
登場人物もしかり。浮き世離れした人々が次々と出てきます。
テンポといい醸し出される空気といい、川上弘美ワールドかと見紛うよう。これが寺地はるなさんのデビュー作とは驚きでした。
それにしても登場人物が皆、キャラが立っていていい。特に菫さんが強烈です。
菫さんは妙のいびつと言ってもいい不器用さを叱咤するのですが、菫さん自身もなかなかに不器用です。なのに偉そうなのです。
そしてそこがまた魅力的なのでした。 ( いちばん気に入ったのは妙の父親ですが。)
でも私たちにとって生きる指針になりそうなフレーズ (「余白は大切」「寂しいは人間の標準仕様」「強いは弱いの対極じゃなく、弱さから目をそらさないのが強いってこと」等 ) が多く出てきていることや、主人公が少しずつ自分の殻を破っていくさまが描かれている ( 妙の場合はかなりヘンだが ) ことなどから、やはり寺地ワールドなのだとニヤついてしまいました。
寺地はるなさん、最初からいい作家さんだったのですね。 -
購入済み
大好きな作家さんです
寺地はるなさんの小説が好きでこちらも購入しました。
全て繋がった物語ですが、短編集のような形になっておりサクサク読み進めることが出来ました。
たくさんの人の目線で書かれており、それぞれの人生や価値観を考えては泣き、を繰り返していたのでとても読み応えを感じました。
寺地はるなさんの暖かいお話が大好きです。 -
Posted by ブクログ
世の中にあるたいていのモノは、全て誰かの地味な作業によって生み出されている。
必要のない仕事は、この世の中に存在しない。必要出なかった、もうとっくに無くなっている。
情熱とは、仕事を続けていく上で徐々に喜びとか、面白さがわかってきて、その上で段々育っていく
就きたかった職業でなくても、真摯に、一途に、日々取り組んでいるとしたら、それはとても美しい生き方。
共感なんてもんは、何の役に立たない。ただ誰にでもいろいろあるということを理解するだけでいい。それが他人を尊重するということ。
うまくいかないことがあっても俺が悪いとは思わない。俺のやり方が悪かったと考え他のやり方を試してみる。
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Posted by ブクログ
このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
さらに、一編ずつが短いのもポイント。
ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰️