寺地はるなのレビュー一覧
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よくわかんない店で、自由な社長の下でゆるっと働きながら、紳士服の仕立てをやらないテーラーの手伝いをすることになる、リボンちゃんこと百花。百花の仕事は下着のリフォームやオーダーメイド下着を縫うこと。
百花は自信があるわけではなく、何か明確にやりたいことがあるわけでもないが、気にせず堂々としている。言いたいこともきちんと言う。加代子さんも今は同じ、百花の同志だ。百花は下着のオーダーを受ける中で、やりたいことをやってみようと考えるようになってゆく。
「わからない、考えたくない、選びたくない」えみちゃんは、他人の評価を強く意識しながらも、自らのポリシーは曲げない。相当生きづらそうだが、隠し通す生き方を -
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可愛いものが好きな百花は、頭のリボンがトレードマークで伯母の加代子からは、リボンちゃんと呼ばれている。
伯母さんは、夫亡き後紳士服のテーラーをたたみ、お直しや小物などを頼まれたのを細々と制作している。
ある日、下着のリメイクの依頼が届き手芸好きの百花の力を借りることに…。
下着をオーダーすることなど考えたこともなかったが、これもありなんだと思った。
単に自分のための気に入ったものというだけじゃなく、体が不自由になったけど自分で着替えたいということもあるんだと。
さらには移動手段まで考えて…と。
やりたいことをやる勇気は凄いなと思う。
新たな何かを見つけることは、自分自身の成長にもなるんだろ -
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何か大きな出来事があるわけではなく、誰にでも起こりうる日常を描いた作品なんだなと思った。
主人公で語り手の實成は、人に流されず、自分の気持ち、考え、抱いた違和感など、機微を大切にしていて、そして言葉も選んで会話ができる人で素敵だなと思った。
塩田さんとの最後のシーンは、2人の会話がとても素敵で、互いのことを深く理解しあっていることが伝わってきて感動した。
ただ「もっちゃん」はそこまで作中で触れられてなかったので、最後いきなり話が飛んだような、少し気持ちがついていけなかった。
そして真面目で大人しい人だと思ってた伊吹さんはいろいろ大変だった……實成への嫌がらせはさすがに酷いと思った。 -
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テーラーを引き継ぎリメイクを手掛ける伯母・加代子。
姪の百花は会社勤めの合間に店を手伝う。
下着リメイクの依頼がある。
「しっくりくる下着」を身に着けられたらいいのに。
加代子と百花の挑戦は始まったばかり。
百花の勤め先の社長はどんな人?
その会社に勤めていて生活はできるのだろうか。
加代子と百花のやりたいことが夢物語と思えてしまう。
皆が抱える葛藤や思いを丁寧に描いて欲しかった。
散らばっているメッセージを拾い集め
答えはなく問いかける一冊であったとしても
何かが残る作品であったなら...。
補足
2025年8月3日付 中日新聞記事より
個性の是非を問う問題作ではないかと尋ねると
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ネタバレおそらく、この本のテーマは「愛」と「時間」だと思う。
たとえ狭くても自分の世界を快適に保ちたい今どきの若者・桐矢と、ガサツで声が大きく、配慮のない昔気質の男・義景。性格も生き方も正反対の二人が、少しだけ一緒に暮らし、義景が亡くなるまでの物語である。
祖父の義景は、三人の娘や孫たちにまで避けられ、嫌われ、恨まれている。妻は三人の娘を捨てて家を出ていったが、実は別の男性のもとへ行っていたことが後に明らかになる。
義景は過去にさまざまな経験をしてきたが、それを表に出さないために誰からも理解されない。そして、彼自身も理解されたいとは思っていない。彼の本当の姿を知っているのは、読者だけ。
実際、物語の中 -
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ネタバレガラス製作の溶解炉から放たれる熱は1300度以上。
まぶしい炉をひたすらに見つめ、ガラス職人は作品と向き合う。
それは「燃える海」へ漕ぎ出す小さな小舟に例えられている。
頭で描いた通りになることはないけれど、思い描くゴールの方向へ、ただひたすらにオールを漕ぐしかない……
ガラス職人の静謐な心理描写が貴いと思った。
物語は、
祖父のガラス工房を引き継ぐことになった兄と妹のお話。
ガラス職人として、人として、成長していく二人を見守るように読み耽った。
兄の道は、おそらく発達障がいを抱えていて、誰からも理解されない、理解できないという苦しみの中で生きている。
一方、妹の羽衣子は、いわゆる「きょう