寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ正直中だるみ感というか、途中で少し退屈に感じる部分もあった。
でも最後、くみ子の章は胸にズーンと来て、読み返した。
何より心に残ったのはくみ子と希望の別れのシーン。大切な家族が亡くなった日のことを思い出し、胸がギュッとなった。
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「くみ子さん、お元気で」
どうかお元気でと背を向けた柳瀬の姿が遠ざかっていく。どのホームに向かうのかだけでもせめて見届けようと首を伸ばした次の瞬間に、もう姿を見失った。
そしてひとりになった。
どこに行こうと思ったあと、どこにでも行けるのだと気づいた。もうひとりでどこにでも行ける。人混みの中に一歩踏み出したら頬をぬるいものが伝った。かなしくはないのに、あとからあとから涙が溢れ出る。
ひとりになった。柳瀬はいなくなった。その事実だけが身体中を巡った。けがひとつ負っていないのに、なぜか胸の奥や指先や頬までちくちくと痛んだ。
とてもきれいだったなんて、生まれてはじめて言われた。こんな自分にもそんなことを言ってくれる人がいた。柳瀬の言葉を、表情を、さっき触れた指の感触を、空っぽの箱に大切にしまった。大切な記憶が増えるたびに、ここに重ねていこうと思った。いつしかこの箱の中には記憶の層ができる。そこにはいくつもの美しい化石が埋まっているに違いない。
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好きなシーン長すぎる。笑笑
でもこの1セットで尊いのです。句読点ひとつであろうと抜くことなどできない、ちゃんとそのままを残したいのです。
私が本が好きな理由はいろんな人生いろんな気持ちいろんな知識を知れるから。
そこに、大切な気持ちを思い出せるから。という理由が加わりました。あの日の大切な気持ちを思い出させてくれてありがとうね。
そんな本です(^^) -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に全部好きな話が詰まったアンソロジーだった。
何よりインパクトがあったのはラストの町田その子さんの「六年目の弔い」。最後にとんでもない爆弾をぶっ込んできたな…。
設定の時点で結構突っ込んだ内容になりそうだったけど、その中で珠美と志乃がいい関係性になれてほっこり終わるのかと思ったら最後に胸がざわつく展開に。
冠婚葬祭の中で、一番無難そうで難しいテーマの「婚」がSFだったのも面白かった。普段SF読まない人間でも読みやすくて好きな話だった。雪舟えまさん、他の作品も読んでみたいな。
寺地はるなさんも安定して好みの作品。40代の幼馴染たちがバタバタする話って微笑ましい。 -
Posted by ブクログ
寺地はるなさん三冊目。
彼女の著作には、上っ面だけではない
人生の本質というか、本当に大事なことが書いてあるような気がします
『地べたを歩いて生きていこうと決めた。わたしに、翼はいらない』
『もうこれ以上一緒にいてはいけない。手を差し伸べたら園田はきっと朱音に依存する。
今だって自分と自分の大切な人を守るだけで精一杯なのに』
『友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うこと、幸せを願うことはできる』
『ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない、でも過去に置いていく』
淡々とした文体なのだけど、ひとがひとを傷つけるときの描写、苦しみを抱えているひとの描写がとても上手い作家さんだと思う
どう書いたらいいか難しいけど、
(このストーリーの中では)人間って、傷つく総量が決まっていたり、反対に傷ついたひとは他のひとを慰める、癒せるようになる量が増えるのではないだろうか
(稀有に辛い生い立ちの人はまた異なると思われるが、自分の手で人生を好転させているひとも多いのだから)
学生時代に『無敵』だったとしても、その後の人生が順風満帆にいくとは限らない、逆に世間知らずで痛い思いをしたりする
幼少期や学生時代に辛かったひとは、その痛みを抱えて相手のことを慮り、優しくなれる
そんなことを考えた。
人生には、『さようなら』も大事なんだな、と -
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自分が輝いていた10代。
自分がしいたげられていた10代。
どんな10代でも、それを引きずり続けている莉子と、園田。
そんな二人とそれぞれの立場で出会う朱音。
という構図でしょうか。登場人物が多くて、少し複雑でした。
莉子の夫の大樹が本当に嫌で(「嫌なやつ」なんて簡単な言葉でまとめたくないほどに嫌)、私も復讐したくなった。
こういう人間性はどのようにして生まれるのか、もはや興味が湧いたんだけど、結局わからなかった。親や友人がどんなに持ち上げても、ここまでになれるのだろうか。
お母さんがいい人そう(頼らないが)なだけに、悲しみすらおぼえた。
読みながら、みんな別れ別れになってしまうんだろうなと思っていたから、ラストはうれしかったな。
友達じゃないけど、同じ時間を共有したり、思いやりをもったりできる、幸せを願える。
3人とも、きっと同じ気持ちを共有してることでしょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『言葉はいっぺん相手にぶつけてしまったら、もう取り消すことなんかぜったいできないんだから。他人に向けた言葉が、自分自身にはねかえってきた。』p26
『わたしは彼女たちだったかもしれないし、彼女たちはわたしだったかもしれない。(中略)おしゃれをしていたら、家出をしたら、ひとりで歩いていたら、女の子は身体に触られたり、見たくもないものを見せられたり、殺されたりしてもしかたないんだろうか。』p35
『威張り散らしたり他人の大切なものをバカにしたりするのは、自分の好きなものを追い求めることよりもまっとうなおこないなんだろうか?』p64
『届かなかったもの。もう二度と触れられないもの。ぜったいに帰れない「どこか」。』p218
『神さまは見とらすよ。みんなのことをぜんぶ。でもただ見とらすだけ。そいけん、ずるくてもよかっちゃないとね、天ちゃん』p274
『必死になればなるほど空回りして、焦って、どうしてわたしはあの子じゃないの、なんて妬んでばかりで、そんな自分がいやだったけれども。』
『内側のことは他人の目には見えないし、わたしたちの目はいつだって、見たいものだけを見たいように見る。』p276
とても好きな作品でした。
田舎出身だからなのか、すごく刺さった。
自分も同じようなことを思っていたなあ。
理不尽に歯向かう勇気はなく、違和感を感じながら、心がちくちくしながらそのまま見ないふりをしてた。
でも、自分が自分であるために、家を出るっていうのは必要なことだったなと今思う。正直、馴染みのない土地で、誰も知らないなかで過ごすのはとても自由だった。
狭い世界だとどうしても、『どうしてわたしはあの子じゃないの』と思えてしまうけど、
世界はひろい。宇宙はもっと広い。
わたしはわたしでいいのだ。