寺地はるなのレビュー一覧
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ネタバレ寺地さんの小説で、初めて暴力的なシーンや詐欺という反社会的な描写に出会った。暗くて救いようのない主人公かと思いきや、最後は大切なことに気づかせてくれる、やっぱり寺地さんの小説だと思った。
幼い頃から貧困にあえぎ、10代で詐欺に手を染め、お金のためなら他者への共感力や思いやりとは無縁になってしまえた青年が、相棒やその認知書の母を通して、慈しみの情が芽生えていたことに気づいてゆく。
こどもをないがしろにして他者へ貢献してしまう母親、理想を押し付けてしまう母親。こどもは親の関心が得られない寂しさや、呪縛から逃れられず大人になってから苦しむ。
誰かに見守られながら泣きたい日もある。解説の原田ひか -
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自分 「川のほとりに立つ者は」が面白くて他の作品もと手に取りました。人間の一筋縄ではいかない難しさや優しさを表現しているなってこの作品でも思いました。
自分らしく自分の人生を生きることは難しいと思います。誰かの影響を受け誰かに頼り生きているのが人生のように思います。
「大人は泣かないと思っていた」は短編集ですが、つながったお話です。最後のお話「君のために生まれてきたわけじゃない」、父への思い、母への思い、元カノへの思い、親友への思い、恋人への思い、色々な思いがあふれていて、そうやって生きている人間の美しさや強さなんかが感じられました。良い作品でした。ありがとうございました。 -
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ブラックほどではない会社でも、当たり前のようにある好ましくない暗黙の了解事項。なくならないパワハラ・セクハラ。おかしいと声を上げても無視されたり報復されたりするダークな空気漂う職場。
それでも声を上げようと決めて臨んだ転職先の小さな製菓会社を舞台に、孤軍奮闘する1人の女性を描くヒューマンドラマ。
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小松茉子は、目の前に座る男を見た。
男は名を吉成伸吾といい、茉子のはとこに当たる。現在27歳の茉子より5つか6つ年上だが、幼い頃からよく知る相手だけに、今日から「社長」と呼ぶことに違和感がある。
ついそんなことを考えつつぼんやりしていると、「話聞いてる?」と伸吾か -
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寺地さん作品ですー
定期的に読み進めてます!
税理士事務所で働く万智子が
ウェディングドレスのサロンの手伝いもすることになり、
そこでの出会いで少しずつ成長していく話
この主人公の万智子、
なかなか面倒くさい人物で、、、
どことなく自分に似ているところがありまして。笑
会話の瞬発力が圧倒的にないところ、
あとから脳内反省会してわーってなるところなど、ちょっと私?ってなりました。
前はポンポン、なんなら何も考えずに話してたのに
大人になって友達と会う機会が減ってきたからか
会話の瞬発力の低下がすごくて、、
後からああ言えばよかったのか、とかよく考えるんですよね。。
でもこ -
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序盤で、一歩踏み出せない万智子を見ていると歯痒くてしょうがなかった。そんな万智子に対し、どストレートに言えるあつまりの女性たちがカッコいい。
終盤になるにつれ万智子が変わっていったのは、見ていて嬉しい気持ちになった。
本多先生の言葉にグッときた。
「役に立つとか、立たないとか、人間は道具ではありませんからね」
役立てるよう頑張ります!とか言うけど、こんな優しい心の角度があるんだな、と新しい角度を知れた。
「孫もいる爺さんが何を言うかと笑うかもしれまんが、もう誰の子どもでもなくなってしまったのだと思うと、心もとないですね」
どんな大人も高齢の方も、みんなみんな親がいて、誰かの子どもなんだよな -
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ネタバレ連作短編集のタイトルでもある「彼女が天使でなくなる日」。
彼女というのが宿泊客だったのが違和感だったけど、ラストで「神は絶対であり、その神に仕える天使は善であり、対抗しうる力を持つものは悪とされる」ということを踏まえて「天使になどならせてはいけない。誰ひとり」になるんだな。すごい仕掛けだ。
理津子が民宿えとうみたいな場所を作る話も読みたいな。
途中で出てきた蜂蜜は「今日のハチミツ、あしたの私」の蜂蜜かな?他は気付けなかったけど、こんな仕掛けがあるなら理津子さんの話もある気がしてしまう。
「倦怠期真っ最中の恋人に抱かれながら昔の恋人を想う女のように、からあげを咀嚼しながら寿司と刺身のことを考 -
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ネタバレ『いつも心に棺桶を』が社訓のビオレタ。
店主の菫さんの名前をイタリア語にして、
ビオレタ。
なかったことにはしたくないけれど、ひっそりと埋葬したいなにかを、手作りの棺桶に入れようとする人たち。そうやって心にけじめをつけて、また新たな一歩を踏み出す人たち。
ビオレタのようなお店がある、という存在だけでも心の支えになりそうな気がした。
「誰かの庭になる」という発想は面白いと思った。私は誰かの庭になれているだろうか。誰にでも開かれた、陽の光が燦々と差し込み、植物が生き生きと育まれている、風通しの良い庭。わたしも誰かのそんな庭になりたい。
少しファンタジーも入るのかな。紆余曲折ありながら年上の彼 -
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p.159 「あの男の人に会ったとき、正直、ひーさんのこと、信じられないと思ったんですけど。でも、じゃあ、じゃあ、ギリギリ許せるような感じがしないでもない、かな…」「何、それ。許すも何も、これは許さんたちの問題やろう」
だって、いけないことでしょう。間違った事は言っていないはずなのに、どうしてこんなに怖い顔でにらまれなければならないのかわからない。
「配偶者がいながら、他の人と関係を持つのは、いけないことですから」
「そうかも知れんけど、許すとか許さないとか、赤の他人のあんたが言うことではないよな」「赤の他人って…冬さんは友達って言ってくれましたけど」「友達は、他人や」
p.161 -
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主人公の万智子が好きにはなれなかったけど、20代の頃は、人は多かれ少なかれ万智子のようなところがあるのかもしれない。
了さんとはじめて会った時、了さんの腕時計を預かるのに、万智子はハンカチを出して腕時計を受け取った。
その時に了さんは、万智子は信用に足る人だと感じたと話す。万智子は、
『冬さんの事情。美華さんの怒り。菊ちゃんの不安と、早田さんの苛立ち。わたしはそれらを、もっと尊重するべきだった。彼らの心は、彼ら自身のものだった。わたしはただ欠けたりや不用意に傷をつけることのないように、そっと手のひらにのせればよかった。正しいとか間違っているとか、賢しらにジャッジすることよりも大切なことがあっ -
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ネタバレ寺地はるなさん3作目。
その中で1番良かった。
ずけずけ常識や普通に異を唱える千尋の心に刺さる言葉や、見事だなと思う表現がいくつもあった。
特に心に残ったのは
「多くの人は友達を良いものだと思い過ぎなんじゃないでしょうか。そうでもないことをあなたが身をもって証明してくれています。」
私も破綻したけど、ずっと引っかかる友達関係があって、麻奈のようにその子を親友と思い続けてきた長い期間が過去にあったからすごくモヤモヤしていたが、それを客観的な視点で見れてなんだか少しスッキリした。
もう一つは、
「願うだけなら誰でもできる。願いは全ての種子だ。種子がなければそこから芽を伸ばし、葉を広げることもで -
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家を出て道路の向こうを眺めれば、少し先の丘の上には大きな観覧車(スカイウォーカー)が見える。丘の手前には2種類のコースター(レッドファルコン/エルフ)の雄大なコースに、風向きによっては乗っている人の絶叫が聞こえるドロップタワー(メテオ)の姿も。
そこは「ひらかたパーク」(通称:ひらパー)。一度も取り壊されずに現存するものでは日本最古の遊園地(by Wikipedia)。
そんなひらパーをモデルにした遊園地が舞台のこの本、そこに働く人たちの日々の屈託が描かれる。
ありがちなところから少しずらした登場人物の造形で、美点も欠点もそれぞれに描き分けられているところが良い。
好きな職場でなくても好きな -
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ネタバレ飛鳥井千砂さんの作品が読める!ということでご本を見つけて即買いしました。
飛鳥井千砂さんのお話もちろんサイコーだった!そしてほかの作家さんのお話も面白かった。
飛鳥井千砂さんの書く主人公の女性がとっても好きで、今回のもうすぐ十八歳も夢中になりながら読んだ。
後半の展開に、主人公の気持ちになってえ!?え!?となった。主人公に起こったことを知っているから、締め方に納得した。ぜひ読んでほしい!
お話が進むにつれてページを捲る手が止まらなくなったのは雪舟えまさんの二人という旅。
最初は設定の読み込みに苦戦したんだけれど、読み込めた後には、どうなるんだろう??どこにお話しが着くのだろう??と興味津々