千早茜のレビュー一覧

  • しろがねの葉
    理不尽はどこにでもある。
    諦めるほど素直ではないけれど、
    ウメの様に抗って闘って受け入れるほど強くもない私は、おとよが一番近いかなと思いながら読んだ。

    山陰に住んでた頃は地元過ぎて予約がいっぱいだった本書が、越してきた山陽では書庫に挿してあってびっくり。偶然かもしれないけどね。
    近くにいたのに結局...続きを読む
  • しろがねの葉
    石見銀山での、劣悪な労働環境などと云う表現以前の酷い境遇で銀を掘り続け、早々に身体を壊して死んでいく男達と、そんな男達と次々に子をもうけ次なる銀堀(かねほり)を育てる女達。
    ウメ、喜兵衛、ヨキ、隼人、夕鶴、龍、おとよ、など、登場人物達の其々特徴ある性格、生き様と絡み、思いが壮烈な暮らしの中で見事に描...続きを読む
  • あとかた
    この著者さんを読むのは2作目。
    前回読んだ高レビューの本は私には全く響かなくてレビューすら書かなかったけれど、この本は好き本だった。
    読んでよかった。

    ふくらはぎまで、生ぬるいヌルヌルした水でがんじがらめにされてるような登場人物たち。
    でも空からはたしかに微かに光が降りていて。
    将来をどうしていく...続きを読む
  • 神様の暇つぶし
    胸がぎゅっとなる作品でした。

    藤子と全さんの、一般的には非難されるような関係の2人の、ひと夏の出来事。出会う前の自分には戻れない。けれど、あの時の自分が間違っていたとも思わない。一度は忘れ去ろうとした、目を逸らしていた思い出。自分の中で濾されて結晶になった思い出をひとつずつ拾い上げて、大切に胸にか...続きを読む
  • ひきなみ
    第一部は島で過ごす思春期の頃、二部では大人になってからの姿が描かれる。葉と真以がお互いをよりどころにして、求めあう姿がどこか痛々しく、切ない。大人になってからも2人は現代社会の色々な不条理にぶつかるけれど、今いる場所で足掻いてでも前へ進んで行こうとする姿が力強く、希望を感じる。ずっと一緒でなくても、...続きを読む
  • しろがねの葉
    女である業、男である業
    闇や間歩に魅せられ銀掘になることを願うも届かない自分の性に苛立ち、時には絶望させられながら愛を受け愛を与えた女の一生
    お互い嫉妬していた時期があっても、その心の内まで土足で入ることをやめ、最後は丸ごと愛しあったウメと隼人にグッとくる
  • しろがねの葉
    銀山では男は鉱物を吸い込みながら仕事をするので短命になり、女は3回嫁に行くという。
    主人公は女性。子供の頃に村を一人で逃げ出して鉱山に行き着いた。夜目の効く特殊性で生き延びて大人になるが、やはり男たちは身体を壊してしまう。そして子供の頃は男勝りで働いていたが、時がたって女の身体となり、男たちと嫌が上...続きを読む
  • しろがねの葉
    読後、自分自身がどういった気持ちになったのかをうまく表せない。虚しさ?寂しさ?懐かしさ?あるいはほんの少しの希望?様々な感情が入り混じる。
  • あとかた
    短編集かと思ったら、1人の男で繋がってたんだと最後の最後で気づく。ちょっとわかりづらかった(私の読解力が低い)
  • しろがねの葉
    銀に取り憑かれた人生を送ったウメは幸せだったのだろうかと考えさせられました。また、男女で超えられない壁をしみじみと感じました。今の時代なら、ウメもきっと喜兵衛のような山師になれたのかなと思います。
  • ひきなみ
    両親の都合で祖父母の住む島にやってきた小学生だった葉。

    慣れない島の言葉や、女であるというだけで男と見えない境界線へと追いやられる違和感に戸惑うなか
    皆から敬遠される真以だけが、真っ直ぐに葉を見つめて、自分が正しいということに忠実だった。

    真以が葉の光だった。彼女がいたから、島で一人ぼっちになら...続きを読む
  • しろがねの葉
    ウメは貧しい村で産まれ、両親と別れいくつもの山を超えて、山師の喜兵衛と出会った。

    喜兵衛は銀を掘る人々をまとめる役で、銀が取れるその村は豊かだった。

    銀を掘るためにできた穴、間歩は、ただただ闇だけが広がる空間で、夜目が効くウメすらも恐怖を覚えつつ、銀堀に魅せられた。

    男たちに混じりながら間歩を...続きを読む
  • 赤い月の香り
    この小説を読むと、静謐で透き通るような香りや、森の木々、ハーブ、花、そしてハーブティーや数々の料理のいい香りだけを感じたくなるから、不思議。

    香りに敏感で、彼以外が感じることができないようなわずかな匂いで、すべてを察することができる小川朔。今回も依頼主に秘密の香りを作っていた。彼が雇った朝倉満が、...続きを読む
  • 西洋菓子店プティ・フール
    主人公あきちゃんの師匠おじいちゃんが作ったシュークリームが食べたくなる〜!登場人物一人一人事情があってみんな頑張っていてなんだか感情移入してしまった。
    そしておじいちゃんおばあちゃんが素敵な夫婦。
    なかなかケーキ屋さんのケーキは高くて買えないけど食べたいなぁと思いながら読み進めました。
  • 透明な夜の香り
    ロマンチック、という言葉は浅く感じてしまいますが、そう形容したくなる本でした。穏やかな香りと深い紺色の声の物語。
    ラストシーンの解釈だけよくわかっていないです、「友達」という選択は拒絶なのか、変化しないことの意思表示なのか、、どちらも違う気がする

    それにしても小川洋子さん解説の作品は安定しておもし...続きを読む
  • 西洋菓子店プティ・フール
    「舞台にあがる人、裏方で舞台を作りあげる人、そして、観客。それぞれにプロがいる。」上手く出来そうなところを探す。隠し味は甘さと秘密。
  • 赤い月の香り
    透明な夜の香りの続編という事で
    すっかり千早茜さんの作品のファンになってしまった私は、とても楽しみにしておりました。

    どんな時のどんな匂いも再現することができる
    調香師である朔さん。
    相手のわずかな匂いで何もかもわかってしまう
    幼い頃の辛い記憶を封印し、孤独の中に生きる
    満も朔さんに出会ったことで...続きを読む
  • 犬も食わない(新潮文庫)
    同棲ケンカップルの日常が、彼女と彼氏それぞれの視点から綴られています。
    作家さんお二人の共作ということで、お話によって文体が全く違うのが、なおさら福(彼女)と大輔(彼氏)が別人格であるという実感がありました。

    特徴が無い絵柄のジグソーパズルを何となく惰性で嵌め込むような、微妙に食い違う二人の生活は...続きを読む
  • しろがねの葉
    戦国時代の話。舞台は石見銀山。
    銀堀に育てられた女性の生涯。
    「苛烈」という言葉が似合う。

    穢らわしいというりゆうで、間歩に入れない女性。子供の頃はいいが、大人になると仕事にできず、はやく子供を産めという環境。
    才能はあっても、立ちはだかる性別の壁。
    そんななか、1人の男に好意を抱くも、願い叶わず...続きを読む
  • クローゼット(新潮文庫)
    服に対する固定観念 男は女はこれっていうのは時代とともに変遷していく

    克服よりも、痛みを持ち続けながら前に進んでいく

    洋服に興味がなくても、読みやすいし、面白いが、洋服が好きな人はもっとワクワク楽しく読めるのかも。