寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな寺地さんの、10周年記念作品。
「雨の夜の星たち」をオブラートに包んだ作品だなあ、好き嫌い分かれるだろうなあ⋯と思った。
むしろ、珍しく嫌な奴が出てこなくて私は好き。あと、主人公がちゃんと失敗するところもいいよね。
おそろしくサクサク読めた。2時間くらい?こういう水みたいな流れる文章大好き。
そして、自分にピッタリ合う下着って本当に貴重だよね。なんというか、既製品の安いのは「私のもの」って感じがしない。いつもずっと誰か用をつけてるみたいな。それが地味に「普通」と違うわたしを感じさせてくるところはある。
本作で一番好きなのは社長のたかし。 -
Posted by ブクログ
お金や地位はあるけど家や親に縛られている彌栄子と、お金も地位もないけど何にも縛られていない鳴海。
世の中の両極端にいる2人が、鳴海が彌栄子の息子、栄輝の子守りをすることになって接点をもつようになり、しかしあるきっかけで会えない時期を経て、20年後に再会する。
鳴海の飾らない言葉で綴られるモノローグや、最初の印象からは想像もつかないような終盤の彌栄子の様子がなんとも小気味よく、テンポよく、気持ちよく読み進められる一冊。
人ってこんなに変わるんだ、変われるんだ!と思わずにはいられない。
読後に「ピグミーマーモセット」を調べたけど、なんでピグミーマーモセットだったのか、今もわからない。全部が明かされない、そこがまたいい。
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Posted by ブクログ
寺地はるなさんの30作目だという本書。
とある出来事をきっかけに他人が作った料理を食べられなくなってしまった高校生の冬真。
そして、「美しいもの」へのこだわりから太ることに強い嫌悪感を抱く紗里。
それぞれに“食べること”に対して“難”を抱え、世界への信頼を失いかけていた彼らが、ある出会いや出来事を通じて少しずつ自分の足で歩み出す姿を描いた連作六編となっております。
高校生の冬真の視点と国際交流プラザで働く紗里の視点が交互に展開する構成。
主人公たちが抱える生きづらさや拒絶反応は、一見すると頑固だったり極端だったりするように見えるかもしれません。
でも読み進めるうちに、それは彼らが自分を守るために必死だったが故なのだと伝わってきます。
作中で、自己嫌悪が過ぎる紗里に水田さんが言う
「みんな汚ないんですよ。どっかしら汚ない部分、ありますよ。紗里さんだけじゃない」
という台詞が印象的で、言われた紗里は、
“この言葉は私をすくわない。心をほんのすこし軽くしてくれる効果すらない。”
なんてドライな反応しているのですけど(とはいえちょっぴり心が動いている模様?)、個人的には“それな~!”と思うところはありました。
人間って本当に面倒で、ややこしくて、ムズいんですよね・・。
誰しもが他人には言えない歪みや、ブラックな部分を抱えて生きているのだと思います。
なので、本作に登場する、悩みながらも日々を送っているキャラたちの姿に「こんなに生きづらい世界だけど、皆ようやってるよな・・」と、心がほぐれるように思いました。
世界は決して完璧ではなく、理不尽で、汚いものに満ちている。
それでも、自分が思うよりも少しだけ優しくて、温かい手が差し伸べられているかもしれない――。
読後には、周りの世界がほんの少しだけ愛おしく感じられた次第です。
ということで、寺地はるなさんらしい、繊細な心の揺れ動きが丁寧に描かれた物語を堪能させて頂きました。
寺地作品ではお馴染みの〈ほたるいしマジカルランド〉が何気に出てくるのもニヤリポイントですね~( ̄▽ ̄) -
Posted by ブクログ
ネタバレやっぱり寺地さんの本は優しくて癒される。
31才 独身で経理として働いている主人公の椿。
妹は子どもの朔を置いて、新しい恋人と沖縄に行ったので椿は朔を育てている。
変わった環境ということもあり、
周りから「不幸」や「かわいそう」だという前提のコミュニケーションを取られることに違和感を感じている。
それ以外にも、「子どもは作るべき」「結婚するべき」といった社会の前提に違和感を覚えていく。
一方で、穂積が杉尾の事が好きだったという事実を知ったときは、
自分の無神経さに穂積を傷つけてしまったことに気付いたり。
人は傷ついたり、傷つけられたりしながらそれでも人と関わって生きていっていいんだなと思える本だった。
朔が「愛結ちゃん嫌い」と言って、おじいちゃんに「そんなこと言ったらだめ。仲良くしなさい」と言われてるシーンと、椿が嫌いな理由を聞こうとしているシーンに涙が出た。
「嫌だ」という感情って、悪いものとされて簡単に潰されちゃう。我慢させられちゃう。でも本当は我慢することなんてないんだって思える。
自分も、自分自身の朔に、椿のような関わり方をしてあげたいなと思った。