寺地はるなのレビュー一覧
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ビルの取り壊しに伴うリフォームジュエリー会社の廃業を起点に時間をさかのぼりながら、物から物へ、人から人へと、30年の月日のなかで巡る想いと“つながり”、そして新たなはじまりを描く。
現代から過去に遡り、現代に続くパターンはあるが、どんどん時代が遡って行くのが新しいパターンだと思った。
今日が、雨でよかった――
と思う主人公の一人・永瀬。
以前、美術の先生の言葉、
「古代、雨は神々が流す涙であると考えられていました。雨の雫はあつまって川となり、海へと流れ込み、やがて空にのぼっていく。その繰り返しが『永遠』を意味する、という説があります」
をずっと胸にしまって、大人になった。
永遠を信じる永瀬、そして中学からの友人のしずく、森くん、高峰。
不器用な4人が不器用ながら、お互いを支えて、30年を過ごす様子には、正直羨ましい気持ちが大きい。
4人のそれぞれの永遠を探す物語にラストはほっこりするが、読んだ時期が悪かった。
今は雨がとても神様の涙とは思えないぐらい、人間を苦しめてる… -
Posted by ブクログ
表紙を見た時は日本昔ばなしでも書いてあるのかと思ったけど(笑)、読み終わったら意外に考えさせられたのと、少し笑えました。あと、タイトルの秀逸さに感心しますね。ホンット、タイトル通りでした。
寺地さんらしい、人らしさ?人間臭さ?みたいな、そうゆうのがちゃんと書かれてて、いつも感情をいい方にも悪い方にも動かされて、良かったですね。
私の勝手な印象ですが、寺地さんの作品に出てくる人達は100%悪い人も、100%良い人も居ない、本当の意味での生きてる人間が書かれてて好きですね。
個人的には第一幕のたぬきの夢が好きでした。人間臭くて、カッコ悪くて、でもカッコイイ女性が出てて良かったです! -
Posted by ブクログ
寺地はるなさん、12冊目。
偏屈な祖父・義景と二人で暮らすことになってしまった孫息子・桐矢。
義景の過去と、桐矢の現在が交互に語られ、噛み合わない同居生活が描かれる中で、義景がひとりでずっと抱えてきた秘密が明らかになる……。
お話そのものは作者さんの語り口に乗ってすんすんサクサク読むことができたが、なんだか読後感は微妙。
男尊女卑で頑固で昭和の価値観そのものの義景とローリスクローリターンを願い生きる潔癖で現代的な桐矢。
この作者さんがずっと取り上げてきている“普通”とか“あるべき”とか“らしさ”などが下敷きになっているが、二人ともその時代の中で悩みながら懸命に生きてきた/いるというところは汲み取れ、その生き方のどちらもが否定されなかったところは良かった。
ただ、時代が変わったことにアップデートできない義景にも(ああいう老人にはならない)、「影が薄いくせにへんなところでめんどくさいやつ」と自覚し25歳とは思えない桐矢にも(あれぐらいで泣くなや)、どちらにもあまり共感できず、物語に入り込めなかったのでした。
カレーもおいしそうにできた割にはお話の中であまり目立たなかったのも残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ学校でいじめを経験していじめた相手を殺したいと願う園田、いじめと離婚を経験し自分の人生は自分で生きていこうとする朱音、学校ではいじめる側だったが、夫に軽視され園田の考えに共感する莉子。
似た体験をする3人の、仕事や子育て、恋愛が描かれている。
似ている体験をしているが、
出会う人や環境などで全く違う考えを持ち、違う人生を歩んでいる姿が描かれていて面白かった。
自分が弱い立場・恥ずかしい立場に立たされているという現実を認める難しさ、認められない故に問題が解決されない。
朱音は先生から「いじめられています」と断定してもらえたことで、上手くやるという選択肢を選ばず、自己防衛できたように感じる。
莉子→園田→朱音の依存関係もみていて興味深かった。
自分をわかってくれそうな人に寄りかかろうとしている。
一人で立つのは大変だからね。
特定の一人に寄りかかるのではなく、寄りかかれる人やコミュニティを周りにたくさんおけると、辛い現実から目をそらさずに、直視できて、そうすると自分が抱える本当の問題解決に迎えるようになるのかもしれないと思った。
(自分の中に園田も朱音も莉子もいるなぁと思った。) -
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女は大人しく、三歩後ろを歩くべき。という旨の発言を繰り返す親友の父に同情する気もないし、言動は肯定できない。過去の行いも許せたものではない。けど、"男としての責任。長男としての責任。家長としての責任。たくさんの責任を重たい外套のように着こんでふうふう言いながら歩いていくおれの脇を、かろやかに通り過ぎて行く者たち。過去という外套を、古い価値観という外套を、あっさり脱ぎ捨てていく者たち。ミユキに妻に鉄也に雪菜。"
とあるように、彼らにも背負ってきたつらさってものが皆無だった訳じゃないことに気付いた。勝手に背負ってきたのは彼らって言われればそれまでだけど。