寺地はるなのレビュー一覧
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読んでよかった。まずそう思った。いなくなってしまった誠実の弟、希望。誠実は弟の消息をたどるため、関係者たちに話を聞いて回る。そのうち、本当の弟がどんな人間だったのかわからなくなってしまう。そして、誠実自身も自分がわからなくなっていることに気づく。空っぽな人間なのではないかと、私自身がたまに不安になるから、空っぽということはこれからいくらでも好きなものを詰め込めるということ、という言葉に救われた。それにしても話に出てくる希望や誠実な親を含めクソ親ばっかだな。そりゃあ二人みたいに自分がなくなったり、わからなくなってしまうよね。寺地さん、苦手意識があったけど興味が出てきました。心の余裕があるときにま
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ずーんとくるものがある。今回はストレートに突きつけるお話だったように感じた。
人はいろいろな形で生き辛さを抱えている。
それが障がいとして区分されているものもされていないものも、人に見えるものも見えないものもある。
寺地はるなさんのお話は、肯定も否定もしない。今の状況を変えていくか変えないかも含めてすべてを否定しないというか、決めつける怖さを突きつけられている気がする。それぞれに見えない事情があって、すべて知ることなどできない中で他人の自分が判断してないか?と。
もちろん人それぞれの物差しはある。感情自体は否定されるものではないけれど、知らず知らず押し付けていないか、改めて考える。忘れず -
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世界はきみが思うより『簡単じゃないけど悪くないよ』ってことかな。
冬真が、世界を信じられなくなったんじゃなくて、父親が信頼するに値しない人間だっただけだと、世界の見方を変えられたところがよかった。自分を傷つけてくる人はいるけど、それ以上に自分を大切にしてくれる人が沢山いることに気づけたら、同じ世界でも違って見える。
子どもに、愛させてくれてありがとうって思うところ。やっぱり子ども欲しいなぁと思った。
「強烈な『好き』はないけど、小さい『好き』をいっぱい持ってて、それはそれで幸せなことだと思う。」
「大人になるということはもしかしたら、うまく人に頼れるようになることなのかもしれない。自分ひ -
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この心地よい集まりはいつまでも続くものではないんやろうとまず思う。満たされた人は自然に離れていくやろうし満たされなくても細い絆の集まりなんでちょっとしたことで切れてしまうやろう。そんなせつなさを内包しながらも補完し合っているうちにそれぞれの夜道に月が出たらええなという話。
自己の価値観を正しいとして押しつけてくる人々は実はそれこそが究極の「悪」やとは気づかないまま他者に澱を溜めさせるので深夜の散歩はその掃除でもあるんやろう。実のところ自己の価値観と他者の価値観は常に違うということさえ皆が理解しようと努力すればだいたいは改善できるんやろうけどそれが人には難しい。この話もスカッと終わるわけでは -
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世界に対して受け入れがたさ、あるいは後ろめたさのようなものを抱えながら生活している人たちの連作短編集。
各話の語り部が話しだす、めいめいの思い出の食べ物に心が温まった。人のこういうエピソードを教えてもらうのすごく好きなんだよなぁ。私自身もよみがえるものがたくさんある。
そうした思いを包括する最終話、『ピクニックバスケットの歌』がとても良かった。
残った女子たちによる、おだやかな春の日の持ち寄りピクニック。こういうあたたかい大人たちのまなざしの下で育った彼らなら、きっと大丈夫。ゆっくりと世界への信頼を取り戻していけるはずだと、根拠なく思うことができた。
余談だけど、このまえ読んだ『だから夜は -
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ネタバレ面白い面白くないはわからない。ただ一気に読めたし、読んだ後しばらく考えた。読んだ後に考えることを残してくれる本は良い本だと思う。だからこの本も良い本なんだと思う。
色んな人の感想が聞きたくなる本だった。
「発達障害は人の気持ちが分からない」とよく言われるしこの話にもあったけど、じゃあ発達障害の気持ちが分かる定型発達は何人出てきただろう?
定型発達が発達障害の気持ちが分からないことは「人の気持ちがわからない」に入らないのなら定型発達以外は人ではないってこと?
という言い方は意地悪だろうか。
感情を制御しない妹
診断を受けさせない、離婚しない、頑なな母親
穏やかに話し合いのできない伯父
そのフ