千早茜のレビュー一覧

  • クローゼット(新潮文庫)

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    十八世紀のコルセットやレース
    バレンシアガのコートにディオールのドレスまで、約一万点が眠る服飾美術館。
    ここの洋服補修士の纏子(まきこ)は、幼い頃の事件で男性恐怖症を抱えている。
    一方、デパート店員の芳も、男だけど女性服が好きというだけで傷ついた過去があった。
    デパートでの展示を機に会った纏子と芳。
    でも2人を繋ぐ糸は遠い記憶の中にあって…….。
    洋服と、心の痛みに寄り添う物語。
    ☆☆裏表紙より☆☆

    千早茜の世界。
    幻想的でちょっとだけ秘密の閉じられた場所。
    そんな魅惑的な世界に、どっぷり浸れる小説。
    「透明な夜の香り」の世界観も魅力的だった。

    千早茜ファンには、たまらない一冊。

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    2025年05月17日
  • 女ともだち

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    前半、あまり好みでない作品が続きましたが、後半すごく良かったです!

    おもしろかった3作品

    「こっちを向いて。」
    分かるー‼︎って話でした。大人になってから友達作るのって難しい。こちらと向こうに友達を作ろうという願望が、まさに同じタイミングで存在しないと成立しない。
    自分が今までに経験した感情が言語化されてる感じで気持ちよくて、そして切なかったです。

    「ラインのふたり」
    いたずらして笑ってはいけないのに全身で笑い出したくなる感じ。笑いすぎてお腹痛くて涙出る、みたいな。そういう時の女子同士の連帯感を思い出しました。
    終わり方も良かった。

    「獣の夜」
    一番好きです。ジビエ、全然興味なかったけ

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    2025年05月19日
  • 眠りの庭

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    美術家を惹きつけるファム・ファタル小説は、時として女性本人の人格や意思が抜け落ちたまま描写されたり、欲望の鏡扱いされがちだけれども(最近も、そちらに振り切った作品を読んだなと思い出した)、女性性を持つ人の痛々しいほどの葛藤にもフォーカスして描いていたのが、さすが千早茜さんとなった。

    すっきり解決、と言えるものはひとつも無く、情念、欲望、本質的な孤独に傷付ききった登場人物たちが、暗い夜の庭に取り残されるばかりの物語。
    そう書くと、どうにも救いが無いように思えるけれども(実際そうだけれども)、その暗がりの芳醇さに、ついつい惹き込まれてしまった

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    2025年05月15日
  • グリフィスの傷

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    ネタバレ

    【人は驚くほど、人の痛みに無自覚なのだ】
    傷にまつわる10篇の短編集。見えている傷と見えない傷をめぐる物語ということでさぞ重苦しい内容かと思いきや、意外や意外、優しさや温かさに包まれる作品もあり読後感は心地よい。1つ目の『竜舌蘭』が一番好みで、一度抱えた心の傷は癒えることはなく一生抱えたまま生きていくしかない…でも見えている傷痕が自分をそっと守ってくれる時もあるのだということが描かれていて、読後色んな解釈の余地があってとても良かった。『結露』『林檎のしるし』『指の記憶』『慈雨』『あおたん』も好きだなぁ。

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    2025年05月12日
  • 正しい女たち

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    ネタバレ

    【不倫も、おそらく夫婦も、きっとすべては演技だったのだ】
    6つの物語で構成された連作短編集。千早茜さんが紡ぐ言葉は、いつも私の心に響く。どこか身に覚えがあって、一度は頭の片隅に置いてきたはずのかつての自分自身の記憶が蘇るような感覚に陥るのだ。本作もその1冊。全ての短編の内容が濃密で、読み応え◎だが、特に『幸福な離婚』が好き。その文中で離婚を決め離婚届を提出するまでの期間を「結婚の死を看取る」と表現する作者の感性にも魅了される。「正しさ」の価値観は人それぞれで、時として凶器にもなりうる取扱注意なものだと思う。

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    2025年05月10日
  • 眠れない夜のために

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    明日仕事なのに、眠れない。そんな夜にまた読み返したい。みんな眠れてないって分かるだけでも救われる魂がある。イラストもすごく良い。魔女の宅急便のウルスラの絵を見た時みたいな安心感がある。お気に入りは夜のクッキー缶「空洞」。

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    2025年05月08日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    この二人のかけあいなら面白いだろうなって読んだらホント面白かった 大輔には自分もイライラ、でも大輔の気持ちはふーんそうなのか初めて知ったという感じ
    終わり方もあれでよかったと思う

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    2025年05月08日
  • グリフィスの傷

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    目に見える傷、見えない傷、単純に、そんな物語の本だろうと思って、読んでみたが、なんだか、もっともっと奥深い部分をえぐられるような、物語だった

    他人を傷つける人、自分を傷つける人、
    どちらも、どこに感情をぶつけていいのか、わからないのだろうと思うが、人の世には、どうしようもないことなのだろうな


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    2025年05月05日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    どんな美味しそうなものに出会えるのだろうと思って手に取った一冊。でもそこに書かれていたのは美味しそうな食べ物についてよりも、「ちはやん」と「新井どん」について。"い"が合うところも、そうではないところも。ふたりの交換エッセイから互いへの、そして食べ物へのリスペクトが伝わってくる一冊。

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    2025年05月05日
  • グリフィスの傷

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    傷ついた過去を乗り越え、生きた証として傷跡は残るのだと思った。
    無数についた傷がきっかけで突然砕け散ることがあるから、痛みに鈍感になることがいいわけではない。
    傷ついてないふりなんてしなくていいから、痛みにも自分にも素直になれたらいいなと思った。

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    2025年05月05日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    食レポ系のエッセイかな、と思った。
    千早茜、新井美枝香、2人の往復エッセイ。

    ふたりとも、美味しいものには目がなくて、
    食への姿勢が合うらしい。
    ただ何でもいっぱいと言うのではなく、好みに合致したものをかなりたっぷりと!

    新井どん(文中千早さんがそう呼ぶ)は好みの物や事に正直で、思い切りよく、ひと目を気にせず豪胆!
    しかし、繊細であり、配慮も出来て、気を許している人への可愛らしさが、いい味出している。

    ちはやん(文中新井さんがそう呼ぶ)は、自分の事を記録魔と云う。
    人の記録にはルールがある。
    まず決して暴いてはいけない。
    その人が見せてくれる顔、言動を文字にするだけ。
    こういう人だろう予

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    2025年05月04日
  • グリフィスの傷

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    いろんな"傷"にまつわる短編集。
    どれも身体の傷にまつわるお話だけど、それと同時に心の傷みたいなもの含まれているよな。身体の傷と心の傷は表裏一体なんだよなぁと思う。人体切断系が本当に苦手なので"指の記憶"はなかなかしんどかった…8作目の"慈雨"が好きでした。泣いた。

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    2025年05月04日
  • 胃が合うふたり(新潮文庫)

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    カリスマ書店員の新井氏と千早茜氏の食に纏わる往復エッセイ集。この本が面白いのは単にグルメ紹介本でなく、むしろ、同好の士が四つに組んで食べ物に挑む気迫がそこかしこに表れているからと思う。境遇も生活も異なる2人の互いを思いやる気持ちや、それでも「胃」が引き寄せられる関係性がとても気持ち良くて堪能した。餌場が同じ野良猫とは言い得て妙だった。

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    2025年05月04日
  • 私の身体を生きる

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    ネタバレ

    自分の身体、この女の身体について色々考えたりすることが最近多くてなんかつらくて手に取った。女性たちが自分たちの身体のことや性のことを話すときなぜだか安心する。わたしもそう思っていると、同じように考えている人がいるというのはそういう安心材料になるんだと思う。どの書き手も性被害を受けている人が多くて本当に社会はクソだ…… 碌でもない人ばかりで、そのせいで自分の体を大切にできない女性がいたりするんだと知った。
    わたしはもうずっと女しか子どもを産めないことが本当に許せないので、藤野可織さんの妊娠についてのエッセイは本当に本当にめちゃくちゃ凄いな〜と思った。妊娠出産の機能を持つのが女性だけである時点で

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    2025年04月30日
  • 西洋菓子店プティ・フール

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    ネタバレ

    ミナちゃんすごく好きだな
    今どきの若くておしゃれで着飾ってるだけの子じゃなくて、周りを見れて努力家で優しい女の子
    こんな素敵な女の子に好かれてるのに振り向いてあげないスミくんに腹立つ
    そんなに主人公魅力的かなぁって思っちゃった

    カラメルの話も好きだった
    ストレスが溜まったとき甘いお菓子をたくさん食べてストレス解消していた時が私にもあったから尚更
    でもそうしたところで健康にも自分の精神的にも良くないし、お菓子を作ってくれた人に不誠実だからやめようと思えた

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    2025年04月29日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    男女で価値観が違うことが分かりやすく表現されてて興味深かった。交互に、先手後手が変わっていってて、飽きなかった。ちょっとした気持ちの表し方とか、自分では思いつかないような表現の仕方してて面白かった。

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    2025年04月29日
  • ひきなみ

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    今はわからないけど、リアルな島のコミュニティの話なのかなと思った
    人間の嫌なこと部分も細かく描写されてて、飲み込まれた
    島にいってみたくなった

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    2025年04月29日
  • 夜に啼く鳥は

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    美しいファンタジー、だけど人間臭いお話しでした。


    最初の章を読み始めた時は読みにくくて、なんだこれと思ってしまいました。
    それが2章目からは御先に魅せられ、物語に一気に引き込まれます。

    不老不死を生きることの孤独と切なさを感じました。
    彼らはどう生きるのか。
    御先と四のその先をもっと読みたかったです。


    I saw the bugs in the dark.
    They were so beautiful and occult.

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    2025年04月27日
  • ひきなみ

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    真衣も葉も別の意味合いで芯のある美しい女性だと思った。
    千早茜さんの文章はきれいで優しく心が落ち着く。
    けど部長のセリフは毎回生々しく、自分も会社勤めの女性なので読んでていらっとしてしまいました笑

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    2025年04月27日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

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    ネタバレ

    大輔と福が付き合うときの詳細が書かれていないのでこの二人がどういうやり取りがあったのか気になった。

    英語だと白か黒の表現になってグレーな表現ができなくなるっていうのがなんかすごく共感した。

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    2025年04月26日