寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世の中、優しさばっかりじゃできてないけど、悪意ばっかりでもないんだよね。
そりゃ、やられっぱなしで膝をつくこともあるけど、大小の差はあれチャンスだってある。
主人公の碧は、そのチラッと見えたチャンスの兆しをつかむのがうまい。
パッと見には地雷の匂いがしても、彼女は的確に機会を掴んでいく。
最初の頃の碧は、仕事は自分の思いとはちぐはぐで上手くいかず、婚約者もどきはグニャグニャしててろくでもなく、なんか色々ぱっとしない30歳。読み始めは、正直、あらやだ、こんなイケてない女の日常を読まされるの?と思った。けど、結婚の挨拶で婚約者の親に会ったところから風向きが変わる。
そこまでは流され感があったけ -
Posted by ブクログ
この方の著作はまだ二冊目だけど、今回もめちゃくちゃ色々考えたいテーマがたくさん出てきて感情が忙しかった。
途中万智子が冬をギリ許せる発言したことで美華から傲慢だと怒られるシーンがあった。
その人の問題を他人が正しいか正しくないかをジャッジするなんて、というような事を美華は言っていて「たしかにたしかに」と納得したし、判定するなら美華勝利でジャッジするけど、美華が傲慢だと宣告することもまた傲慢だよなぁとも思う。
自分でも万智子が冬をどう思ってもそれは自由だ、とあとから言ってはいるけど、じゃあなんで万智子に傲慢ジャッジしてんのと思うし。
この本と関係ないところでこういう矛盾した考えのことは考えた -
Posted by ブクログ
複雑な事情がある家族の話と思いながら読んでいたが後半に進むにつれ、自分の家族だって似たようなものかもしれない。とふと我に返る。そもそも、順風満帆で住宅販売のCMに出てくるような理想の家族なんて、本当に存在するのだろうか。
多様性という言葉が日常的に使われている時代だが、人の個性や悩みって大別すると″多様″ってほどでもないのではないかと思った。自分は他人と違うとか、自分の家族はちょっと変わってるとか、なんとなく自分は他者と違うということがひとつのステータスというか。唯一無二の存在でありたいという人々の潜在意識が生み出した文化であるように思えてくる。
もう少し引いた視点で世の中を見渡してみると -
Posted by ブクログ
親戚が経営する和菓子の会社で働くことになった茉子。
ところが、頼りない2代目社長、常に威圧的で部下に横柄な態度を取る営業、サービス残業が黙認されている実態など、新しい職場には見過ごせない問題が山積していて…。
読みながら、最初は主人公を囲む登場人物たちが好きになれず、茉子と一緒にモヤモヤを募らせていたのですが、だんだんと1人ずつの人生にスポットが当てられていき、その人の背景や苦悩を知ると、最終的には始めよりもみんなのことを好きになって読み終えることができました。
出自も性格も違う色んな人と関わり合いながら働いていくこと、生きていくことって本当に難しいよなぁと改めて。
ラスト、みんながそれ