寺地はるなのレビュー一覧

  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    沁みる。終盤は無意識のうちに、自分や自分の家族に重ねて読んでいた。若い人より、ある程度歳を重ねた人の方が沁みると思う。
    著者には失礼かも知れないが、メッセージやシナリオの面白さを求める人には物足りないだろう。本当に主人公のある期間を切り取っただけのような形なので。

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    2026年08月12日
  • ぬすびと

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    なんだかフワッとした話だったけど、ラストは、涙が止まらなかった。
    色んな状況の中で、それぞれに悩みはあり、人と関わる中で変わっていく事もある。
    人間の嫉妬や妬み、あきらめ、プライド、そんなどうしょうもない感情と人を思う気持ち、尊重、思いやり、責任感が絡まって話は進んでいく。
    最後は気持ちのよい終わり方だった。

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    2026年08月12日
  • ぬすびと

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    家柄も年齢も時も超えた友情の物語。
    主人公の鳴海は貧しいけど逞しく育った女性。どんな相手でも正直に接するからカッコいい。だから暴れん坊のお坊っちゃんも、深窓の奥様も心を開いたんだろうな^ ^

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    2026年08月10日
  • 今日のハチミツ、あしたの私

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    「びろうどの布のようにしっとりと黒い空から銀色の針に似た雨が降ってくる。」夜に振る雨をこんな風に美しい情景として表現できるなんて…。
    この瞬間に入り込んでその情景を味わいたいとしばらく目を閉じ味わってしまった。
    物語の序盤に出てきた、碧にとって心の支えとなっていた、自分が言われた言葉が浸透し、生きた言葉として自らから発せられたのを目にし、その裏にあった様々な出来事があってこそ言葉に命が宿るんだなぁという感覚になった。
    誰かに委ねるのではなく、自らが動く。育てて関わりを育む中で自らが自分の居場所を自分で作っていく。
    こんな風に作り上げていくっていいなぁと思うし、受け身で文句ばかり言うだけでなく、今ある状況の中で、自分自身がどう楽しみを見いだせるかという視点や生き方をしていきたい。

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    2026年08月09日
  • 今日のハチミツ、あしたの私

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    寺地さんの文章は、何故か料理を作っている情景が浮かんで、美味しそうに思えてくる。

    碧は最初は無気力そうな人かと思ってたけど、誰も知らない街で出会った人たちと関係を深めて、養蜂家として奮闘していくの、たくましいなぁと思った。
    「出会っただけで終わらせない」そんな人付き合い憧れる。

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    2026年08月08日
  • 世界はきみが思うより

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    「それでもね、やっぱりね、めちゃくちゃ愛やったなー、と思う。こんなに愛させてくれてありがとうって感じやねん」

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    2026年08月08日
  • 世界はきみが思うより

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    ネタバレ

    ある出来事がきっかけで他人が作った料理を受け付けなくなってしまった高校生の冬真は、同級生の時枝くんに「難病を抱えた美少女」の妹がいるという噂をきく。友達にそそのかされ、時枝くんの家まで行ったことがきっかけで、冬真は時枝くんと仲良くなっていくが――。

     一方、国際交流プラザで働く紗里は、「きれいなものが好き」なあまり、太ることへの嫌悪感を抱えていた。自分が撮影した写真が原因で時枝くんを傷つけたことを知った紗里は、“罰”としてマッチングアプリを始めて……。

     それぞれの理由で世界への信頼が薄くなった彼らが、大切な人と歩いていくために一歩を踏み出す感動作。(紹介文より)

    ーーーーーーーーーーーーー
    登場人物がそれぞれの事情や思いを重ねていくオムニバス方式。
    料理あり親子関係あり人の愚かさあり、
    いろいろな要素が含まれていながらも、
    正解や正義を押し付けてこない内容が
    とても好みだった。

    ネタバレでいうと、
    高校生の二人は恋人になるんだけども、
    それも「そういうこともあるよね」と受け止められる。

    それが特別ではなく、
    普通の男女のカップルでも悩みを抱えていて
    それらを比べるものでもない。

    軽く読めるのに
    人生で大切な要素が随所に小さくちりばめられている、
    読後、ふむっと腑に落ちる1冊。

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    2026年08月08日
  • こまどりたちが歌うなら

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    寺地はるなさんの本を読むのはこれで10作目です。表紙絵が魅力的で、まず手に取りました。作中に描かれているのは、和菓子の製菓会社にて、改善されない労働環境や職場で感じたモヤモヤだった。現代に残る理不尽さに胸が苦しくなった。

    『でも、私がだいじょうぶって言ったら小松さんみたいな人はだいじょうぶって安心しちゃいますよね。そういう人ですもん。そこを察して、踏み込んで助けにきてよ、なんて無茶ですよね。でもあの頃は、それに気づきませんでした。…だいじょうぶって訊く時は相手の返事をあんまり信用したらあかんし、だいじょうぶって答える時は、ほんまにだいじょうぶな時だけにせなあかん。-第六章 空と羽-』
    ​
    読み終えたあとは「働きづらさを抱えるみんなが、どうか少しでも良い方向に進んでいけますように」と、静かで温かい祈りのような気持ちが残る一冊でした。あと、美味しいあんこが食べたい(*´艸`*)

    2026.8

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    2026年08月07日
  • ナモナキ生活はつづく

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    軽快な文章で綴られたエッセイ。
    はじめに、家事のやり方に正解はなく「私には私のやり方がある」という力強い言葉。そうだよねと思う。

    読めば読むほど寺地はるなさんにとても親しみを感じてきた。

    「読書は自由だ。肩の力を抜いて、楽しめばいい」この言葉のとおりだと私も思っている。

    寺地はるなさんもどうぞお元気で。

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    2026年08月06日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    寺地はるなさんは、人間の心の機微の表現がうまいといつも思う。ひとつの思いのあとの細かい表現や、自然描写もとてもすてきだった。

    タイトルの「希望」を“きぼう„と読むか“のぞむ„と読むかで、タイトルから受ける印象がかなり違うと思う。どちらとも取れる読み方に、この小説のすべてが表現されているように感じた。

    あらすじは、突然失踪した「律儀で几帳面」な弟の希望(のぞむ)を探すことになった兄の誠実(まさみ)が、弟の知り合いを訪ね歩くうちに弟の様々な顔を知っていく。そして誠実自身も自分の感情と向き合っていく。また過去に希望(のぞむ)と関わった人たちも過去に想いを馳せ、今の自分と向きあう······。といった感じ。

    ことなかれ主義の兄と、相手の要求をすべて受け入れてしまう弟。家庭の影響で培われたものから、捜す兄と逃げた弟が新しく踏み出すまでの物語。自分自身がどんな人間かということを改めて考え、これからどうありたいかを考えるきっかけにもなる小説だった。

    文庫化にあたり書き下ろされた短編は、希望のその後がわかり、穏やかで安心できる作品だった。


    〈目次〉
    柳瀬誠実と弟の話 1

    山田由乃の話 もしくはコニー・アイランドの踊り子

    柳瀬誠実と弟の話 2

    柳瀬誠実自身についての話

    柳瀬誠実と弟の話 3

    有沢慧の話 あるいは花盛りの庭

    柳瀬誠実と弟の話 4

    シロツメクサと小平敦子の話

    小平実花子の話と檸檬ドロップ

    柳瀬誠実と弟の話 5

    重田くみ子の話 または箱の中

    柳瀬誠実と弟の話 6

    光

    解説 山中真理

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    2026年08月05日
  • 水を縫う

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    一つの家族、それぞれの視点から描かれるストーリーが上手く繋がり、それが心地良く
    するすると読めてしまいました。
    ただ論点が家族のあり方についてなのか
    自分を大切にすることなのか
    ジェンダーについてなのか…
    この作品を通して何を伝えたいのかを汲み取るまでに
    時間がかかるというのが多少難点かなと思います。

    子に対する愛情のかけ方や考え方は
    人それぞれなんだと思わされました。
    私の母も、未だに私のやる事なす事を否定する。
    それは自分の経験から
    私の失敗を恐れているのでしょうか?
    一応アレも母なりの愛情表現なんでしょうか?

    私は私を信じ、強い意志があったからこそ
    それを跳ね除けて今自分の正解を歩んでいると
    思っています。
    ちょうど子供を産むというタイミングなのもあり
    自分の子供にも、自分を信じて行動し
    自分を見失わない強い心を持った子に育ってほしいなと、この作品を読んで思いました。


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    2026年08月04日
  • ガラスの海を渡る舟

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    賞賛されるべき死も
    非難されるべき死も
    存在しない。


    健康診断は別に異常なしだけど
    私も自身の「死」に「人生」に
    きちんと向き合おうと思いました。

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    2026年08月02日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    ナツイチ2026きっかけで読んだ。

    性別も年齢も生き方も悩みも違う、複数の人間。
    それぞれの立場でよく書けるものだ。
    しかも、「最近の若いもんは……」「男のくせに……」「女なんだから……」って言われる側だけでなく、言う側のストーリーもある。

    翼も鉄腕も、良い奴。
    玲子、カッコいい。

    鉄腕の兄、腹立つ。作中でいちばん嫌なやつ。
    けどこいつの言動は、その後の展開をよりドラマティックにするための「フリ」なんだと思う。

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    2026年08月01日
  • 川のほとりに立つ者は

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    寺地はるなさんの本は初読みでした。
    恋人の秘密を知る恋愛要素が強い内容かと思っていたのだけど、全然違った。

    川のほとりに立つ者は、川底の石のことは何も知らない。
    無知による残酷さや、手を差し伸べているつもりの上から目線の傲慢さ、人間関係の中でそういう誰もが無自覚に持っているものを描いた作品。
    本屋大賞ノミネート作品で9位だったけど、もっと上位でもいい気がする。さらりと書かれているけどかなり深い。

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    2026年07月31日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    初めての寺地さん作品

    多様な人たちについて描かれており、
    連作短編になっていて、深くて面白かった。

    お話の中でいくつか共感できる部分が
    あったり、切なくなる場面もあった。

    とにかく、後悔のない今を生きたいと思った。

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    2026年07月31日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    主人公をリレーしていく形式の短編連作。

    舞台が九州の片田舎に設定されているのだけれど、
    いくつかの寺地作品で共通するモチーフとして、
    九州が“一昔前の価値観”を登場させるためだけに
    ただ便利使いされているような感覚があって、
    ちょっと楽しみきれなかった。

    “おれは外套を脱げない”もいいエピソードだったけれど、
    同じ話を“カレーの時間”でも見たなぁ、となる。

    最後に収録されている“君のために生まれてきたわけじゃない”は親友の鉄腕のファインプレーに「鉄腕~~」となった。

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    2026年07月29日
  • ぬすびと

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    寺地はるなさんは、これからの令和の文学を作っていく方だ。
    丁寧に描かれる心理描写は、現代人の生きづらさを浮き彫りにする。

    「ぬすびと」に出てくる鳴海と彌生子。複雑な家庭で貧しくもたくましく育った鳴海と、お嬢さま育ちの彌生子の2人が、お互いに意識しながら、嫉妬しながら、高めあう。

    昭和ではありえなかった心の動きであるのだが、今の時代はすごく大事な価値観なんだろうな。そこを言語化して、掘り下げて小説にするところが素晴らしい


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    2026年07月29日
  • 今日のハチミツ、あしたの私

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    読みやすく、一気に読んでしまいました。
    私も「食べること」を大切にしているので
    共感する部分がありましたし、痩せることを
    美徳としている若い子達に
    読んで欲しい作品だなと思いました。
    読んでいて優しい気持ちになれますし
    人と人との繋がりを感じることが出来ます。

    ただ、大きな展開はなく
    さざなみの様な揺らぎがあるだけなので
    物足りなく感じる方も多くいるのではないか
    と思いました。

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    2026年07月29日
  • 最後の晩餐

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    いろいろな作家さんの話が読めるので、短編集はさくさく読めてしまいます。今回は、『最後の晩餐』をテーマに7編が収録されていました。『最後の晩餐』というと、イメージとしては悲しかったり、切なかったりというマイナスな感情が先にたっていたけれど、どの話も前向きな話で自分の『最後の晩餐』についても考えてみたくなった。
    どの作家さんの話も好きだったけど、個人的には金原ひとみさんの話が好きでした。コンプラが叫ばれる社会でこんな集まりがあって、ひたすら高カロリーな物を食べまくる…素敵な最後の晩餐だなぁと羨ましくなった。ちょっと学生時代を思い出した。
    井上荒野さんの「本当の話」も心がじんわり温かくなる素敵な話でした。

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    2026年07月29日
  • 最後の晩餐

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    食べ物小説が結構好き。本書も食べ物を美味しそうに書く作家陣が揃っており、軽い気持ちで手に取ったが、最後の晩餐というタイトル通り、食だけではなく死に向き合う話でもあったのだ。
    井上荒野さん、初読みだったけどまた読んでみたいな。
    角田さんの鰻の話、なんかうちの親族もこんな感じかもって。
    金原ひとみさんは近々ヤブノナカ読むから、ひとみ節を浴びたのでより楽しみ。
    あと装丁とっても可愛い。文庫は手軽だけど、単行本にしかない良さがあるねえ〜

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    2026年07月28日