寺地はるなのレビュー一覧
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「わからないものについて考え続けるのは、体力がいることです。わからない、という思いをとどめておくこともね。わからない、わからないどうなっている大人はかっこ悪いです。ほんものの知性ある大人というのは、あるいはそのような大人になる素質のある子どもは、かっこ悪く見えるものです。
ですが、ほんとうは美しいのです。わたしは愚直なまでにまっすぐに己の問いと向き合う人の姿は、とても美しいと思いますよ」
わたしたちはずっと、「心配する」という名目で絶えず「あなたは今のままではだめだ」というメッセージをしずくに発し続けていたのではないか。伝えるべきことは、それだけではなかったのに。
心に残ったところ -
Posted by ブクログ
職場図書室の新刊入荷のところにあったんだったかな。
まず「月」と入っていると手に取りたくなる。
帯には
父を亡くした後に得体の知れない不安(モヤヤン)にとり憑かれるようになった實成は、夜やってくるそれを遠ざるように、夜道を歩くようになる。
そのうち、その散歩?仲間?が増えていく。
というようなことが書かれていた。
それだけで、みな、何か抱えているように思えるじゃない?
私の不安感やらは、もしかしたら同じように父が亡くなる前あたりからはじまっていたのかも。
私も共感できるかも、って。
読後
共感というか、いろいろな悩みやらを抱えながら、それでも生きている人がけっこういるんだろうな、と。あた -
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人に対するモヤモヤを、対峙するよりも
避けていくことを選んできた自分には
一つ一つのモヤモヤを
すぐには言葉にできなくても
じっくり向き合おうとする主人公に
気づきもらった。
今、自分が見ているその人の言動は、
自分が理解していることが全てではない
いろんな背景があっての
眼にみえる、その言動。
人を理解しようとすることは
恋とか友情などを育むために
とても大切なことなのだ。
素敵な大人の友達もとてもいい。
スパッと言い切ってくれる言葉が
思い込みや、頑固さを
叩き割ってくれるように思われた。
やわらかい砂のうえ。
あぁ、そんな感覚もあったなぁ
と思い出すような気持ちと、
これから、そ -
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本の帯にある「さみしさに、ほっとする」というフレーズに惹かれて購入。
短編集だから毎日少しずつ…と思っていたのに、気づいたら一気読みしていた。
各短編の書き出し。気になる…と、わくわくした。
作中には、時々、突如パワーワードが出てきて、クスッと笑わされる感じも好き。
どのお話も、なんとなく、さみしい。そのさみしさは、決して否定的なさみしさではない。さみしさのなかで、自分を読み解き、受け入れ、他者に優しい人たち。
集団の暴力性について。人間関係における感情がリアルに丁寧に描いてあるので、そういったシーンを読むと心がきゅっとなった。
いろんな生き方がある。そのことが粛々と描いてあり、どの生き