千早茜のレビュー一覧

  • 赤い月の香り
    「透明な夜の香り」続編。
    舞台は同じく、香りを生み出す天才調香師・小川朔が住む屋敷。
    人間関係の構成も基本的に同じだけど、前作で家事手伝いだった若宮一香はべつのフェーズに移り、新たにカフェ店員だった朝倉満がとあるきっかけから屋敷の家事手伝いとなるところから物語が始まる。

    今作も香りの世界を堪能でき...続きを読む
  • グリフィスの傷
    人は思いもせず傷つくし、人を傷つけてしまったことに気づかない。
    死体の傷は治癒しないけれど、生きている人間の傷は、癒やされ、傷跡となって残る。
    痛みを感じることも、傷が癒やされることも、生きていることの証だと感じさせてくれました。
  • 男ともだち
    異性の友達って本当に人によって感じ方が違うから難しいなと思った。
    異性だからこそできる話もあるし、異性だからこそ同性と違う居心地の良さ、楽しさがあると思う。
    異性でも同性でも、友情に絶対はないし、長く維持しようとすればお互いが維持するために努力をし続けなければいけないなと感じた。
    心が弱ってる時こそ...続きを読む
  • マリエ
    【あらすじ】
    「離婚って失敗なの?」「恋愛と結婚って別物?」
    新直木賞作家が描く、おとなの女性の結婚と幸福をめぐる物語。

    桐原まりえは40歳を手前に離婚した。夫の森崎に「恋愛がしたい」と切り出され、2年近い話し合いの時期を経て、7年半の結婚生活に終止符を打ったのだ。理由にはいまも納得がいかないまり...続きを読む
  • グリフィスの傷
    「傷」にまつわる短編集、どの話も面白い。
    身体に、心に、刻まれた無数の「傷」、治癒するもの、しないもの。
    これまで、ほぼほぼ無傷で生きてきた自分は、他者の「傷」にどれだけ鈍感だったか、他者を「傷」つけてきたのか。
  • 西洋菓子店プティ・フール
    小さな町の昔ながらの店プティフール
    そこで祖父の味を受け継ぎつつ自分の味を出したいと模索する孫娘亜樹。お菓子の表現が物凄くうまい。お菓子が目の前にあるような、自分もその店に行った事があるような気がした。
  • マリエ
    離婚から始まる物語。恋愛、婚活、親、病気、生活。同年代女性の心情がめちゃくちゃリアルに書かれてて一気読み。同年代の女性におすすめしたい。
    マキさんが最高すぎる。マキさんみたいな年上のお友達が欲しい。
  • しろがねの葉
    闇に生まれ闇に還る。

    情景の描写が素晴らしく、家にいながらにして闇深い間歩や羊歯が生い茂る山、白い息や小屋の隙間から流れる風も感じられるようでした。
  • 男ともだち
     登場人物みんな共感出来ませんが、先が気になるお話しでした。

     葵とハセオの絶妙な距離感、最後までヤキモキさせられました。終わり方は好きでした。
  • こりずに わるい食べもの
    食へのこだわりが薄いから、食に対してこんなに熱い思いがあるのが羨ましい。
    食べ物に対しての気持ちの話も好きだけど、食周辺の人間関係の話も好きだった。
  • さんかく
    学生時代によく行っていた地名がちらほら出てきて、帰省したらまずはイノダコーヒーでモーニングしたいなと思いました。京都に帰る新幹線で読みたいな。

    私は伊藤さんや華のような何かを専門的に追求することが苦手なので、二人のような人がかっこいいなと率直に思いました。
    そんなかっこいい二人でも、恋をして、無邪...続きを読む
  • 紙魚の手帖Vol.12
     全部は読んでいない。GENESISが雑誌になって、ノリの良さが前面に出た感じ。これもまた良いな。
     ゲラゲラ笑った青崎有吾さんのメカくらりは別枠として、高山羽根子さん、笹原千波さん、の作品が特に好きだった。

    ■笹原千波『手のなかに花なんて』
    肉体を捨てて情報人格として生きることを選べる世界。花と...続きを読む
  • 赤い月の香り
    透明な夜の香りの続編
    今回採用したのは男の人
    この人も触れられたくない過去を持つ
    香りにより記憶が蘇り、過去との折り合いをつけていくのだろう
    源さんについても
    描写がとても繊細で、どんな香りが漂っているのか、洋館や森の様子、畑で採れた瑞々しい夏野菜
    、ハーブを使った料理など想像を掻きたてられる
    今回...続きを読む
  • クローゼット(新潮文庫)
    百貨店での服飾展覧会をきっかけに出会った、服を愛する三人のお話。

    服を、ただ博物学的に修復して保存して記録して、で終わるのではなく、その一着から当時の人々の暮らし、ひいてはその服の持ち主の人生まで蘇らせる工程がとても美しい。

  • グリフィスの傷
    傷という一つのテーマでここまで書ききれるのはすごいな。千早茜にしては珍しく、あんまり香りの表現がなかったような。

    傷は体にも心にもできる。モノにもできる。その傷を見せることによって変わることもさまざま。
  • しろがねの葉
    かなり読み応えがあった。この作家さんには珍しく骨太な物語に驚いた。
    石見銀山に迷い込んだウメは山師と呼ばれる頭領のような喜兵衛に拾われる。
    最初はウメが女だてらに喜兵衛の右腕となり、銀掘の道を歩んでいく物語かと思ったら予想と全く違う方向へと進んでいき、でも不快ではなくページをめくる手が止まらなくなっ...続きを読む
  • こりずに わるい食べもの
    「透明な夜の香り」シリーズで気になって、千早さんのエッセイを初めて読んでみた。作品での食描写もおしゃれだな〜と思っていたが、やはりご本人の食事もわたしから言わせればおしゃれ!丁寧な暮らしといった感じ。マヨネーズがなくてナンプラーが常備してあるところにそれを強く感じた。食エッセイは西加奈子ばかり読んで...続きを読む
  • ガーデン
    植物を愛する羽野は、人間と深く関わるのが苦手で人と常に一定の距離を置いている。どこか周りの人たちを達観して見ているような羽野だったが、実は人の気持ちを何もわかっていなかったことに気付かされるお話。

    終盤で緋奈が羽野の生き方や部屋を「不自然だ」と指摘していくシーンには圧倒された。緋奈の言葉が適切で、...続きを読む
  • 神様の暇つぶし
     千早茜さんの小説には、いつも濃密な空気が漂っている気がします。湿気、人や物などの匂い、肌触りの温度や質感など、五感に訴える描写が生々しく迫ってくる印象を受けます。

     本作は、20歳の女子大生・藤子と親子ほど歳の離れたカメラマン・全との関係を描いており、上述の表現も含め多くの歪さが見て取れます。加...続きを読む
  • しろがねの葉
    石見銀山で山師吉兵衛に拾われ銀掘となることを目指したウメだが女である事が障害となる。
    女は男には勝てない。
    男たちは山に魅力され病となり短い一生を終える。
    銀山に取り憑かれたような男と女の悲しくも愛の溢れる話だと思いました。