あらすじ
ふたつの時代をカレーがつなぐ
心にしみる“からうま”な物語
偏屈な祖父と二人で暮らすことになってしまった孫息子・桐矢。
昭和の高度成長期にレトルトカレーの営業マンとして働き、カレーを囲む時間だけは打ち解ける祖父が、半世紀の間、抱えてきた秘密とは――。
生きることのままならなさと愛おしさを描く、スパイシーな味わいの傑作小説。
【感動の声、続々!】
「ひとの持つどうしようもなさ、そこから生まれる愛おしさ。味わい深く余韻ある作品!」
――町田そのこさん
「あの時代を生きてきた祖父と、この時代を生きている僕。どうしようもない噛み合わなさと、どう向き合うか。
いま必要なテーマをじっくり煮込んだ、これぞテラチ風味の極うま長篇」
――瀧井朝世さん
「時を追って進む回想は、それまでただの頑固ジジイだった義景の人物像を、立体的に生々しく浮き上がらせてみせる。
なぜ自分の考えを押しつけるのか、なぜカレーを食べている時だけは幸せそうなのか、なぜ強いことを無条件に善だと考えるのか。
理不尽にも見えた義景の言動が、一人の人間の生きた証として胸に迫ってくるのだ」
――北大路公子さん(解説より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
言葉がリズムよく直接的で思わず
「ふふっ」と微笑みながら
読み進めていましたが後半になるほどに
目頭が熱くなり涙がこぼれていきました。
祖父の義景はすぐ怒鳴るところ
仕事ばかりで家庭を顧みなかったこと
自分の考えを押しつけ
彼らを傷つけていたことから
桐矢も 三人の娘や 他の孫たちも
頑固な祖父を敬遠されていた。
祖父は子供の頃
いろいろな家に預けられ
大人にかわいがられたことがなかった。
それゆえに 子どもをかわいがる方法が
自分の家族を大切にする方法が
祖父にはわからなかった。
心の中では家族をとても大切に思っていたのに
その気持ちを伝える術を知らなかった。
そして祖父は男らしくあろうとして
自分自身を不自由にしていたように感じた。
そして頑固ではあるが 懸命に生き 傷つき
彼なりのやり方で愛した
不器用で弱い人間だった。
最後には娘三人と孫たちに
祖父の本当の愛情を知ってもらえて
本当に良かった。
この物語は「分かり合う」というよりも
わからない他人の人生をいかに自分のそれと
同じように尊重し愛するか。
時代によって変わりゆく「正しさ」を
どう信じていけばいいのかを
問いかけているように思えます。
最後に桐矢の
「あたえられたものを最大限生かして
ささやかな幸福を感じながらいきていく。
昔も今も それがぼくの一番の願いだ」
という言葉から
祖父の大好きなカレーを
一緒に食べながら会話をし
共に暮らした日々は桐矢を成長させた
なにものにも変えがたい
かけがえのない日々になったのだと
感じられました。
微笑ましくて
温かい時間をありがとうございます。
Posted by ブクログ
男らしさにこだわるじいちゃんと、現代っ子の僕の話。寺地はるなにしてはスピード感と元気の良い作品で、そしてものすごく良かった。
第1話 隣の席の小西はどんどん侵略してくる。僕はは広げたくなんかない。自分の世界を快適に保つことにエネルギーを注ぎたい。
一昨年の夏に戦争が終わった。でも玉音放送はよく聞こえなかったし、何言ってるかさっぱりだった。橋の下で寝起きしてる男に、ご飯を恵んでもらった。母が自殺してからいろんな家をたらい回しにされている。飯のお礼にアケビを持ってくるといったら、いらないから、お前が大人になった時、腹を空かせている奴に食わしてやってくれと言われた。
僕桐矢とあずきの母は三女で俊子という。僕の誕生日祝いで従姉妹たちも集まった。そこにおじいちゃんがやってきた。おじいちゃんはレトルトカレーを10個ほど持ってきた。おじいちゃんは桐矢となら住んでもいいと言い出す。
僕は小中学生向けの教室を運営している。なんでも係みたいな役職だ。祖父と暮らす決心がつかないまま二ヶ月が過ぎた。
列車に乗っていたら毛玉が転がってきた。女は毛玉と編み棒をしまうと、みかんをくれた。
祖父と暮らすか決める前に、祖父の暮らしを覗き見にいく。スーパーでは年寄り仕草で大変に恥ずかしい醜態を晒している。祖父に存在を気づかれた。祖父の裏に住んでいる葉月さんが、気にして見にくる。専門の清掃業者に家の清掃を頼むなら一緒に住んでもいいことにする。
嫁をもらって、3人の女の子がいる。ピース食品で働き、カレーのルーを開発している。
桐矢はドライカレーを作る。夏野菜を揚げてカレーに加えたりもできる。
Posted by ブクログ
何冊目かの╍寺地はるな作品╍
一番好きかも
カレーレシピを織り交ぜた食べ物ストーリーかと想像していたけど、深い人間模様だった
自分の亡くなった父親と重なる部分もあり、いつしかこの頑固祖父(小山田 義景)が愛おしく大好きになった
この時代の男の人って本当に不器用らしい
でも心の中は温かく優しいの
子どもへの思いをうまく表現出来なかった父親の本心を聞けて 心が熱くなった
カフェで夢中に読んでいたら 読み切ってしまい、不覚にも涙を流してしまった 笑
余韻に浸れなかったので 家に帰ってからまた最後を読み返した
やっぱり愛おしい涙が溢れてきた
私にとっては亡き父を思い出させる一冊となった
Posted by ブクログ
とっても大好きな作品。装丁もステキ、、美味しそう。
最初は頑固でデリカシーがない祖父のことが苦手だったけれど、過去の回想を読んでいくうちに、家族への愛情や決意がちゃんとあったことを知れて、見え方が変わっていった。
ただ、その過去を知れるのは読者だけで、桐矢たちはそこまで知ることができない。だからこそ、すべてが解決するわけではないもどかしさがあって、それがとてもリアルだった。
人は簡単には「いい人」「悪い人」で分けられないし、過去も消えない。でも、一緒にカレーを食べる時間の中で少しずつ距離が縮まっていく感じがとてもよかった。派手な話ではないけれど、じわじわ心に残る、人間らしい物語だった。
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昭和の男なお爺さんと、多様性の時代に生きる孫の、分かり合えないけど寄り添おうとする話が面白かった。お爺さんの孤独な生い立ちや、離婚した理由、文句を言いながらも娘たちを愛しているのに、それを伝えられない不器用さが感動的だった。
Posted by ブクログ
カレーが時代を超えて、人の生涯を支えてきたような、寄り添ってきたような物語だった。なんとも今の時代に明らかにそぐわない発言、行動をする祖父。だが、その祖父にも今まで生きてきた時間があり、それが祖父をつくっている。祖父の思いや価値観の形成を感じられて、納得はせずとも共感した。桐矢の感性が、好きだった。人に思ったことを言わない反面、徐々に祖父の影響か言うべきことをきちんとその時に伝えられる。それはその人に気づきを与えるし自分の成長にも繋がることに気づかせてくれた。そして、カレーがすっごく食べたくなった!
Posted by ブクログ
いろいろと厄介な父を、娘たちは持て余している。
83歳で一人暮らししているのも気になり、唯一男である孫の桐矢に、実家を出て祖父との同居を提案する。
穏やかでおしゃれな祖父とカレー屋さんでもやる、ほのぼのしたお話かと思ったらまるで違いますよ、そこのあなた。
とっても素晴らしい、昭和の家族のお話だった。
一気に読まされた。
約半年ぶりの読書再開、何か感想を・・・と思っても、言葉が出てこない。
他の人たちの素晴らしい感性と、言葉に感動してしまったので、それを読むことにします。
ただね・・・、義景、私の亡くなった父と、よく似てた。
声が大きくて、短気で怒りっぽくて、自分に男が生まれないことを残念がっていて、孫に男が生まれたら「これで(嫁である私が)勤めが果たせた」と言ってホッとするような人だったから、切なくなった。娘たちの嫌悪感もよくわかるし、実際私も理解できないことがたくさんあった。母は従順な人だったけど、最後は反抗してた。
他人事とは思えない読書体験でした。
Posted by ブクログ
いつのまにか自分の祖父と重ね合わせて入り込んで読んでいたこともあり、終章でブワっと涙が溢れた。悲しいんじゃなくて、すごく温かくて泣けた。
私の祖父も、ろくに話を聞かなかったり、決めつけたりする人。私や両親は、それを面倒に感じるけど、祖父なりの寂しさとか、生きてきた時代の正しさとか、色々なものが入り混じって今の祖父がいるんだよなと気づかされる。まあ、価値観の違いに「もう!」と思うことがゼロにはならないだろうけど(笑)完璧に分かり合えなくたって良いし、悪口言ったっていいし、とにかくもっとたくさん話をしてみようと思った。
Posted by ブクログ
頑固ジジイと孫・桐矢の同居生活。分かり合えなくても、知ることで様々な気づきがあって、見えていなくても優しさも温かさもある。不器用でちょっと身勝手な家族愛の形が愛おしかった。
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どんな時でもカレーは美味しい。世の中は理不尽だし、人それぞれの物語があって、誰が正義とか悪とか視点によって変わってしまう。
それでもカレーは美味しくて、ご飯は人を幸せにしてくれるよな〜と思った。
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癖ある偏屈な娘たちにも嫌われてる祖父と同居することになった孫息子・桐矢。
祖父は食品会社に勤めていて、レトルトカレーの営業をしていた。
祖父が抱えていた家族の秘密。カレーのように癖ありつつ包容力で抱えていたそれ。
昭和のくそ親父の、家族愛ある秘密。
Posted by ブクログ
昭和の男とも言うべき頑固ジジイと、それを嫌う孫の桐矢の同居生活の物語。
頑固ゆえに妻に逃げられ、3人の小さな娘を育てた小山田義景。3人の娘はそれぞれ娘を産み、最後に生まれた男の子は女系家族で育って男らしさに欠ける。83歳で心臓病になった義景を心配した娘達は同居を望んだが、唯一の男の孫を鍛えようと桐矢を指名する。
義景の元の仕事はレトルトカレーの営業。そのため、祖父と孫の料理はいつもカレーが付き纏う。頑固が故にあちこちでトラブルを起こす祖父。優柔不断ながら几帳面な桐谷が何とかフォローしていく。桐矢の恋バナがあったり、ストーカー事件があったり、中々忙しい。家を出てから、一度も娘達に会わなかった母親(祖母)との意外な結末。頑固ジジイの違った面が現れる。最後の展開はホロリとさせられる。49日の法要で提供されるのは、娘達、いとこ達が銘々カスタマイズするレトルトカレーだった。読んでいてカレーが食べたくなってくる。
Posted by ブクログ
カレーは好きだが甘口は嫌いです。
カレーのどんな話かと読み始めたけれど、小山田義景をはじめ登場人物が全て愛おしく不器用。
桐矢が「いいな、葉月さんっていいな」と思うように桐矢はいいな。
弱そうで強く優しい。
生まれた日にお祖父ちゃんが念じた通り。
キャベツとツナのカレー、作ってみよう。
Posted by ブクログ
私の祖父は、桐矢の祖父と違い、「みんなそれぞれ考え方があって受け入れる性格まるっこいじいちゃん」だったので、最初読んでて桐矢の祖父の横暴さや「典型的なステレオタイプの昭和の頑固迷惑爺」がしんどかったし、そんな祖父と生活しなきゃいけなくなった桐矢に同情しかなかった。そんな正直鼻つまみ者な祖父と祖父が若かりし頃営業を頑張ってたレトルトカレーでちょっとずつ距離が近づいていくところをみて「人情は多少あるんだけどね…」って感じだった。
桐矢の祖父は家族の愛情を知らずに育って食べ物にも苦労したから、家族を持つことに戸惑いもあったし、食べ物の恩のこともあって必死だったこと。そういう面を知ると仕方ない部分もあったんだなとは思うけど、関わりある当事者としては「だから何?」なんだよなぁともどかしい。
桐矢の祖母の真実をちゃんと桐矢はつつみ隠さず伝えたのは良かったと思う。祖父は「隠しとけ」って言ったけど、それを「守る態で人の知る権利を奪うのは最低や。親でもやってええことと悪いことがある。おじいちゃんはすぐ男は、男はって言うけど、男らしいことのなにがそんなにええねん。自分で自分を不自由にしてるだけやろ、馬鹿らしい」はまさにその通り。人生を積み重ねていって世代間のズレがもどかしくも切ない話だった。
Posted by ブクログ
2026.02.21
きっと無限に時間があったら、この本の良さを長々と書き連ねていたと思う。
あらすじとタイトルから勝手に、レトルトカレーが売れるまでのサクセスストーリーで、その過去の栄光を知ることにより祖父と孫のわだかまりが消えていく、、のようなストーリーを想像してしまっていたので、これからこの作品を読む人には全く別物だと言いたい。
カレーが幾度となく登場するのだが、それはこの作品にそっと花を添えているような、この物語を縁取るような枠のようなものだ。
主軸は『ガンコで「昭和の男」をまさに具現化したおじいちゃん』と、『潔癖症の孫』がひょんなことから一緒に住むことになり、関わることにより過去と現在の祖父の3人娘たちとの関係性がどんどん紐解かれていく家族の物語。
令和にはそぐわない、男はこうあるべき!の思想の強い祖父だが、それゆえまっすぐで芯の強い、でも不器用なところが最後には愛らしく思える。
潔癖症でなよなよした、昭和の祖父とは対照的な今時な多様性の社会を生きる令和の青年、桐矢。
ちぐはぐなこの2人が生み出す空気や対話がクスッとくるのもこの作品の好きなところだ。
きっと関西弁なのも親しみやすさが出ていていいのだろうなとも思う。方言の力はすごい。
もっとたくさんこの作品の良さがあるのに、それをうまく文章化できない自分の語彙力、表現力の無さにもどかしく思うが、読んだ後のじんわりと心があったかくなった作品であることは忘れたくないのでメモしておく。
タイトルがいい意味での裏切りであると冒頭に書いたが、まさにこのタイトルの文字通り、桐矢にとっての祖父との思い出を振り返ったとき、そこにはいつもカレーを食べていた2人がいたな、と思うとなんともしっくりくるタイトルだなあと思う。
美味しいものを誰かと共有する時間は、きっとかけがえのない時間だと教えてくれるこの本を、
美味しいものを共有したい相手にも勧めたいなと思う。
Posted by ブクログ
表紙が可愛らしくて手に取った本。
「令和男子」と「昭和の頑固オヤジ」、2人の共通点は血の繋がり以外ほとんど無くて、性格はほとんど真反対。そんなふたりが一緒に暮らす話。
どうしても相容れない人がいる。苦手な人がいる。そんな人達の人としての輪郭が浮き彫りになっていくような話。表面と内面、今と過去、当たり前に全ての人たちが併せ持つそれらを改めて意識できる素敵な一冊だった。
良い意味での表紙とタイトル詐欺。
Posted by ブクログ
寺地はるなさんの作品は久しぶりでした。
固定概念の塊のような祖父と真逆の孫を中心に進んでいくお話。
多様性って何だろ?
あらためて色々考えさせられる作品でした。
色んな人がいる。
強い、弱い。新しい、古い。速い、遅い。
色々あるけどそれは『いい、悪い』だけではないんよなあって感じました。
そしてそんな色んな人(具材)に優しさ(スパイス)が加わって素敵な世界(美味しいカレー)になればいいなって思いました。
あと読み終わったあとの自分の感情もぐちゃぐちゃで、そんなところも何かカレーみたいやったなあって感じました。
ありがとうございました!
Posted by ブクログ
寺地はるなさんの本は20冊目。
思ったより読んでいた…。
作品の中でも分厚めな本作。
序盤では、このおじいさんのこと…どうしよう…好きになれるかなと不安がよぎりました。
でも読み進めるうちになんかそういうことじゃないかも、となんか溶けていった。
今の令和の時代から言うと価値観が古い固まったおじいさんと思ってしまうけど、現代の価値観に固執する側は、あるべき価値観を固めすぎているのでは?とちょっと気付きでした。
単純な実は悪な人が見えないところで良いことしてたとか、そういう構図の話ではなく。
詰まるところ全てにおいて対話が必要なのではと思いました。
最近は某氷上の師弟アニメにどハマりしている日々ですがお互いのことを大事に思っていても言葉にしないから勘違いして思い込んですれ違うなぁと思っています。
それと同じで、相手が発した言葉をネガティブに受け止めたことで、その後もそれが引っかかって勇気を出せず聞けない悪循環に陥り、関係がどこから手をつければいいのかわからないほどこじれるのかな。
ネガティブに思う言葉は、聞いた側と言った側では、背景や意図が細かく言えば違っていて、そこを擦り合わせていって摩擦を減らすのが望ましいとは思うけど、言い方や態度でその人と深く話したくないということもあり得るから全ての人とそれが可能になるわけではないとわかるけどせっかく夫婦になって子を成した2人がそうなってしまうことは切ないなと思いました。
どっちもどっちだし、どっちかが正しくてどっちかが、悪いとかもなくてただ当人たちが思うように必死に生きた結果をただ受け止める、という気持ち。
寺地はるなさんの作品の特徴だと思っている、断罪しない、はっきり決着つけさせない、劇的すぎないという感じが程よく出ていてとても良いなと思いました。
良かったからこそ、あとがきがなんだか蛇足に思えてしまいました。
「橋」とか自分に返さなくて良いからまた誰かに、とか。
大事にしたいことが書いてありました。
Posted by ブクログ
家族から疎まれる偏屈な祖父と同居することになったお話。
こういうハートフルな話って個人的には正直そこまでお話として面白くはなかったりという印象を持つことが多いんですが思ったよりも楽しめました。なんだろうな?主な登場人物たち、義景桐矢をはじめとした小山田家まわり、がみんな善人でもあるけどあまり好きになれない要素もそれぞれ併せ持ってるあたりがただぬるい話じゃないというように思えたのかもしれない。
Posted by ブクログ
83歳の祖父は絵に描いたような男尊女卑、高圧的で頑固で粗暴で、不器用。
そんな祖父を苦手に思う25歳の孫 桐矢は潔癖気味、神経質で優柔不断、そして不器用。
性格も価値観も全く異なる二人の同居生活が始まる。
初っ端の祖父 義景さんの登場があまりにも強烈すぎてダメージを食らい心折れそうになったけど、戦中から戦後と激動の昭和を生き抜いてきた背景を知ると印象が変わった。口は悪いしデリカシーもないけど、どこか憎めない。対する孫の桐矢は現代的というか押しに弱くどこか頼りないけど、思慮深くて芯が強い。
義景さんの過去パートは時代背景のせいか割とシリアスめ、対する現代の桐矢視点は真反対のおじいちゃんとの生活、ちっとも噛み合わない二人のやりとりが騒々しく、でも平和的でほっとする。
二人の生活で劇的に何かが変わるわけではないけど一緒にカレーを食べる時間だけは距離が縮まる。少しずつ不器用な祖父の過去が垣間見えてきて…終盤、不器用に生きてきた祖父の秘密を知った後の桐矢の言葉がどれも心に響いた。
人と人の心をつなぐのは案外食事なのかもしれない。
Posted by ブクログ
あー⋯この祖父みたいな人、私も苦手だし嫌いだし関わりたくない。
でもそんな祖父にも経験して積み重ねてきたものがあって、いろんな気持ちもあって。
善人でもないけど、悪人でもないってことも分かってくる。
知ったからと言って、受け入れられるわけでも好きになれるわけでもないけど。それでいいんだと思う。
前半は少し退屈に感じてなかなか読み進められなかったけれど、後半は一気読み。
やっぱり寺地さんの作品、好きだ。
Posted by ブクログ
義母が三姉妹の長女で、よく自分の父のことを「あの頑固じいさん」と言っていたのを思い出した。
祖母との離婚、娘たちへの思い、父親って切ない。
カレー、美味しそう…
Posted by ブクログ
寺地はるなさん、12冊目。
偏屈な祖父・義景と二人で暮らすことになってしまった孫息子・桐矢。
義景の過去と、桐矢の現在が交互に語られ、噛み合わない同居生活が描かれる中で、義景がひとりでずっと抱えてきた秘密が明らかになる……。
お話そのものは作者さんの語り口に乗ってすんすんサクサク読むことができたが、なんだか読後感は微妙。
男尊女卑で頑固で昭和の価値観そのものの義景とローリスクローリターンを願い生きる潔癖で現代的な桐矢。
この作者さんがずっと取り上げてきている“普通”とか“あるべき”とか“らしさ”などが下敷きになっているが、二人ともその時代の中で悩みながら懸命に生きてきた/いるというところは汲み取れ、その生き方のどちらもが否定されなかったところは良かった。
ただ、時代が変わったことにアップデートできない義景にも(ああいう老人にはならない)、「影が薄いくせにへんなところでめんどくさいやつ」と自覚し25歳とは思えない桐矢にも(あれぐらいで泣くなや)、どちらにもあまり共感できず、物語に入り込めなかったのでした。
カレーもおいしそうにできた割にはお話の中であまり目立たなかったのも残念。
Posted by ブクログ
世代間の考え方のギャップで面白さを見出していく話で自分自身のところに置き換えたりしてそういえば自分の祖父もそうだったなと思うところがあったりして過去を振り返るいい機会を得られた作品だった。読みやすいけどあまり心揺れる感じは無かったので控えめの評価
Posted by ブクログ
祖父と桐矢、2人ともそれぞれの信条を持っている。時代背景やこれまでの生き方で染みついたその価値観は互いに受け入れ難いものだろうし、理解できないだろうとうっすら感じではいたのだろう。ただ、互いに分かり合えない存在でも、その中に相手を見捨てきれない、心の深い部分でのつながりは確かにあった。
甘口のカレー、あらゆるところに残された祖父の殴り書き、戦後幼かった祖父の経験、子どもへの愛情。祖父の本当の一面が見え隠れする描写が、頑固で口が悪くてずんずん突き進む祖父を、憎めない存在として惹きつけさせていた。
Posted by ブクログ
昭和の人らしく武骨で、飾らなくて、表現下手な祖父が孫との同居によって、生きてきたその背景が見えてくる
戦争が終わって食べるものも家族もない中で、ただ食べることに必死になって、生き抜いてきた人の生き様がレトルトカレーを通して表現されています
Posted by ブクログ
いわゆるジャケ買いした1冊。
完全にだまされた。題名と表紙の柔らかさに勝手にほのぼのとした物語だと思い込んだ。
でもこんな騙されかたなら、また騙されたいかもと思える位、テンポも中身も心地よい1冊だった。
三姉妹の母を持つ「桐矢」はいとこも女性だらけという完全な女系家族に生まれる。
男だからと古い固定観念を持つ祖父「義景」は
みんなから嫌われていた。
桐矢自身も、がさつで何にでもすぐに悪口を言う祖父が苦手だった。
祖父も高齢となり、1人で暮らし続けていくことを心配する娘たちに祖父「義景」はこう言い放つ。
「桐矢とだったら暮らしてもいい」
そんなこんなで始まった、祖父と孫の同居生活。
心温まる祖父と孫の交流なんてものはなく
相手を理解出来ない、何ならしたくない
でも分かるかもしれない、という不思議な関係が
時折挟まれるカレーの時間を通して伝わってくる。
祖父「義景」の過去のパートと
孫の「桐矢」の今のパートが交互に描かれているので読者は義景の背景も知ることが、出来て胸に迫るものがあるが、当然ながら本の中の人たちは知らないわけでもどかしい気持ちでいた。
終盤、「桐矢」が「それぞれの思いや物語を丸ごと理解する必要なんてない。自分で解釈して、傷つく権利がある。そこからどうするかは自分で決める」という姿を見て、「令和男子」下手にセンチメンタルになることもなく、しなやかでかっこいいじゃないかと思った。