寺地はるなのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とても親しみを感じるエッセイ。
ユーモアたっぷりながら、
所々に、小説に描かれている
生きにくさを肯定する、強さ、優しさを感じた。
とりわけ「いいな」と思ったのは
「方向性の違い」。
「かっこいい」の方向性が違うことで
その人を笑いものにしたり、笑われる人になったり。
でも、時の流れの中で、との時の「かっこいい」も
また別のものになる。
その時に、「ほらね」と笑ったり
「かっこいい」ではなかったからやめたりする
ことはないということ。
それを貫いた先に、今の寺地はるな、という
作家がいる。
嬉しくあたたかく、ちょっと
自信が持てるようないいエッセイだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好みなのは「祀りのいきもの」。祖母は何を飼っていたんだろう。南洋の妖精?そもそも南洋の妖精は生き物なのか。不思議が心地よく残るお話だった。
文章が全体的にひんやりと静かなイメージで好み。
印象に残ったのは「二人という旅」。冠婚葬祭というテーマにSFチックな作風という斬新な角度?からの物語だなと思った。アンソロジーにスパイスが効いて私は好き。
あと、結婚について、契約の女神と対話するシーンがとても好き。結婚の誓いは後に夫婦が別れたとしても破られたことにはならない。なぜなら、結婚という契約はお互いを永遠に愛したという、それほどまでに強い願いが、人の短い人生に一生に一瞬でも存在したことの証明だから -
Posted by ブクログ
寺地さんらしく、優しくそっと寄り添ってくれるような小説。主人公の鳴海は昔子守係として働いた南雲家で一悶着あり辞めて、それから20年経ち…というストーリーだが、育ちの良さ悪さ云々いう鳴海さんの南雲家に働いていた頃と辞めるきっかけになった出来事がそんなことが大きな確執となるのか…というかんじなのと、20年経ってあったらわあ!と意気投合じゃないけど、息子も覚えてるの?ってかんじなのは気になった。あとは優しく心情に寄り添うストーリー。旦那の暖くんはダメンズなのかと思いきやそうでもなかった。ちょっといろいろ詰め込まれて最後はとっちらかったかんじ??なのかな。
でも心情を丁寧に描く寺地さんらしい小説。 -
Posted by ブクログ
自分にとっての居心地のよさだったり、快不快を感じる基準は、人に理解されなかったり、“ふつう“から離れていることがある。
本来は“ふつう“なんてものはないのかもしれないけれど、人と違うと不安になったり隠したくなったりしてしまう。
その隠すことすらも、なんだか良くないんじゃないかと思ってしまうこともあるが、自分の心地よさを大事にして良いのだと思えた。
世界にひとりでも、数人でも、心地よさを共有できる、あるいは自分の基準を理解してくれる人がいるだけど生きやすくなるのだろうか。
まず自分の身近なところに、その心地よさがどんどん広がっていったら嬉しい。 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ裏表紙のあらすじに『あなたのための物語』と書いてあったが、想像以上に『わたしのための物語』だった。
家庭環境や生育環境はそこまで似ていないけれど、
希和の感じる鬱屈や不安にとても共感できた。「そうそう!こういうことあるある!!」と、読みながら何度頷いたことか。
会話していて楽しいと感じた相手が、別の人に対して無自覚のマウントや無理解な言動を屈託なく行なっていたり。自分を(少なくとも自分から見たら)理由なく嫌い低俗なイジワルをしてくる相手が、子どもに対しては素敵で心に残る言葉をかけていたり。
『いいひと/いやなひと』という二元論では表せない、『ふつうのひと』のグラデーションをとても繊細に書き表