寺地はるなのレビュー一覧
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「あっち側」と「こっち側」。生まれや育ちや環境での違いをそう表現した主人公の鳴海。この小説では「あっち側」はお菓子メーカー南雲家の娘、彌栄子。「こっち側」は南雲家の子守りとして雇われた鳴海。なにもさせてもらえずできなかった彌栄子が、鳴海と出会えたことで、いろんなことを吸収していく場面や鳴海に懐いていた子の栄輝の様子を読むと、このままうまくいけばいいなと思いつつ読み進めた。
20年後に再び状況が動きだし、迎えた結末は、よかったと思えるものだった。「こっち側」と「あっち側」の2人が20年かけてやっと得たものが、読んでいてとても嬉しくなった。
寺地はるなさんがえがく、心理状況や情景描写の細やかさ -
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ネタバレ【収録作品】
江國香織「コインランドリーの夜」
金原ひとみ「ラストサパーフォーエバー」
角田光代「最後の鰻」
寺地はるな「小曾根幸子の送別会」
原田ひ香「最後に、何を食べたの?」
藤野千夜「もうひとりのねえちゃん」
井上荒野「本当の話」
人生の最後に何を食べるか? をテーマにした、アンソロジー。
「コインランドリーの夜」の弥生子、「小曾根幸子の送別会」の小曾根幸子の生き様は小気味よい。
「最後の鰻」は仲の良い家族の空気が伝わってきてほのぼのとする。
「ラストサパー…」と「もうひとりの…」は年代こそ違うが、シスターフッドのよさをしみじみと感じる。
「最後に、…」は嫌な話にならなくてよかった。
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昭和の男とも言うべき頑固ジジイと、それを嫌う孫の桐矢の同居生活の物語。
頑固ゆえに妻に逃げられ、3人の小さな娘を育てた小山田義景。3人の娘はそれぞれ娘を産み、最後に生まれた男の子は女系家族で育って男らしさに欠ける。83歳で心臓病になった義景を心配した娘達は同居を望んだが、唯一の男の孫を鍛えようと桐矢を指名する。
義景の元の仕事はレトルトカレーの営業。そのため、祖父と孫の料理はいつもカレーが付き纏う。頑固が故にあちこちでトラブルを起こす祖父。優柔不断ながら几帳面な桐谷が何とかフォローしていく。桐矢の恋バナがあったり、ストーカー事件があったり、中々忙しい。家を出てから、一度も娘達に会わなかった母親 -
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「びろうどの布のようにしっとりと黒い空から銀色の針に似た雨が降ってくる。」夜に振る雨をこんな風に美しい情景として表現できるなんて…。
この瞬間に入り込んでその情景を味わいたいとしばらく目を閉じ味わってしまった。
物語の序盤に出てきた、碧にとって心の支えとなっていた、自分が言われた言葉が浸透し、生きた言葉として自らから発せられたのを目にし、その裏にあった様々な出来事があってこそ言葉に命が宿るんだなぁという感覚になった。
誰かに委ねるのではなく、自らが動く。育てて関わりを育む中で自らが自分の居場所を自分で作っていく。
こんな風に作り上げていくっていいなぁと思うし、受け身で文句ばかり言うだけでなく、 -
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ネタバレある出来事がきっかけで他人が作った料理を受け付けなくなってしまった高校生の冬真は、同級生の時枝くんに「難病を抱えた美少女」の妹がいるという噂をきく。友達にそそのかされ、時枝くんの家まで行ったことがきっかけで、冬真は時枝くんと仲良くなっていくが――。
一方、国際交流プラザで働く紗里は、「きれいなものが好き」なあまり、太ることへの嫌悪感を抱えていた。自分が撮影した写真が原因で時枝くんを傷つけたことを知った紗里は、“罰”としてマッチングアプリを始めて……。
それぞれの理由で世界への信頼が薄くなった彼らが、大切な人と歩いていくために一歩を踏み出す感動作。(紹介文より)
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寺地はるなさんの本を読むのはこれで10作目です。表紙絵が魅力的で、まず手に取りました。作中に描かれているのは、和菓子の製菓会社にて、改善されない労働環境や職場で感じるモヤモヤなどだった。現代になっても残る理不尽さに胸が苦しくなった。
『でも、私がだいじょうぶって言ったら小松さんみたいな人はだいじょうぶって安心しちゃいますよね。そういう人ですもん。そこを察して、踏み込んで助けにきてよ、なんて無茶ですよね。でもあの頃は、それに気づきませんでした。…だいじょうぶって訊く時は相手の返事をあんまり信用したらあかんし、だいじょうぶって答える時は、ほんまにだいじょうぶな時だけにせなあかん。-第六章 空と羽