寺地はるなのレビュー一覧
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九州のド田舎で暮らす人たちと、そこを去った人たちが織りなす、さまざまな涙の物語。
古い価値観と新しい価値観。みんなその狭間で戸惑ったり迷ったり、あるいは吹っ切れたり切り拓いたりしている。どの時代にも価値観の移り変わりはあっただろうが、最近はそのスピードが速くなっている気がする。
男は泣くな、女は黙ってろ…いまだにそんなこと本気で言う人がいるんですか?と笑いたくなるが、山あいにある田舎が舞台の本作ではよく登場する。
そんな時代遅れの人の考えには全く共感できないと感じる場面がたくさんあった。あったはずなのに、読んでいるうちに彼らと同じ感情に陥って、一緒に涙したくなるから寺地さんの作品は不思議だ -
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Posted by ブクログ
手芸好きの男の子、清澄とその家族の物語。
世間も家族も『らしさ』を押し付けてくる。それに合わせて生きようとすると窮屈だけど、もっと自分の好きを大切に生きたらいいじゃないか。というメッセージが清澄の家族それぞれの短編で語られる。
生活能力のない父が、水青と清澄のために考えた、流れる水であって欲しいという願い。それを受けて姉のウェディングドレスに刺繍する清澄に感度した。
また、おばあちゃんが時代に負けてきた過去がありながらも、今からでも好きな事に挑戦しようとする姿が良かった。
一冊前の『皇后の碧』とこの本ともに、愛情とは、慈しむとは、例え愛情だとしても一方的にこちらの思いを押し付けるのではなく、 -
Posted by ブクログ
わかって欲しかったいつかの感情や、見せたくなかった傷のようなものをそっと撫でてもらえたような、叫びたかったいつかの怒りや悲しみを、吐き出したモノを全部掬い上げてくれたような、そんな読後感。
自分がいつか誰かや何かにモヤモヤしていた事を、優しくも鋭く言語化してくれている。
正しさや正義は人の数ほどあって、変わりようのない事実の咀嚼の仕方次第なんだよな。
悪意の無い優しさこそ凶器性を持っていたりするし、誰かにとっての普通や当たり前が、誰かにとっての苦しみや死にたみになり得る。
世界はきみが思うより、信用できないかもしれないし、やさしかったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
寺地さんのエッセイを初めて読んだ。好きな作家さんに出会うと、この人はどういう人生を歩んできたのか、どんな経験を経れば、この心情を表現できるのだろうなどとバックボーンが知りたくなってしまうのだけど、このエッセイを読んで、寺地さんの小説を形作っている根っこの部分が少し覗けたように思う。
大人になるまでに理不尽に怒られる経験が多かったり、上手くできないことが多いと、子供ながらにも、怒られたくない、笑われたくない。どうすれば回避できるか、などと、脳内ぐるぐるエンドレス一人会議が開催されがちだ。大人になってもその癖は抜けず、良くも悪くも他人の心を常に伺い、傷付かない道を探すことで、行動することにも臆病 -
Posted by ブクログ
私の存在が母親の人生の足枷になっていると思ってた。だから早く生きるのをやめたい。
綺麗じゃないと、痩せていないと愛されないと思ってる。だからそうではない私は無価値だ。
人の気持ちなんて変わるものだと思ってる。だから誰も信用しない。期待したくない。
それは両親の存在が、言葉が、私に刷り込ませたものだと思ってる。でもそうやって人のせいにしても仕方ない、考え方次第だよって、自分に修正をかけようとしてもどうしても拭いきれない。
世界は私が思うより、、、
私自身がどうしたいか
もっと自由に
心を楽に生きてみようと…
ちょっとだけ思わせてくれた物語でした。