あらすじ
かつて喫茶店で働いていた鳴海は、菓子メーカーの創業一家・南雲家から子守役として雇われる。そこで出会ったのは、気難しい少年の栄輝と、美しい年上の奥様・彌栄子だった。次第に心を通わせていく三人だったが、ある出来事をきっかけに、彌栄子から「二度と会わない」と鳴海は突き放され、関係が途絶えてしまう。
それから二十年。大人になった栄輝から、ある日突然「母がそちらに行っていませんか」と電話が掛かってきて……。
きっと、ページをめくるたび、あなたは力を取り戻していく。
傷も時間も刻んだ体で、どこまでも自由に踊り出すための物語。
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Posted by ブクログ
誰もが正しくなんて生きられなくて、もがきながら、まちがえながら、毎日を生きる。そんな日々の中でも、誰かのことを想う気持ちは、とてつもなく尊くて愛おしい。彼女たちの関係性はとても素敵で、歳を重ねてもそれが変わることはなかった。帯に書かれている、「傷も時間も刻んだ体で、どこまでも自由に踊り出すための物語」という言葉が、全てだった。切なさや苦しさを感じながら読み進めているうちに、いつの間にか前を向いていた。大切なものをもらえた気がする。不思議と気持ちが軽くなった。
Posted by ブクログ
必死で働きながらかつかつの暮らしをしている鳴海。穏やかだが嫌なことはしない主義で仕事が続かない夫の暖と2人暮らし。
彼女が若い頃、子どもの世話をするために出入りしていた、菓子メーカーの創業家家族との別れと再会。
最初からやる機会を奪われていた人間が自分の可能性を取り戻していく物語。
Posted by ブクログ
鳴海と彌栄子の物語、でいいのでしょうか。
あの環境だったからこそ会えたけれど、
あの環境だから2人は一緒にいることができなかった。鳴海が本当に盗んだものは彌栄子の気持ち。偽りの気持ちを盗んでいったのだと感じました。
2人の関係は一体なんなのか。
友情では足りない。愛が近い。けれど恋人に対する愛でも家族に対する愛とも違う気がする。
わたしが鳴海の年になればわかるのか、
それとも彌栄子のような存在に出会った時に気づけるのか。2人の存在は尊いもののように感じました。
そしてp194の「わたしたちは踊れる。まだ、こんなに踊れる。音楽がなくても。腕がうまく上がらなくても。息が切れても。通りかかる人に指をさして笑われたとしても。」「わたしたちはいつだって踊り出せる。わたしたち自身がその気になりさえすれば、どこででも、誰の前でも。」
この文章がすごく好きだと思いました。