寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりの寺地さん、やっぱりいい……!
温もりのあるストーリーは安心感があるし、連作短編集が好きなので嬉しい。さまざまな境遇の40代女性が描かれており、共感する場面がたくさんありました。
寺地さんは、作品のなかで言葉にならないモヤモヤした気持ちや人には言いにくい気持ちを代弁してくれている。
洋傘店をめぐって、登場人物がゆるやかにつながっていくのも良かった。人とのつながり、心地いい関係性に気持ちがほぐれていく。
私が特に好きだったのは、「走れ杏子」と「みつほとクリームソーダ」。大好きな場所があって、そこでの時間を大切にしている人たち。
ゆったりとした空気感もいいし、グッとくるシーンもあってちょっと救われたような気がしました。
私も雨の日が待ち遠しくなるような、お気に入りの傘を持つようにしています。雨の日の満員電車は憂鬱だけど、お気に入りの傘があるだけでちょっと楽しくなる。
人生も晴れの日もあれば、雨の日もある。
温かく清々しいラストも良かった。寺地さんのお気に入り作品がまた増えました。
『ひとりで生きるって、誰の力も借りんこととは違うで』
『職場での労働以外の人生だって、ぜんぶ「キャリア」だよ。空白なわけがないんだ』 -
Posted by ブクログ
ネタバレ寺地はるなさんの本。
30代公務員の父親と二人暮らしの時田翼と、20代ファミレス店員おばあちゃんの介護を引き受けた小柳レモン、そのほか翼の友達の鉄腕や職場の同僚の平野さんなど、複数の登場人物の人生や人間関係が重なりながら進んでいくお話。
この本を読んで
・一般的にはこう(目下は目上にお酌するべき、女性は男性のサポートをするべき,,)といった枠から自由になってもいいんだ
・自分の考えや感情を表現することは、好ましくないことだと思っていたが、魅力的だし素敵なことなんだ
と感じた。
小柳レモンや鉄腕の彼女の玲子は、思わず’一般的’から外れた行動をする。
・レモンは店長から義父との関係を面白おかしく言われたことに腹を立て、頭突きしてクビになった。そのことに全く後悔せず、「自分の尊厳は自分で守らねばならない」と言っていた。
・玲子は鉄腕の家族との顔合わせの際に、鉄腕の父がお母さんが転んだことを心配せず、バカ扱いしたことに意見をして、顔合わせが台無しになった。
鉄腕はその行動でより好きになっていた。
私は世間の当たり前に合わせることが大人であることだと思っていたし、穏便に済ませることが好ましいことだと思っていた。
でも違う。
もちろん身近な人が自分の行動に賛同してくれない可能性もあるが、それはそれだ。
大人であっても、自分の気持ちや感覚に正直になって、許せないことは許せないと表現し、好きな人には好きだと表現していいし、そうすることが真に魅力的な人だよなと思った。 -
Posted by ブクログ
特別大きな出来事は起こらないけど、何気ない人とのつながりと傘が、時には比喩としての傘…困難から身を守るもの…が、キッカケを与えて気持ちを変化させていく。主人公がいずれも40代女性で個人的に近いという事もあるが、いちいち共感できてスラスラ読めた。
当初、あらすじ聞いて勝手に、傘店の店主の快活なお婆さんが軽快に解決のヒントを与えていく話?と思ったが、お婆さん自身も実は心に傷を負っていて、登場人物たちが心上向けるキッカケに関わりつつも自分も助けられていた…という事が終盤で判る。
主人公達は同じアラフォー、アラフィフながら立場や性格は違うものの、どの話も、関わる男性を内心バッサリ批判する言葉など、エッセイやXでの軽快なつぶやきを見ているような場面もいちいち共感し面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ少しシーンが飛んで分かりづらいところがあったけど、夜の散歩をここまで壮大な物語にしてしまうのはすごいなと思った。
最初一人で始まった夜の散歩が集団になり、また一人(いや二人?)に戻っていくというお話だった。みんなそれぞれの道を歩んでいく結果に収まったが伊吹さんのいうように二度と見られないものがあるって素敵だなと思った。その伊吹さんの考えが散歩全体と重なって、感動した。
みんないろいろ抱えているものがあり、1人では解決できないかもしれない。そのときは手を取りあって乗り越えて、不必要な干渉はしない。この距離感が心地よくて、事件など少し感情が揺さぶられるシーンはあったが癒された。