千早茜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ2人の著者がそれぞれの視点で書いた短編で進んでいく小説で、福側の視点では大輔が嫌な男のように写っていることも、大輔側の視点では大輔なりに気を遣ったり、照れ隠ししたりするための行動であることが分かったりした。実際の恋人においてもこの小説のように相手のことを分かったつもりで分かってないんだろうなと思った。
お互いが別れようと考えている中で、1人になると相手のことが、理由もなく側にいてほしいことに気づき、それぞれが相手に渡すでもない手紙を書いてしまう最後の短編が印象的だった。
尾崎世界観さんの小説を初めて読んだが、詩的な文章を書く人なんだなと思った。 -
Posted by ブクログ
[共感した/手が止まった文章]
・恋愛感情ではない。所有欲も独占欲もない。性欲を伴わない友愛のキス
・甘えさせてもらった、でも大事にされることに慣れてはいけない。もののように乱暴に扱われると、余計な感情が削ぎ落とされて、自分の最も信じるものにまっすぐ向かえるような気がするのだ。
・彼にとって女は消耗品、でも神名は失いたくない理解者。失いたくないという執着はある意味、愛でもある。〜求めるものが無くても離れないなんてすごい信頼関係。それって永遠
・〜なんだかんだ言ってそんなにうまくやれない。でもだから、1番大切なものが残る。それが何かちゃんと知ってる。前に自信って言ってたけど違う。あなたが持っているのは信念。きっと最後には行きたい場所に行ける。
・何かあってもお前は最後には自分の糧にしようとする気がするんだよな。ガリガリで弱っちいし、うだうだ悩むし、迷うけど、根は貪欲なんだよな。
・私に言ったことが戯れでも、あの時、私は信じたし、2人で一瞬世界の終わりを見た。確かな何かを遺せなくても、魂の欠片を私たちは共有している。そして、それは永遠なのだ。
[徒然草]
何の利害関係もなく、信頼し合える関係。
理由もなく背中を追い、背中を預け合える。
四季を感じる場所で人生を過ごしたい。(四季でなくてもよいが
自分は1人でも生きていける人間なのだと思う。もちろん孤独を積極的に欲しているわけではないが、満ちた時間を過ごすことに他者の介在・存在は必須ではない。
自身について適切な自己認知は取りたいと思いつつ、常に変動し、つかみどころのないものでもあるため、強制力を持って言語化や共有を無理強いする必要はない。
と同時に、好きになってほしい人が、自分に素を出してくれるのがとても好き。(ふわっとしてるな笑)尊敬している人・人間的に興味を持つ人が、自分に柔らかい部分を見せてくれるのが嬉しいのだと思う。
ここに人数とか関係ない。
それにより自分が満たされる感覚と、自分が相手を幸せにしてあげたい感覚が両方存在する。ここの順番は特にない。
持たせる意味は結果的に違いつつも、フラットに愛する人が同時期に複数人発生することは、自然現象として捉えている。(ひどい
楽観的に、人生の美しい営みとして存在する愛には触れたいが、恋への関心は薄い。
(だから子どもや家族への選択肢が0ではないのかも
ただ、自分が自分でなくなるような苦しい恋を感じるのは、第一人称でも第三者視点でも好きかもしれない。コンテンツとして、苦しい恋に酔っているのを楽しんでいるだけの感覚だが。
過去・現在を含め、愛と信頼に似たニュアンスを持たせているからこそ、混在し、カオス化することはありそう。
作中の関係はとても美しいと思いつつ、自分には綺麗すぎる。
自分は、もっと欲求に素直(無思考と言ってもいい)な個体だと感じる。それによって周りを振り回し、傷つけたこともあると思う。
が、何にでも強い感情や欲求が湧かないからこそ、発生した時は真っ直ぐに実行したい。
自分に貪欲であるべきと思っているし、そのために努力が必要であれば、その努力には愚直に向き合いたい。
総じて、自分の内面の、誰にも奪われず、侵食されない不可侵領域をもっと深めたいという感想。ふわっとしているし、アップデートをかけられていない感覚。
自然体な状態で、不可侵領域の鍵を預けられる人が、「何の利害関係もなく、信頼できる関係。背中を預けられる関係。」であり、その人の不可侵領域まで知りたい、大事にしたいと思える人が、愛・信頼のベクトルが自分から向く対象。理由もなく背中を追いたいと思う対象。
この矢印が相互であるような関係を持てる人は、人生でとても大切にしたい存在。恋愛とか関係なく。
お互いに変わる可能性があることを考慮した上で、それでも敬意を持って温かく大切にしたい。
変わったら、その時考えればいい。 -
Posted by ブクログ
何回か言ったことのある島の景色は本当に美しいがゆえに切ない物語。
(海)おなじ「ひきなみ」を見ていても、真以は道として、葉は虹として見ていたことが、それぞれの生き方の違いを感じた。だからこそわかり合えることもある。両親の都合で祖父母の住む島で暮らす事になった葉。島の中ではあることで島の人たちからは忌み嫌われ祖父と暮らす真以。閉鎖的な島で2人は浮いてしまう。そこで二人は共鳴するが。ある脱獄犯の出現で大痔動になる。
(陸)大人になった葉と真以は再会する。
葉は女で高学歴だということでバワハラの標的とされる。読んでいてこの部長はただだ自分の領域を超えてくる葉におびえてるだけなのだ。こんな上司いる(周りが知らんぷりしすぎやけど)が、葉にとってはそうではない「なぜ闘わなきゃいけないのかな…なんで、私なんだろ…」と言う葉に「葉は葉のやり方で、生きて」と言う真以。やっぱり舞以はいい。過去なんて血筋なんて関係ない
こうしなきゃいけないということはない。自分は自分のやり方で、生きればいいのか。とも思う。
この先の葉と舞以の生き様をもう少し見ていたかった。
私ももう一度あの島々に言って見たい -
Posted by ブクログ
ネタバレ夏に読んだ桜の短編を集めた本。
最初は日常風景を切り取るだけの話かなと進まなかったけど、途中から日常の中に溶け込むファンタジーがとても良いとはまって、一気読みした!
愛を確かめるための浮気とか、桜の木のゴーストとか、一見すると既視感があるように思われるテーマも千早さんの小説ではすごく視覚化されて鮮やかに目の前に広がるし、本当にいる人のような気がして、フィクションに現実味を帯びさせる手法がとても映画ぽくて、最近作品が映画化されたと聞いて納得した。
桜にまつわる広がりが花を愛でる以外のモチーフ、例えば刺青や雪、草木染めなどに発展していくのが面白かった。 -
Posted by ブクログ
特に「春の狐憑き」「花荒れ」が印象に残っている。
"目先の善悪に囚われてはいけません。すぐに出る答えなど大した価値はないのですよ" 本当にそう思う。掴み所のない尾崎さん、素敵だ。若林が勤める丘の上の美術館は他の話でも出てくるのだけれど、短編集でそういう小さな繋がりがあると嬉しい。
豆大福と苺パフェの描写があまりにも美味しそうで、釣られて甘味が欲しくなってしまう。琥珀糖を綺麗だと喜ぶゆきちゃん、憎めないなぁとわたしも思う。大島と深山が交わす会話のテンポ感や雰囲気もまた良い。咲いている花だけでなく、"水溜りの花筏"も乙なものと思える人で在りたい。
桜を通して関わっていく、名前のない関係性の2人が好き。