寺地はるなのレビュー一覧

  • わたしたちに翼はいらない

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    登場人物それぞれの抱える鬱屈した思いや痛み、どす黒い感情に気持ちがザワついて落ち着かず、自分の中にもある心の痛みを刺激されるような読書だった。他者に惑わされる事なく、ブレない自分の考えを持つ朱音の強さと、人との距離の取り方に惹かれた。最終的な朱音と莉子の関係も清々しくて好感が持てる。

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    2025年04月22日
  • 月のぶどう

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    ネタバレ

    すごい良かった。
    ワインができるまでにはたくさんの苦悩があること、害虫や台風がもたらす影響、暑さや寒さと葛藤しながらの作業、本当に大変だと思った。
    歩が自分の思いを日野さんにまっすぐに伝えた場面や、光実が日野さんに書いた手紙、結婚式での祖父のボイスレコーダーの言葉に感動した。葡萄の蔓と葉のウェディングボードが素敵。

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    2023年09月17日
  • 月のぶどう

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    寺地はるなさんの作品で1番好きなものです!
    あったかい気持ちになるし、主人公のワインへの愛が伝わってきて、お酒が飲めない自分がもったいなく思ってしまいました。笑

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    2023年09月10日
  • 月のぶどう

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    天瀬ワイナリーが舞台。

    ワイン造りを学ぶ歩と双子の姉の光実、周りの人たちとのかかわりで2人が人として成長していく。

    そのままドラマになりそうな感じ。

    普段はイタズラ好きの祖父が、時たま発する言葉に重みがあった。

    平気で弱みをみせられる人がほんとうに強い人だ、という言葉や、結婚する光実への言葉は、とてもよかった。結婚生活が長い人にも響くと思う。

    デザートワインが出来上がる頃、歩とあずみが笑顔でまた会えますように。

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    2023年07月11日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    ネタバレ

    九州にある星母島。託児所付きの民宿が舞台。

    そこに泊まりに来る客たち。皆んな事情は違えども「子供」との関係に悩んでいる。

    夜寝ない、育てにくい子、敏感な子、癇癪、喋らない…などなど
    子供を自分の天使のように思い過ぎる毒親…

    現在3歳1歳子育て中の私は、出てくる親たちに何度も共感し、痛いほどわかる苦しみに少し泣きました。
    「親になったからって急に別人になれるわけじゃない」
    「板の間で良いから大の字で1時間寝たい」
    「子供が嫌いなわけじゃない。可愛くて仕方がない。この感情に名前はつけられない。だって子供を産むまで知らなかった感情だから」

    あーーーわかる。泣

    民宿の千尋、麦生、政子さんがあ

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    2023年07月04日
  • ビオレタ

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    ネタバレ

    どうしよう。すごく良いお話を読んでしまいました。
    読み終わりたくなかった。居心地が良すぎて、まだ浸っていたかった。

    妙ちゃんが癒されて前を向いていくお話ですね。その過程がすごく素敵。

    菫さんも千歳さんも蓮太郎くんも、みんな素敵かよ。

    庭にスミレ植えるの断固拒否な菫さん可愛いし、千歳さんホワホワしてそうでなんとも可愛らしいし、蓮太郎くんのピュアさと健全さは愛おしくてたまらない。超かわいい。

    人生には痛いこともたくさんあるけど、棘はいつしか風化して少しずつ丸くなっていくのかな、などと考えました。

    途中クスリとできたり、素敵な言葉があったり、やはり寺地さんの小説は好きだなぁとしみじみ思いま

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    2023年05月21日
  • 月のぶどう

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    残したくなるフレーズが6件ほどもありました。ぶどう農家の苦悩と喜びを素敵な文章で綴られていて、ぶどうに限らずすべての農家さんたちが、自然を相手に打ちひしがれたり喜んだりしている現実を、今までよりリアルに、これでも足りないとは思うけど少しはリアルに捉えられるようになったと思います。

    「どう考えても君の方がふさわしい」と日野さんからマイクを受け取ってからの歩のセリフの全てが素敵で、感動的で、アドリブ力最高でした。ドラマチックな場面が想像できて泣けました。

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    2023年05月04日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    誰もが未成熟で歪なので心を抱えている。
    自分だってそうだ、歪の極みなのだ、とわかっている。

    みんなの普通が自分の普通では無い時、
    人は。

    自分のやるべきことを淡々とこなしていく千尋。
    一つ一つの言葉に重みがありました。
    子育てに悩んでいる人も読んでみてもいいかも。

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    2023年04月03日
  • 正しい愛と理想の息子

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    色々な愛の形の物語。愛する人には100%の完璧な愛情を与えてるつもりだけどそれは実はすごく自分本位で、また同じだけの理想的な愛情を求めてしまうけどそれは不可能な話で。そんな歪さを理解すればもっと生きやすくなるのかもな。

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    2023年03月26日
  • 彼女が天使でなくなる日

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    寺地はるなさんの世界にどっぷり浸れます!
    主人公の千尋に深い愛情を注ぐ人たちが好き。
    そして、クロエの蜂蜜の一瞬の登場に、寺地さんファンは心ときめくはず…だと思う…

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    2023年03月24日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    心温まる下町?群像劇。印象に残る場面、セリフもいくつかあって素敵な本でした。登場人物多いから一気に読まないとエピソードの繋がりがわからなくなりそう。

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    2023年03月22日
  • ビオレタ

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    私も誰かの居心地のいい庭にいるなと感じた。
    私に庭はあるのだろうか

    埋めるべきではないものを深く沈めているけれど棺桶だけは用意しても許されるかもしれないとしみじみ

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    2023年03月07日
  • 正しい愛と理想の息子

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    寺地はるなさんの小説は昨年から読み始めて、読み心地良いから何も考えず手に取った順番で読んできました。気付けば13作目。まさかのハードボイルド!?今まで読んだものとはまったく毛並が違う「探偵は○○にいる」や「○○○駅前○○便利軒」の『エピソード0』みたいな小説。

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    2023年03月05日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    2回読んだ。
    1回目は何日もかけて、ちょっとづつ
    寝る前に。
    3分の2を過ぎると終わらないで
    続いて欲しいと思いながら読んでいて、
    終わってしまったのでまた最初から読んだ。
    2回目はあかつきんの中から見るように
    柊の気持ちを想像した。
    色んな日常があるし、色んな人の事情が
    あるあるでどれも沁みる話だった。

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    2023年02月24日
  • 月のぶどう

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    真ん中あたりからググッと引き込む展開はさすが。

    今回一番ハッとしたフレーズは、

    「『ぜんぶ理解できんでもええんや。親族とはいえ、他人なんやから。共感もするな。共感なんてもんは、なんの役にも立たん』
     ただお前は、誰にでもいろいろある、ということを理解するだけでええと思う。それが、他人を尊重する、ということや。」

    これは寺地さんの作品を読むようになって、私がたどり着いた境地のようなもの。

    私自身は姉妹で比べられたという気はしていないけれど、双子の姉たちは常に感じていたかもしれず、特に自己肯定感が低いと最近になって私に話してくれた下の姉に読んでもらいたいと思います。

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    2023年02月01日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんと街に暮らす人ちのお話。
    13話の中にきっと自分と似た欠片を持つ人がいると思う。
    P322「もしかしたら俺だけじゃなく、多くの人が見えない着ぐるみを着て生きているのかもしれない。弱さや あさましい気持ちや泣きごとや嫉妬を内側に隠して、他人には笑顔を見せている」

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    2023年01月24日
  • ビオレタ

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    主人公の妙が私と重なるところが多い気がして。
    自分自身を認めてなくて、自分が思ってる事もはっきり伝えないくせに、分かってくれないとか、どうせ分からないだろうとか。拗ねて僻んで…あ〜なんか嫌。
    妙が婚約破棄されたのも(文中にあったけど)私にはこの位の人が適当…と思ってた事が見透かされていたから。そう言うのって勘づかれてしまうのよねと同感。
    不器用なのは妙だけじゃない。千歳さんも菫さんも。実は不器用じゃない人の方が圧倒的に少ないのかも。せめて憶測で僻むのはやめようと思う。

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    2023年01月06日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    小説みたいな奇跡や不幸って、生きていても正直そんなに起きない。でも生きていれば、ちょっと気になることとか、モヤっとすること、小さなハッピーは起きたりする。それをこんなに上手に言語化できる人がいたんだと感動した。
    短編になっていて、登場人物が少しずつつながっていく、よくある形式だけど、どの登場人物の気持ちもちょっと分かる気がした。
    「夜が暗いとは限らない」というタイトルは、「夜は当然暗い」という前提が含まれている。毎日前向きに!と無理しなくても良いよと言ってもらえているようで、気持ちが楽になった。

    以下フレーズを抜粋。

    朝、という言葉はたいていは良い意味でつかわれる。たとえば「朝の来ない夜は

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    2022年12月28日
  • 夜が暗いとはかぎらない

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    子供、若者、親世代、祖父母世代。暁町の消えゆくマーケットを舞台に、様々な背景をもつ登場人物たちの目に映る世界の物語を通して、生きることの切なさと暖かさを、宝石のような言葉で丁寧に描き出してゆく。

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    2022年12月28日
  • ビオレタ

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    寺地はるなさん3冊目。

    間違いなく好きな作家さんだと確信持てました。

    いい人悪い人含め、登場人物すべてに意味があり、彼らのセリフの一つ一つにうなずいてばかり。

    それでも途中までは、万人受けではなく、私に合うだけかな、と思いながら読んでいましたが、主人公の妙が父親と話すあたりからじわじわと胸に迫るものがありました。

    私自身は自己肯定感が高くポジティブ思考な人間ですが、いろいろ問題を抱えていたり、悩んでいる人に勧めたいと思います。

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    2022年12月21日