寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終えたあと、胸の奥がじんわりと温かくなり、自分の周りの世界がいつもより少しだけ柔らかく見えてくるような作品だった。
誰もが完璧ではなく、順風満帆に見える人だって、人には言えない悩みや自分の中での葛藤を抱えて生きている。
みんな、目には見えない「何か」を背負いながら、今日という日を懸命に重ねているのだと思う。
そして印象的だったのは、登場人物たちの距離感だ。
周りの人もまた、相手の抱える不完全さや事情を知りながらも、余計な口を出さずに黙って見守っている。すべてを暴こうとせず、ただそこに居ることを許すような静かな温もり。
無理にすべてを明かす必要はないけれど、ほんの少しだけ心を開いて、自分の言葉で話してみる。
そして、お互いを少しずつ知っていく。
「完璧じゃない者同士が、お互いの存在を尊重し、そっと寄り添う」
そうした不器用で静かな営みこそが、本当の意味での思いやりであり、愛なのかもしれない。
日々の暮らしの中で、自分や誰かの不完全さに落ち込みそうになったとき、またそっと開きたくなる一冊に出会えた。 -
Posted by ブクログ
諸々、「これがわたしだ」と受け入れることにした。
泣くことは恥ずかしいことではないけれども、泣いている姿を他人に見られるのはきっかけ恥ずかしいことだ。
ようやってる、と自分に言うんです、月一回。声に出して。
私の人生はクソでした。けど、それは今日や明日を投げ出す理由にはならない。目の前のことをやるしかないんやって、そうすることでしか自信はつかへんらしいよ。
ささやかな実績を積み上げていくことでしか自分を肯定することはできない。他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる。
忘れてしまったのだろうか。もしそうなら、すこしさびしくてうれしい。
笑いたくない時は笑わんかてええんや。
ずーっと幸せやった、わたしの人生は。わたし自身のおかげでね。自分で人生を切り開き、必要なものを選びとる。
がんばってるから愚痴も言いたくなる。そうなんちゃうの?
向いてなって思うなら、変えたらいい。環境なり手段なりを -
Posted by ブクログ
大阪南部のワインの産地となるとあのあたりかな?と想像しながら読み進められた。
双子でありながら「出来る姉/出来ない弟」と言われ続けて育った弟は実家にあまり寄り付かなかった。
しかし、母の急逝により家業を手伝うことになり1からワイン作りを学び始める。
学び始める、と言っても同僚からは見下され、上司に当たる人は何もするなと教えてもらえない環境。
その中でも腐らず実直に進んでいく姿を応援したくなる本だった。
「美しいものや華やかなものも地味なことの積み重ねでできている」
ぶどう作りの細やかさ、選択の連続、そしてワインの仕込み。大変な労力の一端を読ませてもらった。