寺地はるなのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
好きじゃなくても良い。好かれなくても良いってなんて甘美なんだろうか。
甘美に感じるのは、私はすぐ好きになって、全員に好かれたいから。全員に好かれたいはちょっと違うかも。丁度良い塩梅に思われてたい。だからと行って三葉姉みたいに努力も出来ないから、中途半端にニコニコし、距離をとる。距離をとるのは、近く無ければ大きく嫌われることもないから。かと言って好意は持って欲しいから、たまに少し近寄って、声をかける。当たり障りのない話
をしてニコニコして去る。そしてうまく話せたかな?って振り返ったりして、ほっとした気持ちになったり、何回もあの場面思い出して、どう言えば正解やったのか考える。でも分かってる。他人が人のこと気にしてないこと。だってうちがそうだから。いつだって自分のこと、自分の印象のことを考えている。
だから主人公の三葉が羨ましい。三葉にはなれないけど、そうなりたいって死ぬまで思うのは、滑稽だ、意味がないかもだけど、これが私なんだと思う。死ぬまで、色んなふわふわモヤモヤした思考で集中力がなく、漂うように生きて、、でも三葉なら、別にそれが良いとか悪いとかないって言いそうじゃないかな。分類する必要があるだろうか。
この作品に出てる人達で、分かりやすいく良い人生、幸せな人っていただろうか。
ただひとつ、私も山羊をつくるようなことをしたくない。自分は自分で抱えていくしかない。誰かの何かで自分を勝手に罰したり慰めたりするのをやめたい。
強さには種類がある
私もひとつの強さが欲しいし、あれば良いと思う。 -
Posted by ブクログ
子供が成長していくと、どんなふうに悩みが変わっていくかがリアルだった。
自分だって子供として成長を体験してきたわけだけど、親からしたらこんなにしんどかったんだなって思った。
悩みは変わっていくけれど、根本的に「生きてほしい」っていう願いは変わらないのすごく共感する。
子育ての考え方でも、いろいろハッとさせられた。
今までグミがのってるケーキを見たことがないというのが、のせてはいけない理由にならないとか、言われてみれば確かに!だった。
自分がこういう考え方を植え付けると、発想がどんどん狭まってしまうよなと。。
授業がわからないと学校がつまらなくなる、だから(親ができることとして)塾とかで勉強させるっていうのも、なるほど…だった。
遊ぶ時間が長い方が楽しいじゃん…という子供だったけど、わからない時間が長いとつまらない。多くの時間過ごす学校を、苦しい場所にさせたくないよなと。
自分が周りによく思われたいタイプなので、上司に「ノリ悪いな」と言われても、「ええ、悪いんですよね、これが」とかえせる主人公に憧れるし、これでいいよなって勇気づけられる。
「守るものの優先順位を間違えてはいけない」という言葉とエピソードがすごく印象に残った。
きっと、成長過程で、他の人と比べられる機会が増えてくると、誰かにとっての良い子を押し付けそうになると思う。
定期的に読み返して、まったまった、大事なものはなに?ってしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世間のいう普通や幸せから少し外れた人達、でも誰にでも当てはまる気もする人達の短編集。
個々の葛藤が完全に解決する訳ではないが、それでも他者との繋がりを感じたり、自分から一歩を踏み出したりする場面が描かれており、心が暖まった。
「深く息を吸って、」が一番好きだった。心情の微細な部分まで追いかけて表現されているため、「きみ」が最後に立ち向かう場面の緊張感が手に取るように伝わってきて、短い作品ながらも最後は没入して読んでいた。
世間における「きみ」の濃度と、呼吸の深浅の比喩も、とても好きな表現だった。
一方で「対岸の叔父」は、世間に立ち向かうことが全てでなく、逃げる道もあると教えてくれるようで、話のコミカルさもあって心の緊張が解れるようだった。
全体を通して、様々な生き方を肯定してくれる短編集だった。 -
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寺地さん、初。難しい言い回しはなく、肩が凝らない文体。心のつぶやきがちょっとしたコラムのような感じで読みやすい。たまに特徴のある表現があって、飽きなかった。
重々しくない語り口だけれど、心が刺激されてズシッとくる文章がそれはそれはたくさんあった。私の心の中にもある感覚だなあと頷いたり、わかってはいるけれどできていないことをストレートに言われてグッサリきたり。珍しくいくつもメモっちゃった。
主人公の椿は自分をきちんと持っていて、流されない。思考停止することなく、物事の大事な部分をちゃんと見ることができる。でもそれができるというのは逆に、平均的な人とは少しずれた感覚ってことになるんだろう。
そんなふうに価値観や考えがしっかりしている椿も、失敗はする。間違えることもあるし、人を傷つけることもある。自分の見ている景色と相手が見ている景色が違うこともある。
頭では当たり前にわかっているようなことでも自分のこととなるとわからなくなったりするし、相手を思いやっているつもりで傷つけてしまったりもするし。私も、椿の正しい感覚が少し癇に障る時があった。人ってみんなダメなところがあるなあと再確認。それでも人間っていいなと思うし、そう思っていられるのは恵まれているってことなのかもと思う。
結論。みんな良い子だ。大人もこどもも。我が家のこどもたちもとても良い子! -
Posted by ブクログ
「わたしが他の誰かになれないように、他の誰かもまたわたしにはなれない。残念だが、わたしはわたしを引き受けて生きていくしかなさそうだ」
友達をうらやんでばかりいた若い頃の、劣等感とか自意識過剰ぶりを思い出しほろ苦い。年齢を重ね、自分が見たい面だけでなく、多角的に相手を見ることができるようになるにつれてこの境地に至る。うらやましさを感じるのはきっと、様々な面があって輝く一面、様々な面によって生み出される一面。そこだけちょい、と、つまみとれるものではないのだ。
お互いがお互いに何かしら屈折した思いを抱いていた10代の頃を過ぎ、30代になった天、藤生、ミナ。自分と言うものを受け入れて、これから3人の関係はどうなってゆくのだろう。