寺地はるなのレビュー一覧
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ネタバレ嶋津輝「漂泊の道」
葬式の時にしか会わない遠い親戚との話。自分の母親の兄の奥さんの妹の娘、遠すぎてものすごく考えた…その親戚、カナさんと4回顔を合わせ、その後、父親の後妻になっていた、そんな複雑でもあり得そうな話。何度登場してもカナさんはステキで、自分に対してもハッキリ物申す人で憧れていたのに、いつか違う感情を抱くようになっていた。薄く長いスパンの付き合いの親戚ならではの動きのあるストーリーだと思った。
町田そのこ「六年目の弔い」
哀しみを共有してくれる人がいて必要と思えば手を差し出し触れ合える、それがありがたかった
というところ、が身にしみる。
亡くなった人は、思い出の中でしか生きられない、ひとりだと自分一人の胸に収めないといけない、そして万一自分が思い出せなくなったら、と辛いから。夫は家に住み始めた直後にカタクリを植えていた。開花まで8年ほどかかる、そして志乃の誕生花。ここでラストがよかったな。
アンソロジーは初読みの作家さんに出会えるチャンス! -
Posted by ブクログ
自分が育った小さな町で小学四年の息子を育てる主人公希和。
息子の学校の保護者達とはあまり上手く付き合えない。
夫にも不満はあるのに声に出せない。
自分の言いたい事が言えない。
そんな中で民間の託児所で働くことになり、少し浮世離れした感じのオーナーの要と出会う。
希和の真面目で正直な感じに好感が持てた。
生きづらいだろうな、とも、
潔くてカッコいいな、とも、思った。
長いものに巻かれがちな保護者同士の関係に、巻かれることなく1人でいることは容易なことではないと思うから。
思えば、子供達が小学生の時が1番大変だったような気がする。
物理的な時間は全然ないし、子供達の変化も激しい、子供同士のいざこざや、保護者同士の軋轢。。
そんな時期に「要」のような存在の人がいてくれるのは、ありがたいだろうなぁ。
その時期にこの本を読んでたら、心が軽くなったに違いない。
子育てのヒントにもなっただろうな。
もっと子供達といられる時間を噛み締めて過ごしたかもしれない。
自分の気持ちを言語化して話す、この私の苦手な分野を意識していこうと思った話でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ優秀な光実と「出来の悪い方」な歩の双子の姉弟が亡くなった母の跡を継いでワイナリーで働くお話。
私も「出来の悪い」側の人間だと思い込んで生きてきたので、自分を卑下してはふてくされながら大人になった。だから歩の気持ちがよく分かったし、歩に対する周りの言葉がグサグサと刺さる。
ページをめくるハッとする言葉に出会う。歩以外にも光実やワイナリーで働く人々、友達…周りの人たち皆それぞれに共感できる部分があって、ぐんぐんと物語に惹き込まれ一気に読み切った。
1歩ずつ前に進む皆を見て、私も今から変われるかなぁなんて思った。
●ちょっとだけ期待をしていた、というようなことを歩は言った。新しいことをはじめるたびに、いつも期待をするのだと。自分にはなにかがあるんじゃないかと。他人より抜き んでた部分が、周囲も自分自身も今まで気がつかなかった素晴らしい能力が、その新しい なにかをはじめたことで目覚める、そんなことが起こりはしないかと。(中略)
「そういうのはさ、なんの努力もしたくない人が見るタイプの夢やと思う」
●「ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん。ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」
●天職ではなかった。昔から夢見ていた仕事でもなかった。
それでも仕事にちゃんと向き合うことはできると思った。