寺地はるなのレビュー一覧

  • 月のぶどう

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    ワイン農園で働く双子の姉弟。母の意思を守ろうとする姉と特にワインに興味があるわけでもない弟。この2人の違いがいい。自然を相手にし、うまくいくこと。いかないこと。どうしようもできない出来事。そういうことを繰り返しながらワインを作り、自分の立ち位置を見つめる2人。1人で背負いこむ姉と1人ではまだまだな弟。でも近くに誰かがいるという救い。苦しくなる時、逃げ出したくなる時にそういう存在がいることの心強さ。たくさんの工程を経て熟成して作られるワインのように、たくさんの人と出逢い、感情を知ってその人の味が作られ年々深くなっていく。新しいことを始めるワクワクと恐怖。でもその先にあると信じるもの。さまざまな想

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    2018年12月10日
  • ガラスの海を渡る舟

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    兄の道の言葉は刺さるし響く。色々な気遣いとか世間体とかそういったことがなく、そのものに向き合って発しているからだろうな。お世辞とかもない。
    妹の立場もわかるから何とも言えないなぁ。普通とかじゃなく一人ひとり違うと割り切れれば良いけど、まだ若いからな。

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    2025年12月20日
  • いつか月夜

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     この心地よい集まりはいつまでも続くものではないんやろうとまず思う。満たされた人は自然に離れていくやろうし満たされなくても細い絆の集まりなんでちょっとしたことで切れてしまうやろう。そんなせつなさを内包しながらも補完し合っているうちにそれぞれの夜道に月が出たらええなという話。
     自己の価値観を正しいとして押しつけてくる人々は実はそれこそが究極の「悪」やとは気づかないまま他者に澱を溜めさせるので深夜の散歩はその掃除でもあるんやろう。実のところ自己の価値観と他者の価値観は常に違うということさえ皆が理解しようと努力すればだいたいは改善できるんやろうけどそれが人には難しい。この話もスカッと終わるわけでは

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    2025年12月20日
  • リボンちゃん

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    ほっこり。優しい気持ちになれる本。ほんわかしながら自分をしっかりと持っているリボンちゃん、いいなあ。

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    2025年12月17日
  • 世界はきみが思うより

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    世界に対して受け入れがたさ、あるいは後ろめたさのようなものを抱えながら生活している人たちの連作短編集。
    各話の語り部が話しだす、めいめいの思い出の食べ物に心が温まった。人のこういうエピソードを教えてもらうのすごく好きなんだよなぁ。私自身もよみがえるものがたくさんある。

    そうした思いを包括する最終話、『ピクニックバスケットの歌』がとても良かった。
    残った女子たちによる、おだやかな春の日の持ち寄りピクニック。こういうあたたかい大人たちのまなざしの下で育った彼らなら、きっと大丈夫。ゆっくりと世界への信頼を取り戻していけるはずだと、根拠なく思うことができた。

    余談だけど、このまえ読んだ『だから夜は

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    2025年12月17日
  • リボンちゃん

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    ちょっとだけ変わった、でも素敵な人たちの物語。

    第二話のえみちゃんのお話と第三話でマリエさんのお店に行くあたりが好きでした。

    「人生を変える必要があるの?」という問いに
    リボンちゃんこと百花が「下着ひとつで人生を変えられちゃ困る」と答えた理由として話す
    「ここに傷があるな、とか、ほころびがあるな、とか、いろいろ思いながらも大事にしてきたつもりなんです。わたしは、わたしの人生を」
    の言葉が響きました。

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    2025年12月15日
  • 川のほとりに立つ者は

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    素敵な表紙の印象とは、全く異なる内容のストーリーでした。
    寺地さんの作品には珍しくややミステリー要素もあったり、色々な障害や家庭問題の事も描かれています。最後はこういった作品にありがちな終わり方では無かったのも意外でしたが、でも実際はみんながみんな綺麗事で終わらないのが現実だよねと実感させられました。そういう意味では、すごく現実味のあるストーリーでした。
    また他人を本当に理解するのって難しいことなんだと、この作品を読んで改めて考えさせられました。

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    2025年12月14日
  • ガラスの海を渡る舟

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    兄弟も夫婦も一人一人違う人間で、まったく同じ人間なんていない、凸凹は補い合って一つになれるんじゃないかなと思いました。

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    2025年12月13日
  • ガラスの海を渡る舟

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    ネタバレ

    面白い面白くないはわからない。ただ一気に読めたし、読んだ後しばらく考えた。読んだ後に考えることを残してくれる本は良い本だと思う。だからこの本も良い本なんだと思う。
    色んな人の感想が聞きたくなる本だった。

    「発達障害は人の気持ちが分からない」とよく言われるしこの話にもあったけど、じゃあ発達障害の気持ちが分かる定型発達は何人出てきただろう?
    定型発達が発達障害の気持ちが分からないことは「人の気持ちがわからない」に入らないのなら定型発達以外は人ではないってこと?
    という言い方は意地悪だろうか。

    感情を制御しない妹
    診断を受けさせない、離婚しない、頑なな母親
    穏やかに話し合いのできない伯父
    そのフ

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    2025年12月13日
  • ビオレタ

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    婚約者に振られた上に無職になってしまった妙。
    雑貨店の店主菫と出会いそこでアルバイトを始める。不思議な家族関係、胡散臭さ満点の千歳さん、生意気だけど大人な高校生の蓮太郎くんと個性的なキャラがたくさんで面白い。温厚だけどズバズバ物を言う妙のパパさんも素敵。

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    2025年12月12日
  • ガラスの海を渡る舟

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    ガラス工房で働くことになった姉、「特別な存在になりたい」と思う羽衣子と、「臨機応変」「空気を読む」ことができない弟、道との微妙な距離感や人間模様が描かれた作品。

    「信頼」と「期待」は違うんだな、ということを学ばせてもらった。

    みんなちがって、みんないい。
    そんなことを思った本だった。

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    2025年12月09日
  • リボンちゃん

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    普通の枠から、ちょこっとだけ外れた、普通の人たちが次々に現れる1冊。
    そのちょこっとを、誇りに思えるか、自分自身だと思えるかが生きかたのミソなのかな、と思った。
    「ここに傷があるな、とか、ほころびがあるな、とか、いろいろ思いながらも大事にしてきたつもりなんです。わたしは、わたしの人生を。」

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    2025年12月08日
  • 世界はきみが思うより

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    高校生の香川冬馬(とうま)は、特別仲の良い友人がいるわけでもなく、周囲に溢れる多様性への寛容さや垣間見える排他的な空気に馴染めないでいます。そんな彼が同級生の時枝くんとその妹に出会います。食べることをキーワードに、関係する人々とのやりとりを通じて考え成長する物語だってと思います。十代の人達にも、その親世代にも、読んで面白い内容と感じました。ちょっと良い話すぎるなとも感じてしまい、星3つといたしました。

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    2025年12月08日
  • 雨夜の星たち

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    主人公が少しずつ他人に興味を示したりする様が自然で1人の人の変化として無理がないとこは良かった物語全体を通して起伏が少なく少し退屈なとこがあった。姉に対して「苦しそうよねぇ」と言った母の言葉が表面上心配しているように見えるが嬉しさが見えるシーンなど日々の生活で何気なく見かける事象を繊細に表現している

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    2025年12月08日
  • リボンちゃん

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    『リボンちゃん』という名前から、主人公は結構ふわふわしていて、優柔不断とかなのかなぁと勝手に想像しながら読み始めました。
    でも、読み進めるうちに、自分の事を客観視してるし、相手の事を尊重して会話をしているしと、全然ふわふわしてない!
    下着のリフォームの話だからといって、『下着が変わると人生も変わる』みたいな話でもなくて、もっとそっと寄り添う存在みたいに描かれていたことに好感が持てました。
    そして「リボンちゃん」の考え方や感じ方に刺激を受け、もっと自分の人生を大切にしようと思えました。

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    2025年12月07日
  • リボンちゃん

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    レースやフリルやリボンで彩られた下着を見てワクワクしていた子供時代。
    入院中のお母さんのブラジャーを分解して、父に「異常、おかしい、いかがわしい」と言われるが、その時唯一味方をしてくれたおばさんとの交流を通して、自分が本当にやりたい事を見つけるまでが描かれた作品。

    OLとして勤務する会社の社長はちょっと風変わりで、コネ入社の姪っ子はそんな叔父とは違って、人と違う事や周囲から浮く事を避ける傾向にある。
    そんな2人の背景や会話は「自分らしいって?」や「多様性とは?」という事について考えさせられる。

    そして、マリエさんが言った「わたしはいつか死ぬ」「できるうちに、できることをすると決めたの」とい

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    2025年12月07日
  • ほたるいしマジカルランド

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    めっちゃひらパーっぽいなあって思いながらずっと読み進めてたら最後にひらパーに協力ありがとうございましたって書いてあってやっぱりーってなった

    特に何が伝えたかったかわからなかった

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    2025年12月06日
  • カレーの時間

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    昭和の人らしく武骨で、飾らなくて、表現下手な祖父が孫との同居によって、生きてきたその背景が見えてくる

    戦争が終わって食べるものも家族もない中で、ただ食べることに必死になって、生き抜いてきた人の生き様がレトルトカレーを通して表現されています

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    2025年12月06日
  • 水を縫う

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    ネタバレ

    【男らしく、女らしく】そういう時代ではなくなった。無意識のうちに決めつけた発言をしてしまわないか気をつけようと思った。男女に限らず年齢や立場など、自分以外の誰かから決めつけられた〇〇らしく〜じゃなくて【自分】が大切。黒田縫製社長の視点が一番じんわりきた。子どもにとって両親以外に相談ができる大人の存在って大きい。大人になって、誰かの世話を焼いたり、頼りにしてもらえる子どもとの関係を築くことが、自分が自分でいられる、真っ直ぐに立っていられるような張りを与えてくれるんだな。あなたの決めたことを応援し、支える、見守る。大事だね。それはそれは美しいドレスができて満足でした。

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    2025年12月05日
  • 水を縫う

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    ネタバレ

    色んな登場人物が出てくるが、みんなそれぞれ世間一般にいう「普通」とは少しズレているところがある。ただそれは決して恥ずべきものではなく、「個性」であり「権利」であると思う。当たり前や普通を押し付けられてそれに従わせられるこの世界に声をあげるような内容で、これからどう生きて行くべきかを考え直した。自分で選べる自由は、失敗の責任を全部背負う辛さをともなっているから。他人にどう思われるかを考えたら、そりゃ尻込みしてしまう。隣の芝生は青いから。自分が何をしたいのか、何が楽しいのかを大切にしていこうと思った。

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    2025年12月04日