寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
皆と合わせられなくて学校に行くのを嫌だった。「堂々としていなさい」と、毎朝母が結んでくれたリボン。
33歳になった今でも嘲笑の種になろうとも「ババアになってもこれで行くつもりよ」と自分の美学を決して曲げない百花。「たどりつけない客は、この店に縁がないってことだ」と商店街の細い路地で無骨にやってきた『テーラー城崎』とどこか呼応しているように見える。
下着は単なる衣類ではなく、その人の尊厳を守るもの。自分の一番近くにある「お守り」を縫い上げる仕事。
「百花はスタートが遅いだけで最後には他の子を追い越すんだ」と漏らしたお母さんの言葉通り、我が道を見つけたリボンちゃんに拍手を送りたいと思う。
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Posted by ブクログ
これ受け入れられるのかなって思いながら生きてしまうこと、自分や他人を少し尖った目で見て、NOのレッテルを貼って生きてしまうことが多い私にちょっとだけ前を向いて頑張ってみる勇気をくれた1冊
世界は思うほど悪いもんじゃないなって教えてくれました◝✩
章によって誰目線かが変わるけど登場人物全員が絡み合った普段の生活を通じ、前を向く登場人物たちに共感したし、この輪に入りたいなと思って、最後はジーンとしながらこの本を読んだ。
おそらく大学生の子を持つお母さんの心に一番沁みそうだなっておもった!
私にとってまだ大人かなって思うこともあった
そしてとってもお腹がすいた☺︎
藤のバスケットにお弁当入れてピ -
Posted by ブクログ
ネタバレ読後、「川のほとりに立つ者は」に続く言葉を考えさせられる。
作中物語では、「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」と書かれている。心に流れる川に沈んでいる数々の石─それは、喜びや悲しみや怒りといった、あらゆる感情のこと─を、内包する川でさえ全て知り得ないのだから、「川のほとりに立つ者」がその石の数や形を知ることができないのは当然である。
しかし、この物語は、「川のほとりに立つ者」が「水底に沈む石の数を知り得ない」から仕方がないと伝えたいわけではないはずだ。知ることができないからこそ...。ただ、なかなかこの後に続く言葉がなかなか浮かばない。しかし、簡単に答えてはいけないのだろ -
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会社勤めで30歳になる碧は、同棲している美大卒のフリーター安西が、いかなる仕事も長続きせず、すぐに辞めてくることを気にかけていた。ある日、安西が「実家に戻るからついてこい」と強制的に碧を故郷に連れ帰る。そこで地代の取り立てに向かった先の黒江のところで、養蜂を手伝うことに…。
はてなブログのころの、素なのかひねくれているのかわからない、改行無くぐだぐだと書いている頃の寺地はるなしか知らなかったので、読みにくいんじゃないかとずっと敬遠していたが、さすがに書籍にもなるとそうでもない。読みやすいです。
仕事を強制的にやめさせられ、知らぬ土地で何かをやらざるを得なくなった碧は、それまでの人見知りのキ -
Posted by ブクログ
ひまわりめろんさんの本棚から
「大丈夫」この言葉がまた私に鋭く刺さる
「こまどりたちが歌うなら」でも私が気になった言葉
本書でも注目の的になった高校生時枝くんに、クラスメイトたちが声をかける
「だいじょうぶやで」
「ぜんぜん恥ずかしがることちゃうし」……
気遣うように明るく優しく
いったい何が「だいじょうぶ」なのだろう
時枝くんを傷つけようとした人はいないのに
優しく温かい世界にも刃は存在する
この小説に悪意のある人は登場しない、と思う
でも登場人物ひとりひとりの生きづらさの中に、時として悪意なく人を傷つけていることがあり、自分自身の言動を考えさせられる
自分の今思っていることを -
Posted by ブクログ
九州のド田舎で暮らす人たちと、そこを去った人たちが織りなす、さまざまな涙の物語。
古い価値観と新しい価値観。みんなその狭間で戸惑ったり迷ったり、あるいは吹っ切れたり切り拓いたりしている。どの時代にも価値観の移り変わりはあっただろうが、最近はそのスピードが速くなっている気がする。
男は泣くな、女は黙ってろ…いまだにそんなこと本気で言う人がいるんですか?と笑いたくなるが、山あいにある田舎が舞台の本作ではよく登場する。
そんな時代遅れの人の考えには全く共感できないと感じる場面がたくさんあった。あったはずなのに、読んでいるうちに彼らと同じ感情に陥って、一緒に涙したくなるから寺地さんの作品は不思議だ -
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Posted by ブクログ
手芸好きの男の子、清澄とその家族の物語。
世間も家族も『らしさ』を押し付けてくる。それに合わせて生きようとすると窮屈だけど、もっと自分の好きを大切に生きたらいいじゃないか。というメッセージが清澄の家族それぞれの短編で語られる。
生活能力のない父が、水青と清澄のために考えた、流れる水であって欲しいという願い。それを受けて姉のウェディングドレスに刺繍する清澄に感度した。
また、おばあちゃんが時代に負けてきた過去がありながらも、今からでも好きな事に挑戦しようとする姿が良かった。
一冊前の『皇后の碧』とこの本ともに、愛情とは、慈しむとは、例え愛情だとしても一方的にこちらの思いを押し付けるのではなく、