寺地はるなのレビュー一覧

  • 世界はきみが思うより

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    読み終えたあと、胸の奥がじんわりと温かくなり、自分の周りの世界がいつもより少しだけ柔らかく見えてくるような作品だった。
    誰もが完璧ではなく、順風満帆に見える人だって、人には言えない悩みや自分の中での葛藤を抱えて生きている。
    みんな、目には見えない「何か」を背負いながら、今日という日を懸命に重ねているのだと思う。
    そして印象的だったのは、登場人物たちの距離感だ。
    周りの人もまた、相手の抱える不完全さや事情を知りながらも、余計な口を出さずに黙って見守っている。すべてを暴こうとせず、ただそこに居ることを許すような静かな温もり。
    無理にすべてを明かす必要はないけれど、ほんの少しだけ心を開いて、自分の言葉で話してみる。
    そして、お互いを少しずつ知っていく。
    「完璧じゃない者同士が、お互いの存在を尊重し、そっと寄り添う」
    そうした不器用で静かな営みこそが、本当の意味での思いやりであり、愛なのかもしれない。
    日々の暮らしの中で、自分や誰かの不完全さに落ち込みそうになったとき、またそっと開きたくなる一冊に出会えた。

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    2026年09月13日
  • リボンちゃん

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    下着のサイズオーダーをしてもらったことがある私としては、もう少し作る工程を知りたかったなぁ、というのに加え、テーラーの仕事について、デパートのイージーオーダーでさえ、ベンツの位置は基本なのに…と思ってしまった。
    それが気になってあまり物語の世界に入り込めなかったけれども、読みやすさや、ドキッとする名言は相変わらず。社長と桃花のやりとりも面白かった。
    リボンのような1冊でした。

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    2026年09月13日
  • いつか月夜

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    他人の人生を生きる感覚になるという小説の醍醐味を感じられる作品だった。
    特に下の二つの引用は新しい気づきを得た感じがした。寺地さん、やっぱり好きだな〜。

    「誰それの幸せのために行動する」と「誰それが幸せになったら、自分は嬉しい」は、そうだね、混ぜるな危険ってやつかな。(p.41)


    「二度と行けない場所があるって、なんかよくない?」
    「記憶の中でしか行けない場所。...いつか過去を振り返った時に、なんかそこだけきれいに輝いてそう」

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    2026年09月13日
  • 世界はきみが思うより

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    少しだけ生きづらいと感じている人達が、少しずつ前向きに直向きに生きていく過程を丁寧に描かれている。そう、とりあえず真面目に生きてさえいれば、未来は明るい方に向かうはずだから。主人公の冬真の父親と不倫相手が最低過ぎる。

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    2026年09月11日
  • きよくしぶとくやかましく

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    田舎町に昔から残る風習や、人間関係の閉鎖的な感じが面白おかしく書かれていて、タイトルも装画もイメージ通り。
    都会の人間からすると、こんなところが今もあるの?と思うけど、あるんだろうなきっと。
    他人事として読んでいる分には面白いけど、当事者にはなりたくないなと思いながら読んでいた。
    最近の寺地はるなさん、以前よりフィットしなくなってきた気がする。今回のドタバタ系(?)みたいなものより、私はじっくり静かな寺地作品の方が好みだなぁ。

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    2026年09月11日
  • 世界はきみが思うより

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    多様性という耳障りの良い言葉にひっそり傷つけられる人たちは、声があげられなかったり気づかれなかったりする。
    寺地さんは今作でも、そんな声を丁寧に大切に表現されていてうれしくなる。
    だけど、連作短編にする必要ってあるのかな。
    いろいろな生きづらさが描かれていて、それぞれ別の話でもよかったんじゃないかという気がする。
    連作短編の形になることで、いやいやそんな偶然ないやろって思ってしまう瞬間が何度かあった。

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    2026年09月11日
  • ほたるいしマジカルランド

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    諸々、「これがわたしだ」と受け入れることにした。
    泣くことは恥ずかしいことではないけれども、泣いている姿を他人に見られるのはきっかけ恥ずかしいことだ。
    ようやってる、と自分に言うんです、月一回。声に出して。
    私の人生はクソでした。けど、それは今日や明日を投げ出す理由にはならない。目の前のことをやるしかないんやって、そうすることでしか自信はつかへんらしいよ。
    ささやかな実績を積み上げていくことでしか自分を肯定することはできない。他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる。
    忘れてしまったのだろうか。もしそうなら、すこしさびしくてうれしい。
    笑いたくない時は笑わんかてええんや。
    ずーっと幸せやった、わたしの人生は。わたし自身のおかげでね。自分で人生を切り開き、必要なものを選びとる。
    がんばってるから愚痴も言いたくなる。そうなんちゃうの?
    向いてなって思うなら、変えたらいい。環境なり手段なりを

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    2026年09月12日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    個人的にどーうしてもできちゃった結婚を祝福できないので一作目はなんだか共感できない尽くしで終わった。寺地さんはこんなコミカルな感じのアンソロジーでしか読めないかも。よい意味で裏切られたラストがとてもよかった。町田さんの一編はこれはまた心暖まる…かと思いきや最後の最後におっそろしい推測をぶっこんでこられて混乱する。でも面白かった。

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    2026年09月07日
  • 雨が降ったら

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    連作短編集になっていて面白い。
    どのお話にもそれぞれ共感出来るところがあったり、クスッとするところもあったり、ジーンとくるところもあった。
    装丁も可愛いので読んでて上がる!

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    2026年09月07日
  • 最後の晩餐

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    『もうひとりのねえちゃん』が一番好きでした。血縁だから、実の姉だからって味方とは限らないし、他人だから味方じゃない、ってわけじゃない。
    『コインランドリーの夜』はお洒落なかんじで、好きでした。

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    2026年09月05日
  • ぬすびと

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    初めて読む作家さんです。
    長い年月をかけてもなお、つながり続ける心の繋がり。信頼や愛情。忘れてしまったように思えて、常に残っていた心。じんわり温もりを感じる作品でした。

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    2026年09月05日
  • 雨が降ったら

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    夫の浮気で離婚し、古いアパートでひとり暮らしをする初佳。育児と家事とパートに忙殺され葛藤する苑美。心の置きどころのない美禰子など、様々な境遇の40代女性のお話です。
    私も40代…もう自分が自分軸で生きているのか他人軸で生きているのか、さっぱり分からない迷子な感じです。(笑)
    読み終わったら少しだけ、晴れ間が見えたかな…
    どんな傘さそうかなー

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    2026年09月04日
  • いつか月夜

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    何かモヤっとするモヤヤン。夜中の散歩、気づいたら増えてる散歩仲間、モヤヤンを連れて。いつか晴れて月夜になればいい。

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    2026年09月03日
  • ぬすびと

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    会員制高級ジムでアルバイトをする鳴海がシフトを減らされたことをきっかけに、
    なぐも製菓会長の息子栄輝の教育係として働くことになった。
    栄輝の教育を通して、母の彌榮子と友情のような関係が生まれる。

    最初は身分の違いから、彌榮子が豊に描かれているが、
    彌榮子は自由な鳴海に影響を受けて、自分の自由を手にしていく。
    豊かさとは、自由とは何かを考えるきっかけをくれる物語だった。

    嫌なもの嫌だ、したいことはしたいと自分の気持ちに正直に生きていきたいと思った

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    2026年09月03日
  • きよくしぶとくやかましく

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    片田舎の町内会って本当にこんな感じっていうのをリアルに描いている。色々しがらみがあって生きにくい狭い世界ではあるけど、それを変えようとする人もいるし、現状維持を望む人もいる。男女平等が世の中に浸透したとして、こういう田舎にはさっぱり届かないのは謎だ。

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    2026年09月02日
  • 月のぶどう

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    大阪南部のワインの産地となるとあのあたりかな?と想像しながら読み進められた。
    双子でありながら「出来る姉/出来ない弟」と言われ続けて育った弟は実家にあまり寄り付かなかった。
    しかし、母の急逝により家業を手伝うことになり1からワイン作りを学び始める。
    学び始める、と言っても同僚からは見下され、上司に当たる人は何もするなと教えてもらえない環境。
    その中でも腐らず実直に進んでいく姿を応援したくなる本だった。
    「美しいものや華やかなものも地味なことの積み重ねでできている」
    ぶどう作りの細やかさ、選択の連続、そしてワインの仕込み。大変な労力の一端を読ませてもらった。

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    2026年09月02日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    誰かが言ってたが「サラバ!」みが強かった
    家族って不思議
    離れられない柵のようでいて、その煩わしさも愛憎も一言では言い表せない感情を伴って結局離れることができない存在
    いろいろあったけど、前向きになる終わり方でよかった
    大筋では大きな事は起こらないけど、時々ハッとするフレーズが散りばめられて、いろいろ考えたくなるお話でした
    映画も見たいな

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    2026年08月31日
  • ガラスの海を渡る舟

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    他人と比較したり、自分を否定したり。
    どうにもできない葛藤を抱えながらも共に支え合って成長していく兄妹の話。
    自分や相手の嫌なところを無くすのではなく、受け入れて、一緒にいる。認める。
    綺麗で繊細で、最後までどんな形になるか想像できないガラス細工。
    職人の思いが込められた作品を改めて見てみたくなった。

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    2026年08月30日
  • 世界はきみが思うより

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    「世界は、きみやわたしが思っているより、悪くないかもしれない」というテーマを 食べ物に託して、優しく綴ったお話だった。同性愛の高校生男子カップルと、マッチングアプリで出会ったセックスレスのカップル。2組のうちの一方がかわりばんこに、主人公として話が進む。登場人物も魅力的だし、それぞれの背景も興味深いし、読後感も悪くない。けど、食べ物と組み合わせるあたり、ちょっとあざとく感じてしまった。いかにも、心優しい誰も傷つけない小説ですよ、って感じをアピールしてるのかなって。

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    2026年08月30日
  • 水を縫う

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    ネタバレ

    寺地はるなさんの『水を縫う』は、大きな事件が起こる物語ではありません。でも読み終えたあと、不思議と胸の奥があたたかくなる、そんな一冊です。誰かの価値観に合わせて生きることに、少し疲れてしまったとき、そっと手渡したくなる本だと感じました。

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    2026年08月30日