寺地はるなのレビュー一覧
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本の帯にある「さみしさに、ほっとする」というフレーズに惹かれて購入。
短編集だから毎日少しずつ…と思っていたのに、気づいたら一気読みしていた。
各短編の書き出し。気になる…と、わくわくした。
作中には、時々、突如パワーワードが出てきて、クスッと笑わされる感じも好き。
どのお話も、なんとなく、さみしい。そのさみしさは、決して否定的なさみしさではない。さみしさのなかで、自分を読み解き、受け入れ、他者に優しい人たち。
集団の暴力性について。人間関係における感情がリアルに丁寧に描いてあるので、そういったシーンを読むと心がきゅっとなった。
いろんな生き方がある。そのことが粛々と描いてあり、どの生き -
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好きじゃなくても良い。好かれなくても良いってなんて甘美なんだろうか。
甘美に感じるのは、私はすぐ好きになって、全員に好かれたいから。全員に好かれたいはちょっと違うかも。丁度良い塩梅に思われてたい。だからと行って三葉姉みたいに努力も出来ないから、中途半端にニコニコし、距離をとる。距離をとるのは、近く無ければ大きく嫌われることもないから。かと言って好意は持って欲しいから、たまに少し近寄って、声をかける。当たり障りのない話
をしてニコニコして去る。そしてうまく話せたかな?って振り返ったりして、ほっとした気持ちになったり、何回もあの場面思い出して、どう言えば正解やったのか考える。でも分かってる。他人が -
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感想を書けたいのだけれど、どんな言葉が当てはまるのだろう。
「人と違う」とは…
「人並み」って…
「特別」と「普通」
「死」に向き合う…向き合い方
「信頼」と「期待」の違い…
わかりあえるとは…
様々な感情や戸惑い、自分理解できないことへの苛立ち。
それは、人に寄って違うのだけれど、その“違う”ことを認めるための揺れ巾が違う。
「特別」と「普通」に縛られている羽衣子。
道と羽衣子の縮まらない関係が、ホンの少しづつ近くなっていく。
similar but not the same,
似ているけれどおなしではない。
一人ひとり違うことが「普通」。
空の様に、海の様に、天気のように、同じ時はひとつも -
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子供が成長していくと、どんなふうに悩みが変わっていくかがリアルだった。
自分だって子供として成長を体験してきたわけだけど、親からしたらこんなにしんどかったんだなって思った。
悩みは変わっていくけれど、根本的に「生きてほしい」っていう願いは変わらないのすごく共感する。
子育ての考え方でも、いろいろハッとさせられた。
今までグミがのってるケーキを見たことがないというのが、のせてはいけない理由にならないとか、言われてみれば確かに!だった。
自分がこういう考え方を植え付けると、発想がどんどん狭まってしまうよなと。。
授業がわからないと学校がつまらなくなる、だから(親ができることとして)塾とかで勉 -
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ネタバレ世間のいう普通や幸せから少し外れた人達、でも誰にでも当てはまる気もする人達の短編集。
個々の葛藤が完全に解決する訳ではないが、それでも他者との繋がりを感じたり、自分から一歩を踏み出したりする場面が描かれており、心が暖まった。
「深く息を吸って、」が一番好きだった。心情の微細な部分まで追いかけて表現されているため、「きみ」が最後に立ち向かう場面の緊張感が手に取るように伝わってきて、短い作品ながらも最後は没入して読んでいた。
世間における「きみ」の濃度と、呼吸の深浅の比喩も、とても好きな表現だった。
一方で「対岸の叔父」は、世間に立ち向かうことが全てでなく、逃げる道もあると教えてくれるようで、 -
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リフォームジュエリー会社で再会した中学の同級生4人の物語。
そのうちの一人、ジュエリーデザイナーの永瀬珠の視点で物語は進み、45歳の時点から5歳ずつ遡ることで4人が各々抱えている背景や関係性が明確になっていく。
とても不器用でひたむきに生きる人たちの物語。慈悲深い。
タイトルにも表紙にもデザインされている『しずく』
しずくには大切な意味があり、この4人に関係のようにも思えた。
大人になる過程で人生はうまくいくわけではなくてままならなさと転機、そして決意の連続であって。物語は過去をさかのぼる形で進んでいたが、新たな決意をした45歳以降の物語も気になる。
とてもよかったが、言葉で表すことが難し