寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
寺地はるなさんの『架空の犬と嘘をつく猫』を読んで感じたのは、「人は愛によって少しずつ変わっていくのかもしれない」ということだった。
主人公の山吹は、愛を知らずに育った。心を病んだ母親の顔色をうかがい、自分の本当の気持ちを押し殺しながら生きてきた。子どもらしいわがままも言わず、誰にでも優しく振る舞う。その優しさは美徳のようにも見えるけれど、同時に、自分自身を守るための生き方でもあったのだと思う。
一方で頼は、山吹とは対照的な人物だ。自分の感情をごまかさない。ボランティア先で感じた不満も口にするし、山吹に想い人の影を見て嫉妬したときには、友人に愚痴をこぼす。良い感情も悪い感情も含めて、自分の心に正直に生きている。
そんな頼と出会い、恋をし、結婚したことで、山吹は少しずつ変わっていったのではないだろうか。人を信じること、人に甘えること、そして愛されることを知っていったように思う。
物語の終盤、家族結成から約40年を経て、みんなで遊園地へ出かける場面がある。血のつながりや「家族だからこうあるべき」という価値観ではなく、それぞれが自立し、それぞれの人生を生きながらも、そこに確かな愛情が存在している。そんな家族の形が描かれていた。
ただ、幼い頃からその境地にたどり着けるわけではない。山吹にとっては、生きていくことそのものが苦しかった。だからこそ彼は、誰にも頼れない孤独の中で、架空の犬を撫でることで自分を癒してきたのだろう。
一般的には、嘘をつくことはよくないことだと言われる。しかし、この物語を読んでいると、人がどうしても生き抜かなければならない困難の中では、心を守るための「嘘」や「架空の存在」が必要なこともあるのだと思えてくる。
現実だけでは抱えきれない苦しみを和らげるための想像力。それは単なる逃避ではなく、生き延びるための知恵なのかもしれない。
『架空の犬と嘘をつく猫』は、愛を知らなかった人が愛を知り、自分自身を取り戻していく物語だった。そして、人が生きていくために必要な優しい嘘について考えさせられる一冊でもあった。 -
Posted by ブクログ
胸糞話かと思ったら意外と(?)おもしろかった。
性犯罪、虐待、強い立場を利用した支配。
あ〜イヤ
高校時代の祐希が英輔とバイトをして、お疲れ会で本当はファミレスに行きたかったけどお金がなくて行けないと断るんだけど、行きたい気持ちがわかって悲しかったな。
哀れみの気持ちよさ、でもそれは傲慢。
紘果は自分の置かれた状況を言語化できてる。祐希も、子どもが子どもの世話をするなんておかしいと気づけているの、すごくない?いつか気づくとして、その気付きにすでにたどり着いている。自分の現状が理解できなくて色々調べたりしたのかもしれない。どこまでがリアルなのかは分からない。 -
Posted by ブクログ
希望って、名前やったんか~と。
希望という名の弟を探す誠実と言う名の兄。いい人だと言われる希望、とりとめのない兄誠実・・そんな誠実とともに希望がどんな人だったのかと思いながら読んだ。
いくつか、残る言葉。「いい人でした悪い人でしたと、そんな単純な分類に落とし込んで、彼のことをわかったような気にはなりたくない」「柳瀬さんは柳瀬さんでした」 「他人が欲しがっているものを、ひたすら差し出し続ける人間はきっとどんどん心からっぽになっていく。自分の意見じゃなくて相手の言って欲しいことを勝手に汲み取って口にするような他人の欲求を際限なく受け止めようとする奴は苦し過ぎる」
本質すぎる。
もし希望と出会っていたら頼ってしまいそう。最後ちゃんと自分を持ってる希望になったし、誠実もとき放たれた
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久しぶりの寺地さん
名前からしてかわいらしく
主人公 百花ちゃんの愛称だと知りふわふわ可愛らしい女の子の
お話だと思っていました。
もちろんかわいいリボンを毎日している百花ちゃんの日々のお話なんだけど、周りにいる
叔母さんや
勤めているところの社長
また社長の姪っ子でもある同僚、同級生の福田くん
みんな、
りぼんちゃんのどこか不思議でそして頼りになるそんな
キャラを引き立たせるような素敵な人たちがたくさんいて
そんな人たちに囲まれながら淡々としながらも
少しずつ自分が今したいと思うことを前を向いて苦戦しながらも実現していく素敵なお話でした。
下着のオーダーメイド
下着って自分しか見ないものだから自分のためにちょっと奮発して
お気に入りがあるとなんだか、
いつもいい気分になりますよね。
自分で自分を大切にしているような贅沢な気分。
思うだけでワクワクしてしまいます。
お気に入りの形でお気に入りの生地や模様の下着つけている日は
なんだか気分も良く人にも優しい気持ちで過ごせそう。
なんだかすごく癒された気分で
読み終わり、
ちょっぴりこのままの自分を
大事にしていこうとなんだか
思いながら読みました。 -
Posted by ブクログ
寺地はるなさん、らしくよみやすい文体でした。語り口調もらしいなぁ、なんて、
口の悪い主人公でしたけど♪(´ε` )
主人公小松茉子27歳。転職で親戚が経営する
和菓子屋『吉成製菓』にコネ入社。
小規模な会社のため、いろいろと古い体質で、
茉子があれこれ奮闘していくストーリー。
仕事って、むずかしいですね。
もちろん、人生の全てではないです。
でも一番時間を割いていて、悩みの多くが
仕事といっても過言ではないかも。
人が悩む要素、仕事、恋愛、健康。
この3つがうまくいけば、大体は充実している
のでは?とさえ思ってしまう、私です。
この作品では和菓子が美味しそうに描かれる
ことで、主人公の魅力をなんとか持たせている感がすごい!
そう感じちゃうくらい茉子が正論かつ、
言葉がきつすぎて、可愛げなく描かれ続けます。
読み手によって好き嫌いがわかれそうです。
いろいろな立場の人を描いていて
結果的には悪い人はいない、というお話。
何か解決できたわけでもなしで
これからもこまどりたちは「ここにいる」よ!
って鳴いているという流れは、
私には少し物足りなかったかな?
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Posted by ブクログ
ネタバレ寺地はるなさんの小説には様々な事情によって生きづらさを抱えてる登場人物がよく出てくるが(特に毒親絡みが多いように思う)、本作もまさにその王道をいく作品です。
主人公が行方不明の弟、希望を探して本当の希望はどんな人間なのか?を問いながら、主人公自身の内面に向き合い、また希望を探して出会うそれぞれの関係者の痛みにも触れていくわけですが…
(以下ネタバレ含む)
本作はちょっと詰め込みすぎて、胃もたれする感じ。
毒親傾向の母親が何人も出てきて、終盤は、えーまた毒親系なの〜?と感じてしまいました。世の中そんな親ばかりなんですかね。
そして、親との関係で問題を抱えるのはあるとしても、それをいつまで引きずってるんだ?とも思います。もちろん親の言行が呪いのように子供を縛るのはわかるのですが、いい歳した大人達が皆、親のせいで歪んでたり問題を抱えてるのはなんだかなぁと。
由乃と美咲の話は痛快で読んでいるときは面白かったですが、読み終えてみると希望の行方を追うというストーリーの本質からはかなりずれているように思えて「あれ?」という感じ。
最後に変に丸く収まらなかったのはよかったと思いますし、希望は新しい人生を歩み直すのはいいけれども、結局行方不明、家族はバラバラのままなわけで。これ希望の母はおかしくなっちゃうんじゃないの?そんな仕打ちを受けるほど酷い母親とは思わなかったので、少しモヤモヤしました。
…と、改めて言葉にするとあまりいい感想は出てきませんが、読んでいる間はそれなりに面白かったし、寺地はるなさんならではの読み心地のよさはあったので、星は3つ。