寺地はるなのレビュー一覧

  • 水を縫う

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    女らしさ、男らしさの押しつけにモヤモヤしたり、抗いながら人として、親として、成長していく家族。

    特に刺繍が好きでお姉さんのウェディングドレスを作ろうとする弟の清澄は、いわゆる男らしくはないかもしれないけど、「普通はこう」というジェンダー的な抑圧を感じながらも、その馬鹿馬鹿しさを見抜いて同調しないことを選択できる強い子だと思った。

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    2026年01月01日
  • ガラスの海を渡る舟

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    寺地はるなさん作品2冊目。本作もみずみずしくも深くじんわり心に残る文章が多く、メモが止まらなかった。
    なかでも道のまっすぐで誰にとっても分かりやすい言葉に、ハッとする場面がたくさんあった。

    ガラス工房を営む兄妹。兄の道はコミュニケーションが苦手で、協調することができない。妹の羽衣子は、何事もそつなくこなせるが個性を見つけられずにいる。正反対のふたりの物語。


    「なんでも許されると思ってんのか、それは世間への甘えとちゃうんか、みんなお前よりがんばってんねんぞ」
    苦手なことがたくさんある道に対する、この言葉がずっと引っかかっていた。

    どうしてこの人は、道がどれほど頑張っているのか分かるんだろ

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    2026年01月01日
  • ナモナキ生活はつづく

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    あんなすごい作品書く人はどんな人なのか、私はそういうことがとても知りたい類の人間なので、エッセイが出ると待ってましたとばかりに読む。
    初めは寺地はるなさんも普通の主婦であられたのか…と読んでいたら、やはり、ん?!という記述にぶち当たる。(当然)ただものではなかった。
    言葉えらびの鋭さに打ちのめされる一方、気さくな語りかけに安心したりする。
    一日中、起きている時はいつも小説のことを考えながら生活していて、その中で家事をこなすということの失敗談もあるが、そこから生まれる発想の転換、哲学とも言える考え方の方向がわかってとても面白かった。
    しかも、共感できる価値観が多かったのも、自分にしてみれば意外だ

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    2025年12月31日
  • ナモナキ生活はつづく

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    えぐい。すごい本だった。。読み終わって思わず天井を見上げ唸るくらい良かった。読み応えありすぎる。ただの家事エンタメエッセイではない。
    序盤は「なんだこのファンキー主婦は」と笑いながら四コマ漫画を読むくらいのテンションで呼んでいたのに後半の深すぎる貫禄のあるようなエッセイが刺さりすぎてページをめくる手が止まらなかった。「この人おもろいなー」からのギャップがすごい。とてもファンになってしまった。絶対ほかの小説を読もう。
    読むか悩んでる人は最初の方のエッセイに加えて、後半の方の『モモと私』を読んでほしい。
    なんでもないような日々でも学ぶことがあり笑える日に変えることができると思えました。

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    2025年12月27日
  • 水を縫う

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    ネタバレ

    いい小説だった!
    最後、全についての気持ちが書かれるのかと思ったら全は黒田さんや清澄の名前の由来についての思い出しについての登場で、
    ただ、ドレスを仕上げる本気の全と子供の名前についての本気の全、自社製品を任せられている本気の全が垣間見れて全って恨めないやつなんだって心が暖かくなりました。
    いろんなものにそれぞれが振り回されながら自分を見出して自分を大切に生きていく姿、とても良かったです。

    何より結局全は全のまま特に大成功!みたいな終わり方じゃないのがどこにでもある幸せのあり方、生活が感じられて良かったです。

    家族だからこそ分かり合えてないことも多いし、私も家族だからわかってよ、と思いなが

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    2025年12月27日
  • 雨夜の星たち

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    実際に三葉みたいな子がいたら『なんか面倒くさいなぁ』と思ってしまうかもしれない。友達にはなれないかもしれない。でも作品の中の三葉に共感出来たり出来なかったりしながらも気になってサクサク読めてしまい一気読み。
    物語が面白いだけではなく、気づかされることがたくさんあって最終的には三葉がとても愛おしく感じられた。彼女は自分自身ができること、出来ないことをよく知っていてそれを受け入れている。ある意味とても強い女性だと思った。
    私自身の経験から思うに、常識や暗黙の了解というのは自分の周りの環境によって都合よく変化する。それを私たちは気づいていないことが多く、自分は常識やマナーを守って行動しているような気

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    2025年12月26日
  • やわらかい砂のうえ

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    寺地はるなさんの『やわらかい砂のうえ』を読み終えた。

    ページを閉じた瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなるような、そんな読後感に包まれた。



    「やわらかい砂のうえ」が意味するもの
    タイトルの「やわらかい砂のうえ」。
    これは主人公・万智子の言葉で、「心もとない」ことの例えだ。

    足元が定まらない、一歩踏み出すたびに沈み込んでしまいそうな不安定さ。私たちが生きる日常は、まさにそんな「やわらかい砂のうえ」なのかもしれない。

    確固たる正解などどこにもなく、常に揺らぎながら歩いていく。そんな不確かさの中で、どうやって自分らしく生きていけばいいのか。この作品は、そんな根源的な問いに真摯に向き合っている

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    2025年12月25日
  • 雫

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    良かった。恋愛とは距離を置いた人間同士の感情が細やかに伝わってくる。世知辛い世の中での葛藤や成長の過程、人生について考えさせられる。華々しさや驚きはないが、さまざまなキーワードを繋いで遡っていく構成に徐々に引き込まれて行く。

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    2025年12月22日
  • こまどりたちが歌うなら

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    寺地はるなさんの『こまどりたちが歌うなら』を読み終えた。

    正直に言う。
    この本を読むのは、とても辛かった。

    大好きな作家さんの作品なのに、はじめて「早く読み終えてしまいたい」とさえ思ってしまった。それほどまでに、この物語は容赦なく私の傷口を抉ってきた。



    表紙に騙されてはいけない
    可愛らしい表紙。
    どこか温かみのあるタイトル。
    手に取ったときは、きっと心温まる物語なのだろうと思っていた。

    だが、ページをめくった瞬間から、その予想は裏切られた。

    この作品は、容赦なくリアルな社会の現実を突きつけてくる。優しさで包まれた物語ではなく、私たちが目を背けたい「職場の闇」を、まっすぐに照らし出

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    2025年12月16日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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    audible⭐︎
    物語が進むにつれて入り込んでいった。
    中学時代、思春期の葛藤がよく書かれてあった。
    他者を羨む感情、素直になれなかった後悔。
    自分の思春期を思い出してしまった。
    もう一度戻れるなら…と。

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    2025年12月15日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    寺地はるなさんの『大人は泣かないと思っていた』を読み終えて、しばらくページを閉じられなかった。

    九州の山々に囲まれた田舎を舞台に描かれる、何気ない日常の中に潜む人生の本質。

    この作品は、私たちが普段目を逸らしがちな問いを、静かに、しかし確実に突きつけてくる。



    田舎という舞台が映し出すもの
    物語の舞台は、九州の山々に囲まれた小さな町。

    都会の喧騒からは遠く離れた、時間がゆっくりと流れる場所だ。

    しかし、その穏やかな風景の下には、目に見えない「空気」が重く漂っている。

    古い価値観、世間体、「みんなと同じ」であることを求める圧力。
    田舎特有の閉塞感が、登場人物たちの人生に影を落として

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    2025年12月14日
  • わたしの良い子

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    思いがけずかなり良かった。
    自分の子じゃなくても、子どもは皆可愛い。けれど、生活の中でじわじわと溜まるやり場のない気持ちが伝わってきた。
    妹に対して責任感がないとか色々思ってしまったけれど、それは「誰も救えない正しさ」と書いてあって納得させられた。

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    2025年12月12日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    ネタバレ

    全然似てないんだけど、親近感がある家族。こんなふうに思うことあったなとか、あの時のあの気持ちは、これと同じかもと思ったり。
    みんなが少しずつ空想から抜け出して、遊園地に行ったところはなんか良かったな。

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    2025年12月11日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    地味かもしれないけど力強い、花ではなく根っこを連想する物語でした。
    素直な感情が溢れ出すその半歩手前のラストも素敵。

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    2025年12月09日
  • 川のほとりに立つ者は

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    ネタバレ

    男女のすれ違いの奥にある真実を丁寧に描く物語。

    清瀬は松木のことを知ろうとしすぎてしまったが、松木は家族と不仲、いっちゃんは字の練習をしてることを誰にも知られたくなかったし、清瀬も相手に対してそういう背景があるかもしれないと、配慮する必要があった。

    清瀬の考え方について、犯罪者のニュースを見てこんなことする人がいるなんて有り得ないだとか、こんな字の汚い人考えられないと言ってしまうのは、「自分はそうではないとして、切り離そうと考えている」という言葉にハッとした。

    手を差し伸べて助けようとしても、真っ直ぐに喜んでくれる人だけがいるわけじゃない。天音の「助けられたら感謝しなきゃいけないんですか

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    2026年03月16日
  • ガラスの海を渡る舟

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    ネタバレ

    私自身も羽衣子と同じように、道は特別だから、障害があるけど輝くものを持ってる、と思ってしまっていた。ハッとさせられた。

    あっという間に読み終えたし、没頭しすぎて現実に戻るのが大変なくらいだった笑

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    2025年12月07日
  • ほたるいしマジカルランド

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    やばい…嗚咽が止まらない…

    ドストレートに告白されるのが結局は一番伝わるみたいな感じ。ものすごくシンプルで素直な文章。でもやっぱそれが一番強い。殊更、働く人という日常の人間ドラマを描くのには最高やと思う。

    とても良い職場。

    皆それぞれが不器用なだけなんよなー
    なるほどそことそこが繋がるんかー
    タイトルのほたるいしって
    働く人々すべての総称やったんかー
    とか色々語れるところはありますが、やっぱりね、働いてる間だけでも素直になりたいもんですね。

    私は特に山田さんの章がお気に入り。

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    2025年12月06日
  • 月のぶどう

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    はじめに
    寺地はるなさんの小説『月のぶどう』を読み終えた。

    ページを閉じた瞬間、胸の奥に小さな灯りがともるような温かさが広がった。

    これは、夢を追いかけることの美しさだけでなく、夢を持てなかった人、夢に破れた人、そして「何者かになりたい」と願いながら何者にもなれなかったすべての人へ向けられた、優しくも力強いエールの物語だ。



    物語の舞台と登場人物
    物語の中心にいるのは、双子の姉弟──姉の光実と弟の歩。

    二人が生まれ育ったのは、家族経営の『天瀬ワイナリー』。
    代表を務める母、経理を担当する父。ワイナリーは二人にとって生活の場であると同時に、それぞれの人生を形づくる大切な舞台でもあった。

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    2025年12月03日
  • リボンちゃん

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    髪飾りに大きなリボンをつける主人公、リボンちゃんは32歳。リボンをつけることに確固たる意志があり、からかわれてもブレない。たくましい主人公だ。

    登場人物それぞれがかなり個性的で、出てくる小道具も個性的。カポエイラ・モタンカ人形・絶滅動物・コケが一冊で出てくる作品なんて他にないだろう。人と違うことについて、自信を持たせてくれる作品だった。

    そんな個性的な登場人物たちの中で、異彩を放つのが「普通」な中学生、波瑠。私は彼女の存在がとても気になった。個性的な妹のお姉ちゃんとしての苦悩を抱えている。自分のことを普通で地味で取り柄がないと思っている波瑠に、個性を貫くリボンちゃんの声は届かない。リボンち

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    2025年12月03日
  • カレーの時間

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    祖父と孫の生活を通じて、愛情をうまく表現出来ない切なさのような感情が湧いてきた。ノスタルジックな気持ちになる小説。

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    2025年12月02日