寺地はるなのレビュー一覧
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遠縁の夫婦が運営している施設『のばらのいえ』で育てられた祐希は、高校卒業式の前日に幼少の頃から一緒に過ごしていた同い年の紘果を置いて逃げ出した。
〈かわいそうな子どもを救う〉という理想を掲げ、行き場のない母子をも受け入れていた『のばらのいえ』は、運営する夫婦と子供たちの間にいい関係は築けてなく、祐希は他の子供たちの世話をしたり、雑用をさせられたりしていた。
十年後、ある事件がきっかけで祐希は『のばらのいえ』に戻ることになり、紘果を助け出そうとするのだが。
祐希が『のばらのいえ』で過ごしていた高校時代の回想をはさみながら物語は進んでいきます。
他人に良く思われたい、崇められたいという身勝手で歪んだ感情を持つ大人は、知らない間に周りの人たちを苦しめている。
一方で何の見返りも期待せず自然に他人を思いやり助けられる人もいる。
困った時は、一人で抱え込まず誰かに助けを求められるように、自分もまた誰かを助けてあげられるような人でありたいと思う。
世の中理不尽なことは多々あるけれど、良い人との出会いが一筋の光となって、彼女たちの背中を押してくれているようで、胸に熱いものが込み上げてきます。 -
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主人公や、主人公の友達のように、自分の弱さに気づき認め、考えを改めることのできる人間になりたいと思う。
また、物事って一方の視点から見ただけでは正しいとか間違っているとか判断できないと分かっていても、自分の経験だとどうしても主観が入って偏りがちなんだけど、この話を読んでいると、客観的に一つの事象に対していろんな目線で話が見えるので、改めて人の選択にいいとか悪いとか決めつけてはいけないと思った。
この作者さんの作るお話を読んだ後は、現実世界が少し明るく感じる。
最後の主人公が、小柳さんへの気持ちをこぼすところは、店員さんとしてその場にいたいと思うくらい尊い場面だった…。その場にいたら叫び出してたかも。鉄腕グッジョブ!
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自分がなにかに悩んでいるとき、きまって、小説を手にとりたくなり、最初は気を紛らわすつもりで読み始めるのに、内容が次第に自分の悩みと重なっていく。おそらく勝手にこちらが重ねているだけなんだろうけれど、本作に登場する人物とは相性が良いのか悪いのか、気付けば自分が窘められていて、読みながらなんども謝ってしまった。ごめんなさい、私も先のことばかり考えて、今を蔑ろにするところある。大切な人へ気持ちを伝えることを恐れている。意地を張ることもある。それにより傷付けてしまった人々へ、ごめんなさい。
でも、大人ってだいたいそうじゃないか? 誰にも叱られなくなって、自分が確立されていって、他者を受け付けなくなって、気付けば孤立している。そうして殻に閉じこもりながらいっちょ前に寂しいって、そりゃ、誰も可愛がってくれないよな。
そうやって捻くれている自分への喝をもらったような気持ち。沈んでいたところを掬いあげてもらい、人と人との、正解のない関わりの中で藻掻く姿にこちらも同調し苦しみつつ、終末はあたたかく締めていただいて、まだまだ自分、やれます、やらせてください、と思えた。自分と関わる人や、関わることそのものを大切にしたい。良い内省の機会でした。ありがとうございました。
解説のこだま氏もおっしゃっているように、確実に背中を押してくれる作品です。 -
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久しぶりにハラハラした気持ちで本を読んだ。
洗脳、DV、性的搾取、ヤングケアラー
いろんな問題それぞれが重くて、章を読み終えるたびに『はぁーーー』と深い息を吐いた。
最後どうなっていくのかな、2人幸せになってほしいな、とほぼ祈りに近い感覚だった。
Good girls go to heaven,bad girls go everywhere.
小説の帯にもなるくらいの印象的なフレーズ。
この言葉の深みにはまってしまった。
天国と、どこでも。
一見するとどちらも良い響きで、良い子も悪い子も報われるような気がしてくる。
でもこの言葉が意味するのは、
良い子は天国にしか行けないし、悪い子は地獄にでも行けてしまう可能性があるということ。
洗脳されたまま良い子に過ごすこと、そこから逃げて荒海に繰り出すこと、どちらが正しいということはないけど、最後に下した2人の選択がとても良かったなぁと思った。
故に、重い内容の話だったけど読後感はスッキリで、とても好きな一冊となった。 -
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ほんわかしていて読みやすい作品。
テイラー城崎で伯母の68歳の加代子さんは働いている。もうスーツは作っていなくて、ちょっとしたリフォームとか体操服入れを縫ったりしながらクリーニング店で働いている。
33歳のリボンちゃんこと百花もよくわからない店で働いている。社長の思いつきでいろんなことが始まるのだ。保奈美さんという人に頼まれたビスチェのリフォームを加代子さんに頼まれる。
同僚のえみが辞めるという。えみちゃんは前職でつまづいてしまって、外に出られなくなってリハビリがてら働いていたけど、転職するらしい。えみちゃんは考えたくない人で、転職祝いには1週間分のショーツが欲しいという。だが割とこだわりがあるのだった。ショーツにえみちゃんの好きな絶滅動物を刺繍することになった。
父が昼ごはんに誘ってきた。揚げ物を食べたいらしい。夕食は昔つきあってたつかさと。つかさは妊娠していて、マタニティの下着を作って欲しいという。でも断った。加代子さんは今、リボンちゃんの中学同級生の福田くんのスーツを縫っている。
福田が福田自動車の社長になるというので、バーベキューに来たらビールをかけられた。福田家の姉妹のキャミソールを頼まれる。
子宮がん検診を受ける。社長の友達で半身麻痺のある小百合さんの下着オーダーを受ける。一人でも脱ぎ着しやすいものとの注文だ。だが車椅子とかが入りにくいねぇという話になる。 -
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ネタバレ兄妹の関係や、人それぞれの「普通」の違いについて深く考えさせられる作品だった。
発達障害の可能性がある兄と、その兄にずっと苦手意識を持っていた妹が、ガラス工房を通して少しずつお互いを理解していく流れがとても面白かったし感動した。
特に印象に残ったのは、118ページの、
「ぼくにとってはひとりひとりが違う状態が『ふつう』なんや」という言葉だった。
羽衣子は“特別な人”と“その他大勢”という感覚を持っていたけれど、道にとっては、一人ひとり違うこと自体が当たり前だった。その考え方がすごく優しくて、「普通になりたい」という気持ちが「普通にならなきゃ」としんどくなっている羽衣子にとって大切な考え方だなと思った。
信頼についてのやり取りもすごく印象的だった。
「『茂木くんはぜったいに自分を傷つけない』は信頼とは違うと思う。それはただの期待や」
という言葉は、自分の中でもかなり考えさせられた。過去に傷つけられた経験があると、「また同じことになるかもしれない」と思ってしまうけれど、今目の前にいる人は過去のその人とは別人で、似ている部分があったとしても、今自分関わっているその人自身をちゃんと見て判断しないといけないのだと思う。
182ページの、
「他人の感情って、天候なんかと同じやなって。ぼくがコントロールできるものではない、という意味では。雨が降ったら傘さすみたいに対処すればええんやと思うようになった」
という言葉もすごく好きだった。
理不尽なことがあった時、自分のせいだと考えすぎたり、「どうしてこうなるんだろう」と抱え込みすぎてしまうことがある。でも、人の感情や行動には、自分には理解できない事情や複雑さもあるのだと思うと、少し楽になれる気がした。諦めるというより、「自分ではコントロールできないものもある」と受け止める感覚に近いのかなと思った。
それから、この作品は子供との向き合い方についても考えさせられた。
ただ「普通」に矯正するのではなく、その子自身を理解しようとすることが大切なのだと思った。世間的に間違っていることはきちんと伝えながらも、まずは子供の目線で物事を見て、味方になってあげることが必要なのだと思う。
違っていることも、その人の個性であり魅力の一つなんだと感じたし、もし自分に子供ができたら、その子がつらいことがあっても「それでも生きていこう」と思えるような存在になれたらいいなと思った。 -
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読んでいて、「普通」や「良い子」という言葉にずっと問いかけ続ける作品だと思った。
特に印象に残ったのが
「ずれてるっていうのは穂積が標準モデルがいると仮定してるからでしょ。でもほんとはいないんだよ。そんなのどこにも。」という言葉。
“普通”とか“標準”って、ついどこかに存在している気がしてしまうけれど、本当はそんなものはなくて、みんな違うのに、自分だけが外れているような気持ちになって苦しくなることがある。だからこの言葉にすごく救われた。
解説の「ノーマは存在しない」という話も興味深かった。“普通”の基準に人を当てはめるのではなく、一人ひとり違う存在として見ていくことの大切さを改めて感じた。
椿の、自分の軸は持ちながらも、それを押し付けず「私はこうだけど、あなたはそうなんだ」と相手を尊重する姿勢も素敵だった。迷ったり揺れたりしながらも、“正しさ”より“生きていけること”を大切にしているところに惹かれた。
生きづらさを感じることはあっても、自分の普通で生きていていいんだと思わせてくれる一冊だった。 -
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切ない。
特に「妥当じゃない」で平野さんの視点から見る色々な人の模様が特に切なかった。
誰かみたいに明るく生きたい。あの人みたいに真っ当な人生を送って、いい頃あいになれば自分を心から愛してくれる人がめぐってきて結婚するものだと思っていた。
でもそれは思い込みで幸せは自分で手に入れなければならない。白馬に乗った王子様なんていないのだと。
「翼がないなら飛ぶだけだ」もよかった。
結婚とは親や親戚とするものではない。
本人同士が好きで結婚したければすべきなのだ。
確かになぜ親に許してもらわないといけないのか。
ましてや親戚など全く関係ないのに。
それでも旦那の親や親戚に媚を売って気に入られようとしている自分がいるのも事実だと思った。
これからの世の中は結婚は当人同士で決められたらいいのにと思った。
最後の話では2人が結ばれて本当によかった。鉄腕の作戦最高! -
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中学4人組の30年。
2025年4月 珠が20年勤めた「タカミネジュエリー」がお店を畳むことになった。不動産部門は残るけど、珠はジュエリーのデザイナーなので、辞める。明日から無職。
2020年2月 珠の母はボケかけている。昔から母が好きでも嫌いでもない。母の世話は姉に任せている。
2015年12月 お父さんの形見のオニキスのカフスを自分のピアスにリフォームする。この頃はしずくの周辺をしずくの父がうろついている。
2010年7月 姪のりんの運動会に来た。そこで知り合った長田さんの家にバーベキューに行った。長田さんにお付き合いしたいと言われて帯状疱疹になる。
2005年4月 珠はヤンおばさんの店という中華ファミリーレストランで働いているが、顔色の悪い森くんが入ってきたのに気づいた。森くんはどうみてもネズミ講に誘われている。高峰に出会って誘われる。
2000年8月 就職試験はうまくいかない。つきあってた男は既婚者だった。
1995年9月 中学3年生。高峰、森くん、しずくと4人で卒業制作にかかる。
2025年10月 求職活動をしているがまだ決まらない。美術の田村先生から個展の案内が届く。 -
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1冊を通して、特段目立った場面展開がある訳ではなく、深い繋がりがある訳でもない、不思議な繋がりの人たちをただ夜をお散歩するだけのお話。人には何とも形容しがたいぼんやりとした不安や悩みがつきもの。そういった気持ちを、穏やかに丁寧に、時にはクスッと笑っちゃう表現で描いていて、そこが『いつか月夜』の大好きなところだなあと再読して改めてしみじみ思った!
特に理由はなく、ただぼんやりのんびり夜を散歩するのって、もしかしたら凄い気分転換になるのかもしれない…!
あと、實成って苗字がかっこよすぎる響きだと感動すら覚えたのは私だけ?笑 えびの背ワタを取るところとか、實成の自炊場面が何気に好きだという新しい発見もできました。笑 -
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「誰かのこと、嫌いって言ってもいいよ。
家ではね。好きなだけ言っていい」
誰の悪口も言わない、愚痴も言わない。
大人でもむずかしいようなことを、わたしたちは
生まれて十年にも満たない子どもにさせようとした。
良い子は他人の悪口を言いません、なんて。
とてもひどいことだ。
『わたしの良い子』 / 寺地はるな
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「どうしてちゃんとできないの?他の子みたいに。」
という帯のセリフに惹かれて手に取ってみた
子育てに限らず、兄弟や親、上司、同僚とか
色んな人間関係についての描写があって考えさせられた
子育ては未経験だけど、前もって読めてよかったし、
ずっとお守りとして本棚に置いておきたいなと思えた
最後の方でタイトルの意味がだんだん効いてきて
バスの中で号泣してしまった、泣ける本だった
子育てに悩んでる人、
良い子になろうとして辛かった人、
兄弟を羨んだ経験のある人、
救われると思うから読んでみてほしい〜