寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あかつきマーケットのゆるキャラ「あかつきん」が結ぶ人と人とのつながりの物語。
たくさん出てくる登場人物の関係性をしっかり確認したくてページを行きつ戻りつ読んでいたが、そんなことにとらわれなくても一つ一つの物語が心に沁みるエピソードばかりなので、それぞれ短編集として味わってもいいと思う。
「死んだ人間は、天国にもどこにも行かん。死んだら小さい、たくさんのかけらになって散らばって、たくさんの人間に吸収される。生きてる人間の一部になる。とどまり続ける。」
だから「生きてる自分を大事にするのがいちばんの供養」というじいちゃんの言葉が心に残った。
誰もが自信を持って前向きに生きているわけではなく、何 -
Posted by ブクログ
この作品もかなり心強い応援メッセージが込められているように思いました。
物語の舞台は、九州北部の星母島。
その島には子供についての願い事なら何でも叶えてくれるという母子岩があり、ちょっとしたパワースボットになっている。
そして、そこで民宿兼託児所を営んでいる千尋という女性が主人公。
子どものことを願いに様々な人が訪れます。
本当に様々で、共感できる人もあれば、この人可怪しいんじゃない?と思える人も登場します。
また、千尋の生い立ちからこれまでを文章にしたいと島にやって来たライターの女性。もう、本当に自分のことしか考えてなくて読んでいてムチャクチャ腹がたった。
私自身が今、同じような人から身 -
Posted by ブクログ
初寺地はるなさん。なんてまた深いとこの心情をえぐり出すように書いてくれるんだろう。
どこかニヒルなベビーシッター(保育士)千尋に、寄り添うようにして一緒にいる麦生の存在に救われる。高校生で赤ちゃんを産んだまつりはなんて幼稚なんだろう、と思ったけど、そういうことだったのかと腑に落ちた。それを見抜く麦生すごい。
でもタイトルにもなってる「彼女が天使でなくなる日」の話。なかなか強烈だった。娘を天使に仕立てあげることが本当に残酷だった。「天使のままでいいんですか?!」と千尋が叫ぶほど、痛ましいものだった。
完璧な娘ってなんだし。赤ちゃん産めばいいってのかおおおん????と小一時間問い詰めても無駄 -
Posted by ブクログ
九州の北部に位置する小さな星母(ほしも)島で、託児所を併設した民宿「えとう」を営む千尋…彼女は一度島を出ているが、大阪で知り合った麦生とともに1年前に戻ってきていた。島には「母子岩」と呼ばれる名所があり、悩みを抱えた人々が御利益を求めて訪れるようになっていた…。彼女の出自は複雑ではあったが、親戚筋にあたる政子さんが引き取り育てられ、島の子「モライゴ」として育てられた過去があり、「えとう」も政子さんから引き継いでいた…。星母島の「えとう」で繰り広げられる、家族の物語…。
千尋の周りには本当にいい人ばかりで、本当に救われました!千尋だってちょっと間違えたら今の生活は送れてないんじゃないかな… -
Posted by ブクログ
人口三百人ほどの小さな島で託児所を併設した民宿を営む千尋。そこに育児や子どものことに悩んでる親がやってくる。こうしなきゃ、ああしなきゃ、という周りの声とのギャップ。みんなはとか普通はとかの枠に当てはめて言われること。無意識のうちに自分もそっち側にいるんじゃないかとハッとさせられる文章がたくさんある。人それぞれなはずが子育てには色々と簡単に同じを求められる。そんな苦しみに綺麗事ではなく、淡々と話す千尋に救われる人たち。それで全てが解決しなくてもそこにいてくれるということが何よりの救いになっている。当たり前とか普通とか言われていることに、そうじゃないと、悩むのはおかしいことじゃないと教えてくれるよ
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Posted by ブクログ
素敵なお話でした。
双子の光実と歩が亡き母のワイン作りの後を継ぎながら成長していくお話です。
読みながら、光実の気持ちも歩の気持ちも
本当に痛いほどわかる気がしました。
兄弟や双子というと
つい比べられたり、自分でも勝手に比べて落ち込んだり仲がいいんだけどどこか複雑な気持ちもあったリ…
寺地さんの作品はどれも私の中にある誰にも見せていないような自分でも気づいていないような
感情に出会えるそんな気持ちになります。
ワイン作りの奥深さに感動しつつ、
光実や歩の周りの人たちの厳しい中に温かく見守る姿や言葉がけが本当に素敵で私も頑張ろうと
元気が出るお話でした。 -
ネタバレ 購入済み
主人公は強い。。
主人公が強い人だなぁと思いつつ、逆境に立ち向かって行くとこがすごいです。
ただ、ハッピーエンドが好きな方には向いていないお話かと思います。。