寺地はるなのレビュー一覧
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九州の田舎村をいつか出ていくことを夢見る天。
天に特別な感情を抱いている藤生。
そんな藤生に恋心を抱く東京生まれのミナ。
閉鎖的な村で思春期を過ごした3人が、30歳になりふたたび再会する。あのとき、30歳になったそれぞれに宛てて書いた手紙を開封するために。
「どうしてわたしはあの子じゃないの」というタイトルの通り、何者かになりたくてなれなくて、身近な人たちを羨む中学生たち。
でも結局自分は自分にしかなれなくて、ほかの誰も自分にはなれない。
ずるくても悪くても、そうやって生きていくしかない。
〝神さまはちゃんと見とらすよ。俺たちがすることを、ぜんぶ。でもただ見とらすだけ〟
〝というわけで、 -
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いわゆるジャケ買いした1冊。
完全にだまされた。題名と表紙の柔らかさに勝手にほのぼのとした物語だと思い込んだ。
でもこんな騙されかたなら、また騙されたいかもと思える位、テンポも中身も心地よい1冊だった。
三姉妹の母を持つ「桐矢」はいとこも女性だらけという完全な女系家族に生まれる。
男だからと古い固定観念を持つ祖父「義景」は
みんなから嫌われていた。
桐矢自身も、がさつで何にでもすぐに悪口を言う祖父が苦手だった。
祖父も高齢となり、1人で暮らし続けていくことを心配する娘たちに祖父「義景」はこう言い放つ。
「桐矢とだったら暮らしてもいい」
そんなこんなで始まった、祖父と孫の同居生活。
心 -
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前職場で 上司からパワハラをうける後輩のことを“見て見ぬふりをした”という負い目をもつ茉子は親戚の伸吾が社長を務める小さな製菓会社『吉成製菓』に転職する。 もう二度と同じ失敗はしない、という決意だったのだが
この会社ではそれは難しいという結論が出た。
人それぞれ 育ってきた環境も 性格も能力も 背負っているものも 当然ちがう。 そんなものが集まってできている会社という組織に問題がまったくおきないわけがない。
「職場ではできる人が、力のある人が、ルールになる」などということを社長自ら言っているような会社は話にならない。
この先 バイトの千葉のような女性がどんどん出世していけるような『吉成製菓 -
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ネタバレ【あらすじ】
大阪の心斎橋からほど近いエリアにある空堀商店街にソノガラス工房があり、祖父が亡くなった後にそこを継いだ兄妹二人(兄:里中道、妹:里中羽衣子)がいた。道は幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で、協調や共感したりすることができない。羽衣子は、道とは対照的に、コミュニケーションが得意で何事もそつなくこなせるが、突出した「何か」がなく、自分の個性を見つけられずにいる。正反対の性格である二人は互いに苦手意識を抱いていて、祖父の遺言で共に工房を引き継ぐことになってからも、衝突が絶えなかった。両親は道が13歳、羽衣子が8歳の時に別居し、後に父親は再婚する。母親はレシピ本をだす料理