あらすじ
かつて喫茶店で働いていた鳴海は、菓子メーカーの創業一家・南雲家から子守役として雇われる。そこで出会ったのは、気難しい少年の栄輝と、美しい年上の奥様・彌栄子だった。次第に心を通わせていく三人だったが、ある出来事をきっかけに、彌栄子から「二度と会わない」と鳴海は突き放され、関係が途絶えてしまう。
それから二十年。大人になった栄輝から、ある日突然「母がそちらに行っていませんか」と電話が掛かってきて……。
きっと、ページをめくるたび、あなたは力を取り戻していく。
傷も時間も刻んだ体で、どこまでも自由に踊り出すための物語。
感情タグBEST3
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オーディブルにて。
不覚にも大泣きした。自分を大きく変えてくれた人は大きな自分の支えになる。憎んでも恨んでもよくて、でも自分の足で歩くことが生きることそのものだとも思えてくる。誰かに心を開いてみたいと、猛烈に思う。
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かつて子守をした男から20年ぶりに電話が。言葉にならないもどかしさが、すれ違いを生んでいく。
暖の言葉を通して、本を読むことは言葉を増やし、自分の中の器を増やすことなのだと感じた。小さな器をたくさん持つほど、人の気持ちを受け止められるのかもしれない。
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【あらすじ】
かつて喫茶店で働いていた鳴海は、菓子メーカーの創業一家・南雲家から子守役として雇われる。そこで出会ったのは、気難しい少年の栄輝と、美しい年上の奥様・彌栄子だった。次第に心を通わせていく三人だったが、ある出来事をきっかけに、彌栄子から「二度と会わない」と鳴海は突き放され、関係が途絶えてしまう。
それから二十年。大人になった栄輝から、ある日突然「母がそちらに行っていませんか」と電話が掛かってきて……。
きっと、ページをめくるたび、あなたは力を取り戻していく。
傷も時間も刻んだ体で、どこまでも自由に踊り出すための物語。
『このあいだ用があって実家に電話をしたら、母から「市の健康診断でお父ちゃんの血圧が高かったので心配だ、もしあの人に先立たれたらどうすればいいのかわからない」という、母にとっては深刻な、しかしわたしにとってはものすごくどうでもいい話を延々と聞かされた。いいかげんな相槌を打ちながら、この人ほどきびしがり屋な人間を、わたしは他に知らない、と思った。ひとりでいることをとにかく恐れ、愛するよりも愛されたがる。』
『こっちが「賢く」あるまえば相手はこっちを軽く見て、いい気になってまた踏みにじってくるのだ。かわす、なんて。なんでこっちがそこまで我慢しなきゃいけないんだよ、あいつらが自重しろよ。その思いを説明するための語彙が、この時のわたしにはなかった。』
『自分が見たことがないのと存在しないのは違うんですよ。
「エミリ、わたしは減ると思うよ」
人の尊厳は、理不尽な扱いをうけるたびにごりごりと削りとられていく。つまりそいつらは、尊厳泥棒ということだ。』
『「おれはね、知ってる言葉が増えるのって、器が増えることだと思う」大きすぎる感情を小さな器に注げば溢れる。知っている言葉が増えると、いままでただ「むかつく」で処理していた感情を「こんなふうに言われて恥ずかしかった」「傷ついた」
「みじめだった」「でもみじめだと認めたくなかった」「だから、強い態度をとった」と細分化できる。
それぞれの器に注げば、溢れ出さない。よく器が大きいとか小さいとかいうけれども、おれは自分はきっと器の小さい人間なんだろうと思ってる、でも小さい器をたくさん持つことはできると思ってる、と暖は言うのだった。』
『若いんだから、のあとになにか続けようとしたように見えたが、三枝さんはそのまま口を磨んでしまった。二十五歳のわたしはその沈黙を、「突き放された」と受け止めた。四十五歳のわたしはそれを三枝さんの誠実さとして思い出す。安易ななぐさめの言葉を口にしなかったのだから。』
『世間一般の基準では、暖は「いい夫」ではないのかもしれない。男性が持っておくとよいとされるものをなにひとつ持っていなかった。たとえば学歴とか社会的地位とか資産とか。でも、そんなのはわたしにとっては全部どうでもいいことだ。どうでもいい、と思えるような相手と結婚できたこと自体、とてつもない幸運だった。』
【個人的な感想】
読んでいる途中で泣きそうになった。
ページ数はそこまで多くないのに、寺地はるなさんワールド全開ですごく好きな話だった。
無理にハッピーエンドにしようとしないところが好きだった。
Posted by ブクログ
漫画の特典騒動前の本屋さんで何も転売屋と関係ないけど、緊張しながら高宮麻綾の退職願と購入。言葉で、人の気持ち試したらいかん。繰り返されたこの言葉がずっと残りました。
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過去に菓子メーカーの創業一家で、悪ガキ栄輝のベビーシッターをしていた鳴海。
その家の奥さん彌栄子に気に入られていると思っていたのに、ある出来事で全くの疎遠状態に。
20年が経過し、鳴海の元に栄輝から連絡が。
途絶えた時間が動き出す。
鳴海さんは、生活が楽ではなく、不満を抱えているが、思考回路が面白い。
こんなこと、あるあるだと。
そして、鳴海の夫である暖もいい味出ている。
この人、社会人としてはどうなのかと思われるが、本当に人の気持ちが考えられるあったかい人だった。
192ページしかなくて、あっという間に読み終えてしまうが、余韻を楽しめるいい話でした。
Posted by ブクログ
ほんとひとときだったとしても、その後の人生の心の支えとなる友情はあったりするなって思った。
映画を見て踊るシーンがとても素敵だった。
Posted by ブクログ
貧困層の女が経歴を詐称して裕福な家庭の子守りとして雇われる話
なんだこれぜんぜん共感出来ない!笑、と読み始めたが後半に向かうにつれ激しく動揺した。私はこの感情を知っている。涙が止まらなかった。正確に思い描けない感情で泣かせる描写力に度肝を抜かれる
ここを辿るとこの感情に行き着くのか!と身に覚えのない経路から気持ちを引き出された不思議な感覚を覚えた本だった。他の本も読みたくなる、吸引力すごいな
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わたくしめはこのような、成人した女性同士の友情とも愛情とも言い難い、代替不可かつ心に深く刻まれた人生のごく僅かな、しかしそうとは思えないほど濃密な日々を記した物語を主食とさせていただいております。
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お金や地位はあるけど家や親に縛られている彌栄子と、お金も地位もないけど何にも縛られていない鳴海。
世の中の両極端にいる2人が、鳴海が彌栄子の息子、栄輝の子守りをすることになって接点をもつようになり、しかしあるきっかけで会えない時期を経て、20年後に再会する。
鳴海の飾らない言葉で綴られるモノローグや、最初の印象からは想像もつかないような終盤の彌栄子の様子がなんとも小気味よく、テンポよく、気持ちよく読み進められる一冊。
人ってこんなに変わるんだ、変われるんだ!と思わずにはいられない。
読後に「ピグミーマーモセット」を調べたけど、なんでピグミーマーモセットだったのか、今もわからない。全部が明かされない、そこがまたいい。
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泥棒
電話越しのひとこと。一体どんな過去があったんだろう。ドキドキしながら、一気に読み進めた。
主人公と同感な部分もあれば、違うなと感じる部分もあった。
でも、今一緒に生きている人と、今を大切に生きたいと思ったのは一緒。
人間は必ず老いていく。
あのときあの瞬間、どう感じたかは人それぞれ。
あのときが人生でその人との最後だったなんて、後になってみれば分かること。
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「あっち側」と「こっち側」。生まれ、育ち、環境での違いをそう表現した主人公の鳴海。この小説では「あっち側」はお菓子メーカー南雲家の娘、彌栄子。「こっち側」は南雲家の子守りとして雇われた鳴海。なにもさせてもらえずできなかった彌栄子が、鳴海と出会えたことでいろんなことを吸収していく場面や鳴海に懐いていた子の栄輝の様子を読むと、このままうまくいけばいいなと思いつつ読み進めた。
20年後に再び状況が動きだし、迎えた結末は、よかったと思えるものだった。「こっち側」と「あっち側」の2人が20年かけてやっと得たものが、読んでいてとても嬉しくなった。
寺地はるなさんがえがく、心理状況や情景描写の細やかさが、やはり好きだと実感した小説だった。
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面白かった。
もっと裏があるのかと思ったけれど、深読みし過ぎだった。
短い作品だけれど、読む価値あり。
心情的には大人向けだけれど、若い人が読んでも受け取れるものはあると思う。
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なんだかフワッとした話だったけど、ラストは、涙が止まらなかった。
色んな状況の中で、それぞれに悩みはあり、人と関わる中で変わっていく事もある。
人間の嫉妬や妬み、あきらめ、プライド、そんなどうしょうもない感情と人を思う気持ち、尊重、思いやり、責任感が絡まって話は進んでいく。
最後は気持ちのよい終わり方だった。
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家柄も年齢も時も超えた友情の物語。
主人公の鳴海は貧しいけど逞しく育った女性。どんな相手でも正直に接するからカッコいい。だから暴れん坊のお坊っちゃんも、深窓の奥様も心を開いたんだろうな^ ^
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寺地はるなさんは、これからの令和の文学を作っていく方だ。
丁寧に描かれる心理描写は、現代人の生きづらさを浮き彫りにする。
「ぬすびと」に出てくる鳴海と彌生子。複雑な家庭で貧しくもたくましく育った鳴海と、お嬢さま育ちの彌生子の2人が、お互いに意識しながら、嫉妬しながら、高めあう。
昭和ではありえなかった心の動きであるのだが、今の時代はすごく大事な価値観なんだろうな。そこを言語化して、掘り下げて小説にするところが素晴らしい
Posted by ブクログ
パートでぎりぎりの生活をしている主人公のもとに、あるとき1本の電話がかかってくる。相手はかつて子守の仕事で面倒を見ていた本人。母がそちらに行っていないかというが、ある出来事をきっかけにその家に行かなくなったのは、20年も前のことなのだが。。。
思うように生きられない人生、そんな人に影響を与え、短期間で育まれる絆。
そんな絶妙に刺さる作品は、映画化して単館上映の映画館で一人で見たいと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
ちょっとお久しぶりの寺地さん(^^)
知らぬ間に新刊が出ていて出遅れました(^◇^;)
とりあえず表紙を見て
ぬ、ぬすびと??
と確認してしまうほど
表紙のイラストと題名にギャップがありますね
内容読むと納得なんですけどね(^^)
清掃のバイトをしている鳴海のもとに
母がそちらに行っていませんか
と電話があります
20年も前に子守りのバイトをしていた栄輝からの電話でした
そして
泥棒でしょ、あなたは。
と続きます
20年前いったい何があったのか、、、、
200ページないくらいで
あっという間に読めると思います(^^)
やっぱ寺地さんの言葉はいいですよね
今回も何度も頷いてしまうような言葉たちがありました。
特に今回の主人公鳴海は
基本は全然似てないけど
なんか共感する部分があって
例えば
惣菜売り場のパックのほとんどに値引きシールが貼られているが、わたしの食べたいものはそこにない。正確に言うと、自分はなにが食べたいのかぜんぜんわからない。
とか笑
「白湯とか、湯冷ましとか、もうちょっとましな言いかたあるでしょ」
白湯は、美容や健康に気を遣っている人が飲むものではないのだろうか。ぞんざいにポットから注いだだけのこれを白湯と呼んだら、一緒にするなと思われそうだ。湯冷ましについては、たんにその単語が思い浮かばなかった。説明するのが面倒なので「いいんだよ、わたしが飲むのは「お湯』で」と応えた。
とか
わかるー!!って
笑ってしまった笑
いい言葉ってそういうことかい!
って思いました?笑
いや、ちゃんと響く言葉もありますよ!
夫の暖の本を読む理由が
とても素敵だったのでそちらを紹介して
終わりにします(^^)
(本を読む理由を聞かれて)
すこし考えて「器を増やすため」と答えた。
「おれはね、知ってる言葉が増えるのって、器が増えることだと思う」大きすぎる感情を小さな器に注げば溢れる。
知っている言葉が増えると、いままでただ「むかつく」で処理していた感情を「こんなふうに言われて恥ずかしかった」「傷ついた」
「みじめだった」「でもみじめだと認めたくなかった」「だから、強い態度をとった」と細分化できる。
それぞれの器に注げば、溢れ出さない。よく器が大きいとか小さいとかいうけれども、おれは自分はきっと器の小さい人間なんだろうと思ってる、でも小さい器をたくさん持つことはできると思ってる
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かつてなぐも製菓の社長宅で子守の仕事をしていた鳴海。
社長夫人である彌栄子(やえこ)と、5歳の息子・栄輝と過ごした数ヶ月間。
お互いに大事に思うあまり、雇い主と雇われ人という関係性の一線を越えそうになる彌栄子と鳴海だったが、最後は苦い別れとなってしまう。
20年後に再会した彌栄子さんが、鳴海と離れた後の、どれだけ一人で戦ってきたか、どれだけ大変だったかを、その言葉や凛とした態度から感じ取ることができる。
親に振り回される子どもの気持ちは、大人目線だと「ごめん」しか言えなくなってしまう。でも、子どもたちに「大人は信じられない」と思われないように配慮する鳴海の心配りに、頬を叩かれた気がした。
大人だから間違えることも、ずるい嘘もつくことはある。
でも、鳴海のように、例え大人の都合で「ぬすびと」扱いされて追い出されようが、彌栄子のように「できない人」扱いされようが、その人が凛として生きていれば、その生き様から子どもや他人が受け取るものはきっとある。
そう教えてくれた本だった。
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初めて読む作家さんです。
長い年月をかけてもなお、つながり続ける心の繋がり。信頼や愛情。忘れてしまったように思えて、常に残っていた心。じんわり温もりを感じる作品でした。
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会員制高級ジムでアルバイトをする鳴海がシフトを減らされたことをきっかけに、
なぐも製菓会長の息子栄輝の教育係として働くことになった。
栄輝の教育を通して、母の彌榮子と友情のような関係が生まれる。
最初は身分の違いから、彌榮子が豊に描かれているが、
彌榮子は自由な鳴海に影響を受けて、自分の自由を手にしていく。
豊かさとは、自由とは何かを考えるきっかけをくれる物語だった。
嫌なもの嫌だ、したいことはしたいと自分の気持ちに正直に生きていきたいと思った
Posted by ブクログ
みんな根がいい人すぎる。
環境によっていろんな人生になるが、気持ちの持ちよう、行動で人生って変わるんだなと思える話。
年齢や境遇が違っても分かり合える、語り合える人に出会える幸せってあるんだろうな。
なかなか境遇があまりに違う人には出会う機会がないからこそ、本当に時々リアルでも話に聞くそんな関係は羨ましい。
そんな出会いを引き寄せるのも人徳や行動からだったりするしなあ。
そして、子どもの問題行動とも取れることにも引いたり起こりすぎず、呆れて笑えるくらいの余裕がある方がちょうどいいのかもと思う。
Posted by ブクログ
タイトルから、主人公が犯罪者なのかな?と想像したけど、こういう意味だったのね。老舗菓子創業家の彌栄子と、息子のベビーシッターの鳴海との、一緒にいた期間は短くても深い繋がりを描いた作品。ページ数は少ないので、さらっと読める。
生まれや立場の違いはあるけど、お互いの無い部分を補完し合い、二人の心の交流が広がっていく。彌栄子が、古い男尊女卑の世界から新しい一歩を踏み出し、自分の足で歩き始める危なっかしい姿が微笑ましい。しかし周囲はその変化を受け入れられず、シッターの鳴海は追い出されてしまう。
なによりも、鳴海の夫、暖の存在感。いつもそっと寄り添って、影でサポートしてくれる。読書するのは自分の器を大きくするため、というのもかっこいい。鳴海が人生に悲観的になっていたときも、弟が荒れてしまったときも、暖がいたから乗り越えられたのだと思う。
その後、長い時間を経て再会した彌栄子と鳴海は、過去に解決できなかった問題に挑む。晴々しいラストのダンスシーンが素敵だった。
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心の結び目が
ひとつずつ丁寧に解かれていくような感覚になり
最後にはふ〜っと深く息をつくことができました
寺地さんの紡ぐ言葉に いつも救われます
物語ではどこか不器用で
生きづらさや小さな痛みを
抱えた人々の姿があり…
彼らが心の奥にそっと隠している感情や心の揺れを決して見捨てずにすくい上げてくれます
作中で語られる言葉のひとつひとつが
まるで自分の心に優しく絆創膏を
貼ってくれるかのように
「そのままでいいんだよ」と肯定されているような心地よさに満ちていきました♡
人の寂しさや切なさ…
そして誰かと繋がりたいと願うひたむきな想いを
物語を通して愛おしさをもって描き出す描写に
何度も胸がじんわりと熱くなりました…
このあたたかく優しい佇まいの装丁も素敵♡
トゲトゲした現実のなかで
傷ついた心をそっと包み込み…
明日へ歩き出す小さな勇気をくれる
そんな宝物のような作品に出会えました
Posted by ブクログ
表紙は可愛らしいのにタイトルが物騒で一体どんな話なのかとビクビクしながら読みはじめたが読んでみると過剰に構えすぎていたことに気付く。
どこかなげやりな主人公の女の子とお金持ちな一家と過ごす日々がギャップがあって面白くて、でもうっすら危うさも感じる。
どんなふうに物語が進んでいくのか最後までハラハラしながら読んだ。
Posted by ブクログ
鳴海は、かつて喫茶店で働いていた頃に、友人が行くことになっていた菓子メーカーの創業一家・南雲家の子守り役を自ら受けて働き出す。
やんちゃで誰もがお手上げになるほどの気難しい少年・栄輝の世話もこなして、奥様の彌栄子とも心通わせていくのだが、社長の忠雄や親戚たちは鳴海に冷たかった。
やがて…忠雄が倒れた後、二度と彌栄子とも会えなくなり、20年が経った頃、栄輝から電話が掛かってくる。
たった1年の付き合いだったとしても、それは思いの外、心に深く刻み込まれている数々の思い出があって、彌栄子と鳴海の関係は友情よりも尊いものに感じた。
きっとそれは、真珠のネックレスを首にかけたときから…彌栄子さんから「あげたんです」と言われたときからだったのだろう。
返せないまま時が過ぎたのは、いつか再会できることを待っていたのかもしれない。
そして、そのときには真珠が似合う年齢になっていたことも。
Posted by ブクログ
人の気持ちは言葉がないとわからないと思う一方で、言葉がなくても心を交わす、というより、人を想うことができる、と改めて思った。
鳴海がプールの清掃のときにエミリに似た人を見て、想いを馳せていたシーン、で特にそう感じた。
個人的に好きなのは、家政婦の三枝さん。ちょっと冷たいと感じるところもあるけど、一番にみんなのことを想ってくれてる感じがする!
ここも好き。
「おれはね、知ってる言葉が増えるのって、器が増えることだと思う」大きすぎる感情を小さな器に注げば
溢れる。...よく器が大きいとか小さいとかいうけれども、おれは自分はきっと器の小さい人間なんだろうと思ってる、でも小さい器をたくさん持つことはできると思ってる(p.120)
Posted by ブクログ
25歳の時に「なぐも製菓」でベビーシッターとして働いていた鳴海。20年経って一本の電話をきっかけに再会。
登場人物それぞれがすこしずつ絡み綺麗なループができあがっていた。暖の人間性が素晴らしかった。
Posted by ブクログ
登場人物たちはみな少し変わった人。不器用で独特な空気感を持ちながらも、どこか素朴で「愛らしい」人間味に溢れており、自然と親しみを感じさせてくれる。こんな人間関係や信頼関係があったらいいなと思った
Posted by ブクログ
/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
傷こそが、欠損こそが、その人をその人たらしめる。
この言葉はいいですね。
物語は終始重々しい感じでしたが、それぞれの登場人物が前に進んでいく姿はいいですね。
192ページで字は大きいので、サクッと読み終わります。
ほんと、淡々と重々しく物語が展開していく感じでした。
私も、傷だらけ、失敗だらけ、ほんと、恥ずかしいぐらい多くありますが、今の自分を作ってきたものだと思うと、まぁ、仕方ないなと、諦めることができます。
歳をとるごとに、理想の自分に近づいている気がしているので、まぁ、仕方ないかと。
何が良いか、悪いかは人それぞれ。
自分の声に耳を傾けて、より、高い次元で歩んでいきたいです。
/_/ あらすじ _/_/_/_/_/
あるとき南雲製菓という会社の創業者の家の子守としてアルバイトすることになった鳴海。
母親の彌栄子と仲良くなっていくが、1年経たずして離れることに。
それから20年経ち、また、彌栄子と再会を果たす。
それぞれが、凡庸な環境とは異なる中で、傷つきながら前に進んでいく。
/_/ 主な登場人物 _/_/_/
田原鳴海 45歳 アルバイト
田原暖 46歳、夫、警備会社、美しい
宏海 鳴海弟
モリタ ヘルスアンドウェルネス
南雲栄輝 25歳、なぐも製菓社長
南雲彌栄子 前社長
エミリ 鳴海一個下、昔の同僚
南雲忠雄 婿
大宮みやこ 忠雄不倫相手