寺地はるなのレビュー一覧
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初の寺地はるなさん作品、とても良かった。
ゆるゆるとなんの変哲もなく動き出した物語が、読み進めていくうちにぐんぐんとスピードを上げて、しずかに熱量も高まっていき、気づくと夢中になって読んでいた。
章ごとに変わる語り手に、深く感情移入して胸にグッとくるシーンや、クスッと思わず笑ってしまう言葉がたくさん散りばめられていた。
私が特に好きなのは、黒田さんが語り手の「しずかな湖畔の」。
語り手が息子、姉、母、祖母…ときて、次が父ではなく、黒田さんというところが意外だったが、この章で一気に本作が立体的に見えてきた。
最近では「女らしく」「男らしく」なんてあからさまに言われることはほぼなくなった -
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閉鎖的な村社会から飛び出して十数年、久しぶりに集まって会うことになった三人の幼馴染の、悩みや葛藤、その先に踏み出す未来を描いた物語です。
メインの主人公は、高校を卒業すると同時に家出して十数年、まったく地元に寄りつかなかった作家志望の天。この先も喧嘩別れした家族の元には戻る予定がなかったのだが、ある日幼馴染のミナから幼馴染で当時よく一緒にいた三人で会おう、という連絡をもらう。中学を卒業した時に、お互いに宛てて書いた手紙が見つかったのだという。三人でそろって開封しようと言われたが、その手紙に書いた文章を思い返すうち、彼女の中に当時の記憶が蘇ってきて――。
このお話は、何人もの目線から多 -
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私の好きな寺地はるなさんの本。
やっぱりいい。繊細で透明感があって心に染み入る。
祖父の残したガラス工房を継ぐ兄妹、道と羽衣子のお話。仲がいいとは言えないふたり。発達障害と思われる道は普通のことが上手くこなせない。羽衣子は平凡でない特別を求めているけどなかなか上手くいかない。お互いが理解できないし苦手なふたり。
羽衣子のしんどさを想った。しょうもないと思っている兄にはガラス作りの特別な能力がある。母はいつも兄を見ている。自分は何者にもなれないのではないか、そんな焦りと葛藤の日々。
道は道でしんどかったね。みんなが普通にできることができない自分を持て余して、苦しかった。
十年の年月の中でのいく -
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夜が暗いとは限らないし、必ずしも朝が明るいとも限らない。
今の私は努力をしている訳でもなく、ただ毎日を淡々と生きている。何も変わらず、何も成長していない。周りのみんなはずっと日々を生きていて、成長していて好きなことを見つけて、毎日楽しく過ごしているんだと思ってた。でもそうじゃないのかもしれない。もしかしたらいつも笑顔の人も家で泣いているのかもしれないし、優しい人は実は影で苦しんでいるのかもしれない。でも、それを無理に知ろうとは思わない。そこは他人が入り込むべきではないから、それぞれがそれぞれの思いを抱えて生きていくのがいいと思った。
この本は、こうしなさいとかああしなさいとか読者に言っている訳 -
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相手を見る。
するとまず見えるのは、表情や目、仕草、行動。
当たり前だけど、その心の内は見えない。
だから、その人を判断する材料はそれら見える外見のみになる。
それは別におかしいことではないし、たくさんの人と出会いコミュニケーションを図っていかなければいけない大人の現代社会において、ごく普通のことだと思う。
しかし、その思い込みや偏見によって、認識を歪めてしまうことになることがある。
例えば、その人の行動は心の内を素直に反映したものではなく何らかの要因で屈折してしまったが故かもしれないし、その要因がその人の思う正義だったり、周囲の環境だったり、明らかにその人が原因じゃないことだって多々ある。 -
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「女らしさ」「男らしさ」「母親だから/父親だから」等といった社会や文化からの役割の押付けに傷ついた経験を持っていたり、抗ったりしている家族のお話。
私は「傘の下で」に感銘を受けた。
「あなたが原因だ」と言われないように、自分の行動や感情を制限して人生を抑え込んできたけど、怒っていいんだって気づかせてもらえた。
社会は男性優位で女性は「優しい」「配慮ある」とかの役割を押し付けられるけど、そんなのは受入れなくていい。
清澄も「手芸が好きと言ったらどうせ気持ち悪がられる」と思っていたけど、宮田は違った。
社会や文化からの役割の押付けはあって、「皆がそうなのではないか」「外れてる自分は変なのか -
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寺地はるな作品は本作が初読。タイトルと表紙に惹かれて手に取ったが、人に勧めたくなる静かな説得力をもつ一冊だった。
日常のなかで無意識に抱いてしまう他者への評価や比較、善意と自己保身のあいだで揺れる心情を、過剰な説明や断定を避けながら丁寧にすくい上げていく。派手な事件は起こらないのに、読んでいるあいだ、自分自身が登場人物になったような感覚に陥るのは、その感情の配置があまりにも身近だからだ。
人は知らず知らずのうちに人を値踏みし、「できる・できない」「正しい・間違っている」と線を引いてしまう。そのこと自体を断罪するのではなく、そうしてしまう人間の弱さや不器用さを、淡々と並べてみせる視線が印象的 -
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寺地さんの本にハマり中の私が以前から読みたかった本の一つで楽しみにしていました。
真面目でいい子なんだけど、
めんどくさい女の子万智子が、
かっこいいけど、
いまいち女の子のことをわかっていない
実はダサい早田くんとの恋に悩み
いろいろな世代のいろいろな人に関わることで、
まっすぐしか見えなかったり
ぐずぐず落ち込みがちな性格が
少しづつかわっていく物語です
なんとなく読みながら、
私も、実はめんどくさい人間で
すぐモヤモヤしちゃうので
人との距離を一定にあけて
楽に過ごしたいなぁって思いがちな人なので
真智子のモヤモヤになんとなく共感するところもあり、
了さん、美華さん、冬さんていう
素 -
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「人のことを分かった気になってはいけない。決めつけてはいけない。」
「誰にでも事情はある。」
それは最近の流行りと言ってもいい切り口であるし、
別段特別な視点ではない。
ただ、忘れてはならないのは、
その「誰にでも」には「自分」も含まれているということだ。
「自分もそうなる可能性がある」
いや、誰かにとっては「すでにそうだった」可能性すらある。
それは例えば『プロミシングヤングウーマン』を見て
「こんな最低な男にはなりたくない」と平気で言えてしまう人のように
「自分だけは例外」と当たり前に思えてしまうことの恐ろしさよ。
そして、もう一つのテーマ、「人間の性格に善も悪もない」
人間の -
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寺地さんのエッセイ。とっても面白かった、特に一、二章あたりの家事に纏わる寺地さんの捉え方が面白くて、明るくてとても好き。
寺地さんの小説と、エッセイは受ける印象が異なっておどろいたし、面白かった。ネーミングセンスが抜群で、のっけからエネルギッシュ敏子!大爆笑でぐっと掴まれました。わたしも心の中にそんな人物を作り上げたら(イマジナリー家政婦)家事頑張りたくない時、頑張れるかも。
竹雄…面白すぎる!
最後の晩餐も捉え方が面白すぎて、斬新でウケました。大阪感の面白さ。
頭が柔軟だから、いろんな小説が書けるんだな。
またエッセイも出して欲しいです。