千早茜のレビュー一覧

  • 人形たちの白昼夢
    美しい短編集。得も言われぬ世界観の短い話たち。
    記憶の奥底に大切にしていた美しい情景が、それぞれの世界を形作っている。
    安部公房や村田沙耶香、小山田浩子、多和田葉子など、ディストピア小説は、特に海外で高い評価を得ることが多いが、この作家も今後注目されるんじゃないか。
  • からまる
    全7話の連作短編集
    そのどれもがからみあっていて、タイトル通りにまさに『からまる』だった

    どの話も日常の中の絶望・堕落から希望が差し込む流れ。闇→光のような構成で読んでいてグッと締め付けられる苦しみから解放されていく感覚がとても良かった。

    日常生活の中で、張り巡らされる人間関係
    時に近く、時には...続きを読む
  • ひきなみ
    偏見や差別、脱獄犯と逃げた過去は消えずに苦しい思いを抱えていかなければならない。
    再び再会することができた二人、どんな困難も乗り越えて強く生きてほしいと思う。
  • クローゼット(新潮文庫)
    初読みの作家さん。ずっと気になっていたけれどやっと手を出すことだ出来てよかった~!タイトルの通り洋服に関わる人々が服だけでなく心の傷みとも向き合っていくお話だった。読みやすく、かといってつまらなくない。言葉選びも繊細で五感で読んでいるかのような感覚だった。レースの手触り、金木犀の香りやドレスの鮮やか...続きを読む
  • さんかく
    【あらすじ】
    「おいしいね」を分け合える そんな人に、出会ってしまった。

    恋はもういらないと言うデザイナーの夕香。
    夕香の“まかない"が忘れられない営業職の正和。
    食事より彼氏より、研究一筋の日々を送る華。

    正和は、夕香が暮らす古い京町家でルームシェアをすることになった。
    理由は“食の趣味"が合...続きを読む
  • ひきなみ
    どういうやり方でもいい。自分の思ったように生きたい。人それぞれのやり方があって、正義があって、大事なものがある。どうやっても括ることができない。
    それでも相手を知りたいと思うということは、すでに寄り添っているといってもいいのかもしれない。むしろそれだけで十分で、それ以上はいらないのかもしれないと思っ...続きを読む
  • ひきなみ
    海での子供でも性別も年齢も関係なく敬語で名前にさんを付けて穏やかに話す気品のある平蔵さんと、陸での女性だからと偏見し性別だけで嫌がらせを平気でする部長の対比に色々と考えさせられた。
    子供に対してきちんと人としてみている人は少ないけれど、この本を読んで、年齢や性別に囚われず相手を尊重し、接することの大...続きを読む
  • 魚神
    献身愛とは違うがどうしようもなく必要で必要とされるような相手がいて最後は幸せになれてよかった。
    身体より心の繋がりでそれを超える繋がりなんて
    ある人の方が少ない。二人は不幸せに生きながら別の意味で幸せなのかも。
  • 神様の暇つぶし
    たったひと夏の間でも、一生記憶に残ることもある。
    人生の中で少しでも多く記憶を残したいなら、ただ流されるままに生きていくのではなくて、多少辛くても自分の意志だけで選択することも必要なんだと思う。
    写真に残したいと思うくらいの時間を
    そういう時間を過ごせる方を選択して生きていきたいと思った。
  • 桜の首飾り
     桜がモチーフの短編集。

     「あたしは…クラスの子たちより言葉を知っていると思う。言葉の数とかじゃなくて、その意味や味を知っている。例えば、失望とか、羞恥とか、後悔とか、孤独とか。だって、あたしはそれらの言葉を口に入れて、噛みしめて、涙がにじむくらいその苦しみを舌に浸み込ませて、やっと飲み込んでき...続きを読む
  • 眠りの庭
    千早茜さんの著作を読むのは2作目だけれども、文章から漂う湿度と香りがとても濃厚だなと思います
    ファムファタール的なヒロイン 小波をめぐる男たちの話
    読む人によって受け取る印象は変わりそうな気もしますが、
    破滅に向かう怖さもある前半を受けたからこそ、
    より静かに丁寧に男女の、人間の関係について描かれた...続きを読む
  • 正しい女たち
    女ってなんなんだろう。
    考えさせられる作品だった。
    もっとドロドロしてるのかと思ってたけど女って美しい、そんな女としての人生を楽しんで美しく生きていきたいなって思った。
    最後の解説で色々なところで交わってるところがあると分かったのでいつかまた読み直したい。
  • 神様の暇つぶし
    全さんが本当にそばに居たら私も好きになっていたかも。自分を隠す事なく全てを曝け出しても温かい眼差しで受け止めてくれる。そんな大人周りにいる?いるとしたら父親くらい。
  • さんかく
    ちょっと消化不良な感じが現代の恋愛事情をよく表しているな…と思いました。女の人も強くなったし、自分中心で物事を進めることができるようになりましたよね。一昔前の女の人と男の人が逆転した感じがして面白いですね。

    美味しそうな料理と登場人物それぞれの感情が上手に書かれていて「さすがさすが」と思いながら最...続きを読む
  • 魚神
    遊郭を舞台にしたお話。
    他の方も書かれてますが、酷い運命を辿っている割には悲壮感なく美しくまとまってます。主人公の白亜の浮世離れした不思議な雰囲気がそうさせているのかもです。他の方のレビューを見て、まもっと悲惨なラストになるかと思っていたので最後まで読んで少しホッとしました。
    スケキヨというとどうし...続きを読む
  • 胃が合うふたり
    面白い!
    読む場合は家の中か、外ではマスクをすることを強くオススメします。
    お二人の絶妙なやり取りに口元が緩むこと必至なので、電車の中で読むと、周りの目を気にしてしまうでしょう。笑

    普段エッセイは読まないけれど、これを気に開拓してみたい。
    もともと千早さんの本が好きで、どうしてこんなに繊細な文章が...続きを読む
  • ひきなみ
    瀬戸内海の小さな島に引っ越した小学6年生の主人公@1999年。
    というところから数年間のお話。
    田舎の閉塞空間で都会から越してきた主人公は隣の島に暮らす同い年の女の子にとても心を惹かれる。
    彼女だけが、光だ。

    前編ではその島で過ごす思春期の時期を、
    後編ではその後大人になってからの話が書かれている...続きを読む
  • あとかた
    読みやすくスルスル読めました。
    全体的に暗くて切なくて…その雰囲気が好きでした。
    うろこは比較的明るい内容でした。
  • ひきなみ
    不器用でまっすぐな2人。そんな2人にとって、人生は辛いかもしれないけど、「頑張れ!」と応援したくなる。そんな本
  • さんかく
    良い物語でした。
    食事にまつわる事や、仕事に向き合う姿勢、季節の移ろい、それぞれの価値観。

    千早茜さんらしい登場する食べ物の描写が美しく丁寧。
    加えて獣の解剖も料理同様に素晴らしくて、驚きました。
    その場の匂いや照明の光度、温度感まで伝わってくるようでした。

    好きな仕事に真摯に向き合う高村さんと...続きを読む