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いつか田舎の村を出て上京し、自分の人生を切り拓くことを夢見る天。天の幼馴染で、彼女に特別な感情を抱く藤生。その藤生を見つめ続ける、東京出身で人気者のミナ。佐賀の村で同級生だった3人は、中学卒業前、大人になったそれぞれに充てた手紙を書いて封をした。時は流れ、福岡でひとりで暮らす30歳の天のもとに、東京で結婚したミナから、あの時の手紙を開けて読もうと連絡が来て――。他者と自分を比べて揺れる心と、誰しもの人生に宿るきらめきを描いた、新しい一歩のための物語。
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Posted by ブクログ
舞台は、佐賀県。私も佐賀県出身です。たしかに若い頃は自分があーだったら、こーだったらばかりでした。カラオケの最低限の合いの手も打てない、人並みに走れない、キリがありませんでした。しかし、今はこの年でも救急当直をこなせる体力、健康に感謝してます。寿命は縮んでるなら不健康かもしれませんが。
「わたしが他の誰かになれないように、他の誰かもまたわたしにはなれない。残念だが、わたしはわたしを引き受けて生きていくしかなさそうだ」 友達をうらやんでばかりいた若い頃の、劣等感とか自意識過剰ぶりを思い出しほろ苦い。年齢を重ね、自分が見たい面だけでなく、多角的に相手を見ることができるようになるにつれ...続きを読むてこの境地に至る。うらやましさを感じるのはきっと、様々な面があって輝く一面、様々な面によって生み出される一面。そこだけちょい、と、つまみとれるものではないのだ。 お互いがお互いに何かしら屈折した思いを抱いていた10代の頃を過ぎ、30代になった天、藤生、ミナ。自分と言うものを受け入れて、これから3人の関係はどうなってゆくのだろう。
物語全体に、どんよりと暗く重たい空気感が漂う。それでも何か光はあるのか、次はどうなるのかと、どんどん読み進められた。登場人物それぞれの心情が丁寧に描かれていて、感情移入しやすかった。他人の評価や価値観と、自分の価値観は当たり前に違っていて、その違いを認識しながらも、不器用にしか生きられない主人公たち...続きを読むを見ていると、人生ってなかなか上手くいかないことも多いよなぁと感じた。もう少し自分に優しく、過去も許しながら、心の隙を作って穏やかに生きることができたら、また違った未来も描けるのかなぁと考えさせられた。
田舎の閉鎖的な感じや中学生特有の感情がよく描かれている。 登場人物それぞれの心情、成長が分かりやすく読みやすかった。
あの人になれたらとか、ここじゃなければもっといいはずとか。自分にも身に覚えのある気持ちがギュッと詰まっていて刺さるところもあった。藤生はちょっとヤバすぎでしょ。私だったら友達としてもう信じられないかな。
人間ってやっぱり不思議だなと思う。 それぞれ相手を羨ましく思う部分があるのに、自分の良さには気づけないものなんだな。 相手のことを言葉に出して褒めることもせずに、ひっそりと羨ましいと思っているから、本当の想いが伝わることもなく、すれ違ったりする。 物語の世界だと俯瞰して見ることができるから、なんて歯...続きを読むがゆいんだと思ってしまうけど、こういう「うらやましさ」を言葉にできず、でもなくすこともできずにモヤモヤとしてしまうことってたくさんあるなと思った。 表面的なことはやっぱり表面でしかなくて、人間の多面的な部分が丁寧に描かれていて面白かった。
学生時代に抱いたことのある"どうしてわたしはあの子じゃないの"のタイトルに惹かれ読み始めたけど、登場人物3人それぞれの葛藤と苦しみの中には、確かにそこに私もいて、この物語に出会って、少しあの頃の私が救われた気持ちになった。
仕事に行っても、友達と遊んでても、自宅にいても、いつも漠然とどこかに帰りたいと願っている。でも、ちゃんと同じ場所に帰ってる。 結局、どこにいたって何をしていたって、自分にしかなれない。悲しい気もするし、安心する気もする。
あなたは、こんな思いに囚われたことはないでしょうか? 『どうしてわたしはあの子じゃないんだろう、っていつも誰かをうらやましがってた』。 人は自分を誰かと比較しがちです。それは、繊細な感情に満たされた青春時代はより顕著だと思います。『女の人は常に容姿を評価される。十四年の人生で学んだことのひとつ...続きを読むだ』というように、そのひとつが容姿だと思います。これは否定できない現実です。 しかし、そんな現実を変えることなどできはしません。人はそれぞれに与えられた前提の下に、それぞれの人生を生きていく他ありません。とは言え、他人を羨む感情の落とし所はそう簡単に見つかるものでもないでしょう。複雑な思いを抱きつつそのまま長い時が経過してしまう、そんなこともあるのかもしれません。 さてここに、『どうしてわたしはあの子じゃないんだろう』と思いを深めた青春時代の先を生きる一人の女性を描く物語があります。『今のわたしには誇れるものがなにひとつない』と三十歳の今を生きる女性の胸の内を見るこの作品。そんな女性が中学時代に抱いていた思いを知るこの作品。そしてそれは、自分と他人を比べるという誰もが抱く感情の正体を見る物語です。 『出てってよ』と『都合二ヶ月、一緒に暮らした』、『知り合った時点で宿なしだった』『男をにらみつけ』るのは主人公の三島天(みしま てん)。『はじめて会った時』、『目指している』のではなく『「小説家になる」と言った』男に『君はかわいいだけじゃなくて、他の女の子にはないなにかがある…』と『およそ文学的でないくどかれかたをした』天は『かくして深い関係にな』りました。しかし、『男はこれまでわたしの書いた小説を一度たりとも読みたがらなかったし、自分の書いたものを読ませてもくれ』ません。『好きな作家は誰?影響を受けた本は?というような話題にもいまいち食いつきが悪い』という男は『働いて』もいません。天が『スミレ製パンの工場に出勤する時も、帰ってきた後も、副業であるウェブライターとして記事を書いている時も、料理をしている時も、ずっとピコピコとスマホでゲームをやっていた』という男は、『この二ヶ月のあいだ、ただの、ただの、ただの一文字も小説を書く姿を見せてくれ』ません。『だからさっき、どうにも我慢できなくて「なんで書かないのよ」と訊』いた天に『文章っていうのは、とつぜん降りてくるものだろ、今はそれを待ってるところなの』と言う男。『出ていって、っていうか出ていけ!』と男の背中を蹴った天。『天ちゃん、悪かった…』と慌てる男を部屋から追い出し『警察呼ぶよ!』と怒鳴った天に、男は姿を消しました。 場面は変わり、『ベルトコンベアの上を流れてくる』『ケーキを台紙の上にのせる』担当をしている天は、『スミレ製パンに勤めて、もう十年以上になります』。『これはわたしのやりたかった仕事じゃない』と思うも、『そんなことは今関係ない』と、ラインに向き合う天。そんな時、『ピピーッとサイレンが鳴』り、休憩時間となりました。『休憩室で、家から持ってきたおにぎりを食べ終え、スマートフォンを取り出』した天は、今日、『選考結果が発表される』予定の『小説ミモザ新人賞』のサイトを開きます。しかし、まだ更新されていないという中、『今週中に書いて送る』仕事を思い出した天はメモ帳を開こうとして、誤って『ニュースアプリ』を開いてしまいます。『九州女子中学生連続誘拐殺人事件 犯人逮捕か』という文字を目にし、仕事の内容が『ぜんぶふっと』びます。『「ひとりで歩いてはいけない」、という通達が学校から出された。十六年前のことだ』と過去を思う天。『千葉で女子小学生を誘拐、監禁し、逮捕された』男が『取り調べの最中に明らかになった』という『十六年前の事件』。そして、午後の仕事も終わり『アパートまで徒歩十六分の道を歩』く天は、再びスマホを見るも、『「ミモザ新人賞」の選考結果』に『「三島天」の名前』はありませんでした。『今のわたしには誇れるものがなにひとつない。だって、わたしが書いた小説は誰からも求められていない』と思う天は『選考に残った人々の名前を思い出』します。『わたしと彼らでは、なにが違うんだろう。この人たちにあって、わたしにないもの。それはいったい、なんなんだろう』と思う天。高校の卒業式を終え、『その翌々日に家出をし』東京に出てきた天。そんな天のスマホが鳴ります。それは、『十四年以上顔を合わせていない』中学時代の友人のミナでした。『このあいだのブックレビュー、読んだよ』、『ああ、ありがとう』と会話をはじめた二人。『あのね、復活するんだって。浮立(ふりゅう)』、『肘差浮立(ひじさしふりゅう)』というミナに『え?』、『だって、衣装とか面とかぜんぶ燃えたんじゃなかった?』と驚く天。そんな天は『育った村で毎年行われていた』ものの『十六年前のある事件をきっかけに、廃絶された』故郷の『神事芸能』に思いを馳せます。『それをわたしに教えるために電話をくれたのかな?』と訊く天に、『あ、違うの違うの。荷物を整理してたらね、手紙が出てきて』と語り出したミナは、『卒業式のすこし前に書いたでしょ。三人で』、『わたしと天と、藤生の三人で』と続けます。『二十歳になった、ミナと藤生への…』、『ミナは藤生とわたしへ、藤生はわたしとミナへ、それぞれ書いて封をした』という手紙のことを思い出した天。そんな天に『これ送りたいから、住所教えて?』と言うミナに『え、読むの?』、『今になって読むほどのものではないっていうかさ…』と後ろ向きな天に『なんでそんなこと言うの?』と返すミナ。そんなミナが『この場で開封してしまうかもしれない』と焦る天は『わかった、じゃあさ、みんなで会って読まない?「せーの」で開けて読むの』と提案します。そんな天に『来月の浮立の時に、みんなで会おうよ。肘差で』と提案するミナ。天は『二度と帰ってくるな』と父親から言われている故郷に足を踏み入れることを思います。『時間稼ぎだと、自覚している。今すぐに読まれるよりはまだましだから。でも、きっとミナにあれを読ませるべきじゃない』と混乱する天。そんな天の過去と今を繋ぐ物語が描かれていきます。 “閉塞的な村から逃げだし、身寄りのない街で一人小説を書き続ける三島天は、ある日中学時代の友人のミナから連絡をもらう。中学の頃に書いた、大人になったお互いに向けての「手紙」を見つけたから、30才になった今開封しようというのだ ー。他人との間で揺れる心と、誰しもの人生に宿るきらめきを描く、感動の成長物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。そんな作品の帯には”もう人と比較しなくていい。そのままの貴方が一番素敵”という言葉が記されています。作者の寺地さんは主人公の”成長物語”を多々テーマにされていらっしゃる方です。この作品では、そんな”成長物語”を他人との比較という視点で描いていくことがわかります。 では、そんなこの作品を見ていきたいと思いますが、特徴的な構成から見てみましょう。それこそが二つの時代を四人の登場人物視点で描いていくというものです。これは目次がわかりやすいと思いますので引用してみます。 ・〈第一話 どうしてわたしはあの子じゃないの〉 → 2019年、天視点 ・〈第二話 神さまが見ている〉 → 2003年、天視点 ・〈第三話 神さまおねがい〉 → 2003年、ミナ視点 ・〈第四話 きらめく星をあげる〉 → 2003年、藤生視点 ・〈第五話 君はなんにも悪くない〉 → 2019年、ミナ視点 ・〈第六話 どこかに帰りたい〉 → 2019年、五十嵐視点 ・〈第七話 いくつもの星をありがとう〉 → 2019年、藤生視点 ・〈第八話 誰ひとりわたしになれない〉 → 2019年、天視点 この作品は8つの短編が連作短編を構成していますが、舞台は天が2019年=30歳、2003年=14歳という二つの時代、そして天、ミナ、藤生、そして五十嵐という四人の登場人物視点で描かれていきます。最初と最後を含めうち3つの短編が天視点が登場することからも全編通しての主人公は天ということになるかと思います。この作品の書名に繋がる思いを抱くのも天です。しかし、物語は天と二つの時代に関わり合う他の3人の登場人物にも視点を移すからこそ見えてくるものがあります。このあたりの構成もとても見事だと思います。 そんな物語には全編を通して繰り返し綴られる一つのイベントがあります。それが、主人公の天が生まれ育った村で行われる『神事芸能』です。 ● 『肘差天衝舞浮立(ひじさしてんつくまいふりゅう)』って何? ・浮立とは、佐賀県全域に分布する民俗芸能のようなもの ・県内に分布しているといっても、その内容はまったく同じではない。それぞれの地域で独自の発展を遂げ、受け継がれている ・毎年九月に、五穀豊穣・無病息災を願って、肘差神社に奉納される ・天衝舞浮立の主役は、「天衝」という冠をかぶった舞人 → 天衝舞は基本的に子どもが踊る決まりになっとる ・「天衝」は縦横一メートル以上ある巨大なもので、舞人は前後左右に頭を激しく動かすハードな振りつけをこなす。三日月のかたちをしていて、中心に描かれた円は、太陽をあらわしている ・天衝舞浮立は、朝八時の肘差神社でのご祈禱からはじまる。ご祈禱は村の男だけでおこなう。道中では女に会ってはいけないという決まりになっている。だから村の女たちは外に出ないように気をつける といったところでしょうか?主人公の天は『どうやって浮立の練習から逃げよう』という中に、否が応でも参加させられる姿が描かれていきます。この作品で描かれる『浮立』は佐賀県ではとても有名な『神事芸能』のようですが、有名無名関わらず子供の頃というのは、妙に周囲に反発心を抱きがちです。私も子供の頃に育ったコミュニティで行われる祭に参加したことがあります。正直なところそれは、この作品の天と同じ気持ちで嫌々感が圧倒的に勝っていました。大人になってどうしてそんなに嫌がっていたのかと思うこともあります。この作品では後半に大人になった天がそんな『神事芸能』を見る姿が描かれていますが、そこにどんな思いが去来するのか?この作品の中で強いインパクトをもって語られていくものであるからこそ、これから読まれる方にはこの点にも是非注意して読んでいただければと思います。 そんなこの作品には、天の他に上記した三人の人物が短編ごとに視点の主となりつつ登場します。 ・三島天: 14歳→30歳、14歳の頃には小説を書き始めるも両親からは否定されている。高校卒業の翌々日に家出し、東京でケーキ工場で働きながら副業としてウェブライターをし、小説家を目指している。 ・小湊雛子: 14歳→30歳、父親の兄が急死したことで膝差ち移住、地主の家系で祖父は村会議員、一方で父親は浮気をしている。『ほんとうにかわいくて、みんなに好かれていた。男子からの告白を受けたことも一度や二度どころではない』 ・吉塚藤生: 14歳→30歳、母子家庭で母親は『喫茶かなりや』を経営。きれいな顔をしている。アイドルの誰それに似ている、なんて言う人もいる。学校内外の女子から「つきあってください」と言われる。 ・五十嵐: 26歳→42歳、自給自足の生活がしたいと肘差に移住 五十嵐だけは元々大人であり、他の3人とは異なる位置付けですが、物語の展開上必要な役所です。一方で短編の数は8つです。天が3度視点の主を務め、雛子と藤生が2度ずつ、そのため五十嵐は42歳となった2019年の物語でしか視点は移動しません。しかし、幼馴染3人だけでなく五十嵐を含めることが物語にアクセントをつけていきます。 そんな物語は、『閉鎖的な村社会』に生まれ育った中に、小説家を夢見るも、特に父親からは生意気と見られる天の今と過去をまず描いていきます。『いつかわたしはきっと、その先の、そのまた先の、ここではない場所に行く』という思いを具体化し『高校卒業したら、ぜったいここから出ていく』という思いを強めていく天。それは、『「世間体」とか「常識」』に対する強い反発でもありました。そんな天の幼馴染として故郷の肘差でともに中学時代を過ごしたのがミナと藤生です。上記した通り、ヒナは『ほんとうにかわいく』、一方の藤生も『きれいな顔をしている』と容姿に恵まれ、それぞれ異性から注目される立場でした。そして、ミナは藤生のことが好きであり、藤生もミナのことが好きであることが匂わされるも関係性が発展することない中学時代が描かれています。一方で、彼らの中学時代に、ある事件が起こったことが大きく匂わされてもいます。物語では、そんな三人が『二十歳の自分へ』と記しあった手紙を一緒に読むために再会を果たすことになったことで動きはじめます。三人のそれぞれが他の二人に向けて記した手紙にはどんなことが記されているのか、十六年前のあの時代に、それぞれがお互い相手をどのように思い、どのように見ていたのか、物語はそんなXデーの瞬間を目指して揺れ動くそれぞれの心の内を描いていきます。 『どうしてわたしはあの子じゃないんだろう、っていつも誰かをうらやましがってた』。 あの時代を振り返る天は、過去の自分自身の思いをそんな風に表現します。人は誰でもこのように他人を羨む思いに囚われることがあると思います。子供の頃は特にそんな思いは強いのだと思います。主人公の天はそんな思いを確かに抱いていたことを振り返ります。一方で、そんな天はこんな思いにも囚われています。 『たまに考える。自分が「選ばなかった人生」というものについて。選べなかった人生、かもしれない。後悔しているわけではなく、ただどうであっただろう、と考える癖がついている』。 この言葉もとても重いものだと思います。人は人生を生きる中で日々その先を生きていくための選択を繰り返します。私たちはその先の選んだ人生を生きています。そんな中で、自分が『選ばなかった人生』があることが分かります。さらには、『選べなかった人生』というものまで考えると複雑な感情にも包まれます。もちろん、それらは可能性であり、そんな人生が本当にあったかどうかは分かりません。しかし、今の人生にふと疑問を抱く時、そんなもう一つの可能性を思い見ることは間違いなくあると思います。物語では、16年ぶりに過去に同じ時代を過ごした面々と再会する天が、そのことをきっかけに人生をさまざまに振り返り思いを深めていく姿が描かれていきます。 『わたしが他の誰かになれないように、他の誰かもまたわたしにはなれない』。 そんな風に思い至る主人公の天。「どうしてわたしはあの子じゃないの」と読者に問いかける書名を冠したこの作品。そこには、モヤモヤとした思いに囚われ続けてきた天の人生の一つの区切りを見る物語が描かれていました。 『どうしてわたしは、あなたじゃないの』。 そんな思いに囚われる中に中学時代の日々を生きていた主人公の天。そんな天が16年の時を経て自らの過去の思いに一つの区切りをつける物語が描かれていました。佐賀県に伝わる『天衝舞浮立』という『神事芸能』が印象深く描かれるこの作品。視点の絶妙な移動によって、登場人物それぞれの心の内が鮮やかに浮かび上がるこの作品。 他人を羨むという誰にでもある感情を鮮やかに描き出す寺地さんらしい作品でした。
自分として生きる苦しみや楽しみを教えてくれるような一冊でした。田舎特有の息のしづらさや、30代を迎えるまでに誰もが経験するであろう感情の揺れが丁寧に表現されていて、毒にも薬にもなるような不思議な本だと思いました。自分が自分であることに苦しみながら、どうにかこうにかみんな大人をやっているだけなのかもし...続きを読むれないと感じました。
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どうしてわたしはあの子じゃないの
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寺地はるな
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