寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
寺地さんの小説が好きだ。でも、エッセイも大好きになった。とても面白い。寺地さんとは同じ年生まれなので忍者ハットリくんやスチュワーデス物語など楽しんできたものが同じでものすごく嬉しい。小説でもここでも、本はたくさん読んでるからえらいとかすごいとかではないと書かれている。同じように映像や音声だとついていけないので(耳だと覚えられない事も多い)自分のペースで楽しめる本が合っていて好きで楽しい。
そして同じように、年を取ることが悪い事だとは全く思わない。当たり前に誰でも年取るからね。
「教官、共感しないでください」「夢の退職願」を読んで、すごくすてきな人だと感じた。
今日、久しぶりに会った孫にこの間選 -
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「わたしはなんにでもなれる」は前進させるコトバであり、心を引っ張る呪いのコトバでもあった。
寺地はるなさんの紡ぐ物語がわたしはやっぱり好きだなぁと、読み終えてすぐにそう思う。
自分も含めて上手くスマートに生きたいと思いながら、もがいている不器用な登場人物達が、劇的に何かが変わることがなく少しずつ勇気を出して前に進んでいる姿を感じることが出来るから。
この作品は、「発達障害と才能がセットに考えられているのがおかしい」ことにも触れられている。
何かが出来ないから、何かの才能はあるハズだ。物語風にしたらこれは定石であるが、現実的には違う。いや、そうであってはならない。
自分はこの世で自分だけ。
自 -
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自由に生きるとか、多様性とか、「個」を重んじる時代になったからこそ、それは本当に幸せなことなのか?と考える機会を与えてもらったような気がした。
不自由よりも、もちろん自由に生きたいけれど、自由とか多様性という言葉だけが一人歩きして、それすらも価値観を押し付けられている感じがしてしまうことがあった。
言葉にするほどではないけれど、感じていたことを言語化してもらい、背中を押してもらえた気がする。
世の中の空気に流されず、自分が感じたことを本当の意味で大事にできたらいいな。
印象に残ったセリフ
誰もが自分らしく生きたいわけじゃないんですよ。
〜進化ってよりよいほうに進むとは限らないらしくて。わ -
Posted by ブクログ
ミステリとして捉えるなら、恋人が歩道橋から転落して意識不明になった謎を探るお話
でも、寺地はるなさんだけあって、人の関係性についての物語の側面が強い
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カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
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カフェの店長を務める29歳の原田清瀬
突然かかってきた電話は病院からで、恋人 -
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高校生の冬真と、社会人の紗里、2人の視点が入れ替わりながら、それぞれの成長と愛を描く物語。
『子どもに大人のかわりをやらせちゃいけないって』
『親としての自己満足にまきこんだ気がしてます。あの子の、子どもでいられる時間を縮めた。』
「子どものために」「子どもに生きる力をつけさせる」と言いながら、親のやるべきことを押し付けるのはまさに親の自己満足でしかない。子どもでいられる時間を奪う行為で、気をつけなければやりがちな行為ではないだろうか。親として立ち止まって考えなければならない。
読後感がとても良い作品。心の中が暖かくなる。そして自分も親として同じような状況がくることを切なくも思う。大好き -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじを読んで気になっていた作品だが、朝井リョウさんの『正欲』を読んだ時と近しい心境になった。
身近な人であっても、全てをさらけ出すことは難しい。そうわかっているつもりでも、自分が清瀬の立場なら、絶対同じような思い違いをしてしまう自信がある。
今でこそ様々な障害の存在が周知されてきたが、若者の部類に入るいっちゃんが適切なケアや指導を受けられずに大人になってしまったことがショックだった。母親が障害の可能性を考えておらず、本人の能力や努力不足と認識されてきたことがしんどい。
一番この作品を象徴していると思ったのは、篠ちゃんの「ほんとうの自分とか、そんな確固たるもん、誰も持ってないもん。」とい -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界への信頼が薄くなる、という表現はとても分かる。私の感じ方だけれども、些細な出来事でも、そこに悪意がなくても、少しずつ自分の心が閉ざされて、世界と距離ができる感覚がある。
本作には、繊細で、とても優しく、人を思い、だからこそ自分を犠牲にしたり、心の中に閉じ込めてしまう人が多く登場している。そして、その周りの世界にも悪意はない。ないのだけれど、それでもやはり分かり合えない部分はある。
自分がされて嬉しいことを相手にもしよう、相手のためにしている、という行為は優しさでありながら、優しさの押し付けであり、自己満足になってしまう。
他人と関わるというのはとても難しく、一方で自分自身と向き合うものに