寺地はるなのレビュー一覧
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寺地さん、初。難しい言い回しはなく、肩が凝らない文体。心のつぶやきがちょっとしたコラムのような感じで読みやすい。たまに特徴のある表現があって、飽きなかった。
重々しくない語り口だけれど、心が刺激されてズシッとくる文章がそれはそれはたくさんあった。私の心の中にもある感覚だなあと頷いたり、わかってはいるけれどできていないことをストレートに言われてグッサリきたり。珍しくいくつもメモっちゃった。
主人公の椿は自分をきちんと持っていて、流されない。思考停止することなく、物事の大事な部分をちゃんと見ることができる。でもそれができるというのは逆に、平均的な人とは少しずれた感覚ってことになるんだろう。
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「わたしが他の誰かになれないように、他の誰かもまたわたしにはなれない。残念だが、わたしはわたしを引き受けて生きていくしかなさそうだ」
友達をうらやんでばかりいた若い頃の、劣等感とか自意識過剰ぶりを思い出しほろ苦い。年齢を重ね、自分が見たい面だけでなく、多角的に相手を見ることができるようになるにつれてこの境地に至る。うらやましさを感じるのはきっと、様々な面があって輝く一面、様々な面によって生み出される一面。そこだけちょい、と、つまみとれるものではないのだ。
お互いがお互いに何かしら屈折した思いを抱いていた10代の頃を過ぎ、30代になった天、藤生、ミナ。自分と言うものを受け入れて、これから3人 -
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最近気になってよく読む、寺地はるかさんの作品。
主人公清澄の姉、水青の結婚式までの時間が、それぞれの家族の視点で描かれており、それがとても自然に繋がっている。この手の作品にありがちな、時間の行き来や回想が少なく、前に前に進んでいく。まさに水が淀みなく流れるような作品で、あっという間に読み終えてしまった。
登場人物に目を向けると、家族の中で、さく子の言動や行動が気になって仕方がない。それは、母親としてのわたし自身によく似てるから。寺地さんの作品には、よくそういう母親像が出てきて、自分を省みてしまう。というより、省みることを期待して読んでいるのかもしれない。
他の登場人物含めて、皆それぞれに -
購入済み
ああ、タイトル回収、、、母の「女/男はこうあるべき」「(これといった要求はないと言いつつ)子供にはこうなってほしい」等といった固定観念が強くて読んでて息苦しいところはあったけど、清澄のまっすぐさと素直さに助けられた。水青も弟にウェディングドレスを仕立ててもらったことで、自分のなかにあった固いものや思い込みが少しは丸くなったのではないか。美しい1冊でした。
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背表紙の帯の「合わせないとダメですか?」に惹かれて買った本。
三葉は私の根っこの部分でいつも燻っている気持ちを揺さぶる主人公だった。
人はみんな違う。感じ方も受け取り方も、違う。
環境が違えば常識も違う。でも、共感や言わなくてもわかる、を求めてしまう人のなんと多いことか。
それができない人や自分が欲しい返事をしてくれない人を、冷たい(クールというと聞こえは少しは良いような気はするけど)とか人の気持ちがわからないとか言うのは、あまりに短絡的だと。
心はあります、と三葉も言っていた。
うんうん、と心の中で頷きながら読んだ。
三葉や星崎くんの様に、集団からなんとなく浮いてしまう人間(わたしもこ -
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寺地はるなさんの作品は初めて読みました。
わたし自身、子どもを1人で育てている身で、毎日「元気に生きてるだけでいい」と思いながら、早く宿題やりなさいだの、習いごとの練習しなさいだの、矛盾する自分にイライラしながら、そのイライラを子供にぶつけてしまう日もあり…。
こんなにいい子なのに、怒ることなんて何もないのに。不確かな常識にがんじがらめになっていること、情報過多気味の現代の子育てに息切れしていること、頭ではわかっているのに失敗して、反省してやり直して、でもまた失敗して反省して、の繰り返しです。
そんな自分に、もはや嫌気がさしていましたが、この本を読んで、それでもいいじゃないか。何回失敗し -
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今年読んだ中で一番好きな本に出会えて幸せ。そのくらい好き。主人公はすごく面倒くさい性格なのだが、自分自身とすこし似ているところもあって共感できる。いろんな人と出会い、いろんな価値観に触れ、そのなかで自分が大切にしたい生き方を知る。それを他人に強制しない。
『人はひとりでは生きていけない、なんて言うけど、誰かと手を繋いでいたら転んでしまう時だってあるんだと知った。ためらいなく繋いだ手を離せるように、隣を歩いている人を信じる。自分の足でしっかり立つ。そのことを忘れないようにしよう。』
やわらかい砂の上を歩くのは大変だけど、自分に自信を持とう!と思える一冊。 -
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世の中には泣いてる子供の親に攻撃的な輩が必ず存在する。黙らせろと詰める輩は絶対に間違えた人間で存在で大きく言うとお前がいなければいいだけ.政子さんがいつまでじろじろ見てんだよ、子供は泣くもんだと言ってやった言葉が正解なんだよね。ミステリアスな麦生の本当はただの阿呆な男とか、どんな存在と思った三崎が父親の女で親子対面する大義を掲げて接近したとかでの千尋の一言一言→みんながどうしてきたかは私には関係ないの返しがグッと来た。寺地はるなさんのビオレタとか今回の民宿とベビーシッター屋と初めて目にするのを忘れるくらい自然ですんなり受け入れた、肌に合うってことなのかなぁ
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寺地はるなさんの本は15冊目。
久しぶりに自分の中ではヒットしました。
自分が思う寺地さんの好きな部分が今作でも見られました。
・人と人との些細なズレを的確に描写するけれど大げさに取り扱わない
・劇的に解決するフィクション的終わりにしない
それに加えて、本作の主人公希和の願望というのか。
自分の声に耳をすます姿勢は、ずっと自分が課題として取り組んでいることだったので希和に共感できました。
最近はSNSで手っ取り早く他人の感想をコピーできます。
一昔前、大学のレポートをコピーする人がいて驚きましたが、それとは違う恐ろしさがあると思っています。大学のレポートも自分の意見を発表する場ではあります -
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ネタバレ税理士事務所で事務として働いている万智子が、顧問先のドレスクチュールでも働くことになり、歳の離れた友人ができたり、なりたい自分について考えるようになるお話。
優しい気持ちになるのに、自立したいなと前向きになれる一冊だった。
読みたかった寺地作品だー!という印象。
タイトルは、理想の地を指しているのかと思っていたけど、早々に不安定な足場のことを指していることが分かって、その時点でもう面白くなる予感しかしなかった。
登場人物が多くて混乱した部分もあったけど、万智子の持っている偏った考えを、過去もしくは今の私も持っていることに気付いてハッとさせられた。
了さんたちみたいな友人素敵だなあ。
早 -
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場所は九州北部にある星母島。
母小岩が近年パワースポット。
民宿「えとう」と託児所を営む、「モライゴ」の千尋。
千尋のことを大切に思う麦生。
育ててくれた政子。
政子の娘、亜由美。
孫のまつりには、10代で産んだ息子の陽太がいる。
民宿を訪れる人達が、母小岩を目指して訪れる。
それぞれが親子関係、人との繋がりに悩みをもっている。淡々と接する千尋や麦生。
人は、それぞれが大変に思うこと、葛藤、嫉妬、孤独などがある。それを他人から意見されることにより、何かの気づきを得ることがある。そんなことをこの島を訪れた人が経験し、また生活をしていくであろう、そんな物語のように私は思えた。千尋自身も、色々な