千早茜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「女ともだち」がテーマの短編小説アンソロジー
既に出尽くした感のあるテーマですが、昨今のSNSを取り入れた短編は8篇全て新鮮で面白かったです。
なんでも真似して来る女性を描いた村山由佳さんの「COPY」
女性あるあるです。
そしてそこに惹きつけておきながらのラストの急展開にはドキっとします。
坂井希久子さんの「ト・モ・ダ・チ」はイヤミスを連想させるどろどろした話で、もはやホラーの様にも思えて怖かった。
千早 茜さんの「卵の殻」は繊細な女性心理が描かれていて女性の執着がただただ恐ろしい。
「サバサバした女なんていないよ」のセリフが印象に残ります。
子供時代の競争意識、嫉妬心を描いた大崎 梢さんの「水底の星」
大人になってからの友人作り、在り方を繊細に描いた額賀 澪さんの「こっちを向いて」読み終えてタイトルを見るとなるほどと思えます。
柔らかい気持ちになれた阿川 佐和子さんの「ブータンの歌」
情景が絶えず浮かび、二人の女性の微妙でありながらイイ感じの距離感を感じた嶋津 輝さんの「ラインのふたり」
ややこしい人間関係ながら、こういうのも有りなのかと妙に女同士のリアルを感じた森 絵都さんの「獣の夜」タイトルがナイスマッチです。
怖さあり、優しさあり、嫉妬、憎悪、女ともだちには様々な感情が蠢いている事を改めて実感すると共に、親友、本当の意味で真友に出会うのは伴侶を見つけるより大変かも知れないと思った短編集。 -
大事な人
葵の友達が、大事なお兄ちゃん(と呼んでる人)と一線超えて お兄ちゃんを失ってしまう。
大事な男ともだちとは、一線超えないから継続出来るものだと思う。
色々な事に共感でき、一緒にいたら楽で楽しい。お互いを心から応援出来る大事な1対1の異性。
男女間は肉体関係が出来ると、何かしらの名前を付けないといけなくなってしまう。そうすると 大事な友情のバランスが壊れてしまう。
『見守り続ける』事が、この主人公達が選んだ男女間の特別な友情継続の秘訣なのかと思った。
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Posted by ブクログ
実にすばらしい。
表紙の絵はまいまいの子だろうか。
音を立てずにそっとやってきて、そっと去っていく、危うい関係からスタートする。
男女の関係には体の関係は重要な意味を持つ。
その時、何を感じてきたか。
天窓から見える空、雨音。
そう、空から感じるものがあるし、何より空はつながっている。どこまでも。
失ってしまったのかもしれない、もう取り返しがつかないかもしれない、そういう危うさ。
その危うさの方向が、「普段は自分の交友関係からはずれている、行きずりの誰か」(あとがきより)によって変えられていく。それが「からまる」なのだけれども。
ひとは一人では生きていけない。
行きずりの誰かであっても、その社会の中で生きている、そんなことを感じて読み終えた。
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えーっ、大麻だったんだ。。。(※本書とは関係ありません) -
Posted by ブクログ
桜にまつわる7つの短編物語。ここで千早茜さんの書く物語は多くの人が求める涙と感動という類なものではなくて、むしろ世の中で生きにくさを感じているような人々に焦点をあててその心の中のありのままを、桜のモチーフに重ね合わせて書き上げているような印象がしました。
昼間の桜と夜の桜、青い空の下で穏やかに咲く桜と雨にうたれて冷たく花弁を散らしながら咲く桜は皆印象が違いますが、そんな違いをより繊細に感じ分けて書いているような気がしました。桜の季節に読めて(終わりに近かったですが)とても良かったです。どこか妙で現実離れしているようだけどじわじわと心に染みてくるこういうお話を、私はもっと読みたいのだな、と改めて感じました。 -
Posted by ブクログ
気持ちの悪い物語である。
この物語で悪者を見つけるのは難しい。
誰もが加害側であって、誰もが被害側である。
“洗礼者ヨハネの首を持つサロメ”がモチーフのひとつになっているようだが、主人公は果たしてサロメだったのか、ならばヨハネは誰で、ヘロデは誰だったのか。
どうやらこの物語では誰もが各々の物語、神話から抜け出せずに、ツタに絡まりようにしてもがきながら生きている。
その物語、願望を各々が好きなように小波と澪、二人の解離した対象に体良く投影させる。
そして、小波も澪はただ投影されるだけであるけれど、その分裂した未熟な自我は他者を暗に操作させる。
第一部はどこか北米のハードボイルド小説のようでいて、後半は恋愛小説のようでいて、文体までも解離しているようだ。
物語の最後、これは救済なのか死なのか、複数回読み返しても答えが出ない。
ある時は救いであるように思うし、ある時は受難の再生産にも思える。
従って、最後の最後まで、投影がやまない。
気持ちの悪い物語だ。 -
Posted by ブクログ
とても好きなお話でした。
千早茜さんの幻想小説は久々だと思うのだけどもう…大好き。
物語の中心となる一族の、不老不死となった初めの人物を描く「シラ」から惹き付けられました。昔話や神話みたいでした。愛した人を探し続ける何百年…そしてラストに泣きそうになりました(職場の休み時間だったので堪えた)
その次の「はばたき」からは一族の末裔・御先の物語でした。不老不死で、強大な治癒力を持つ、人ではないもの。「肉体は若いままであっても、心は老いる」という言葉通り、人形のような外見ですが老成しています。
御先と、同じ能力を持つ四のやり取りに笑いました。四のツッコミが。。
御先も四も、周りが先に消えていく…というのはとても辛いだろうと思います。ラストの「躑躅」での、幼少の御先が「お前も消えてしまうのか」と言って泣いているところに胸が詰まりました。
不老不死とは苦しみなのですね。でも、僧はシラに「苦しみを背負うあんたが悪しきもののはずがない」と言いました。人ではないけど、化け物ではない。では、何だろう。。
ずっと浸っていたい物語でした。切なくて綺麗。
皆川博子さんの解説もさすがでした。皆川さんも色々なものを見られていらしたのだなぁ。。