寺地はるなのレビュー一覧

  • みちづれはいても、ひとり

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    寺地はるな著書を読むのは2冊目。徹底的に等身大の人物を、大きなドラマを設定することなく描く人なんだろうな、と思う。

    アラフォー女性2人。
    弓子は小さいときから母親による衝動的な暴力を受けていたけど、「今は虫が悪いんだな」と冷静に捉える感性と忍耐力を持っていた。それが優しい夫のある行動を耐え忍ぶ事に繋がってしまう。ただ今別居中。そして夫、失踪中。

    楓は弓子と正反対の奔放な性格のようで、男は選んで付き合ってる。この前ヒラツカさんに振られた。同時に会社社長のセクハラがあまりにも酷くて会社も辞めた。その社長がストーカー行為を始めたので、弓子に「夫を探してけりをつける旅に出よう」と誘う。

    弓子も楓

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    2023年02月13日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    「大人は泣かないと思っていた」がよかったので、こちらも読んだ。「夜が暗いとはかぎらない」タイトルが好き。固定観念にとらわれないでというメッセージが伝わる題名。
    たくさんの登場人物が出てくるので、人物把握は少し大変。育児に悩む母親の話が結構あった。
    声の色→ひなぎくと続く浦上くんメインの話が好き。いつか好きな人と会えた時に、ちゃんと自分の翅で飛べています、と誇れるような自分でありたいというひかりちゃんの言葉にハッとさせられた。

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    2023年02月11日
  • 月のぶどう

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    曾祖父が興した会社「天瀬ワイナリー」の代表者であった母を突然失くした双子の姉弟、光実と歩。
    姉の光実はできのいい子で、18歳の頃からずっと家業を手伝っていて、弟の歩は特にやりたいこともなく、アルバイトで日々を過ごしている。
    性格も対照的な二人だけれど、歩は強引に光実に会社を手伝わされることになる。

    大阪の架空の町が舞台の物語である。
    ワインのもととなる葡萄の栽培、醸造、販売等々、人が一本のワインを購入し口にするまでにどれだけの時間と工程を経てつくられているか、家業を継ぐと一言でいうけれど、そうそう容易いことであるはずもなく、この物語を通してとても尊いものを見せられたような気がします。

    地味

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    2023年02月09日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    大阪近郊に位置する暁町にある「あかつきマーケット」が物語の舞台…様々な店舗が軒を連ねて営業していたが、時代の波に飲み込まれる形で閉店することとなる…。「あかつきマーケット」のマスコット的存在の「あかつきん」はイベント途中に失踪(!?)するも、その後町の至る所に出没し困った人を助けていた…さらに「あかつきん」のしっぽをお守りにする人も多数現れたが…。

    「あかつきん」だけにしぼったストーリーかと思いきや、実際は「あかつきマーケット」で働く人々やその近隣に住む住民やその家族など、様々な年代の人たちが主人公となる短編集でしたね…。日々の生活の中でどんな人とつながり、どんなことを思い、今後どう生きてい

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    2023年02月06日
  • ビオレタ

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    すごくよかった。しばらく浸っていたいような気持ち。

    失恋から始まる話で、ありきたりで淡々と、と思ってしまっていたが、登場人物がみんな素敵で終盤ははやる気持ちを抑えながら読んだ。

    妙、菫さん、千歳さん、蓮太郎くん。
    わたしも、人がどう思ってるか勝手に決めつけているようなところがあるので自分に言われてるかのようにも思いながら読んだ。

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    2023年01月28日
  • 正しい愛と理想の息子

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    ネタバレ

    小悪党の詐欺が失敗して、違う詐欺に取り掛かるブラックユーモア的な展開と思い読み進めていましたが、痴呆症にまつわる大変さ、親子のつながり、誰かに認めてもらいたい、複雑な想いの話に繋がっていきました。
    近い将来じぶんにも直面する状況かもしれないと思いじっくりと読まさせてもらいました。

    正しい愛の形はない。
    灰嶋さんも違った愛の形だったか、と思いたい。

    善一郎さんとの別れは悲しくもあったが、この先の未来が明るく感じ、最後のセリフもオシャレに聞こえ爽快でした。

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    2023年01月06日
  • 月のぶどう

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    ワインは無限に楽しめるお酒なので、
    この人の書く文章で、
    ワイン造りの工程まで楽しめて、
    ストーリーで余韻を味わう1冊でした。
    続きがまだ読みたいです。
    歩とあずみの今後も気になるし、
    希少な極甘ワインの出来るまでも
    知りたい。
    月のぶどうで造られた極甘ワイン。
    想像するだけで嬉しくなる。

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    2023年01月04日
  • ビオレタ

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    ネタバレ

    婚約破棄された主人公は自分は誰からも必要とされていないと思い込んで生きてきた。働く店のオーナーの菫さんのような『揺るぎなさ』を求めている。
    でも、菫さんは菫さんで暗い過去を背負っている…。
    誰もが何か重いものを持っていてお互いを知らぬ間に必要としているし助けていて皆で前を向いて歩いていけるようになる。
    読み心地の良い物語でした。

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    2022年12月26日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    星は4.8ぐらい。

    タイトルに惹かれ、また、なんともいえない愛嬌のある表紙のマスコットに心を癒やされる気持ちで読み始めたら、この表紙の「あかつきん」が重要でした。

    登場人物が多い、と書かれている方がいますが、一つ一つ独立した話としても十分で、私にとっては一冊でとても得した気分になれました。
    とはいえ読後、改めて登場人物の相関関係を図にしてしまいましたが。

    最初は子どもを持つ母親の気持ちに深く共感し、その後、父親の立場で書かれたものを読んで少し自分の態度を反省。

    寺地さんの本は2冊目ですが、立場の違う登場人物がとても丁寧に書かれていて、私は好きです。

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    2022年12月17日
  • 月のぶどう

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    双子の姉弟が家業のワイナリーを亡き母の後に継ぐために試行錯誤する。
    二人の考え方、性格の違いが引き寄せあったり反発したりする。周囲の人達の優しさに支えてもらいながらお互いの目指すところがはっきりとしてくる。
    頑張れ!と応援したくなる。

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    2022年12月17日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    ネタバレ

    田舎の青年の日常の物語だけれども、その周りの人々に語り手が変わっていくことで奥深いものを感じる。人はみんなそれぞれに物語があるんだなーとつくづく思う。時田翼という青年、お菓子作りをしたり少し女っぽいところがあるけれど結構好きなタイプ。高校生で母親に出ていかれてからは大酒飲みの父親と2人暮らし。そんな家庭環境も彼の性格に影響はあるのだろう。少年の時から鉄腕という友人がいたことは彼にとって救いだったに違いない。彼の未来が幸せであることを願うばかりだ。

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    2025年11月20日
  • ビオレタ

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    妙が菫さんや千歳さん、蓮太郎くんと関わっていく中で、自分が孤独を感じたり、傲慢だったり、大切な事に気付き変わっていく様子が描かれていて引き込まれた。物語自体はのんびりしているが、登場人物が素敵だから 最後まであっさり読める。妙の名前の由来や両親の気持ちも話さないと家族でもわからないのだと、改めて思った。

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    2022年11月05日
  • 月のぶどう

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    寺地はるなさん…双子の成長物語です。
    こう言うの書かせたら間違いないですね〜

    ちょっと読むのに時間かかりました。
    わたしの姉妹達(三姉妹です)と両親との思い出が
    作品と似ていたから(u_u)

    兄弟姉妹って最初のライバルかもしれませんね。
    「出来のわるいほう」歩の気持ちが良くわかります笑

    父親、祖父、友人達…理解のある人達に囲まれて
    二人が成長し素敵なワインを作り出す日を楽しみに待ちたいとそんな気持ちになりました(^ ^)


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    2022年10月06日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    閉店が決まったあかつきマーケットが舞台。行方不明になったゆるキャラのあかつきんを軸に、町の人それぞれにスポットライトが当たって行く短編集。

    物語が繋がっているから、前の話でチラッと出てきた人が主人公になるんだけど、ガラッと印象が変わる。
    なんてやつだ!と思っている人の背景を知って、切なくなった。
    誰かのことをちゃんと知るって難しいんだな。

    自分にも同じような後悔ある物語を読んで、前向きなって救われ気持ちになったり、自分もこんな風に考えたいってなったり。
    気持ちがじわじわとあったかくなって前向きになる本だった^^

    自分を大切にする。
    まだ幼い女の子にが言われた「他人の期待に応えるために生ま

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    2022年08月29日
  • 月のぶどう

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    それぞれが何か抱えながら、それぞれに打ち解けていく様がすてきな話だった。きょうだいのそれは、特に良かった。

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    2022年07月06日
  • 月のぶどう

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    付箋をたくさん貼って、迷ったり悩んだりした時に開きたくなるような一冊だった。
    デザートワイン飲みたいなぁ。

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    2022年05月24日
  • 月のぶどう

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    自分もどちらかと言うと弟のような思考なので、
    弟が愛おしくて、でも自分とは違うかっこよさがあって…
    きょうだいのお話は素敵です。

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    2022年05月15日
  • みちづれはいても、ひとり

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    大人になって出会ったふたりの女性の物語。
    誰かと一緒に歩いているつもりでも、自分をしっかりもって生きていきたい。
    タイトルから、「孤独」がテーマなのかと思いきや、真逆のとっても温かい一冊でした。


    「あたしはあたしのために生きている。」


    「夫婦だって、友だちだって、一緒にいるだけで「ふたり」という新たななにかになるわけではなくて、ただのひとりとひとりなのだ。」

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    2022年04月21日
  • 月のぶどう

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    「ワインの製造」と言った場合の工程範囲の広さに改めて驚きつつ、面白く読ませて頂きました。中心人物達の年齢設定が、自分の直感より上で最後まで馴染めなかったが、自分自身の同年齢の頃の事やら、段々と実質的な大人と言える状態迄に必要な期間が長くなって来ていると言う話を思い出したり。何れにせよ、幼少期からの自身への刷り込みの影響力の強さに思いを馳せた。

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    2022年03月21日
  • 正しい愛と理想の息子

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    32歳で、清掃会社でバイトしているハセ。
    見た目はいいが、要領が悪く失敗ばかりしている2歳年下の沖とコンビを組んで、偽宝石売りをしている。
    違法カジノで雇われていた灰嶋に、二百万円を返済するためである。

    噓をつき、騙したり騙されたり、ターゲットが女性からさらには老人へと向かう。
    そんなやりとりが面白くコミカルに描かれていて、この先の2人の展開が気になってしまいます。

    ハセには、働かず女にたかった金で暮らす父親がいて、沖には、自分を認めてくれない母親がいて、誰もがいろんな境遇のもとで生きているけれど、それは考え方を変えれば、どんな人にも背負うものがあって、人としてさほど変わりがないのではない

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    2022年03月19日