寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
寺地はるなさん、12冊目。
偏屈な祖父・義景と二人で暮らすことになってしまった孫息子・桐矢。
義景の過去と、桐矢の現在が交互に語られ、噛み合わない同居生活が描かれる中で、義景がひとりでずっと抱えてきた秘密が明らかになる……。
お話そのものは作者さんの語り口に乗ってすんすんサクサク読むことができたが、なんだか読後感は微妙。
男尊女卑で頑固で昭和の価値観そのものの義景とローリスクローリターンを願い生きる潔癖で現代的な桐矢。
この作者さんがずっと取り上げてきている“普通”とか“あるべき”とか“らしさ”などが下敷きになっているが、二人ともその時代の中で悩みながら懸命に生きてきた/いるというところは汲み取れ、その生き方のどちらもが否定されなかったところは良かった。
ただ、時代が変わったことにアップデートできない義景にも(ああいう老人にはならない)、「影が薄いくせにへんなところでめんどくさいやつ」と自覚し25歳とは思えない桐矢にも(あれぐらいで泣くなや)、どちらにもあまり共感できず、物語に入り込めなかったのでした。
カレーもおいしそうにできた割にはお話の中であまり目立たなかったのも残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ学校でいじめを経験していじめた相手を殺したいと願う園田、いじめと離婚を経験し自分の人生は自分で生きていこうとする朱音、学校ではいじめる側だったが、夫に軽視され園田の考えに共感する莉子。
似た体験をする3人の、仕事や子育て、恋愛が描かれている。
似ている体験をしているが、
出会う人や環境などで全く違う考えを持ち、違う人生を歩んでいる姿が描かれていて面白かった。
自分が弱い立場・恥ずかしい立場に立たされているという現実を認める難しさ、認められない故に問題が解決されない。
朱音は先生から「いじめられています」と断定してもらえたことで、上手くやるという選択肢を選ばず、自己防衛できたように感じる。
莉子→園田→朱音の依存関係もみていて興味深かった。
自分をわかってくれそうな人に寄りかかろうとしている。
一人で立つのは大変だからね。
特定の一人に寄りかかるのではなく、寄りかかれる人やコミュニティを周りにたくさんおけると、辛い現実から目をそらさずに、直視できて、そうすると自分が抱える本当の問題解決に迎えるようになるのかもしれないと思った。
(自分の中に園田も朱音も莉子もいるなぁと思った。) -
Posted by ブクログ
女は大人しく、三歩後ろを歩くべき。という旨の発言を繰り返す親友の父に同情する気もないし、言動は肯定できない。過去の行いも許せたものではない。けど、"男としての責任。長男としての責任。家長としての責任。たくさんの責任を重たい外套のように着こんでふうふう言いながら歩いていくおれの脇を、かろやかに通り過ぎて行く者たち。過去という外套を、古い価値観という外套を、あっさり脱ぎ捨てていく者たち。ミユキに妻に鉄也に雪菜。"
とあるように、彼らにも背負ってきたつらさってものが皆無だった訳じゃないことに気付いた。勝手に背負ってきたのは彼らって言われればそれまでだけど。 -
Posted by ブクログ
読み終えたあと、胸の奥がじんわりと温かくなり、自分の周りの世界がいつもより少しだけ柔らかく見えてくるような作品だった。
誰もが完璧ではなく、順風満帆に見える人だって、人には言えない悩みや自分の中での葛藤を抱えて生きている。
みんな、目には見えない「何か」を背負いながら、今日という日を懸命に重ねているのだと思う。
そして印象的だったのは、登場人物たちの距離感だ。
周りの人もまた、相手の抱える不完全さや事情を知りながらも、余計な口を出さずに黙って見守っている。すべてを暴こうとせず、ただそこに居ることを許すような静かな温もり。
無理にすべてを明かす必要はないけれど、ほんの少しだけ心を開いて、自分の言葉で話してみる。
そして、お互いを少しずつ知っていく。
「完璧じゃない者同士が、お互いの存在を尊重し、そっと寄り添う」
そうした不器用で静かな営みこそが、本当の意味での思いやりであり、愛なのかもしれない。
日々の暮らしの中で、自分や誰かの不完全さに落ち込みそうになったとき、またそっと開きたくなる一冊に出会えた。 -
Posted by ブクログ
諸々、「これがわたしだ」と受け入れることにした。
泣くことは恥ずかしいことではないけれども、泣いている姿を他人に見られるのはきっかけ恥ずかしいことだ。
ようやってる、と自分に言うんです、月一回。声に出して。
私の人生はクソでした。けど、それは今日や明日を投げ出す理由にはならない。目の前のことをやるしかないんやって、そうすることでしか自信はつかへんらしいよ。
ささやかな実績を積み上げていくことでしか自分を肯定することはできない。他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる。
忘れてしまったのだろうか。もしそうなら、すこしさびしくてうれしい。
笑いたくない時は笑わんかてええんや。
ずーっと幸せやった、わたしの人生は。わたし自身のおかげでね。自分で人生を切り開き、必要なものを選びとる。
がんばってるから愚痴も言いたくなる。そうなんちゃうの?
向いてなって思うなら、変えたらいい。環境なり手段なりを