千早茜のレビュー一覧
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実にすばらしい。
表紙の絵はまいまいの子だろうか。
音を立てずにそっとやってきて、そっと去っていく、危うい関係からスタートする。
男女の関係には体の関係は重要な意味を持つ。
その時、何を感じてきたか。
天窓から見える空、雨音。
そう、空から感じるものがあるし、何より空はつながっている。どこまでも。
失ってしまったのかもしれない、もう取り返しがつかないかもしれない、そういう危うさ。
その危うさの方向が、「普段は自分の交友関係からはずれている、行きずりの誰か」(あとがきより)によって変えられていく。それが「からまる」なのだけれども。
ひとは一人では生きていけない。
行きずりの誰かであっても、その社会の中で生きている、そんなことを感じて読み終えた。
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えーっ、大麻だったんだ。。。(※本書とは関係ありません) -
Posted by ブクログ
桜にまつわる7つの短編物語。ここで千早茜さんの書く物語は多くの人が求める涙と感動という類なものではなくて、むしろ世の中で生きにくさを感じているような人々に焦点をあててその心の中のありのままを、桜のモチーフに重ね合わせて書き上げているような印象がしました。
昼間の桜と夜の桜、青い空の下で穏やかに咲く桜と雨にうたれて冷たく花弁を散らしながら咲く桜は皆印象が違いますが、そんな違いをより繊細に感じ分けて書いているような気がしました。桜の季節に読めて(終わりに近かったですが)とても良かったです。どこか妙で現実離れしているようだけどじわじわと心に染みてくるこういうお話を、私はもっと読みたいのだな、と改めて感じました。 -
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気持ちの悪い物語である。
この物語で悪者を見つけるのは難しい。
誰もが加害側であって、誰もが被害側である。
“洗礼者ヨハネの首を持つサロメ”がモチーフのひとつになっているようだが、主人公は果たしてサロメだったのか、ならばヨハネは誰で、ヘロデは誰だったのか。
どうやらこの物語では誰もが各々の物語、神話から抜け出せずに、ツタに絡まりようにしてもがきながら生きている。
その物語、願望を各々が好きなように小波と澪、二人の解離した対象に体良く投影させる。
そして、小波も澪はただ投影されるだけであるけれど、その分裂した未熟な自我は他者を暗に操作させる。
第一部はどこか北米のハードボイルド小説のようでいて、後半は恋愛小説のようでいて、文体までも解離しているようだ。
物語の最後、これは救済なのか死なのか、複数回読み返しても答えが出ない。
ある時は救いであるように思うし、ある時は受難の再生産にも思える。
従って、最後の最後まで、投影がやまない。
気持ちの悪い物語だ。 -
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とても好きなお話でした。
千早茜さんの幻想小説は久々だと思うのだけどもう…大好き。
物語の中心となる一族の、不老不死となった初めの人物を描く「シラ」から惹き付けられました。昔話や神話みたいでした。愛した人を探し続ける何百年…そしてラストに泣きそうになりました(職場の休み時間だったので堪えた)
その次の「はばたき」からは一族の末裔・御先の物語でした。不老不死で、強大な治癒力を持つ、人ではないもの。「肉体は若いままであっても、心は老いる」という言葉通り、人形のような外見ですが老成しています。
御先と、同じ能力を持つ四のやり取りに笑いました。四のツッコミが。。
御先も四も、周りが先に消えていく…というのはとても辛いだろうと思います。ラストの「躑躅」での、幼少の御先が「お前も消えてしまうのか」と言って泣いているところに胸が詰まりました。
不老不死とは苦しみなのですね。でも、僧はシラに「苦しみを背負うあんたが悪しきもののはずがない」と言いました。人ではないけど、化け物ではない。では、何だろう。。
ずっと浸っていたい物語でした。切なくて綺麗。
皆川博子さんの解説もさすがでした。皆川さんも色々なものを見られていらしたのだなぁ。。 -
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不穏。ただならぬ雰囲気に目が離せない。好きではないジャンルなのに、その世界に留まっていたいと思ってしまった。「好き」という二文字に込められる妖しく切ない想い。きっとこの物語のことは忘れないだろう。
あらすじ(背表紙より)
女子校の臨時教員・萩原は美術準備室で見つけた少女の絵に惹かれる。それは彼の恩師の娘・小波がモデルだった。やがて萩原は、小波と父親の秘密を知ってしまう…。(「アカイツタ」)大手家電メーカーに勤める耀は、年上の澪と同棲していた。その言動に不安を抱いた耀が彼女を尾行すると、そこには意外な人物がいた…。(「イヌガン」)過去を背負った女と、囚われる男たち。2つの物語が繋がるとき、隠された真実が浮かび上がる。 -
購入済み
感覚的な作品
とても読後感の良い作品でした。絵画をみてるようなそんな気分になれる、読んでいるといろんな風景が想像できます。で読み終わったら好きな人に会いに行きたくなる(笑)そんな気持ちにさせてくれる本です。オススメ!
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登場人物は全員屑である。
その通りではある、が、
共感できてしまっている部分ある。
なんて、ひどい!このクズ!と軽蔑してしまう登場人物は驚くことにここにはいなかった。私には。
ちょっとでも理解できる部分があったり
経験していたり。共感してしまった。
でも、ここまでの男ともだちというのは
結婚し、周りも結婚したからこそいない。
2人の関係が羨ましくもある。
失いたくないからこそ
一線を越えない、越える必要がない。
不思議な関係、でも共感できる部分もある。
自分が必要だと思えてないから大切にしないんや
もう捨ててしまえ
新しいものが入ってくるから。
みたいなことを言ったハセオの言葉に
今の自分を振り返った。
必要と思ってないんだなと。
いろいろ
映画でどう描かれているのか興味がある。
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Posted by ブクログ
作家の書くエッセイは、すごい。
「餅」と「チョコレート」。
たったそれだけの題材で、こんなにも豊かな文章が書けるのか。
私も餅も好きだし、チョコレートも好き。
でも、いざ自分で書こうとしたら、「美味しい」のひと言に、せいぜいあと1〜2文を添えるくらいが精いっぱいだと思う。
ところが、このエッセイには「美味しい」という直接的な表現がほとんど出てこない。
それなのに、口に入れたときの美味しさや食感が、ありありと伝わってくる。何より、千早さんの並々ならぬ偏愛っぷりが文章のあちこちからにじみ出ている。
読んでいるだけなのに、お腹がすいてくる。
好きなものを、こんなふうに言葉にできるって、ホント素敵!