寺地はるなのレビュー一覧

  • ガラスの海を渡る舟

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    あたたかいかんじ。うちが好きなセンチメンタルな感じってわけではない。でも、あたたかくて、きれいでやさしくなる本。言葉ひとつひとつが良い。

    登場人物一人一人の気持ち、考えが押し寄せてくる。どれの気持ちも理解できるから難しい。

    今までずっと感じてる劣等感とか、焦燥感とか、そういうもの全て含めてそのままでいいんだよって言ってくれているような気がする。最後の方に自分のことを認めてあげようともがく羽衣子の気持ちが痛いほど良くわかる。私もいつか自分のことを認めてあげられるようになりたい。いつかその日まで、努力し続けようと思う。

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    2026年08月17日
  • ぬすびと

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    タイトルから、主人公が犯罪者なのかな?と想像したけど、こういう意味だったのね。老舗菓子創業家の彌栄子と、息子のベビーシッターの鳴海との、一緒にいた期間は短くても深い繋がりを描いた作品。ページ数は少ないので、さらっと読める。

    生まれや立場の違いはあるけど、お互いの無い部分を補完し合い、二人の心の交流が広がっていく。彌栄子が、古い男尊女卑の世界から新しい一歩を踏み出し、自分の足で歩き始める危なっかしい姿が微笑ましい。しかし周囲はその変化を受け入れられず、シッターの鳴海は追い出されてしまう。

    なによりも、鳴海の夫、暖の存在感。いつもそっと寄り添って、影でサポートしてくれる。読書するのは自分の器を大きくするため、というのもかっこいい。鳴海が人生に悲観的になっていたときも、弟が荒れてしまったときも、暖がいたから乗り越えられたのだと思う。

    その後、長い時間を経て再会した彌栄子と鳴海は、過去に解決できなかった問題に挑む。晴々しいラストのダンスシーンが素敵だった。

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    2026年08月16日
  • 正しい愛と理想の息子

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    ハセ、何も持ってないように見えて、本人も気づいてないけどありのままの自分を受け入れてもらえてる人が周りにいる。コンビの相方である沖は、ハセが持ってなかった教育熱心な両親を持ちながら、勉強や習い事が身につかず、ハセと同じゾーニングの人たちと働く。

    その方の登場人物たちも、人が羨むものを持ってるのに、持ってないものを他人と比較して羨んでいる。ある物に目を向けるって大切だと思う。ただ、最後に民生委員会?の同級生が、ハセに努力すれば学歴も手に入ったじゃないと言い放ったのは無責任で、エゴだなと思った。

    ハセ達が、老人との関わりあいで真っ当な道を進もうと方向転換をして良かったと思った。

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    2026年08月12日
  • きよくしぶとくやかましく

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    白日(シラヒ)町に暮らす夫婦江南(エナ)とマキオと、それ取り巻く青年団や婦人部の人々の物語でした。
    世の根底に残る男性役割・女性役割というものをこき下ろしている様子がコミカルに描かれていて痛快で、またとても読みやすい内容と思いました。より本質的には、多様性といえばなんでも許容しなければならなくなっている昨今の風潮に対して、その安易さにこそ辟易している人々のシニカルな意見を表現した内容なのではないかとも思いました。星3つの評価です。

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    2026年08月10日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    2017年出版、文庫で264ページ。巻末に解説が有る。つまりは、解説が必要な作品という事かなと思う。特別な何かを持った人々では無く、概ね普通、の中でも「割り切ることを適度に捨てる」事の難しさが描かれていのかな。文学作品的な、業界人同士に受けやすい?何を描きたいのかな?と「??」が頭の中にに多数溢れた。特に前半は、正直言って退屈で辛かった。半ばを過ぎて、段々と面白いのかな?と思えてきたけれど、途中迄は「2」位かなと感じていた。著者の作品は割と好きで読んできたのだが、本作とは余り相性が良くなかったようだ。

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    2026年08月10日
  • ぬすびと

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    心の結び目が
    ひとつずつ丁寧に解かれていくような感覚になり
    最後にはふ〜っと深く息をつくことができました

    寺地さんの紡ぐ言葉に いつも救われます



    物語ではどこか不器用で
    生きづらさや小さな痛みを
    抱えた人々の姿があり…

    彼らが心の奥にそっと隠している感情や心の揺れを決して見捨てずにすくい上げてくれます

    作中で語られる言葉のひとつひとつが
    まるで自分の心に優しく絆創膏を
    貼ってくれるかのように
    「そのままでいいんだよ」と肯定されているような心地よさに満ちていきました♡



    人の寂しさや切なさ…
    そして誰かと繋がりたいと願うひたむきな想いを
    物語を通して愛おしさをもって描き出す描写に
    何度も胸がじんわりと熱くなりました…

    このあたたかく優しい佇まいの装丁も素敵♡

    トゲトゲした現実のなかで
    傷ついた心をそっと包み込み…
    明日へ歩き出す小さな勇気をくれる
    そんな宝物のような作品に出会えました

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    2026年08月08日
  • カレーの時間

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    寺地さんの作品はとても好きなんだけどこちらはあまりハマらず、、おじいちゃんのことがあまり好きになれなかった。

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    2026年08月06日
  • きよくしぶとくやかましく

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    あぁ、田舎暮らしってこんな感じだったと思い出す。結構、周りに溶け込んでうまくやっているんじゃないだろうか、江南。しぶとくいきたいもんだ。

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    2026年08月05日
  • 最後の晩餐

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    「最後の晩餐」をテーマにした、女性作家たちのアンソロジー。
    どの作品も面白く、すぐに読み終わった。
    自分の「最後の晩餐」は何がいいかな?
    何を食べるかより、誰と食べるか、なのか?
    いや、やっぱり一人がいいな。
    …と、いろいろ考えさせられるのも面白い。

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    2026年08月04日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    少し困った両親に育てられた兄弟のどちらが幸せだったのか

    姿を隠すことで弟は何か救われたのか
    失踪した弟を探すことで兄は何か救われたのか

    終始澱んでいる感じですっきりしなかった

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    2026年08月02日
  • 水を縫う

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    初めての寺地はるなさん作品。
    タイトルが綺麗で、章ごとに語り手が異なるが、全体を通して、男子高校生の清澄が姉の水青のウェディングドレスを仕上げるまでの一つの物語になっている。

    様々な語り手の立場から各章が描かれるが、祖母が数十年の時を経て新しい一歩を踏み出すシーンや、黒田の愛情深さには思わずうるっときた。一方で、姉の水青にはあまり共感できず、彼女の心境の変化も唐突に感じられた。

    作品全体ではジェンダーロールや社会から求められる役割による「自分らしさ」の抑圧が大きなテーマとなっていると思われるが、その枠にとらわれなくとも、祖母のエピソードは「長年、自分より家族や周囲を優先してきた一人の人間が、最後に自分の望みを取り戻す物語」でもあり、黒田のエピソードは、家族・他人という役割を超えて一人の人間として他者に静かに愛情を注ぎ続ける姿が描かれていたと感じた。また、その黒田の愛情深さに清澄がしっかりと気づいていたのも良かった。

    タイトルについては最後まで読むと理解でき、随所随所に水の存在感が大きいこの作品にピッタリの、美しいタイトルだと感じた。
    家族や他人との関わりを通して葛藤しながらも、「流れる水」であるかのように淀まず自分自身や他者と向き合う姿は尊く、暖かい気持ちになれる一冊だった。

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    2026年08月02日
  • ぬすびと

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    表紙は可愛らしいのにタイトルが物騒で一体どんな話なのかとビクビクしながら読みはじめたが読んでみると過剰に構えすぎていたことに気付く。
    どこかなげやりな主人公の女の子とお金持ちな一家と過ごす日々がギャップがあって面白くて、でもうっすら危うさも感じる。
    どんなふうに物語が進んでいくのか最後までハラハラしながら読んだ。

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    2026年07月31日
  • きよくしぶとくやかましく

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    著者の中でも、ジェンダー強め、くすりポイント多めの物語。自分の中だけで密かにつけるあだ名(たいがい悪口)とか。

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    2026年07月31日
  • ぬすびと

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    鳴海は、かつて喫茶店で働いていた頃に、友人が行くことになっていた菓子メーカーの創業一家・南雲家の子守り役を自ら受けて働き出す。
    やんちゃで誰もがお手上げになるほどの気難しい少年・栄輝の世話もこなして、奥様の彌栄子とも心通わせていくのだが、社長の忠雄や親戚たちは鳴海に冷たかった。
    やがて…忠雄が倒れた後、二度と彌栄子とも会えなくなり、20年が経った頃、栄輝から電話が掛かってくる。

    たった1年の付き合いだったとしても、それは思いの外、心に深く刻み込まれている数々の思い出があって、彌栄子と鳴海の関係は友情よりも尊いものに感じた。
    きっとそれは、真珠のネックレスを首にかけたときから…彌栄子さんから「あげたんです」と言われたときからだったのだろう。
    返せないまま時が過ぎたのは、いつか再会できることを待っていたのかもしれない。
    そして、そのときには真珠が似合う年齢になっていたことも。



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    2026年07月29日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    登場人物の背景色はこんなんだったな 寺地はるなさんの何かしら癖があるから その人たちが出会う際の化学反応を楽しむってことだろうな、田舎のしがらみとか聞いてるだけで虫唾が走る 父親も会話にならず、朝病院行くよと言うが明日行く 喉が痛いし、じゃあ今行こう、明日は用事あるから と言っても明日行けると変な自信持っている 声だかに喋る相手に通じない自分が可哀想 子供だから介護するの当然と思っている せめてデイサービス休まず行けよ、もう5回休んでる ベッドの上にずっといるから大丈夫だと言う ハッ何が大丈夫 か ?あーいえばこういう 物事考えることやめて薄い知識で生きてる、あんなの介護するの嫌だ。

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    2026年07月29日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    いつも初めての作家さんを選ぶ時には、タイトルに惹かれて手に取り、裏表紙のあらすじを読んで購入するのか決めることが多く、この作品もそうやって手に取った。
    タイトルはとても興味をそそるが、それゆえ、タイトル以上の内容でないと、期待が大きい分、読後にうーん、とちょっと残念な気持ちになってしまうことがある。
    映画化もされているので、もちろんテーマは引き込まれやすい家族との葛藤が描かれているのだが、私には、所々の文体の癖? が引っかかるのと、母の嘘の後の母子の距離感がちょっと簡単過ぎるように感じてしまった。
    リアルならもっと泣き喚いて叫び散らして本音をぶつけてもいいんじゃないのかなと。

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    2026年07月28日
  • 水を縫う

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    さつ子さんだけはどうも好きになれなかったけど、それぞれが「らしさ」に抗っていて、わかるわかるという感じだった。
    水を縫う。なるほど。

    流れている水は清らかだ。

    岩にぶつかっても流れを変えて進む。無理に逆らうこともあれば、受け流すこともある。それでも止まらずに流れ続ける。

    滔々と流れる川のようでありたいなと思う。
    頑固に同じ形を守ることでも、何でも受け入れて流されることでもなく、自分らしさを失わずに、しなやかに前へ進み続けたい。
    人生の目標だな。

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    2026年07月28日
  • ぬすびと

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    人の気持ちは言葉がないとわからないと思う一方で、言葉がなくても心を交わす、というより、人を想うことができる、と改めて思った。

    鳴海がプールの清掃のときにエミリに似た人を見て、想いを馳せていたシーン、で特にそう感じた。

    個人的に好きなのは、家政婦の三枝さん。ちょっと冷たいと感じるところもあるけど、一番にみんなのことを想ってくれてる感じがする!

    ここも好き。

    「おれはね、知ってる言葉が増えるのって、器が増えることだと思う」大きすぎる感情を小さな器に注げば
    溢れる。...よく器が大きいとか小さいとかいうけれども、おれは自分はきっと器の小さい人間なんだろうと思ってる、でも小さい器をたくさん持つことはできると思ってる(p.120)

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    2026年07月26日
  • 最後の晩餐

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    最後の晩餐という死に関するテーマでありながら、どれも読みやすく優しい気持ちになれる話が多かった印象。
    特に井上荒野さんの話は家族に会いたくなる、希望に満ちた内容だった!井上荒野さんの本読んだ事なかったけど他も読んでみようかな、、?
    金原ひとみさんのポップでミーハーな感じも好き!

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    2026年07月26日
  • 月のぶどう

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    双子の成長物語。登場人物みんな自然で、成長感も違和感なし。
     仕事とどう向き合っていくか。自分の状況を客観視できるか。

    みんなまっすぐだなあ、という感想。
    ずんずん進んでいく背中を見ているイメージ

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    2026年07月25日