寺地はるなのレビュー一覧

  • 夜が暗いとはかぎらない

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    妙ちくりんなキャラクターの表紙が目を引く本書。

    大阪某所にある〈暁町〉を舞台にした、リレー形式の群像劇、13話が収録されております。

    暁町にある市場・〈あかつきマーケット〉のマスコット・「あかつきん」の失踪を皮切りに、その界隈の人々が悩みや葛藤を抱えながらも、“それでも生きていく”様が描かれております。
    寺地さんは心の機微の描写がお上手なので、登場人物達のモヤモヤが実にリアルに伝わってくるんですよね。
    なので、読んでいてちょっと心がヒリつくような部分もありましたが、それでも、
    “皆、何かしら事情を抱えながらも日々をおくっているのだな・・”
    と、出てくる人々が愛おしく思えてきます。
    それぞれ

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    2024年07月22日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    みんな、見えてる部分なんて、その人のほんの一部だよね。
    家族だってそう。
    そういう意味で、ただ事実として、人は基本的に孤独だ。

    この本に出てくる親子関係はどれも歪んでいて、読んでいてちょっと苦しくなった。
    世の中、そう「毒親」ばかりじゃないと信じたい。

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    2024年07月19日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    島で“モライゴ”として育てられた千尋が営む託児所兼民宿を訪れるのは、子どもにまつわる様々な悩みを抱えた人たち。
    いつの間にか捕らわれてしまう「みんな」や「ふつうは」の固定観念。千尋や麦生を通して届く寺地さんの甘くない言葉はそれに息ができないでいる人たちへのエールに思える。
    第二章の伊岡母の毒親っぷりは怖すぎた。子どもを守りたいという同じ気持ちからの愛情なのに、どうして政子さんとこんなに違ってしまうのだろう。子どもを天使と見てしまうか、一人の人間として見るかの差なのかな。愛花が天使でなくなる日を願ってやまない。

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    2024年06月23日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    突然行方不明になった弟・希望(のぞむ)。誠実(まさみ)は、弟を探して出会った人々に「弟はどんな人間だったと思いますか」と尋ねる。「とてもきれいな人でした。いつもやさしくて。」と言う元彼女。誰の頼みにもいいですよとこたえる都合のいい人と言う同僚。探偵のようなことをしているという男は「写真によってずいぶん雰囲気が違うんですね」と言った。元保育園の先生は「印象的な子だった」 。そして、一年以上一緒に逃げていた女性は、「どんな人間かって、そんなに大切なことなんでしょうか?…柳瀬さんは、ただ、柳瀬さんでした」。 最後に誠実は、不気味だとすら思っていた弟のことを理解できたのだろうか。自分の行きたいところ

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    2024年06月23日
  • 明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語【電子限定特典付】

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    ネタバレ

    【収録作品】
    一軒目「サクマ手芸店」寺地はるな
    二軒目「ツルマキ履物店」蛭田亜紗子
    三軒目「川平金物店」彩瀬まる
    四軒目「~中古楽器・中古レコードの買取・販売~しゑなん堂」芦原すなお
    五軒目「インドカレー ママレード」前川ほまれ
    六軒目「カフェ スルス~コアラちゃんの巻~」大島真須美
    七軒目「おもちゃ屋『うさぎや』」山本幸久

    明日町こんぺいとう商店街シリーズ4

    あったらいいなと思える商店街。

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    2024年06月22日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    他人の目に自分はどう映っているのか
    彼らは自分に何を望んでいるのか

    それに応えて分け与えているうち
    自分というものが無くなり
    空っぽになってしまう

    自分は本当は何がしたい?
    何が望み?

    これは希望(のぞむ)を探す兄と
    希望(きぼう)を探す希望(のぞむ)の話だ

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    2024年06月15日
  • ビオレタ

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    人はいろいろなものを抱えながら生きているのですね!
    それぞれ封印したいものもあるのですね~

    棺桶と言う発想なかなか面白いなと思いました。

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    2024年06月14日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    歪んだ夫婦・親子の関係に、深く傷つきながら育つ子供。あまりに深い傷を負ったために、彼ら自身の人格もゆがめられてしまっている。大人になってやっと、自分らしい自分を取り戻そうと、もっと自分を大切にしながら生きやすい生き方で生きようと、もがく姿が描かれている。読んでいてつらく、苦しく感じるところも多かったけれど、読んで良かった。

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    2024年06月14日
  • やわらかい砂のうえ

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    〈 自分を好きになりたい万智子の、小さな勇気を抱きしめたくなる成長物語〉

    たまたま先日鳥取砂丘を歩いてきました。
    ヨタヨタと(笑)

    やわらかい砂のうえを歩くにはバランスが大事
    そのためにはそのままの自分をすきになること
    うーん
    示唆に富んだ言葉がちりばめられていて読むのも楽しかった

    寺地はるなだもんね

    ラストもいいね
    うーん、いいなあ
    いいぞ いいぞ

    ≪ あたりまえ つまづくたびに 勇気だし ≫

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    2024年06月13日
  • 明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語【電子限定特典付】

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    シリーズ4弾

    『サクマ手芸店』寺地はるな
    糸子さんと充輝の不器用な親子関係のなかに温かさが良い
    康恵さんと城戸の関係が切ない

    『川平金物店』綾瀬まる
    主人公がなんて可哀想な人と思ったら、、
    意外性のある生き物
    その生き物が商店街を歩く
    理由が涙ぐましい
    傷ついた茂さんにジイちゃんはじめ商店街の人々が温かく優しい

    上記の2作品が良かった

    人気作家さんが描く商店街
    現代に失われつつある人情味があり
    通いたくなるお店ばかりだった

    疲れた私の心が癒された

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    2024年06月07日
  • わたしたちに翼はいらない

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    スクールカースト上位だったヒト、下位だったヒト、それ以外のヒト(中間ではなくカースト外のヒト)。
    大人になった三者が、子供に悩み、夫もしくは妻に悩み、義父母に悩み、死にたくなったり殺したくなったりして成長していく物語だったと思います。

    陽キャと隠キャと孤高のヒト、三者三様それぞれに対して共感できてしまう、そんな語り口が大変興味深く面白かったです。星3つです。

    #美文

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    2024年05月31日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    これから生きていこうとするそれぞれの主人公達。
    エンドは何かそよ風が吹くような終わり方で嫌いじゃない。
    短いストーリーだけれど、同じキャラクターが出て来たりだとか
    色々な人の目線を知れることに面白みを感じた。

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    2024年05月25日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    ある商店街を舞台に、ゆるきゃらのあかつきんがちょこちょこメインに引き出されてくる連作短編集。
    短編の中で、育児でめいいっぱいになってしまう母のこと、最後の母と息子の関係性など、引き込まれるがあった。
    ただ、登場人物が多くて、整理しながら読むのがちょっと大変だった。

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    2024年05月15日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    私も親と折り合いが悪かったので、なんともいえない気持ちで読んだ。
    自分自身がアラフィフになって改めて感じることは、親だからって皆んなが大人ではないということ。母親は動物的本能で子供を無条件に愛するというのも、都市伝説・おとぎ話の類いだと思っている。
    自分の親が世間一般の親と違うと感じても、子供としてはなかなかそれを認めたくないし、自分も他の子供のように愛されてると思いたいもの。でもどんなにジタバタしても事実は事実で、成長して現実を受け止められるようになっていくまでもがくことは仕方のないことだと思う。
    とはいえ、実際には飼うことのできない妄想の犬を撫でることで寂しい現実をやりすごす子供のことを考

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    2024年05月08日
  • 水を縫う

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    終始温かい。それぞれが周囲の固定観念から脱却していく。その中でも清澄の成長は目を見張るものがある。理解すること、受け入れることの大切がよくわかる。自分にとっての善は他人にとっても善とは限らないんだ。

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    2025年10月18日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    なんか前を向いて、ちょっと顔を上げて歩いていけそうな気持ちにさせてくれるお話ばっかりやった!
    でも、人数多すぎて『この人誰やっけ?』となってしまった。。
    もっかい改めて読まねばならんな。。

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    2024年04月16日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    大阪市近郊の暁町。
    閉店近い創業60年を超えるあかつきマーケット。
    人気のゆるキャラ“あかつきん”が突然失踪のあと、町のあちこちに出没。なんだか人助けをしているようだが。

    マーケットを中心に その町に住む母親・父親・娘に息子。13の連作ショートで多くの物語を連ねていきます。
    「ただの朝と夜」を過ごしている住人達の 心がざわつく悩みや葛藤。一つの町を俯瞰しているようです。
    奇跡は起きないけれど、それでも明日のために。
    優しすぎない、踏み込みすぎない、そんな住民達の現実的な距離感。
    みーんな何かしら心配事があるんだなって、なんだか安心したりした。

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    2024年04月15日
  • 白ゆき紅ばら

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    行き場のない母子を保護する目的で作られた「のばらのいえ」それは、大学のボランティアで知り合った志道と実奈子が運営する慈善施設なのですが、崇高な理想が現実の荒波に削られ少しずつ破綻していく。やがて実奈子は酒浸りの生活に堕ち、志道は見て見ぬふり。
    祐希が実質、家事全般を担当し母子たちの世話をする。幼いころに引取られた祐希はそれが当たり前の日常と思い、疑問を隠しつつ成長していく。もう一人の少女の紘果は志道に溺愛されて人形のように扱われる。
    ヤングケアラー&性的グルーミングのコンボで、ホラーハウスのようなキモさを感じてしまいました。
    弱者を無抵抗にさせるエぐさに思考停止してしまう悪環境。真綿で首を絞め

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    2024年04月10日
  • みちづれはいても、ひとり

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    ネタバレ

    主人公が36歳と40歳台ということで、自分の年齢より年上だったこともあり、内容の理解はできても少し入り込みにくいところはあった。

    再婚した夫が、前妻の元にいる娘の支えになろうと奔走したり、遁走されてしまったり。はたまた、大好きだった男性と、別れの予感がしていたからとあっさり別れてしまったり。

    人生経験豊富な女性2人が、「綺麗に生きる」物語ではなく「泥臭く生きる」ことを描いた物語だった。明るい希望というより、暗雲から差し込む光を感じるストーリー展開だった。読破にちょっぴり体力がいりました。

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    2024年04月09日
  • みちづれはいても、ひとり

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    ネタバレ

    個人的にこの物語の重要な部分は、登場人物の弓子と楓がともに失業中であるということに感じる。普通なら、40前後で職がないとなると旅などしている余裕もないはずなのにこの2人は旅している。そこに私は励まされた。普通という言葉に、悩み苦しんできたからこそ。人と違うところに劣等感も感じなければ誇らしさも感じない。そこが凄くいいなと思った。

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    2024年03月21日