寺地はるなのレビュー一覧

  • わたしの良い子

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    ネタバレ

    『わたしの良い子』ってなんだろう?子どもがいる人なら、ふと考えずにはいられないタイトル。
    自分もそれを自問しながら読んでいたが、最終的に椿の「朔にねがうことは山ほどあるけれども…「良い子」じゃなくたっていい。ただこの世界を生き延びてほしい」に尽きる。
    標準モデルなんてどこにもいないんだから、ホント誰とも比べる必要ないんだよな。
    主人公の椿が物の見方も考え方も人との付き合い方もフラットな人なので、どの登場人物と絡んでもその距離感がさっぱりとして気持ちいい。
    最後に不意に訪れた朔の成長には泣かずにいられなかった。

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    2024年06月15日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    自分は空っぽの箱。他人の気持ちに沿うように生きている。
    自分って何だろう。他人が自分に求める姿、それに応えようとする自分、でも本当の自分は違うかも知れない。自分って、周りから見える自分も、自分自身での評価も合わせて自分のはず。だから一言で、どんな人なんて片付けられない。
    空箱に何かを詰めるのは自分であり、周りの人でもあるのでは。

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    2024年06月14日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    生きていたら必ずしも感じるだろう感情が綺麗にえがかれてる一冊、すてき
    人にはそれぞれ、言葉にしてることの裏にいーっぱい考えていることがあって、表面的にでてきているのはその一部なんだろうなあ

    「よく気づくけど行動力がない人はつかれる」ってささったな、行動力

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    2024年06月11日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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     つらいことがあると犬を撫でました。現実にはいない、架空の犬です。犬を飼えるような家ではありませんでした。もう少し大きくなってからは本をよく読みました。空想上の犬も、物語も、僕の大切な友達でした。


     主人公である山吹の書いた小説が出版されることになる。その刊行記念として書かれたエッセイ『架空の犬』


     現実にはないなにかを心の拠りどころと生きることはむなしいことでしょうか。でも現実にはなくても、心の中には確かに「ある」、それは「確かにそこにある」ということなのです。


     町に遊園地を作る等、夢のようなことばかり言う祖父。愛人のもとに通う父。亡くなった子どもが生きているかのように振る舞う

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    2024年06月07日
  • 月のぶどう

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     なんかこう、逃げてばかりいてなかなか向き合わない歩に最初はイライラさせられるけど、着実に成長して、それを周りが認めていくのがいいなあ。でもそれを和葉さんが悲しむのはよくわかる。

     あとは、冨美雄さんの「うまくいかないことがあったらやり方が悪かったと考えてやり方を変える、自分を嫌いな人に好かれようと頑張らないっていう考え方は、正にそのとおり!!

     それから、光実の結婚式でのおじいちゃんの言葉にもやっぱりそのとおり!!

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    2024年06月07日
  • わたしの良い子

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    文庫版も間違えて買ってしまったので、改めて読んだ。
    妹の子供を引き取ってここまで関係を築ける椿さんの度量の大きさにただただ感服。

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    2024年06月03日
  • 月のぶどう

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    ネタバレ

    双子の関係がよかった。
    じいちゃんの存在感もよかった。
    読んでいて心地よい成長譚でもあった。

    最後の手紙の喩えにはっとした。
    最近、手紙について考えることがよくあった。
    手紙のように、時間をかけて熟成する関係を大切にしたい。

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    2024年05月23日
  • 水を縫う

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    親子でも 人の個性は親子でも異なるもの。頭では理解していても我が子に、我が親に似て欲しい部分や似てほしくない部分はあるものです。なかなか手放すことの出来ない期待は親子にとって厄介なものだと思います。
    社会人の姉、高校生の弟、母、離婚した父、祖母、それに加えて知り合いからの目線はそれぞれの想いが上手く描かれているなと思いました。
    そして、子ども成長は手放して嬉しいもの、想像を超えて、期待を裏切る、そんなものでいいんじゃないかと思います。共依存にならないように、距離感を大切に家族と接していきたいものです。

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    2025年12月03日
  • やわらかい砂のうえ

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    万智子のややこしさが可愛いと思える自分がいて、これって歳を重ねてきたってことかなと思ったりした。
    悩んだり迷ったりした時に、歳の離れた色々なタイプの友達がいるっていいなと思う。
    20代でそんな友達を持てた万智子が羨ましい。
    自分の価値観で冬さんを裁こうとする万智子に「許すとか許さないとか、赤の他人のあんたが言うことではないよな」と言った美華の言葉が刺さった。
    そっか、友達も他人なんだよなぁ。
    無意識に心の中で人の善悪の判断をしてしまう時があるから、しっかり覚えておこう。

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    2024年05月18日
  • 白ゆき紅ばら

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    もう何とも言えない気持ち悪さが終始ついて回る。慈善事業というものは決して『心の綺麗な強く優しい人』が、これまた『心の綺麗な困っている弱者』を救済し、感謝に涙を流すといった童話のようなものではない。それをまざまざと見せつけられたように思う。介護や福祉の体制が中々完全に整わないのは仕事の大変さや賃金の問題もあるが、この助ける側と助けられる側の意識の乖離が大きいような気がする。
    志道も実奈子も、『偽善者』というのがピッタリの人間だけど、この物語に出てくる全ての人が多かれ少なかれこれにあてはまる。祐希を助けてくれた人達も皆どこか完全ではない。
    読後は完全にスッキリとはしないが、少しの希望が救われる。

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    2024年05月12日
  • 正しい愛と理想の息子

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    ネタバレ

    寺地さんの小説で、初めて暴力的なシーンや詐欺という反社会的な描写に出会った。暗くて救いようのない主人公かと思いきや、最後は大切なことに気づかせてくれる、やっぱり寺地さんの小説だと思った。

    幼い頃から貧困にあえぎ、10代で詐欺に手を染め、お金のためなら他者への共感力や思いやりとは無縁になってしまえた青年が、相棒やその認知書の母を通して、慈しみの情が芽生えていたことに気づいてゆく。

    こどもをないがしろにして他者へ貢献してしまう母親、理想を押し付けてしまう母親。こどもは親の関心が得られない寂しさや、呪縛から逃れられず大人になってから苦しむ。

    誰かに見守られながら泣きたい日もある。解説の原田ひか

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    2024年05月07日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    自分 「川のほとりに立つ者は」が面白くて他の作品もと手に取りました。人間の一筋縄ではいかない難しさや優しさを表現しているなってこの作品でも思いました。
    自分らしく自分の人生を生きることは難しいと思います。誰かの影響を受け誰かに頼り生きているのが人生のように思います。
    「大人は泣かないと思っていた」は短編集ですが、つながったお話です。最後のお話「君のために生まれてきたわけじゃない」、父への思い、母への思い、元カノへの思い、親友への思い、恋人への思い、色々な思いがあふれていて、そうやって生きている人間の美しさや強さなんかが感じられました。良い作品でした。ありがとうございました。

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    2025年12月03日
  • 白ゆき紅ばら

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    良かった
    寺地さんの作品は人の弱い部分を上手に描く。

    対照的な二人の、それぞれの苦しみ、戦い方が印象的だ。
    子供の無力さ、子供を子供でいさせない大人、自分の出せない答えを子供に押し付ける大人、搾取する大人…
    春日先生のような大人が一人でもいてくれて良かった…

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    2024年04月22日
  • やわらかい砂のうえ

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    寺地さん作品ですー
    定期的に読み進めてます!


    税理士事務所で働く万智子が
    ウェディングドレスのサロンの手伝いもすることになり、
    そこでの出会いで少しずつ成長していく話


    この主人公の万智子、
    なかなか面倒くさい人物で、、、
    どことなく自分に似ているところがありまして。笑


    会話の瞬発力が圧倒的にないところ、
    あとから脳内反省会してわーってなるところなど、ちょっと私?ってなりました。


    前はポンポン、なんなら何も考えずに話してたのに
    大人になって友達と会う機会が減ってきたからか
    会話の瞬発力の低下がすごくて、、
    後からああ言えばよかったのか、とかよく考えるんですよね。。


    でもこ

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    2024年04月19日
  • みちづれはいても、ひとり

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    島に着いてから急激にサスペンスめいてきたからドキドキしていたけど、ちゃんと救いのあるラストでよかった。
    みんな結局は1人きりだということが救いとして描かれていることに、本当に慰められる。
    特に人間関係に疲弊してる時とか、自己犠牲に酔ってる時とかに。今だ。

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    2024年04月17日
  • 月のぶどう

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    ネタバレ

    寺地はるなさんらしい、一人ひとりの人生が伝わってくる内容だった

    ・光実の由来が素敵
    ・おじいちゃんもちゃんと光実のことを認めてた
    ・母に憧れながらも、自分らしく

    最後歩が受け取った手紙の内容が気になるけど、きっと生き生きと仕事をしてる歓びを綴ったものではないのかな

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    2024年03月30日
  • 白ゆき紅ばら

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    「のばらのいえ」という母子シェルター的な施設で育った、祐希と絋果。
    重くてしんどい中にも時々光が差し込むような、暗く長いトンネルを抜けるような。
    言葉は呪いになる。けれどもその呪いを解くこともできる希望が見えた。
    2人の道がこの先、別れようとも幸せになれますように。

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    2024年03月28日
  • やわらかい砂のうえ

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    序盤で、一歩踏み出せない万智子を見ていると歯痒くてしょうがなかった。そんな万智子に対し、どストレートに言えるあつまりの女性たちがカッコいい。
    終盤になるにつれ万智子が変わっていったのは、見ていて嬉しい気持ちになった。

    本多先生の言葉にグッときた。
    「役に立つとか、立たないとか、人間は道具ではありませんからね」
    役立てるよう頑張ります!とか言うけど、こんな優しい心の角度があるんだな、と新しい角度を知れた。

    「孫もいる爺さんが何を言うかと笑うかもしれまんが、もう誰の子どもでもなくなってしまったのだと思うと、心もとないですね」
    どんな大人も高齢の方も、みんなみんな親がいて、誰かの子どもなんだよな

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    2024年03月28日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    ネタバレ

    連作短編集のタイトルでもある「彼女が天使でなくなる日」。
    彼女というのが宿泊客だったのが違和感だったけど、ラストで「神は絶対であり、その神に仕える天使は善であり、対抗しうる力を持つものは悪とされる」ということを踏まえて「天使になどならせてはいけない。誰ひとり」になるんだな。すごい仕掛けだ。
    理津子が民宿えとうみたいな場所を作る話も読みたいな。

    途中で出てきた蜂蜜は「今日のハチミツ、あしたの私」の蜂蜜かな?他は気付けなかったけど、こんな仕掛けがあるなら理津子さんの話もある気がしてしまう。

    「倦怠期真っ最中の恋人に抱かれながら昔の恋人を想う女のように、からあげを咀嚼しながら寿司と刺身のことを考

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    2024年02月25日
  • ビオレタ

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    ネタバレ

    『いつも心に棺桶を』が社訓のビオレタ。
    店主の菫さんの名前をイタリア語にして、
    ビオレタ。

    なかったことにはしたくないけれど、ひっそりと埋葬したいなにかを、手作りの棺桶に入れようとする人たち。そうやって心にけじめをつけて、また新たな一歩を踏み出す人たち。
    ビオレタのようなお店がある、という存在だけでも心の支えになりそうな気がした。

    「誰かの庭になる」という発想は面白いと思った。私は誰かの庭になれているだろうか。誰にでも開かれた、陽の光が燦々と差し込み、植物が生き生きと育まれている、風通しの良い庭。わたしも誰かのそんな庭になりたい。

    少しファンタジーも入るのかな。紆余曲折ありながら年上の彼

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    2024年02月22日