寺地はるなのレビュー一覧

  • 月のぶどう

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     急死した母の後を継いで、ワインづくりに奮闘する双子の姉弟の成長と自立を描くお仕事ヒューマンドラマ。

          * * * * *

     大阪南部の山間にあるワイナリー。そこで醸造家を目指して修業中の姉弟には、双子ならではの苦悩があります。

     何かと比較されることの多いのがきょうだいというもの。ましてやそれが双子ならなおさらでしょう。出来の良し悪しに関わらず、周りの評価が本人たちの縛りとなるのはよくあることです。
     その葛藤と呪縛からの脱却を、寺地さんらしい丁寧なタッチで描かれていました。

     何でもソツなくこなす姉の弱さ。
     逃げ癖のある弟の強さ。
     表裏一体の双子の自覚と覚悟。クライ

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    2022年03月05日
  • 明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語【電子限定特典付】

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    スカイツリーを見上げる下町の片隅にある商店街の物語、第4弾。
    戦後の焼跡に24軒集まって始まった商店街ということだったけれど、今では80軒近くの店があるという。
    毎回、冒頭に地図が載っているけれど、その本に載っている短編のタイトルのお店だけなので、これは・・・あの物語のお店の場所なのだが・・・と迷ってしまう。
    今回の桜さんのように、お店を出て歩きながら紹介してくれると、ふむふむ、川平金物店は、水沢文具店の向かって左隣なのだな?とわかって嬉しい。
    今までに登場した、全部のお店が載った大きな地図が見たいなあ〜

    老朽化した二階建てで、一階がお店で二階が住居という作りが多い。
    看板も古い言葉で、若い

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    2022年03月02日
  • やわらかい砂のうえ

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     真面目だけれど不器用な女性、万智子の精神的な成長と自立を描くヒューマンドラマ。

          * * * * *

     主人公の万智子は、物事について感じたことをじっくり考えてからしか言葉にできないという、内省的なところのある女性です。
     また、女性であることを前面に出す生き方に否定的な点で『水を縫う』の水青にも通ずるところのある女性でもあります。
     そして、自分というものに誠実に向き合って生きてきただけにこだわりが強く、いわゆる「面倒くさい」ところもあります。

     そんな万智子が、3人の高齢女性と出会うことによって少しずつ柔軟性を身につけ、自身のスタンスを確立していく過程が描かれます。

     

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    2022年02月23日
  • 正しい愛と理想の息子

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    ネタバレ

    【完璧に美しい月の下に、無数の美しくない愛を抱えた人間が、ひしめきあうようにして生きている。】自分の人生に飽きているハセ。そんなハセを慕う沖。二人が生きてる物語の中にもこの世の中にも無数の理想と真っ直ぐでも曲がっていても届いても届かなくても無数の愛がそこかしこに。読み終えてちょっぴりまたこの世界が愛しくなった。2021年、寺地はるなさんの小説に出逢った。とても嬉しく素晴らしい読書時間を過ごせたことに、感謝。

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    2021年12月30日
  • 正しい愛と理想の息子

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    暴力に嫌悪感があったけど、乗り切って読み終えた。今の自分の母の姿と、これからの自分の姿がみえろところは、目を逸らしたかったり、逸らしたり。

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    2021年12月12日
  • 月のぶどう

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    描写が細かくて引き込まれました。亡くなってしまったお母さんが子供達を想う気持ちがよく伝わった。その想いが、実は上手く伝わっていなかったり、誤解されていたり…なるほどなぁと思いながら読み終えました。なんだか足りないものを自然に補いながら、頼り頼れるのも兄妹ならはで温かい気持ちになりました。

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    2021年09月29日
  • みちづれはいても、ひとり

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    題名イイですね。 爽やかな勇気をもらえます。
    それは、読後によく分かります。

    夫と別居中の弓子とアパートの隣人・楓の「宏基(夫)をとっちめるツアー(仮)」という名の二人旅。
    笑いもあり、考えさせられるディープな部分もあり、素敵な物語でした。

    『夫婦だって、友だちだって、一緒にいるだけで「ふたり」という新たななにかになるわけではなくて、ただのひとりとひとりなのだ。』

    『普通の幸せな人生。そんなもの、どこにもない。手にしているように見える人でさえ、きっと違うのだ。内情はさまざまなのだ。』
    「普通」というフレーズもよく登場しました。考えさせられますね。

    弓子が夫・宏基(頼りなくてずるい男、私

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    2021年08月26日
  • 夜更けのおつまみ

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    まさに夜更けにお酒をちびちびと呑むように、ちびちびと気分が良い夜に読んでいたら結構時間がかかったけど好きな本でした。このシリーズ、他のも読んでみたい。生活感が満たされる。

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    2021年06月10日
  • 月のぶどう

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    ワインてこうやって作るんですね!奥が深い…
    自分を嫌ってる人にそんなに好かれたいのか?ここ個人的に刺さりましたね。よく考えれば現実でもそんなことはあって、何でわざわざ好かれようとしてんだろって目が覚めた感じがしました(⌒‐⌒) 自分を嫌いな人は何したって嫌いなんです。そんな人にわざわざ好かれようとしなくていいんだなと。
    あと、日野さんいい味だしてますね(^^)/日野さんが上手い具合に物語を支えてるような気もします。
    最後のお祖父さんからの手紙で涙ぐみました。
    まさに結婚ってそうですよね。お祖父さん好きです。笑 歩も三実もこの一冊ですごく成長したと思います(⌒‐⌒) 頑張りすぎる人に読んでほしい

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    2021年05月01日
  • 夜更けのおつまみ

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    原稿があがった後の枝豆とビール、秘密のレシピでつくる肴、大切な人との一皿…。31人の人気作家がおつまみにまつわる思い出を語ったエッセイ・アンソロジー。『asta*』掲載を文庫化。投稿コンテスト大賞受賞作も収録。

    いろいろ試したくなるおつまみ。

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    2021年04月03日
  • 明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語【電子限定特典付】

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    この商店街の魅力というか、根底に流れる想いみたいなもののが自分の好みなのか、「合わないなぁ」と感じるものがなくどれも平均点以上のおもしろさ。
    安定・安心・粒揃い なアンソロジー。
    いろいろ増えてきて忘れてる話もあるので、第1集から読み直してみたくなりました。

    どうでもいいことだけど、巻末の〈初出〉の日付、本当?

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    2021年01月24日
  • 月のぶどう

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    ワイナリーを営む家の中心だった母が突然亡くなる。双子の姉、光実を手伝う事になった弟の歩は、出来の悪い方だと思っていた…。なんだろう、この作者の作品は、じわじわ心に刺さる、泣きそうになる。自分の事ばかり考えちゃうが、みんな誰かに支えられている。自分の方が上だと思うとホッとしてしまう心理や成長の様子が刺さる、ほんと。

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    2020年12月17日
  • 月のぶどう

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    ワイナリーが家業の男女の双子のお話。
    お酒はなんでも好きだけどワインは敷居が高いイメージがあって…でも歩がいるワイナリーに行ってみたい。
    ワインができるまでの工程を季節の移ろいとともに描写されていて興味深かった。
    美晴が意外にハマった。

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    2020年12月04日
  • 月のぶどう

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    歩のひたむきな姿が良かった。

    母から逃げ、ダメな子で過ごしていたが、母の死をきっかけにワイナリーに戻ってきた。
    ここでやっていくしかない、っていう覚悟で、必死に勉強し続ける歩。
    不器用だけど、少しづつ成長していくお話。
    他の家族もみんないろいろあって、何かを抱えていて、でも、良い方向に向かってくれて、心温まる一冊でした。

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    2020年10月15日
  • 月のぶどう

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    「ダメな子」がいつの間にか、すごく味のある人間に成長している、という寺地ワールドの真骨頂のような作品でした。
    ラストのボイスレコーダーでの挨拶を始め、祖父の台詞が素晴らしい。
    他の登場人物も名言が多く、父と光実の次の言葉が印象深かった。

    P87 父の台詞
    「大切やない、必要のない仕事はない。必要でなかったら、それは職業として成立せんからな」
    P127 光実の気持ち
    誰かが大切に持っている夢は、その人自身がそっと手を開いて見せてくれるまで、軽々しく触れてはならないと思う。

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    2020年09月23日
  • 夜更けのおつまみ

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    ブレイディみかこさんのイカのお話めっちゃわかる…透明じゃないとイカの刺身じゃない。
    下戸なのですがおつまみは好きなので楽しく読みました。
    簡単なレシピもちょいちょい書かれているのもいいです。森まゆみさんのと水生大海さんの…やってみよう。
    なとりの一度は食べていただきたいシリーズはほんと美味しいです。
    茜やさんは行ってみたいなぁ。。
    お酒呑める方が楽しそうだとつくづく思いました。

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    2020年08月23日
  • 夜更けのおつまみ

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    知ってる作家、知らない作家が目に浮かぶようなおつまみレシピを紹介。
    ほぼ5ページにその時の情景と共に出されるおつまみは、ささっと作られたもの、買ってきたものと様々。呑める人も呑めない人も共通してるのは「おつまみが好き」。
    たまらず途中からビールを開けました。
    さて、おつまみ何にしよう?

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    2020年06月01日
  • 月のぶどう

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    表紙とタイトルに惹かれて読んだ。お話の中でタイトルの意味がはっきりわかって、じいんときた。双子が主役の物語はたくさんあるけど、こんなにあったかくて、めんどくさくて人間くさい、愛おしい双子は初めてかもしれない。交互に視点が切り替わって互いの気持ちがわかるのがよかった。お酒苦手だけどワインが飲みたくなるおはなし。

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    2020年05月07日
  • 月のぶどう

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    映像化された画がみえる気がするような本。
    できる姉と出来の悪い方の弟。
    柔軟な発想でワイナリーの仕事で芽を出す歩の姿が、とても爽やかです。
    頑なな光実を包む広田も、光実の不器用だけどまっすぐな姿が気持ちがいい。
    爽やかな風と心地良い陽射しを浴びているような気分になれます◎

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    2020年03月20日
  • 月のぶどう

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    関西のとあるワイナリーのおはなし。

    寺地さんの本は2冊目だけど、ひとつの家族を長期的に書くのが好きなのかな。
    つとつとと、3年間くらいの話が書かれているので、途中、ちょっと長いな…と思ったところもあり。

    じーんとくるいくつかのシーンがあったな。

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    2019年04月06日