寺地はるなのレビュー一覧

  • きよくしぶとくやかましく

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    昔ながらの男中心で封建的な田舎の白日町が舞台。老人会、こども会、婦人部、祭りなど、昔から続いてきているしきたりに、それが当たり前のことだと思い込んで今までのやり方を守ろうとする人たち、思うことはありながらそういうものだとあきらめて踏襲している人たちの中で、ささやかに自分の思いを出してみようと抵抗してみる人たちがいる。登場人物が多くて、メモをとりながら読んだ。結構はちゃめちゃな展開に読む手が止まりかけたが、だんだん引き込まれて最後まで読み終えた。

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    2026年09月22日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    4歳の弟を不慮の事故で亡くしてから家族が機能しなくなった。祖父母、父、母、姉。そして僕。それぞれ傷を心に抱えながら向き合うことなく月日がたち、劇的なファイナルを迎えるでもなく、そこにリアルな日常が淡々とある。ドラマチックな展開はないけど、逆にそれがリアリティでよい。

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    2026年09月20日
  • カレーの時間

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    寺地はるなさん、12冊目。

    偏屈な祖父・義景と二人で暮らすことになってしまった孫息子・桐矢。
    義景の過去と、桐矢の現在が交互に語られ、噛み合わない同居生活が描かれる中で、義景がひとりでずっと抱えてきた秘密が明らかになる……。

    お話そのものは作者さんの語り口に乗ってすんすんサクサク読むことができたが、なんだか読後感は微妙。
    男尊女卑で頑固で昭和の価値観そのものの義景とローリスクローリターンを願い生きる潔癖で現代的な桐矢。
    この作者さんがずっと取り上げてきている“普通”とか“あるべき”とか“らしさ”などが下敷きになっているが、二人ともその時代の中で悩みながら懸命に生きてきた/いるというところは汲み取れ、その生き方のどちらもが否定されなかったところは良かった。
    ただ、時代が変わったことにアップデートできない義景にも(ああいう老人にはならない)、「影が薄いくせにへんなところでめんどくさいやつ」と自覚し25歳とは思えない桐矢にも(あれぐらいで泣くなや)、どちらにもあまり共感できず、物語に入り込めなかったのでした。

    カレーもおいしそうにできた割にはお話の中であまり目立たなかったのも残念。

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    2026年09月20日
  • 雨が降ったら

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    家庭に入っていたり、育児で時短で仕事をしたり。
    それはブランク、と一般的に言われるが、その間もその人は成長し続けている。だから、家庭に入った時間はキャリアなんだ。
    そう言われて救われました

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    2026年09月19日
  • わたしたちに翼はいらない

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    ネタバレ

    学校でいじめを経験していじめた相手を殺したいと願う園田、いじめと離婚を経験し自分の人生は自分で生きていこうとする朱音、学校ではいじめる側だったが、夫に軽視され園田の考えに共感する莉子。
    似た体験をする3人の、仕事や子育て、恋愛が描かれている。

    似ている体験をしているが、
    出会う人や環境などで全く違う考えを持ち、違う人生を歩んでいる姿が描かれていて面白かった。

    自分が弱い立場・恥ずかしい立場に立たされているという現実を認める難しさ、認められない故に問題が解決されない。
    朱音は先生から「いじめられています」と断定してもらえたことで、上手くやるという選択肢を選ばず、自己防衛できたように感じる。

    莉子→園田→朱音の依存関係もみていて興味深かった。
    自分をわかってくれそうな人に寄りかかろうとしている。

    一人で立つのは大変だからね。
    特定の一人に寄りかかるのではなく、寄りかかれる人やコミュニティを周りにたくさんおけると、辛い現実から目をそらさずに、直視できて、そうすると自分が抱える本当の問題解決に迎えるようになるのかもしれないと思った。
    (自分の中に園田も朱音も莉子もいるなぁと思った。)

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    2026年09月19日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    女は大人しく、三歩後ろを歩くべき。という旨の発言を繰り返す親友の父に同情する気もないし、言動は肯定できない。過去の行いも許せたものではない。けど、"男としての責任。長男としての責任。家長としての責任。たくさんの責任を重たい外套のように着こんでふうふう言いながら歩いていくおれの脇を、かろやかに通り過ぎて行く者たち。過去という外套を、古い価値観という外套を、あっさり脱ぎ捨てていく者たち。ミユキに妻に鉄也に雪菜。"
    とあるように、彼らにも背負ってきたつらさってものが皆無だった訳じゃないことに気付いた。勝手に背負ってきたのは彼らって言われればそれまでだけど。

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    2026年09月18日
  • 雨が降ったら

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    「わかば洋傘店」に関わる人達の連作短編集。
    最近 傘の個人店て殆ど見かけなくなった気がします。
    スノさんと大志さんの親子関係がいい感じです。
    出てくる女性たち それぞれ悩み抱えてるけど この洋傘店やスノさん達に知り合って 心が軽くなっていく 全体的に寺地さんらしい 優しさに溢れてます。
    ソノミーさんの心配で荷物が増えていく感じよくわかる。
    「親子でもお互いのしんどさを無視する権利はある」
    「止まない雨はない でも止んだ後も後処理だって大変 でも必ず雨は止む その雨を心配して晴でも傘を持つのは無意味」

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    2026年09月18日
  • 最後の晩餐

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    短編集は初めて読む作家さんだったり、得した気分
    最後の晩餐かぁ鰻もいいなぁ
    まだ、先も長いのでゆっくり考えよう

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    2026年09月17日
  • 世界はきみが思うより

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    「世界はきみが思うより生きづらい」なのか
    「世界はきみが思うよりやさしい」なのか、読む前はどっちだろうなと思っていた。でも実際はやさしさの中に悪意のない棘やいらん一言が紛れていて「気を悪くしないで」「今こんなこと言っちゃいけないんだっけ」とか無意味な(言った側の自分への)フォローが溢れてて、まじりっけのない、さりげない優しい世界は無いんだよなあと切なくなった。

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    2026年09月15日
  • 雫

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    ジュエリーリフォームで働く永瀬珠さん。しかしそのお店が閉店することに。。物語は章を追うごとに過去へと戻っていく。ほっこり系で読みやすかったです。

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    2026年09月14日
  • 世界はきみが思うより

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    読み終えたあと、胸の奥がじんわりと温かくなり、自分の周りの世界がいつもより少しだけ柔らかく見えてくるような作品だった。
    誰もが完璧ではなく、順風満帆に見える人だって、人には言えない悩みや自分の中での葛藤を抱えて生きている。
    みんな、目には見えない「何か」を背負いながら、今日という日を懸命に重ねているのだと思う。
    そして印象的だったのは、登場人物たちの距離感だ。
    周りの人もまた、相手の抱える不完全さや事情を知りながらも、余計な口を出さずに黙って見守っている。すべてを暴こうとせず、ただそこに居ることを許すような静かな温もり。
    無理にすべてを明かす必要はないけれど、ほんの少しだけ心を開いて、自分の言葉で話してみる。
    そして、お互いを少しずつ知っていく。
    「完璧じゃない者同士が、お互いの存在を尊重し、そっと寄り添う」
    そうした不器用で静かな営みこそが、本当の意味での思いやりであり、愛なのかもしれない。
    日々の暮らしの中で、自分や誰かの不完全さに落ち込みそうになったとき、またそっと開きたくなる一冊に出会えた。

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    2026年09月13日
  • リボンちゃん

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    下着のサイズオーダーをしてもらったことがある私としては、もう少し作る工程を知りたかったなぁ、というのに加え、テーラーの仕事について、デパートのイージーオーダーでさえ、ベンツの位置は基本なのに…と思ってしまった。
    それが気になってあまり物語の世界に入り込めなかったけれども、読みやすさや、ドキッとする名言は相変わらず。社長と桃花のやりとりも面白かった。
    リボンのような1冊でした。

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    2026年09月13日
  • いつか月夜

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    他人の人生を生きる感覚になるという小説の醍醐味を感じられる作品だった。
    特に下の二つの引用は新しい気づきを得た感じがした。寺地さん、やっぱり好きだな〜。

    「誰それの幸せのために行動する」と「誰それが幸せになったら、自分は嬉しい」は、そうだね、混ぜるな危険ってやつかな。(p.41)


    「二度と行けない場所があるって、なんかよくない?」
    「記憶の中でしか行けない場所。...いつか過去を振り返った時に、なんかそこだけきれいに輝いてそう」

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    2026年09月13日
  • 世界はきみが思うより

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    少しだけ生きづらいと感じている人達が、少しずつ前向きに直向きに生きていく過程を丁寧に描かれている。そう、とりあえず真面目に生きてさえいれば、未来は明るい方に向かうはずだから。主人公の冬真の父親と不倫相手が最低過ぎる。

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    2026年09月11日
  • きよくしぶとくやかましく

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    田舎町に昔から残る風習や、人間関係の閉鎖的な感じが面白おかしく書かれていて、タイトルも装画もイメージ通り。
    都会の人間からすると、こんなところが今もあるの?と思うけど、あるんだろうなきっと。
    他人事として読んでいる分には面白いけど、当事者にはなりたくないなと思いながら読んでいた。
    最近の寺地はるなさん、以前よりフィットしなくなってきた気がする。今回のドタバタ系(?)みたいなものより、私はじっくり静かな寺地作品の方が好みだなぁ。

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    2026年09月11日
  • 世界はきみが思うより

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    多様性という耳障りの良い言葉にひっそり傷つけられる人たちは、声があげられなかったり気づかれなかったりする。
    寺地さんは今作でも、そんな声を丁寧に大切に表現されていてうれしくなる。
    だけど、連作短編にする必要ってあるのかな。
    いろいろな生きづらさが描かれていて、それぞれ別の話でもよかったんじゃないかという気がする。
    連作短編の形になることで、いやいやそんな偶然ないやろって思ってしまう瞬間が何度かあった。

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    2026年09月11日
  • ほたるいしマジカルランド

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    諸々、「これがわたしだ」と受け入れることにした。
    泣くことは恥ずかしいことではないけれども、泣いている姿を他人に見られるのはきっかけ恥ずかしいことだ。
    ようやってる、と自分に言うんです、月一回。声に出して。
    私の人生はクソでした。けど、それは今日や明日を投げ出す理由にはならない。目の前のことをやるしかないんやって、そうすることでしか自信はつかへんらしいよ。
    ささやかな実績を積み上げていくことでしか自分を肯定することはできない。他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる。
    忘れてしまったのだろうか。もしそうなら、すこしさびしくてうれしい。
    笑いたくない時は笑わんかてええんや。
    ずーっと幸せやった、わたしの人生は。わたし自身のおかげでね。自分で人生を切り開き、必要なものを選びとる。
    がんばってるから愚痴も言いたくなる。そうなんちゃうの?
    向いてなって思うなら、変えたらいい。環境なり手段なりを

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    2026年09月12日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    個人的にどーうしてもできちゃった結婚を祝福できないので一作目はなんだか共感できない尽くしで終わった。寺地さんはこんなコミカルな感じのアンソロジーでしか読めないかも。よい意味で裏切られたラストがとてもよかった。町田さんの一編はこれはまた心暖まる…かと思いきや最後の最後におっそろしい推測をぶっこんでこられて混乱する。でも面白かった。

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    2026年09月07日
  • 雨が降ったら

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    連作短編集になっていて面白い。
    どのお話にもそれぞれ共感出来るところがあったり、クスッとするところもあったり、ジーンとくるところもあった。
    装丁も可愛いので読んでて上がる!

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    2026年09月07日
  • 最後の晩餐

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    『もうひとりのねえちゃん』が一番好きでした。血縁だから、実の姉だからって味方とは限らないし、他人だから味方じゃない、ってわけじゃない。
    『コインランドリーの夜』はお洒落なかんじで、好きでした。

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    2026年09月05日