寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
寺地はるなさん三冊目。
彼女の著作には、上っ面だけではない
人生の本質というか、本当に大事なことが書いてあるような気がします
『地べたを歩いて生きていこうと決めた。わたしに、翼はいらない』
『もうこれ以上一緒にいてはいけない。手を差し伸べたら園田はきっと朱音に依存する。
今だって自分と自分の大切な人を守るだけで精一杯なのに』
『友だちじゃなくても、相手のために行動したり、大切に思うこと、幸せを願うことはできる』
『ここに至るまでの痛みを死ぬまで忘れない、でも過去に置いていく』
淡々とした文体なのだけど、ひとがひとを傷つけるときの描写、苦しみを抱えているひとの描写がとても上手い作家さんだと思う
どう書いたらいいか難しいけど、
(このストーリーの中では)人間って、傷つく総量が決まっていたり、反対に傷ついたひとは他のひとを慰める、癒せるようになる量が増えるのではないだろうか
(稀有に辛い生い立ちの人はまた異なると思われるが、自分の手で人生を好転させているひとも多いのだから)
学生時代に『無敵』だったとしても、その後の人生が順風満帆にいくとは限らない、逆に世間知らずで痛い思いをしたりする
幼少期や学生時代に辛かったひとは、その痛みを抱えて相手のことを慮り、優しくなれる
そんなことを考えた。
人生には、『さようなら』も大事なんだな、と -
Posted by ブクログ
自分が輝いていた10代。
自分がしいたげられていた10代。
どんな10代でも、それを引きずり続けている莉子と、園田。
そんな二人とそれぞれの立場で出会う朱音。
という構図でしょうか。登場人物が多くて、少し複雑でした。
莉子の夫の大樹が本当に嫌で(「嫌なやつ」なんて簡単な言葉でまとめたくないほどに嫌)、私も復讐したくなった。
こういう人間性はどのようにして生まれるのか、もはや興味が湧いたんだけど、結局わからなかった。親や友人がどんなに持ち上げても、ここまでになれるのだろうか。
お母さんがいい人そう(頼らないが)なだけに、悲しみすらおぼえた。
読みながら、みんな別れ別れになってしまうんだろうなと思っていたから、ラストはうれしかったな。
友達じゃないけど、同じ時間を共有したり、思いやりをもったりできる、幸せを願える。
3人とも、きっと同じ気持ちを共有してることでしょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『言葉はいっぺん相手にぶつけてしまったら、もう取り消すことなんかぜったいできないんだから。他人に向けた言葉が、自分自身にはねかえってきた。』p26
『わたしは彼女たちだったかもしれないし、彼女たちはわたしだったかもしれない。(中略)おしゃれをしていたら、家出をしたら、ひとりで歩いていたら、女の子は身体に触られたり、見たくもないものを見せられたり、殺されたりしてもしかたないんだろうか。』p35
『威張り散らしたり他人の大切なものをバカにしたりするのは、自分の好きなものを追い求めることよりもまっとうなおこないなんだろうか?』p64
『届かなかったもの。もう二度と触れられないもの。ぜったいに帰れない「どこか」。』p218
『神さまは見とらすよ。みんなのことをぜんぶ。でもただ見とらすだけ。そいけん、ずるくてもよかっちゃないとね、天ちゃん』p274
『必死になればなるほど空回りして、焦って、どうしてわたしはあの子じゃないの、なんて妬んでばかりで、そんな自分がいやだったけれども。』
『内側のことは他人の目には見えないし、わたしたちの目はいつだって、見たいものだけを見たいように見る。』p276
とても好きな作品でした。
田舎出身だからなのか、すごく刺さった。
自分も同じようなことを思っていたなあ。
理不尽に歯向かう勇気はなく、違和感を感じながら、心がちくちくしながらそのまま見ないふりをしてた。
でも、自分が自分であるために、家を出るっていうのは必要なことだったなと今思う。正直、馴染みのない土地で、誰も知らないなかで過ごすのはとても自由だった。
狭い世界だとどうしても、『どうしてわたしはあの子じゃないの』と思えてしまうけど、
世界はひろい。宇宙はもっと広い。
わたしはわたしでいいのだ。 -
Posted by ブクログ
自分が違和感を抱いたことや、考えたことに対して、あいまいに流さず、自分と向き合った上で言葉を紡ぐこと。
波風を立てないことを優先して、いつの間にか自分の言葉を口にできないと気付く希和。
彼女が働き始めた民間の学童保育で働く要とその姉の、自分の考えに真摯に向き合い、自然に言葉を紡いでいく姿に、少しずつ声をあげていけるようになる。
自分の思いをしがらみなく言葉にして、相手に伝えることで、お互いの誤解が溶けることもある。
人間同士である以上、100%お互いを理解することは難しいが、実直に言葉を重ねていきたい。それが、自分自身で腹落ちして生きていくことにもつながると思う。 -
Posted by ブクログ
同じ地方都市に生まれ育ち、それぞれに鬱屈した思いを抱えるアラサーの男女3人をめぐる小説。
自分は子どもの頃にいじめられたりしていたわけではないが、学校の主流層からは外れたポジションにいたので、朱音や園田の思いや考えにはわかるところがあった。一方、莉子は、かわいそうなところはあるが、自己中心的思考に思えてあまり共感できなかった。また、莉子の夫でクラスの「王様」だった中原大樹はまったく関わり合いたくないタイプの人間だと感じた。地方都市に生きる20代~30代の人間を、そのどす黒い内面も含めて、よく描けていると思う。
本書のタイトルにも表れているが、第三者からのいっけん前向きなアドバイスが本人にとっては呪いの言葉になり得るのだということも認識した。
本書の主要登場人物3人の行きついた関係のような、相手に依存するのではなく、友だちと言えなくても、お互いに支え合う(ことがある)関係というのも人間関係の在り方の一つとしていいんじゃないかと感じた。
最後は、3人ともどこか吹っ切れたような、希望の持てる結末で、よい読後感だった。