寺地はるなのレビュー一覧

  • 声の在りか

    Posted by ブクログ

    自分が違和感を抱いたことや、考えたことに対して、あいまいに流さず、自分と向き合った上で言葉を紡ぐこと。

    波風を立てないことを優先して、いつの間にか自分の言葉を口にできないと気付く希和。
    彼女が働き始めた民間の学童保育で働く要とその姉の、自分の考えに真摯に向き合い、自然に言葉を紡いでいく姿に、少しずつ声をあげていけるようになる。
    自分の思いをしがらみなく言葉にして、相手に伝えることで、お互いの誤解が溶けることもある。
    人間同士である以上、100%お互いを理解することは難しいが、実直に言葉を重ねていきたい。それが、自分自身で腹落ちして生きていくことにもつながると思う。

    0
    2024年11月26日
  • わたしたちに翼はいらない

    Posted by ブクログ

    同じ地方都市に生まれ育ち、それぞれに鬱屈した思いを抱えるアラサーの男女3人をめぐる小説。
    自分は子どもの頃にいじめられたりしていたわけではないが、学校の主流層からは外れたポジションにいたので、朱音や園田の思いや考えにはわかるところがあった。一方、莉子は、かわいそうなところはあるが、自己中心的思考に思えてあまり共感できなかった。また、莉子の夫でクラスの「王様」だった中原大樹はまったく関わり合いたくないタイプの人間だと感じた。地方都市に生きる20代~30代の人間を、そのどす黒い内面も含めて、よく描けていると思う。
    本書のタイトルにも表れているが、第三者からのいっけん前向きなアドバイスが本人にとっては呪いの言葉になり得るのだということも認識した。
    本書の主要登場人物3人の行きついた関係のような、相手に依存するのではなく、友だちと言えなくても、お互いに支え合う(ことがある)関係というのも人間関係の在り方の一つとしていいんじゃないかと感じた。
    最後は、3人ともどこか吹っ切れたような、希望の持てる結末で、よい読後感だった。

    0
    2024年11月14日
  • わたしたちに翼はいらない

    Posted by ブクログ

    学生時代のカーストのことや陽キャ、陰キャの会話がすごくあるあるで共感できた。
    登場人物がそれぞれ個性があって、私は莉子がすごく好きでした。
    いい大人で母親なのにいつまでも少女のように何もかも自分中心な思考が見ていてある意味潔いし、あぁ自分にもこういう部分あるなぁと考えさせられました。
    ママ友が絡む話が好きな私はとても好きな作品でした。

    0
    2024年11月10日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    嶋津輝「漂泊の道」
    葬式の時にしか会わない遠い親戚との話。自分の母親の兄の奥さんの妹の娘、遠すぎてものすごく考えた…その親戚、カナさんと4回顔を合わせ、その後、父親の後妻になっていた、そんな複雑でもあり得そうな話。何度登場してもカナさんはステキで、自分に対してもハッキリ物申す人で憧れていたのに、いつか違う感情を抱くようになっていた。薄く長いスパンの付き合いの親戚ならではの動きのあるストーリーだと思った。

    町田そのこ「六年目の弔い」
    哀しみを共有してくれる人がいて必要と思えば手を差し出し触れ合える、それがありがたかった
    というところ、が身にしみる。
    亡くなった人は、思い出の中でしか生きられない、ひとりだと自分一人の胸に収めないといけない、そして万一自分が思い出せなくなったら、と辛いから。夫は家に住み始めた直後にカタクリを植えていた。開花まで8年ほどかかる、そして志乃の誕生花。ここでラストがよかったな。

    アンソロジーは初読みの作家さんに出会えるチャンス!

    0
    2024年11月06日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

    Posted by ブクログ

    自分として生きる苦しみや楽しみを教えてくれるような一冊でした。田舎特有の息のしづらさや、30代を迎えるまでに誰もが経験するであろう感情の揺れが丁寧に表現されていて、毒にも薬にもなるような不思議な本だと思いました。自分が自分であることに苦しみながら、どうにかこうにかみんな大人をやっているだけなのかもしれないと感じました。

    0
    2024年10月27日
  • みちづれはいても、ひとり

    Posted by ブクログ

    ポンコツ夫と別居中、職探し中の39歳弓子と独身、休職中の41歳楓が主人公。
    ひょんなことから、弓子の逃げた夫を探しに島へ渡る物語。
    人生観、普通とは何ぞやという価値観の描き方が寺地さんは絶妙。島にいたシズがサイコパスなのは初めからなんとなく分かっていたが、あそこまで暴挙に出るとは思わなかった。
    うまくいかず、行き場のない思いを抱える2人だが、最後にはやはり、前向きな気持ちになっている終わり方が素敵。

    0
    2024年10月26日
  • 声の在りか

    Posted by ブクログ

    小学四年生の息子、晴基の母親の希和はPTAや保護者で作るLINEグループ、働き始めた学童でのこと、夫への不満をうまく言葉にできず悶々としている。その瞬間には言えず後になって言いたかったことを見つける。そうすると言えない自分がどんどん出来上がっていく。自分の中にも他人の中にも。なかなかうまくいかない毎日に寄り添ってくれるように本書がある。これでいいんだとか、こうじゃなくていいんだという気づきがたくさんある。何かが解決したわけではないけれど少しずつ声を思い出し、見つけていく希和の心情がラストの晴基とのシーンに表れている。

    0
    2024年10月21日
  • わたしたちに翼はいらない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    母親の心の内がダダ漏れだった。と同時に私も子育て中で共感する事が多々あった。一度傷ついた心はずっとそのまま。忘れるか、逃げるか、向き合い捉え方を変えるかしかできない。自分の心も守りながら、相手を傷つけないよぅに接する難しさを感じた。

    0
    2024年10月03日
  • やわらかい砂のうえ

    Posted by ブクログ

    田舎から都会へ出てきたマチコ。同郷の同級生、年上の人たちとの出会い。柔らかい砂の上を一歩ずつ進んで行く。

    0
    2024年09月29日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

    Posted by ブクログ

    寺地さんの作品を、何作か読んでいますが、初めて爆笑しながら読んだ。ほんとに寺地さんのだよね こんな面もあるんだーと、楽しくなりました。それから、勝手に騙されてしまった。ネタバレしちゃうので、詳しくは書きませんけど。

    0
    2024年09月28日
  • 声の在りか

    Posted by ブクログ

    最近は、言葉を発する前に考えることがおおいですよね。こんなこと言ったらどうなるかなって、想像してみたりしないとね。一方で、めんどくせーって思ってる自分もいる。そのひとつひとつを、言い当てられたようなお話でした。はぁーって、ため息でます。

    0
    2024年09月23日
  • 正しい愛と理想の息子

    Posted by ブクログ

    正しく愛せているか、愛せたか、これから愛せるか、って結構自分で不安になることが多いから、そこをまるっと肯定された気がして少しホッとした。

    原田ひ香さんのあとがきが、堅苦しすぎなくて、読者に寄り添った思いやりある文章で良いなあと思った。

    0
    2024年09月22日
  • 夜が暗いとはかぎらない

    Posted by ブクログ

    寺地さんの作品本当に好きだな〜。
    あかつき商店街とそこにいるひとたちの連作短編。
    仕事とかで疲れまくってて、集中力足りず入り込みきれなかったから途中誰が誰か分かんなくなったので星は4つ。

    0
    2024年09月14日
  • 声の在りか

    Posted by ブクログ

    自分が育った小さな町で小学四年の息子を育てる主人公希和。
    息子の学校の保護者達とはあまり上手く付き合えない。
    夫にも不満はあるのに声に出せない。
    自分の言いたい事が言えない。
    そんな中で民間の託児所で働くことになり、少し浮世離れした感じのオーナーの要と出会う。


    希和の真面目で正直な感じに好感が持てた。
    生きづらいだろうな、とも、
    潔くてカッコいいな、とも、思った。
    長いものに巻かれがちな保護者同士の関係に、巻かれることなく1人でいることは容易なことではないと思うから。
    思えば、子供達が小学生の時が1番大変だったような気がする。
    物理的な時間は全然ないし、子供達の変化も激しい、子供同士のいざこざや、保護者同士の軋轢。。
    そんな時期に「要」のような存在の人がいてくれるのは、ありがたいだろうなぁ。

    その時期にこの本を読んでたら、心が軽くなったに違いない。
    子育てのヒントにもなっただろうな。
    もっと子供達といられる時間を噛み締めて過ごしたかもしれない。

    自分の気持ちを言語化して話す、この私の苦手な分野を意識していこうと思った話でした。

    0
    2024年09月08日
  • 夜が暗いとはかぎらない

    Posted by ブクログ

    9月初日の朝、今回もべそかきながら読み終えた。
    寺地さんの小説は読むタイプのサプリ。いつも読み終わって本を閉じると少しだけ心が軽くなっている。

    「けむり」「はこぶね」「グラニュー糖はきらきらひかる」「生きる私たちのためのスープ」が好き。
    「はこぶね」の千みたいな女性に私はずっと憧れている。

    登場人物が多くて「誰やっけ…!」となりつつ、前のお話との繋がりを見つける度に嬉しくなった。
    めちゃくちゃ嫌な奴だなこいつと思った人物が、次のお話で実は色々葛藤していたり、良い所もあったり。
    みんな色々ある。見えているのなんてほんの一部なんだよな。

    0
    2024年09月01日
  • 月のぶどう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    優秀な光実と「出来の悪い方」な歩の双子の姉弟が亡くなった母の跡を継いでワイナリーで働くお話。
    私も「出来の悪い」側の人間だと思い込んで生きてきたので、自分を卑下してはふてくされながら大人になった。だから歩の気持ちがよく分かったし、歩に対する周りの言葉がグサグサと刺さる。
    ページをめくるハッとする言葉に出会う。歩以外にも光実やワイナリーで働く人々、友達…周りの人たち皆それぞれに共感できる部分があって、ぐんぐんと物語に惹き込まれ一気に読み切った。
    1歩ずつ前に進む皆を見て、私も今から変われるかなぁなんて思った。


    ●ちょっとだけ期待をしていた、というようなことを歩は言った。新しいことをはじめるたびに、いつも期待をするのだと。自分にはなにかがあるんじゃないかと。他人より抜き んでた部分が、周囲も自分自身も今まで気がつかなかった素晴らしい能力が、その新しい なにかをはじめたことで目覚める、そんなことが起こりはしないかと。(中略)
    「そういうのはさ、なんの努力もしたくない人が見るタイプの夢やと思う」

    ●「ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん。ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」

    ●天職ではなかった。昔から夢見ていた仕事でもなかった。
    それでも仕事にちゃんと向き合うことはできると思った。

    0
    2024年08月28日
  • 雨夜の星たち

    Posted by ブクログ

    生きづらさをもつ主人公の考え方、何故か親近感がわいたけど、親の立場で見れば心配でもあり。誰の視点で読むかで感情が揺さぶられる場面が変わるが、ここまで正直に人間の有り様を書いてもらえると自分の異常性も当たり前に感じられた。

    0
    2024年08月20日
  • どうしてわたしはあの子じゃないの

    Posted by ブクログ

    これはタイトルが好きすぎて。
    誰でもこの気持ちになったことがあるんじゃないかな。
    -------------------------
    羨み、傷つき
    心揺れる10代。
    そして年月を経て踏み出す
    大人たちの新たな一歩。

    万人向けに量産された
    「大丈夫」ではなく、
    自分の人生にとって必要な
    「大丈夫」を与えてくれる――
    (伊藤朱里)
    -------------------------
    中学の同級生、天、ミナ、藤生。
    天は家庭に違和感を覚え、閉塞感のある田舎から脱出したい。
    ミナは、藤生のことが好きだが、藤生の気持ちを知って言えない。
    藤生は天が気になって仕方ない、一緒にいたいと思っていたのに。
    それぞれの矢印が一方通行。

    読んでる私から見れば、
    それぞれに魅力的な部分があるのに、
    人はないものねだりだよねって。
    わかるよ~って。
    どうして私はあの子じゃないの、って今まで何度思ったことか。
    自分もあの子みたいになりたいと。
    あの子になりたかったって。

    そういう気持ちになったことがある人には、
    たぶんぐっとくるのでは。

    あと、最近の私の読書の傾向なのか、
    思春期で大人と子供の境目の中学生が、
    どうしようもできない家庭事情で、
    というパターンがめちゃくちゃ多いです。苦笑
    どん詰まりというか、なんというか。
    非力だし幼くて環境を選べない変えられないという。

    本書では、そんな時代を経て、
    中学卒業前にそれぞれに向けて書いた手紙を
    30歳になる前に開けて読もうと。

    当時の自分との再会、
    現在の友人たちとの再会、
    そこで知ることになる、それぞれの気持ち。

    どんなことがあっても、それでもいいよ、って言ってくれるような。
    時間が解決することが全てでもないけど、それでも大きい。

    読後は良かったです!

    0
    2024年08月16日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

    Posted by ブクログ

    冠婚葬祭をテーマにしたオムニバス。冠が成人式を、祭が先祖の霊をまつる祭事を指すとは分かってなかった。
    飛鳥井千砂、寺地はるな、雪舟えま、嶋津輝、畠山羽根子、町田そのこのうち3人は初読み。飛鳥井千砂と町田そのこの作品が良かった。

    0
    2024年08月12日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

    Posted by ブクログ

    寺地はるなさんと町田そのこさんの短編が読みたくて。
    お二人の短編は安定の面白さ。特に町田そのこさんのお話は号泣。登場人物の二人と一緒に、ゆっくり時間をかけながらいろんな感情を落とし込んで読み終えた感じ。ラストは切な過ぎる。

    0
    2024年07月03日