寺地はるなのレビュー一覧

  • 雨夜の星たち

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    「嘘や建前ば言わんとは、ただ自分が楽したかだけのこつやろうもん。他人にはいっさい 気遣いとうなかて、そらただの怠慢たい」
    嘘や建前を言わず、やりたくないことはしない、そんな雨音に向けられた言葉。

    私もずっと「嘘や建前」「察する」ことは善だと、大人の嗜みなんだと思ってきた。
    読み始め、雨音の言動がいまいち理解できないというか、「うーん…?」という気持ちだったのはそこから来ているのかもしれない。

    読み終わった今、過剰に他人に気を遣うことってはたして本当に必要なんだろうかと思う。それって本当に「気遣い」なのかな。人間って疲れる。

    表紙のイラストの傘はあのシーンだったのか、と気付いた。

    ●よく

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    2024年10月02日
  • ほたるいしマジカルランド

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    ふんわりとした終わり方で、あの人やこの人はどうなったんだろうと気になってしまった。大きな事件が起きるわけじゃない、やさしい物語。
    やさしい分ちょっぴり退屈に感じる時もあり、私にはあんまり合わなかった。
    でも心に残る言葉は散りばめられていた。
    ーーー
    「仕事って楽しいですか」

    楽しいものか。なにが楽しいものか。
    金のために働いているだけだ。

    今日も明日も生き延びるために、
    ほんのすこしでも社会の役に立てるなら、
    自分みたいなものでも
    生きている意味があるもしれないと、
    あると思いたいと苦しい息の下で願いながら、
    ただただ毎日必死で働いているだけだ。
    ーーー

    「あたりまえ」は変わるんや。

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    2024年10月01日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    希望と関わってきた人たちからの話で徐々にわかっていく希望の一面に、誰を信じたらいいかわかんなくなった。

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    2024年09月25日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    涼やかで静かで断ることのできなかった希望が
    言った
    「いやです。ぼくの休みは、僕のものです。」
    霧が
    晴れた

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    2024年09月25日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    タイトルと表紙の絵がファンタジーな話を連想させるが、全くファンタジーとは無縁の羽猫家のバラバラな家族と、その長男山吹の物語。
    現実にはいない架空の犬を撫でながら幼い頃から生きてきた山吹。

    物語というのは、言ってしまえば現実におこったことではない。嘘、です。
    物語を読む、現実にはないなにかを心の拠りどころとして生きること。

    人は見えない嘘を心に抱えて生きているのかもしれない。
    わかっていても誰もが触らないように生きていく。
    家族だって架空の犬であり、嘘をつく猫なのだろう。
    嘘がほどかれたとき、その糸を手繰り寄せてまた紡いでいく、家族にしかできないことなのかもしれない。

    彩瀬まるさんの解説が

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    2024年09月23日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    「自分」を持つとは何なのか。そんなことを考えた。

    兄誠実が、失踪した弟の希望を捜索する中で、様々な人たちの生き方が出てくる。
    「自分」を出せない人、「自分」に自信が無い人、「自分」を持っていないと思う人。
    多くの人が「自分」を持って、生き生きとした人生を歩みたいと思っている。けれど、その「自分」はどのように見つければいいのだろう。見つけた「自分」は、本当の「じぶん」なのだろうか。

    私はこれから多くの経験をする。そんな中でも、自分の意思を考え、尊重し、人と関わり、生き生きとした人生を送りたいと思った。
    私がしたいことをする。嫌だと思ったことは、嫌だという。私がありたいような姿を目指し、求め続

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    2024年09月22日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    同じ町に住む、いろんな人間の視点から成されるひとつの作品。それぞれを短編と捉えることも出来るかもしれないほどに、だれもが複雑な何かを抱えている。それを持った人間たちが人間関係という形で繋がり合い、絡み合っている。
    全編通してなんとなく仄暗い、リアルでビターな雰囲気。でもふんわりあたたかい。
    強いメッセージで背中を押してもらえる!というよりは、わたしたちに寄り添いながら気づかせてくれるような作品。

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    2024年09月12日
  • わたしたちに翼はいらない

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    世界の電機メーカーのお膝元、電車の便もよく、便利で開放的な市。大学もいくつかあって、出たいとは思わない。親や親戚、夫婦も友達も、保育園のママ達も中学の頃からの知り合い。いじめっ子だった夫、離婚したシングルマザー、転勤で戻ってきた元いじめられっ子。

    読み進んでようやく形作られてきた人物像が、別の話者の語りで再構築を強いられる。世の中みんなが世界。小説ならでは、です。

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    2024年09月09日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    突然失踪した弟・希望ノゾミのゆくえを追う兄・誠実マサミ。希望のゆくえ、ね。

    希望を捜し、彼と接点があった人とを訪ね歩く中で、自分が知らない弟の姿に出くわし、そして、弟と過ごした記憶をたどるうちに、誠実もまた自らの生き方を省みざるを得なくなっていく、みたいなお話。
    現実を『見ずに済まそうとしてきた』誠実は、なんとなく誰しもそういうところはあるよなという感じで、読んでいてちょっとだけ胸が痛かったが、あのラストで浮かばれたのか、どうかな。
    一方、自ら『空っぽなので』という希望の姿は、彼の失踪の謎から始まった話としては身も蓋もない。文庫のために書き下ろされた話でなんとか丸め込んだという印象。
    好き

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    2024年09月08日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    子供の頃から自分に向けられる期待にそうよう生きてきた。誰かに何を頼まれても「いいですよ」と言う。でも、自分の心の中は空っぽ…。悲しい人だな。でも、これから少しずつ「自分」を形作っていってほしい。

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    2024年09月02日
  • やわらかい砂のうえ

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    自分の気持ちは自分だけのもの。
    他人も同じ。
    正しいとわかっていても、それができない、しないことはある。
    人と関わることでしか学べない、気づかない、変われないことがある。

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    2024年09月01日
  • 声の在りか

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    主人公、希和への共感と好感が高かったです。

    何よりも不甲斐なさと諦観に翻弄される有り様が、
    自分を見ているようで居た堪れなかった‥笑

    希和の主観による日常の葛藤が描かれている中で、
    垣間見える社会的構造の不条理と、格差。
    それが当書では、家庭内に留まらず、職場や保護者会、
    その他日頃のちょっとした出来事として、
    素朴に、かつチクリと刺さる言葉で表現されています。

    言いたくても言い出せないもどかしさは
    経験してきたなあ‥。
    共感できる方は多いと思います!

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    2024年09月01日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    寺地さんの作品は3作目だけど、1番好きかもしれない!
    ちょっとビター。でもあたたかくなれるような作品。

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    2024年08月30日
  • 声の在りか

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    ネタバレ

    感想
    どうすれば届くのかな。そんなことを考える。自分にできることはないのかも。でも声にならない声は届いている。きっとあの人も見てくれている。

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    2024年08月17日
  • 白ゆき紅ばら

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    終始、背筋がぞくぞくするような気持ち悪さと絶望が漂っている
    まともな大人があんまり出てこない中で、教師の枠を越えて祐希を助けた春日先生だけが希望だったな
    「かわいそうな子どもを救いたい」という“善意”は立派だけど、志道さんと実奈子さんは、はじめから誰かの人生を抱え込めるような人たちではないんだよな〜…
    内心何度もぎゃ〜〜ッ!となりながら読みすすめました(⁠ ⁠;⁠∀⁠;⁠)目を背けたくなる描写も度々出てきます
    ラストは祐希と紘果の二人の未来に希望を感じる終わり方で良かった!!みんな幸せになれ〜!!

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    2024年08月12日
  • ほたるいしマジカルランド

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    遊園地で働く人たちの、それぞれの生活の一面を切り取ったような物語でした。
    他人から見たら大したことのない、しかし本人にとっては結構重要な、あーあるある、という身近に感じられる内容で共感できるところが多いかもしれないなと思います。
    個人的には(欲を言えばということではあるのですが)一部登場人物についてもう少し話が広がると良いのにと思ったところはあったものの、全体通じて読めやすく良い内容と感じました。

    #美文

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    2024年08月12日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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    誰もが一度は思うんじゃないかな、、あの子になりたいなー、あんな風に生きられたらなー。
    正面から見える部分だけで判断して勝手に羨ましくなったり嫉妬したりしてる。
    みんなそれぞれ悩んだり、苦しんだりしながら落とし所を見つけて生きている。
    ミナ、天、藤生、、、田舎特有の閉塞感を感じつつ、それぞれの視点から見た自分、他者が語られていて飽きずに読めました。

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    2024年08月11日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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    田舎あるある〜 とてもわかる

    はっきり自分の意見を言える天ちゃん
    好きだなぁ
    3人の関係性もThe青春という感じでドキドキした

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    2024年08月07日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    ネタバレ

    【収録作品】
    「もうすぐ十八歳」 飛鳥井千砂
    「ありふれた特別」 寺地はるな
    「二人という旅」 雪舟えま
    「漂泊の道」 嶋津輝
    「祀りの生きもの」 高山羽根子
    「六年目の弔い」 町田そのこ

    冠婚葬祭アンソロジー。
    「もうすぐ十八歳」 「成人」を巡る話。沖縄出身で、十八で子どもを産み、結婚した智佳。娘が十八になることで感慨を抱く。
    「ありふれた特別」 取り立てて仲がいいわけでもなかった幼なじみたちの関係が変化した、出産騒ぎ。
    「二人という旅」 結婚。旅をしている家読みのシガと助手のクローン・ナガノとの関係の変化。
    「漂泊の道」 弔事のときだけ会う親戚のカナに漠然と惹かれる希和子の生き方。
    「祀

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    2024年08月06日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    ネタバレ

    親としての在り方、子どもとの関わり方は十人十色だけど、「子どもを大切にする」という気持ちは絶対に忘れずにいたいな〜と思った。

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    2024年07月31日