寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何か大きな出来事があるわけではなく、誰にでも起こりうる日常を描いた作品なんだなと思った。
主人公で語り手の實成は、人に流されず、自分の気持ち、考え、抱いた違和感など、機微を大切にしていて、そして言葉も選んで会話ができる人で素敵だなと思った。
塩田さんとの最後のシーンは、2人の会話がとても素敵で、互いのことを深く理解しあっていることが伝わってきて感動した。
ただ「もっちゃん」はそこまで作中で触れられてなかったので、最後いきなり話が飛んだような、少し気持ちがついていけなかった。
そして真面目で大人しい人だと思ってた伊吹さんはいろいろ大変だった……實成への嫌がらせはさすがに酷いと思った。 -
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ネタバレおそらく、この本のテーマは「愛」と「時間」だと思う。
たとえ狭くても自分の世界を快適に保ちたい今どきの若者・桐矢と、ガサツで声が大きく、配慮のない昔気質の男・義景。性格も生き方も正反対の二人が、少しだけ一緒に暮らし、義景が亡くなるまでの物語である。
祖父の義景は、三人の娘や孫たちにまで避けられ、嫌われ、恨まれている。妻は三人の娘を捨てて家を出ていったが、実は別の男性のもとへ行っていたことが後に明らかになる。
義景は過去にさまざまな経験をしてきたが、それを表に出さないために誰からも理解されない。そして、彼自身も理解されたいとは思っていない。彼の本当の姿を知っているのは、読者だけ。
実際、物語の中 -
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ネタバレガラス製作の溶解炉から放たれる熱は1300度以上。
まぶしい炉をひたすらに見つめ、ガラス職人は作品と向き合う。
それは「燃える海」へ漕ぎ出す小さな小舟に例えられている。
頭で描いた通りになることはないけれど、思い描くゴールの方向へ、ただひたすらにオールを漕ぐしかない……
ガラス職人の静謐な心理描写が貴いと思った。
物語は、
祖父のガラス工房を引き継ぐことになった兄と妹のお話。
ガラス職人として、人として、成長していく二人を見守るように読み耽った。
兄の道は、おそらく発達障がいを抱えていて、誰からも理解されない、理解できないという苦しみの中で生きている。
一方、妹の羽衣子は、いわゆる「きょう -
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九州の田舎村をいつか出ていくことを夢見る天。
天に特別な感情を抱いている藤生。
そんな藤生に恋心を抱く東京生まれのミナ。
閉鎖的な村で思春期を過ごした3人が、30歳になりふたたび再会する。あのとき、30歳になったそれぞれに宛てて書いた手紙を開封するために。
「どうしてわたしはあの子じゃないの」というタイトルの通り、何者かになりたくてなれなくて、身近な人たちを羨む中学生たち。
でも結局自分は自分にしかなれなくて、ほかの誰も自分にはなれない。
ずるくても悪くても、そうやって生きていくしかない。
〝神さまはちゃんと見とらすよ。俺たちがすることを、ぜんぶ。でもただ見とらすだけ〟
〝というわけで、 -
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いわゆるジャケ買いした1冊。
完全にだまされた。題名と表紙の柔らかさに勝手にほのぼのとした物語だと思い込んだ。
でもこんな騙されかたなら、また騙されたいかもと思える位、テンポも中身も心地よい1冊だった。
三姉妹の母を持つ「桐矢」はいとこも女性だらけという完全な女系家族に生まれる。
男だからと古い固定観念を持つ祖父「義景」は
みんなから嫌われていた。
桐矢自身も、がさつで何にでもすぐに悪口を言う祖父が苦手だった。
祖父も高齢となり、1人で暮らし続けていくことを心配する娘たちに祖父「義景」はこう言い放つ。
「桐矢とだったら暮らしてもいい」
そんなこんなで始まった、祖父と孫の同居生活。
心