寺地はるなのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
タイトルから、主人公が犯罪者なのかな?と想像したけど、こういう意味だったのね。老舗菓子創業家の彌栄子と、息子のベビーシッターの鳴海との、一緒にいた期間は短くても深い繋がりを描いた作品。ページ数は少ないので、さらっと読める。
生まれや立場の違いはあるけど、お互いの無い部分を補完し合い、二人の心の交流が広がっていく。彌栄子が、古い男尊女卑の世界から新しい一歩を踏み出し、自分の足で歩き始める危なっかしい姿が微笑ましい。しかし周囲はその変化を受け入れられず、シッターの鳴海は追い出されてしまう。
なによりも、鳴海の夫、暖の存在感。いつもそっと寄り添って、影でサポートしてくれる。読書するのは自分の器を -
Posted by ブクログ
ハセ、何も持ってないように見えて、本人も気づいてないけどありのままの自分を受け入れてもらえてる人が周りにいる。コンビの相方である沖は、ハセが持ってなかった教育熱心な両親を持ちながら、勉強や習い事が身につかず、ハセと同じゾーニングの人たちと働く。
その方の登場人物たちも、人が羨むものを持ってるのに、持ってないものを他人と比較して羨んでいる。ある物に目を向けるって大切だと思う。ただ、最後に民生委員会?の同級生が、ハセに努力すれば学歴も手に入ったじゃないと言い放ったのは無責任で、エゴだなと思った。
ハセ達が、老人との関わりあいで真っ当な道を進もうと方向転換をして良かったと思った。 -
Posted by ブクログ
心の結び目が
ひとつずつ丁寧に解かれていくような感覚になり
最後にはふ〜っと深く息をつくことができました
寺地さんの紡ぐ言葉に いつも救われます
物語ではどこか不器用で
生きづらさや小さな痛みを
抱えた人々の姿があり…
彼らが心の奥にそっと隠している感情や心の揺れを決して見捨てずにすくい上げてくれます
作中で語られる言葉のひとつひとつが
まるで自分の心に優しく絆創膏を
貼ってくれるかのように
「そのままでいいんだよ」と肯定されているような心地よさに満ちていきました♡
人の寂しさや切なさ…
そして誰かと繋がりたいと願うひたむきな想いを
物語を通して愛おしさをもって描き出す描 -
Posted by ブクログ
初めての寺地はるなさん作品。
タイトルが綺麗で、章ごとに語り手が異なるが、全体を通して、男子高校生の清澄が姉の水青のウェディングドレスを仕上げるまでの一つの物語になっている。
様々な語り手の立場から各章が描かれるが、祖母が数十年の時を経て新しい一歩を踏み出すシーンや、黒田の愛情深さには思わずうるっときた。一方で、姉の水青にはあまり共感できず、彼女の心境の変化も唐突に感じられた。
作品全体ではジェンダーロールや社会から求められる役割による「自分らしさ」の抑圧が大きなテーマとなっていると思われるが、その枠にとらわれなくとも、祖母のエピソードは「長年、自分より家族や周囲を優先してきた一人の人間が