寺地はるなのレビュー一覧
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暗い夜道、その中を歩く人たち。
誰かが一緒だと心強い。
でも、その誰かが増えていくと、
小さな温もりも増えると同時に
小さなモヤモヤも増えていく。
仲間がいてくれることは嬉しい。
でも、その喜びは、いつも仲間と同じ
温度や形ではない。
小さなモヤモヤと、ぶつかりながら
少しずつ逃げずに対峙していく主人公。
相手に投げかけた想いは、
自分の思い通りに返ってくるわけではない。
それでも、出会えたことで
モヤモヤも心強さも、悲しみも喜びも
いろんなものが得られる。
人は出会ったら、別れていく。
かつて、仲間だったみんな、
元気かな。
そんな懐かしく、恋しい気持ちになれた。
後半は、泣きっ -
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映画を観たあと、原作も読んだ。
映画はやっぱり景色がきれいだったし、同世代のわたしにとって、家の中の様子や小道具が懐かしかった。
役者さんの丁寧な演技や方言もよかったなあ。
小説では、映画で省略された事情や考えていたことなどが細かいところまで分かったので、読んでよかった。
家族であっても、愛せない、理解できないこともあって当たり前で、それでも、存在を認めてかかわる、そんな形でもいいんだと思うと気持ちが楽になりました。
小説から抜粋
「役に立たないものがごくあたりまえに存在をゆるされる世界は、なんと豊かなのだろう。」
本が大好きなわたしにとって、強く心に響いた。
この平和な世界がこれからも続 -
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『寺地はるなさんの作品の中で一番好きが上書きされた』
すごく良かった。高校生の青春友情小説かと思いきや、センシティブなテーマを繊細に物語にした素朴で優しい作品。ストーリーに大きな山や谷はないのに、登場人物たちの心の機微を丁寧に紡ぎ、読者自身がどう捉えるか考えさせられるような余白を感じる。
今まで数多くの寺地作品を読んできたが、寺地さんは書き手として「誰も傷つけたくない」という配慮のような、ポリシーのようなものを感じる。この物語のように、他人に言葉や態度の刃を向けることなくフェアな接し方ができれば、世界はきみが思うよりもっと良くなるはず。この本を好きな人とはとても仲良くなれる気がする。
同 -
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寺地はるなさんは『水を縫う』に続いて2作目。
読みたいリストにずっと入っていたもので、今回やっと読むことができました。
『大人は泣かないと思っていた』本のタイトルと同じ名前の話から始まる短編集。
主人公の時田翼から始まり、その周りの人たちにも焦点が当てられていきます。
時田翼の人間性が素敵だと思いました。
農協の同僚・平野さんが主役のエピソードでは、「別に、やりたかったことを仕事にしなくてもいい。きちんと真剣に仕事ができているならそれでいい。やりたかったことを仕事にしている人と比べる必要はない」と平野さんに伝えていて、
まさにその通りだなと思いました。
私は夫もこの土地も捨てたから、と言 -
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連作短編集
作品に漂う雰囲気がとても好きでした
読み終わってから、漠然としか受け止めきれず、タイトルに続く言葉は何だろうと考えていました
生きづらさや辛さ、抱えている問題など、粛々と描かれていてさらさらと読んでしまうけれど、取り上げられている事柄は重い。
それでも、少しずつ受け止めて一歩ずつ切り開いていく姿をかみしめながら読みました
菜子さんや冬真の母がいてくれて本当に良かった
人を好きになったときのいろんな気持ちがたくさんあってそんな気持ちがたくさん詰まっている。
今までに世界への信頼ができなくなっていても。
今後、何が起こるかはわからないけれど。
もう一度噛み締めながら読みたい -
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間も無く閉店する商店街、あかつきマーケットを舞台に、様々な人間模様が描かれる。友人の来人の頼みでマスコットキャラの「あかつきん」の着ぐるみの中に入る事になった柊(しゅう)は、様々な事情を抱えながらもこの街で生きている人々と接していく。皆一人ひとり違うこと。自分を大事に生きていくことの大切さ。自分を大事に生きていくことが亡くなった人にとって一番の供養になること。自分の人生は自分のもの。他人に渡したらいけない。「普通」とは何なのか。『好き』を恋愛感情や友情や世間に存在するパターンに当て嵌めなくてもいい。生きていく上で人々が直面する問題や悩みがリアルで、いろんな大切な教訓が詰まっている作品だった。
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ADHDというカミングアウトが出る前に、あ、私は品川さんタイプだなと思った。
後半の清瀬とまおさんとの対峙も、どちらかといえばまおさんの方に私は共感する。
『持っている人間』『出来る人間』は、そうじゃない人間のことが、ああ、わからないんだな、仕方ないな、と諦めている。
作中にもあったが病名が付けられて自分の正体が知ることが出来て安心することもあるし、余命を突きつけられたような気持ちになる場合もある。
境遇であったり才能であったり、それが生まれつきにしろ努力で身につけたものにしろ、それは『たまたま』とか『運』とは思わない。
良いものを持つにしろ悪いものをもつにしろ、それらは『違い』でしかない。私