寺地はるなのレビュー一覧

  • ガラスの海を渡る舟

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    妹・羽衣子のモノローグから始まる。

    どうやら兄は“普通”のことを“普通”にこなすのが難しいらしい。
    しっかりした妹。
    少し足りない兄。

    すこし読み進めていくと、どうやら少し事情が違う。
    20歳という年齢からしても妹の精神年齢は幼いように見える。

    ――。

    人と、生きるということ。
    人と、この場所で、生きていくということ。
    そういう当たり前を、そっと両手で包み込むような、そんな作品でした。

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    2025年06月01日
  • こまどりたちが歌うなら

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     おもしろかった!「もやもや図鑑」みたいな物語でした。まわりから見たら、堂々と自分の意見を言えるような人に見えても、どこかに「もやもや」はありますよね。
     ギャグ抜きの吉本新喜劇風ですが、出てくる人たちいろいろと「もやもや」してます。

     いまどきの「会社」を舞台にした物語ではありますが、「ブラック企業」とか「働き方改革」といった、「会社」をどうにかしようというガチの企業小説とは、ちょっと違うようです。
     その会社とは「吉成製菓」。時代に取り残されてそうな「すすけてブラック化」した感じの会社です。
     決して、偽装・脱税・社会保険料のちょろまかし・鉄拳制裁などなどの、真っ黒企業ではありません。

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    2025年05月27日
  • 雨夜の星たち

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    他人と関わらずに空気読めとか気がきかないとか方向性が間違ってるとか言われ続けてきた私にはなかなかつらい。

    私も三葉のように生きたい。全部じゃないけど、と解説の監督が書いた言葉に共感。

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    2025年05月26日
  • ガラスの海を渡る舟

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    2025/05/25
    珍しく、ずっと表紙の絵が気になり過ぎて文庫になった瞬間ジャケ買いした本。
    作者も寺地はるなさんだからなおのこと。
    ガラス職人の姉弟の紆余曲折を描いた話。弟の道が良い意味で人の気持ちが分からない人間というところがこの物語のキモだと思う。
    そしてそんな弟と常に比較されながら生きてきた姉の羽衣子が仲がいいんだか悪いんだかわからない感じでガラス工房を開くことになり、奮闘していく話である。
    お客さんとして現れる登場人物たちもこの物語がより深くなるように構成されているなと感じる。
    タイトルの意味まで読み通せたとき、さらに情景まで思い描けるようになって読んでいてとてもほんわかした気持ち

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    2025年05月26日
  • 雨夜の星たち

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    好きじゃなくても良い。好かれなくても良いってなんて甘美なんだろうか。
    甘美に感じるのは、私はすぐ好きになって、全員に好かれたいから。全員に好かれたいはちょっと違うかも。丁度良い塩梅に思われてたい。だからと行って三葉姉みたいに努力も出来ないから、中途半端にニコニコし、距離をとる。距離をとるのは、近く無ければ大きく嫌われることもないから。かと言って好意は持って欲しいから、たまに少し近寄って、声をかける。当たり障りのない話
    をしてニコニコして去る。そしてうまく話せたかな?って振り返ったりして、ほっとした気持ちになったり、何回もあの場面思い出して、どう言えば正解やったのか考える。でも分かってる。他人が

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    2025年05月24日
  • わたしの良い子

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    家族の形や考え方は、ソレゾレなはず。でも溢れる情報、周りとの比較、周りからの何気ない一言、、で、平穏でいられなくなる。
    フラットに考えることは簡単そうで、難しいなと思うのと、子どもも子どもなりに狭い世界で一生懸命考えているなと。出奔(笑)した妹の子どもを姉が育てるという設定が特殊なのかもしれないが、どんな場面でも自身がフラットに考えられたらいいなと。読みやすくて面白かったです。

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    2025年05月17日
  • ガラスの海を渡る舟

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    感想を書けたいのだけれど、どんな言葉が当てはまるのだろう。
    「人と違う」とは…
    「人並み」って…
    「特別」と「普通」
    「死」に向き合う…向き合い方
    「信頼」と「期待」の違い…
    わかりあえるとは…
    様々な感情や戸惑い、自分理解できないことへの苛立ち。
    それは、人に寄って違うのだけれど、その“違う”ことを認めるための揺れ巾が違う。
    「特別」と「普通」に縛られている羽衣子。
    道と羽衣子の縮まらない関係が、ホンの少しづつ近くなっていく。
    similar but not the same,
    似ているけれどおなしではない。
    一人ひとり違うことが「普通」。
    空の様に、海の様に、天気のように、同じ時はひとつも

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    2025年05月12日
  • わたしの良い子

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    わけあって妹の子供を育てているで主人公の日常を描く作品

    解説では主人公に共感できる人はマイノリティじゃないか、と書かれていたけれど私は共感しまくりでした。
    けっして多くはない文章量ながら
    わかるわぁ、と思うことがたくさん書いてありました。

    主人公と人に対しての考え方がとても似ていました
    私は情に薄いと思われがちだし、そうなのかもしれませんが、主人公がその気持ちを言語化してくれていてうれしかったです。

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    2025年05月12日
  • わたしたちに翼はいらない

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    子供の時や学生の時のくだらないことをまだ引き摺っている自分にとっては、なんて優しく強い物語なんだと感じた。幼稚さ、何様なのか、と感じる大人になっても存在する人間関係とそういう態度を取る人のベースにあるものの見方を言葉で表してくれている。

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    2025年05月09日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    田舎の固定概念に従ってきた人たち、その固定概念に苦しめられてきた人たち、その固定概念を無くそうとする人。それぞれの登場人物が「学び」「気付き」「後悔」を通じて、少しずつ成長していく物語。

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    2025年04月24日
  • わたしの良い子

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    子供が成長していくと、どんなふうに悩みが変わっていくかがリアルだった。
    自分だって子供として成長を体験してきたわけだけど、親からしたらこんなにしんどかったんだなって思った。

    悩みは変わっていくけれど、根本的に「生きてほしい」っていう願いは変わらないのすごく共感する。

    子育ての考え方でも、いろいろハッとさせられた。
    今までグミがのってるケーキを見たことがないというのが、のせてはいけない理由にならないとか、言われてみれば確かに!だった。
    自分がこういう考え方を植え付けると、発想がどんどん狭まってしまうよなと。。

    授業がわからないと学校がつまらなくなる、だから(親ができることとして)塾とかで勉

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    2025年04月20日
  • 月のぶどう

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    かなり好きでした。

    あずみちゃんの母への想い、歩との関係性、互いに紡ぐ言葉、自分を見てるようで、苦しくなった

    登場する人物みんなが、それぞれ良い変化をしていく

    最期を描かないあたりもとても良い

    みんなが幸せになりますように

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    2025年04月18日
  • ガラスの海を渡る舟

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    ネタバレ

    ういこが少し自分の状況に似ていて自然に話が入ってきた。
    わたしは羽衣子ほどなんでも卒なくできないし、兄ともそこまで歳が離れていないし、理解のない父もいないから、羽衣子ほど激しい感情はでないのだけれど。

    別視点として三田村くんの心情が描かれているものが読みたいと思った。全体を通して死というものが物語の鍵を握っている。三田村くんは幼くして父を亡くしたそうで、意図的に悪さをした、ただそれだけではないと思いたい。
    が、お話としてはこれでいいのかとも思う。

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    2025年04月18日
  • タイムマシンに乗れないぼくたち

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    ネタバレ

    世間のいう普通や幸せから少し外れた人達、でも誰にでも当てはまる気もする人達の短編集。
    個々の葛藤が完全に解決する訳ではないが、それでも他者との繋がりを感じたり、自分から一歩を踏み出したりする場面が描かれており、心が暖まった。

    「深く息を吸って、」が一番好きだった。心情の微細な部分まで追いかけて表現されているため、「きみ」が最後に立ち向かう場面の緊張感が手に取るように伝わってきて、短い作品ながらも最後は没入して読んでいた。
    世間における「きみ」の濃度と、呼吸の深浅の比喩も、とても好きな表現だった。

    一方で「対岸の叔父」は、世間に立ち向かうことが全てでなく、逃げる道もあると教えてくれるようで、

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    2025年04月06日
  • タイムマシンに乗れないぼくたち

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    登場人物たちの“現実”を思うと、胸が痛くなることもしばしば…
    なんてことなく言った言葉、言われた言葉は簡単に刃にも、縋れるものにもなる。
    寺地はるなさんの物語は、現実を包み隠さずドロドロに澱んだ部分もまっさら真っ白な部分も表現されていて、私もきちんと現実を見ることができている気持ちになる。苦しくもあるけど、読まずにはいられない一冊。

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    2025年03月29日
  • ほたるいしマジカルランド

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    タイトルのファンシーさからは感じられない、深くて重力の重い一冊だった。
    一人一人の視点からの物語が読みやすく、自身の中の蟠り、過去の傷、気づきがとても現実的に表されていて魅入ってしまった。感情がすごく波打つほど動かされたわけではない。でも、この本を読んで、“幸せ”ほ本質を知ることができた感じがする。誰かを幸せにしたい、と思うことは愛でもある。だけど、実際幸せにするのは自分自身だってことにハッとさせられた。
    深すぎるぞ、この小説…!

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    2025年03月20日
  • 雫

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    リフォームジュエリー会社で再会した中学の同級生4人の物語。
    そのうちの一人、ジュエリーデザイナーの永瀬珠の視点で物語は進み、45歳の時点から5歳ずつ遡ることで4人が各々抱えている背景や関係性が明確になっていく。
    とても不器用でひたむきに生きる人たちの物語。慈悲深い。

    タイトルにも表紙にもデザインされている『しずく』
    しずくには大切な意味があり、この4人に関係のようにも思えた。

    大人になる過程で人生はうまくいくわけではなくてままならなさと転機、そして決意の連続であって。物語は過去をさかのぼる形で進んでいたが、新たな決意をした45歳以降の物語も気になる。
    とてもよかったが、言葉で表すことが難し

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    2025年11月29日
  • ガラスの海を渡る舟

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    面白そうな本を探していたらヒットしたので、何冊かまとめて購入した一冊です
    正直、どんな話か興味がある程度でした

    読み進めていると、涙が溢れそうになる場面がいくつかありました
    嬉しい気持ちや、悲しい気持ち、様々な感情が伝わってくる、そんな作品だなと感じました
    個人的に好きなキャラクターがたくさんいるので、
    続編を執筆してほしい
    それくらい好きな作品です

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    2025年03月15日
  • 声の在りか

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    日々のモヤモヤを的確な言葉で言語化してくれるのに、暗い気持ちにはならない、むしろ希望を持てる、そんな物語だった。ああ、よかった。今年1好きかも。声にしてみる、たったそれだけのことで、自分の周りの世界を変えることができる。希和さんの生き方を見て、自らの生き方を変えて行きたいと思った。

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    2025年03月09日
  • ガラスの海を渡る舟

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    強烈な個性を持つ兄と、自分を平凡だと思い込みもがく妹が経営するガラス工房の話
    ふたりのきょうだいがとにかく魅力的で、夢中になって読んでしまった
    登場する人物たちみんなが、各々一生懸命生きているように感じて良かった
    全編を通して描写が美しく、彼らが生み出すガラス作品が目に浮かぶようだった
    読後感は爽やか
    初めて読んだ作家さんですが、素敵な作家さんに出会えて嬉しいです

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    2025年03月08日