寺地はるなのレビュー一覧

  • わたしたちに翼はいらない

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    寺地はるなさん三冊目。
    彼女の著作には、上っ面だけではない
    人生の本質というか、本当に大事なことが書いてあるような気がします


    『地べたを歩いて生きていこうと決めた。わたしに、翼はいらない』

    『もうこれ以上一緒にいてはいけない。手を差し伸べたら園田はきっと朱音に依存する。
    今だって自分と自分の大切な人を守るだけで精一杯なのに』

    『友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うこと、幸せを願うことはできる』

    『ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない、でも過去に置いていく』

    淡々とした文体なのだけど、ひとがひとを傷つけるときの描写、苦しみを抱えているひとの描写がとても上手い作家さんだと思う

    どう書いたらいいか難しいけど、
    (このストーリーの中では)人間って、傷つく総量が決まっていたり、反対に傷ついたひとは他のひとを慰める、癒せるようになる量が増えるのではないだろうか
    (稀有に辛い生い立ちの人はまた異なると思われるが、自分の手で人生を好転させているひとも多いのだから)

    学生時代に『無敵』だったとしても、その後の人生が順風満帆にいくとは限らない、逆に世間知らずで痛い思いをしたりする
    幼少期や学生時代に辛かったひとは、その痛みを抱えて相手のことを慮り、優しくなれる

    そんなことを考えた。


    人生には、『さようなら』も大事なんだな、と

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    2025年02月28日
  • わたしの良い子

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    子育て中の私にはタイムリーで心にグサッとささりました。
    弱音を吐けないような子どもにしていないか…大人でも難しいのにそれを子どもに強いるのは違うってのは確かに…と思いました。
    偽りの親子がなんだというのか。幸せを他人の価値感で決めてはいけないね。
    あと、朔くんの名前の由来がとても素敵だと思いました。
    月は大きくなって、小さくなって、何度もそれを繰り返す。それは何度でもやり直しがきくという意味。
    鈴菜、ちゃんと母親じゃん。
    胸を張って朔くんと一緒に人生を歩んで行ってほしい。

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    2025年02月25日
  • 雨夜の星たち

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    日常にある喧騒をかき消して自分だけにしてくれるような雨が静かに降り続けている。そんな雰囲気のお話でした。

    察するとか空気を読むということがあたりまえかのようになっているけれど、それはある意味自分の中の意思だったり、感情に反していることも山ほどあるのかもしれない。三葉のように「できないことは、できません」「やりたくないことは、やりません」と言えることも大切なんだろうなと思いました。

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    2025年02月25日
  • わたしたちに翼はいらない

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    自分が輝いていた10代。
    自分がしいたげられていた10代。
    どんな10代でも、それを引きずり続けている莉子と、園田。
    そんな二人とそれぞれの立場で出会う朱音。
    という構図でしょうか。登場人物が多くて、少し複雑でした。

    莉子の夫の大樹が本当に嫌で(「嫌なやつ」なんて簡単な言葉でまとめたくないほどに嫌)、私も復讐したくなった。
    こういう人間性はどのようにして生まれるのか、もはや興味が湧いたんだけど、結局わからなかった。親や友人がどんなに持ち上げても、ここまでになれるのだろうか。
    お母さんがいい人そう(頼らないが)なだけに、悲しみすらおぼえた。

    読みながら、みんな別れ別れになってしまうんだろうなと思っていたから、ラストはうれしかったな。
    友達じゃないけど、同じ時間を共有したり、思いやりをもったりできる、幸せを願える。
    3人とも、きっと同じ気持ちを共有してることでしょう。

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    2025年02月25日
  • タイムマシンに乗れないぼくたち

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    全体的に切なさが漂うお話が多めの短編集でした。
    寺地さんは、日頃、自分でも気づかぬうちに感じている違和感や胸の痛み、みたいなものを描き出すのが本当に上手だと思う。
    あるいは、過去のちょっとした罪悪感とか…
    世間的にこうしなければならない、こんなことを言ったりしたりするのはちょっと…みたいな固定観念に縛られがちな私の気持ちを代弁してくれていると感じることも多い。
    だから、読んだあと、もうちょっとがんばろうと思わせてくれる。

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    2025年02月24日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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    ネタバレ

    『言葉はいっぺん相手にぶつけてしまったら、もう取り消すことなんかぜったいできないんだから。他人に向けた言葉が、自分自身にはねかえってきた。』p26

    『わたしは彼女たちだったかもしれないし、彼女たちはわたしだったかもしれない。(中略)おしゃれをしていたら、家出をしたら、ひとりで歩いていたら、女の子は身体に触られたり、見たくもないものを見せられたり、殺されたりしてもしかたないんだろうか。』p35

    『威張り散らしたり他人の大切なものをバカにしたりするのは、自分の好きなものを追い求めることよりもまっとうなおこないなんだろうか?』p64

    『届かなかったもの。もう二度と触れられないもの。ぜったいに帰れない「どこか」。』p218

    『神さまは見とらすよ。みんなのことをぜんぶ。でもただ見とらすだけ。そいけん、ずるくてもよかっちゃないとね、天ちゃん』p274

    『必死になればなるほど空回りして、焦って、どうしてわたしはあの子じゃないの、なんて妬んでばかりで、そんな自分がいやだったけれども。』
    『内側のことは他人の目には見えないし、わたしたちの目はいつだって、見たいものだけを見たいように見る。』p276

    とても好きな作品でした。

    田舎出身だからなのか、すごく刺さった。
    自分も同じようなことを思っていたなあ。
    理不尽に歯向かう勇気はなく、違和感を感じながら、心がちくちくしながらそのまま見ないふりをしてた。

    でも、自分が自分であるために、家を出るっていうのは必要なことだったなと今思う。正直、馴染みのない土地で、誰も知らないなかで過ごすのはとても自由だった。

    狭い世界だとどうしても、『どうしてわたしはあの子じゃないの』と思えてしまうけど、
    世界はひろい。宇宙はもっと広い。
    わたしはわたしでいいのだ。

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    2025年02月18日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

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     仕事に行っても、友達と遊んでても、自宅にいても、いつも漠然とどこかに帰りたいと願っている。でも、ちゃんと同じ場所に帰ってる。
     結局、どこにいたって何をしていたって、自分にしかなれない。悲しい気もするし、安心する気もする。

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    2025年02月15日
  • タイムマシンに乗れないぼくたち

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    生きづらい世の中、どうしていいか分からない毎日に苦しんでいる。それは昔からあった感情だが、昨今では特に女性作家によって、描かれることが多い。
    読むことで自分の置かれている状況と似ていて、初めて言葉にできるようになり、救われる人もいるだろう。
    寺地はるなさん含め、高瀬隼子さん、町田そのこさん、青山美智子さん、千早茜そん、凪良ゆうさん等、そうそうたる面々によってこの分野は今花開いている。少し前には吉本ばななさんや江國香織さん等もそうだ。
    本作も心に寄り添う優しい物語だった。一番好きなのは『夢の女』。

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    2025年02月12日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    読み進めるにつれて、今まで読んだ寺地さんとは
    ちょっと違うな、重い内容だなと思ったのだけど
    読み終えてみると やっぱり寺地さんらしい作品だったと思える、一言では言い表わせない作品でした。

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    2025年02月03日
  • 月のぶどう

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    姉弟共に貼られたレッテルや、慣習に抗いなから前に進んで行く姿から目が離せませんでした。
    嫌なことや面倒なことからも逃げ出さないという二人の気持ちにも共感しました。

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    2025年01月31日
  • わたしの良い子

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    いろんなことを考えさせられた。朔を守りたい気持ちになったし、椿も鈴菜もみんな一生懸命なのに傷つくこともあって。
    おすすめの一冊

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    2025年01月25日
  • 雨夜の星たち

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    できないことややりたくないことはやらないという主人公のスタンスに、目から鱗というか。本音ではそう思っていてなかなか実行に移すのは難しかったり他人の目が気になりがちだが、自然体で生きている主人公の姿にホントびっくりした。「しごと」をきっちりと行うために自分の心を必要以上に持ち込まない姿は羨ましくも感じた。姉の立場に近くて、最後に本音で向き合うことで私自身に落としどころがついたような気がする。
    妙な清々しさを感じてしまったのは私だけなのだろうか。

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    2025年01月22日
  • 雫

    購入済み

    自分にとっての永遠って

    年末年始で実家に帰ったり、同窓会に出たりしたせいか、出会いについて改めて考えた。
    出会って別れて、選んで選ばれて、その繰り返し。
    それでいいと感じられる瞬間が、これまであっただろうか。これからあるだろうか。
    いつか、またこの本を読み返すと思います。

    #深い

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    2025年01月04日
  • 声の在りか

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    主人公・希和のような気持ちになることあるな、と思いながら読んでいた。
    日々の中で感じる様々なことを、自分の言葉で存分に語ることはとても難しくて、自分の思いを言えなかったり、言っても何かが違うように感じたり、そしてそれによって人とすれ違ってしまったり…希和が作中で抱く思いには、多々共感させられる。
    でも、自分の声を探して、少しずつ変わっていく希和の姿に、私も励まされるような気がした。
    激しさはないけれど、静かに心に伝わってくるよい読後感でした。

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    2024年12月30日
  • 明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語【電子限定特典付】

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    こんぺいとうの角って、24個あるんだなーと今さらですが知りました。

    知っている作家たちが描いて紡いでいくストーリー、私はとてもほんわかして好きでした。

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    2024年12月25日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    そういえば前にも読んだなぁと思いつつ文庫版を買ったので読んだ。大事なことを、解説を読んで初めてそういう意味だったのかと気づいて、なんて浅い読書だったのかと自分にがっかり。でも、あのときはそういう読み方で精一杯だったのかも。
    解説を読みたいから文庫版、もありかもと思えました。

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    2024年12月15日
  • わたしの良い子

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    "良い子"にならないといけない
    それは親にとって、学校にとって、世の中にとってなのか?そもそも良い子ってなんだろう?と考えさせられた。みんなと同じ(普通)を求められるのは子供だけじゃなくて大人になっても続く。

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    2024年12月12日
  • 希望のゆくえ(新潮文庫)

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    暗いお話…
    失踪した弟を探す兄も暗いし、
    母親も嫌な感じ…
    登場人物もみんな変わってる感じ…

    だけど、わたしはこの小説嫌いじゃなかったな。

    不思議な主人公をめぐって、
    いろんな人出てきたけど、
    現実離れしてるような、かといって、失踪とか、意外とよくある話のような気もするし。

    だけど、わたしの周りでは起きませんように…

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    2024年12月05日
  • 声の在りか

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    自分が違和感を抱いたことや、考えたことに対して、あいまいに流さず、自分と向き合った上で言葉を紡ぐこと。

    波風を立てないことを優先して、いつの間にか自分の言葉を口にできないと気付く希和。
    彼女が働き始めた民間の学童保育で働く要とその姉の、自分の考えに真摯に向き合い、自然に言葉を紡いでいく姿に、少しずつ声をあげていけるようになる。
    自分の思いをしがらみなく言葉にして、相手に伝えることで、お互いの誤解が溶けることもある。
    人間同士である以上、100%お互いを理解することは難しいが、実直に言葉を重ねていきたい。それが、自分自身で腹落ちして生きていくことにもつながると思う。

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    2024年11月26日
  • わたしたちに翼はいらない

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    同じ地方都市に生まれ育ち、それぞれに鬱屈した思いを抱えるアラサーの男女3人をめぐる小説。
    自分は子どもの頃にいじめられたりしていたわけではないが、学校の主流層からは外れたポジションにいたので、朱音や園田の思いや考えにはわかるところがあった。一方、莉子は、かわいそうなところはあるが、自己中心的思考に思えてあまり共感できなかった。また、莉子の夫でクラスの「王様」だった中原大樹はまったく関わり合いたくないタイプの人間だと感じた。地方都市に生きる20代~30代の人間を、そのどす黒い内面も含めて、よく描けていると思う。
    本書のタイトルにも表れているが、第三者からのいっけん前向きなアドバイスが本人にとっては呪いの言葉になり得るのだということも認識した。
    本書の主要登場人物3人の行きついた関係のような、相手に依存するのではなく、友だちと言えなくても、お互いに支え合う(ことがある)関係というのも人間関係の在り方の一つとしていいんじゃないかと感じた。
    最後は、3人ともどこか吹っ切れたような、希望の持てる結末で、よい読後感だった。

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    2024年11月14日