寺地はるなのレビュー一覧

  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    嘘をつくしかなかった人に翻弄されて、嘘に付き合うしかなかった子という図式がとても寂しいなと思った

    けれど、最後の一文で泣かされそうになった

    「頼が笑うと、山吹はいつだってうれしい。」

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    2025年10月20日
  • こまどりたちが歌うなら

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    親戚の経営する和菓子店に就職した主人公が、古い体質の会社で格闘する。
    昭和生まれなので、色々、『一昔前ってこうだったよね』って共感しながら読んだ。令和になってだいぶ緩和されてきたんだろうけど、まだまだこういう考え方が生きている職場も少なくないのだろうとも思う。
    正直、ほんきのブラック企業だったら、この程度では変わらないのだろうとは思うけれども、一人一人が自分のやり方で前に進もうとしている姿には素直に感動する。おもしろかった。

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    2025年10月19日
  • 架空の犬と嘘をつく猫

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    映画化されて来年上映されるとのこと。
    こうなると気になります。
    と言うことで手に取った作品です。

    家族の話でした。
    それも少し暗い影のある家族。
    家の中で一番年下の人が死に、家族経営していた店も傾きかけている。
    そして、皆が現実から逃げたいと思っていて、それぞれが苦しみもがいていた。

    決して明るい内容の物語ではないけれど、深刻にならずに読めました。
    そして、崩れてバラバラになりそうな家族が持ち堪えて一歩前に進めたのは、読んでいてこちらも安心して心が温かくなりました。

    作品名の「架空の犬と嘘をつく猫」
    どういうことだろうと疑問に思っていましたが、作品を読み進めていくとわかりました。
    ちょっ

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    2025年10月18日
  • 雨夜の星たち

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    「できないことは、できません。やりたくないことも、やりません」を貫き、普通はこうするとか、常識的には公でしょ、みたいな明確に言葉にされないことにも従わない。そんな主人公に感情移入できるかでこの小説の評価は変わってくると思います。私はこの主人公が気に入りましたし、一気に読んでしまいました。

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    2025年10月18日
  • リボンちゃん

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    ネタバレ

    「水を縫う」を読んで
    寺地はるな氏のジェンダー視点を
    持った作品をまた読みたいと思った

    チェックの赤いリボンが
    可愛い表紙、どんな内容?とワクワク

    気になった箇所を以下抜粋

    ・でも男ってさ、ほんとバカだよね。
    女の下着は男の気をひくための衣装かなんかで、目的はそれしかないとでも思ってんのかね

    ・男も女もやりたい人はおおいに
    やればいい。やりたい人は、だ。

    ・外野が『そうに決まってる』
    『それしかない』と勝手に決めつけて、
    「いい歳』だからその資格はないとかなんとか判定したり、自分こそがその判定員で
    あると思いこむのは、愚か
    (P35)

    ・ああいう会議って、おじさんとおじいさんばっか

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    2025年12月03日
  • ガラスの海を渡る舟

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    羽衣子がまさに自分すぎてびっくりした、、
    自分が今もがいてあがいてることってこういうことだったのか、って言語化されて新たに自覚した。
    自分が特別な人間だと思い込んで、人とは違うと偉そうに心の中で周りの人を見下している。そのプライドの高さが漏れ出てるんだろうなぁ、と。恥ずかしい。
    羽衣子はその点ガラスに向き合う毎日がある、ってことだったけど、私の場合どうなんだろう、って考えさせられる、、。

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    2025年10月14日
  • こまどりたちが歌うなら

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    仕事がメインの寺地はるなさん作品読んだの、初めて。寺地さんの目線で書くと、こうなるよね。
    やさしい文章だし、お話もやさしいんだけど、かなり重ためのテーマもガッツリ差し込んでくる。寺地さんのそういうところが、現実っぽい。

    主人公が自分かと思ったという人、意外といて安心した。
    「傷ついたり迷ったりするのは弱い人間だけだとでも思っているのか」って、別の寺地作品のセリフを思い出すシーンが度々あった。
    自分の意見をはっきり言うの、少なくとも私は「自分の意見を聞いてくれる環境があったから」ではない。「その言葉に従っていたら自分が壊される」という確信があって、そんなことされない権利が自分にあると信じるため

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    2025年10月13日
  • わたしの良い子

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    妹の子である朔と2人で暮らす椿とその周りの人たちの物語。

    椿は空気を読めなかったり読まなかったりして、一見、確かに実際にいたら個性的に見えそう。でも色んな人とのやりとりの中で椿の考えることや迷いに共感できるところがたくさんあった。

    寺地さんのお話で好きなところは、人と違ったり当たり前のように言われている価値観だったり無意識のモノサシに疑問を持つこと、勝手に判断しないというか判断してしまったとしてそれを流さないところ、それっていいの?と主人公や登場人物が考えて考えさせてくれる。

    穂積や高雄、真弓さんもみんなそれぞれの魅力があって、椿との関係性もとてもよかった。

    同期の杉尾に椿が言った言葉

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    2025年10月12日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    あとがきにも書かれていた通り、寺地はるなさんの視点がフェアであることがとても好み

    女だから〜、男だから〜、というのは全く必要なくて、その人そのものをみて理解することが大切なんだと思う

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    2025年10月11日
  • 雨夜の星たち

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    これは哲学。
    最初の方は何が面白いのかわからず寝落ちしてしまうことも。100ページくらい読んでなんとなくエンジンがかかった。みんな気を使いすぎ。私も配慮を求める方なので読んでてハッとすることがたくさんあった。

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    2025年10月10日
  • 大人は泣かないと思っていた

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    寺地はるなさんの本を読むのは2冊目。
    前回の「水を縫う」でも感じだけど、本作でも登場人物たちが誰も“善悪”で描かれていないことに感心した。
    誰かの生き方を絶賛するでもなく、誰かの価値観を否定するでもなく、「その人はそう生きている」という事実として丁寧に描かれている。

    最初は「嫌な人だな」と思う登場人物でも、読み進めるうちに「ああ、私の中にもこういう感情があるな」と気づかされる。
    そして、そんな自分の中の不器用で複雑な部分までやさしく掬い上げて、「それも人間らしさだよ」と受け止めてくれるような温かさがある。

    「違いがあるまま、そこにいる」ことの尊さを感じさせてくれる物語だった。

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    2025年10月10日
  • 水を縫う

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    『「明日、降水確率が五十パーセントとするで。あんたはキヨが心配やから、傘を持っていきなさいって言う。そこから先は、あの子の問題。無視して雨に濡れて、風邪ひいてもそれは、あの子の人生。今後風邪をひかないためにどうしたらいいか考えるかもしれんし、もしかしたら雨に濡れるのも、けっこう気持ちええかもよ。あんたの言うとおり傘を持っていっても晴れる可能性もあるし。あの子には失敗する権利がある。雨に濡れる自由がある。⋯⋯ところで」
    ところで。下を向いていたから、その言葉を母がどんな顔で言ったのかは知らない。
    「あんた自身の人生は、失敗やったのかしら?」』

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    2025年10月06日
  • 雫

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    多分、こういう静けさを持つ物語が好きなので、一気に読んでしまった。
    最後はなぜか分からないけれど、ジーンときて読んで良かった、と思えた。

    こんな風な人達が同じ世界に生きてるかもしれない、と思うと暖かい気持ちになれる気がする

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    2025年10月06日
  • ガラスの海を渡る舟

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    道と羽衣子のやりとり、家族のやりとり
    リアルな描写が心地よくもあり
    息苦しくもあり、、、
    これといった展開はないけれども
    ふたりの兄弟の人物描写に
    たくさん共感しました。

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    2025年10月03日
  • 雨夜の星たち

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    人に感情移入しない、はっきり出来ないことはできない。という女性がお見舞い代行というしごとをする事によっての移り変わりを見れました。
    自分の気持ちを素直に出す、それで生きていくってかなり素敵な事であり、なかなかできない事ですよね。
    生きづらいだろうなって思ってもそれを三葉はそう思わせない、そんな人からは変わってるとか、面倒と言われるけど、貫き通せる、わたしは素敵だなぁと思いました。

    大人になると裏を読んだり気を遣ったりで人間関係が本当に疲れるけど、ここまで素直だと気持ちがいいです。

    「他人に関心がないのは、相手のことをわかった気になりたくないからじゃない?」

    この言葉は本当に響きました。

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    2025年10月01日
  • ガラスの海を渡る舟

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    綺麗な話だな、と思った。
    が、当事者や家族ではなく第三者視点で見るから、「いい話」で終わるんだろうなと思った。

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    2025年09月30日
  • 雫

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    章ごとに時代を遡る組み立ては
    原因を探りに行くような感覚で心地よかった
    何度も読み返すことで、より愛着の湧く物語

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    2025年09月29日
  • ビオレタ

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    最初は婚約破棄されて〜からストーリーが始まり、恋愛本なのかな?と読み進めたところ、自分の心の清算をできる場所がある、って素敵だな。と思えました。

    オーナーの菫さん、口数は少ないけれど手を差し伸べてくれて、子供を持ちたいと思った理由も心にじーんときてきまってほろりと泣いてしまいました。

    あたたかいきもちになれました。
    素敵な本に出会えてよかったです。




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    2025年09月27日
  • 雫

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    じわじわ沁みてくるタイプの小説でわりとよかった。
    中年になり我が身の衰えを自覚したり、親の老いた姿に心がしんどくなっている今は特に響いた。

    「変えることって勇気がいるよね。
    でも生きてるって変わっていくってことなんやで」

    生きていけば、守られる側から守る側に変わり、歳をとったり病気になったりして変わっていくこともあるけど、それも全て生きているということ。
    ネガティブに思える変化さえも、生きている証として受け入れていけばいいのだという前向きなメッセージをもらえた。

    ジュエリーの知識はないけど、石留めの種類や、形の意味を知れておもしろい。
    雫の形はかわいくて元から好きだし、意味を知るとより好

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    2025年09月25日
  • いつか月夜

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    みんなみんな1人で、でも繋がっている。
    寺地はるな先生が紡ぐ夜は、
    ほんのりあたたかくて心地いい。
    夜っていいな、1人じゃないっていいな…
    じんわり染み入る、ひととひととの物語。

    實成冬至には、父が亡くなってから「モヤヤン」という何かにつきまとわれている。そいつから逃げるように、實成は夜を歩く。そこで出会う様々な人もみな、何かを抱えている。複雑な家庭環境だったり、上手く恋愛できなかったり…そんな何か引っかかる気持ちを、ただただ夜が、一緒に歩くメンバーたちが、軽く柔らかくしていく。
    最後にみんなが選ぶ未来や冬至が導く答えは、リアルで決してキレイなものじゃないかもしれない。それでもそのリアルさが

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    2025年09月24日