千早茜のレビュー一覧

  • 犬も食わない(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2人の著者がそれぞれの視点で書いた短編で進んでいく小説で、福側の視点では大輔が嫌な男のように写っていることも、大輔側の視点では大輔なりに気を遣ったり、照れ隠ししたりするための行動であることが分かったりした。実際の恋人においてもこの小説のように相手のことを分かったつもりで分かってないんだろうなと思った。

    お互いが別れようと考えている中で、1人になると相手のことが、理由もなく側にいてほしいことに気づき、それぞれが相手に渡すでもない手紙を書いてしまう最後の短編が印象的だった。

    尾崎世界観さんの小説を初めて読んだが、詩的な文章を書く人なんだなと思った。

    0
    2026年08月02日
  • 男ともだち

    Posted by ブクログ

    [共感した/手が止まった文章]
    ・恋愛感情ではない。所有欲も独占欲もない。性欲を伴わない友愛のキス
    ・甘えさせてもらった、でも大事にされることに慣れてはいけない。もののように乱暴に扱われると、余計な感情が削ぎ落とされて、自分の最も信じるものにまっすぐ向かえるような気がするのだ。
    ・彼にとって女は消耗品、でも神名は失いたくない理解者。失いたくないという執着はある意味、愛でもある。〜求めるものが無くても離れないなんてすごい信頼関係。それって永遠
    ・〜なんだかんだ言ってそんなにうまくやれない。でもだから、1番大切なものが残る。それが何かちゃんと知ってる。前に自信って言ってたけど違う。あなたが持っているのは信念。きっと最後には行きたい場所に行ける。
    ・何かあってもお前は最後には自分の糧にしようとする気がするんだよな。ガリガリで弱っちいし、うだうだ悩むし、迷うけど、根は貪欲なんだよな。
    ・私に言ったことが戯れでも、あの時、私は信じたし、2人で一瞬世界の終わりを見た。確かな何かを遺せなくても、魂の欠片を私たちは共有している。そして、それは永遠なのだ。

    [徒然草]
    何の利害関係もなく、信頼し合える関係。
    理由もなく背中を追い、背中を預け合える。

    四季を感じる場所で人生を過ごしたい。(四季でなくてもよいが

    自分は1人でも生きていける人間なのだと思う。もちろん孤独を積極的に欲しているわけではないが、満ちた時間を過ごすことに他者の介在・存在は必須ではない。
    自身について適切な自己認知は取りたいと思いつつ、常に変動し、つかみどころのないものでもあるため、強制力を持って言語化や共有を無理強いする必要はない。

    と同時に、好きになってほしい人が、自分に素を出してくれるのがとても好き。(ふわっとしてるな笑)尊敬している人・人間的に興味を持つ人が、自分に柔らかい部分を見せてくれるのが嬉しいのだと思う。
    ここに人数とか関係ない。
    それにより自分が満たされる感覚と、自分が相手を幸せにしてあげたい感覚が両方存在する。ここの順番は特にない。
    持たせる意味は結果的に違いつつも、フラットに愛する人が同時期に複数人発生することは、自然現象として捉えている。(ひどい

    楽観的に、人生の美しい営みとして存在する愛には触れたいが、恋への関心は薄い。
    (だから子どもや家族への選択肢が0ではないのかも
    ただ、自分が自分でなくなるような苦しい恋を感じるのは、第一人称でも第三者視点でも好きかもしれない。コンテンツとして、苦しい恋に酔っているのを楽しんでいるだけの感覚だが。

    過去・現在を含め、愛と信頼に似たニュアンスを持たせているからこそ、混在し、カオス化することはありそう。
    作中の関係はとても美しいと思いつつ、自分には綺麗すぎる。
    自分は、もっと欲求に素直(無思考と言ってもいい)な個体だと感じる。それによって周りを振り回し、傷つけたこともあると思う。
    が、何にでも強い感情や欲求が湧かないからこそ、発生した時は真っ直ぐに実行したい。
    自分に貪欲であるべきと思っているし、そのために努力が必要であれば、その努力には愚直に向き合いたい。

    総じて、自分の内面の、誰にも奪われず、侵食されない不可侵領域をもっと深めたいという感想。ふわっとしているし、アップデートをかけられていない感覚。

    自然体な状態で、不可侵領域の鍵を預けられる人が、「何の利害関係もなく、信頼できる関係。背中を預けられる関係。」であり、その人の不可侵領域まで知りたい、大事にしたいと思える人が、愛・信頼のベクトルが自分から向く対象。理由もなく背中を追いたいと思う対象。

    この矢印が相互であるような関係を持てる人は、人生でとても大切にしたい存在。恋愛とか関係なく。
    お互いに変わる可能性があることを考慮した上で、それでも敬意を持って温かく大切にしたい。
    変わったら、その時考えればいい。

    0
    2026年09月27日
  • こりずに わるい食べもの

    Posted by ブクログ

    前のご主人(殿)と離婚して東京に引っ越してからの作品。京都から東京に来て、それぞれの食、お気に入りだったもの。いろいろと読んでいて楽しかった。食への意欲がすごくて、毎回読んでいて自分も食欲が刺激される。

    0
    2026年08月01日
  • 正しい女たち

    Posted by ブクログ

    短編集というのか、繋がっているのが面白かった。(笑えるとかの面白いではない)
    女だから共感するところも多かった。
    男女に分けられるのは今の時代よくないかもだけど、私は女として生まれてよかったし最高に楽しいです。

    0
    2026年07月29日
  • あやかし草子

    Posted by ブクログ

    鬼、ムジナ、天狗、龍、幽霊、座敷童…人ならざるものと、人との交わりを描いた6つの短編集

    舞台になるのは電気もなく、夜が今よりもずっと闇に包まれていた頃のこと。

    そこに潜む、彼らの視点にたったとき人は欲深く卑しいものに見えるのかもしれない。でもそれはきっと、“心”があるからこそ。感情の揺れ動きがあるから、信じることも愛することもできるんだ。

    千早さんにかかるとあやかしまでも幻想的で美しくなってしまう。切なさと優しさが融合したこういうテイストのおはなし、すきだなぁ。

    『天つ姫』のおはなしが特に好きだった。

    0
    2026年07月26日
  • ひきなみ

    Posted by ブクログ

    主人公の心情の描写が人間の本質をついているなと感じた。誠実な人もいれば、人を差別することで人との関係をつないでいる人達もいる。
    最後はスッキリした。

    0
    2026年07月26日
  • ひきなみ

    Posted by ブクログ

    何回か言ったことのある島の景色は本当に美しいがゆえに切ない物語。

    (海)おなじ「ひきなみ」を見ていても、真以は道として、葉は虹として見ていたことが、それぞれの生き方の違いを感じた。だからこそわかり合えることもある。両親の都合で祖父母の住む島で暮らす事になった葉。島の中ではあることで島の人たちからは忌み嫌われ祖父と暮らす真以。閉鎖的な島で2人は浮いてしまう。そこで二人は共鳴するが。ある脱獄犯の出現で大痔動になる。
    (陸)大人になった葉と真以は再会する。
    葉は女で高学歴だということでバワハラの標的とされる。読んでいてこの部長はただだ自分の領域を超えてくる葉におびえてるだけなのだ。こんな上司いる(周りが知らんぷりしすぎやけど)が、葉にとってはそうではない「なぜ闘わなきゃいけないのかな…なんで、私なんだろ…」と言う葉に「葉は葉のやり方で、生きて」と言う真以。やっぱり舞以はいい。過去なんて血筋なんて関係ない

    こうしなきゃいけないということはない。自分は自分のやり方で、生きればいいのか。とも思う。

    この先の葉と舞以の生き様をもう少し見ていたかった。

    私ももう一度あの島々に言って見たい

    0
    2026年07月26日
  • 正しい女たち

    Posted by ブクログ

    女だから書ける生々しさ。正しさと逸脱というテーマだけでなく,人間関係もオーバラップする巧妙な連作。千早茜は初めて読んだけど良かった。

    0
    2026年07月21日
  • 桜の首飾り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夏に読んだ桜の短編を集めた本。
    最初は日常風景を切り取るだけの話かなと進まなかったけど、途中から日常の中に溶け込むファンタジーがとても良いとはまって、一気読みした!
    愛を確かめるための浮気とか、桜の木のゴーストとか、一見すると既視感があるように思われるテーマも千早さんの小説ではすごく視覚化されて鮮やかに目の前に広がるし、本当にいる人のような気がして、フィクションに現実味を帯びさせる手法がとても映画ぽくて、最近作品が映画化されたと聞いて納得した。

    桜にまつわる広がりが花を愛でる以外のモチーフ、例えば刺青や雪、草木染めなどに発展していくのが面白かった。

    0
    2026年07月20日
  • ひきなみ

    Posted by ブクログ

    離島を舞台にはじまる少女・葉の孤独な日々。やっとわかり合えた真以は脱走犯と共に消えてしまう。島での閉塞感や、大人になってからの女性であることへの理不尽な扱いに息苦しくなる。自分であることの不確かさを突きつけられるような作品でした。再会した真以の真っ直ぐな言葉が胸に響きました。

    0
    2026年07月19日
  • ひきなみ

    Posted by ブクログ

    島という狭いコミュニティにおいての話かと思えば話が進むにつれ男女の話へと発展してゆくのが面白かった。主要人物の真以も葉もどちらも魅力的で、それぞれの抱える心の柔らかいところを描写するのがうますぎて脱帽。序盤の閉塞感から脱獄犯のお兄さん、が出てきた後の怒涛の展開に目が離せなかった。女だからと括られることに嫌気が刺す現代社会も古くからの狭いコミュニティもどちらも気持ち悪いな。考えさせられる反面2人の友情の美しさにありがとう

    0
    2026年07月18日
  • 眠れない夜のために

    Posted by ブクログ

    千早茜さんの『眠れない夜のために』を読んだ。装丁とタイトルから感じられる印象そのままに、眠れない夜にそっと開いて読むことを想定されたような美しく詩的な小編集。寝付けずに朝を迎えた経験は数えるほどしかないけれど、そんな夜に読み始めたらきっと朝まで読んで、頭をかいて家を出ただろうな!

    0
    2026年07月12日
  • クローゼット(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごく刺さる話だった。
    最後、亀の男があいつであるとわかった後をもう少し書いて欲しい気持ちもあったけど、この許し方というか、戦い方が纏子なんだなぁと。

    纏子って良い名前。お父さんとお母さんどっちがつけたんだろう。ぴったりの名前。

    0
    2026年07月12日
  • 犬も食わない(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    面白かった!!!
    どちらにもイライラしながら読んでました笑
    大輔は素直に話せばいいのにとイライラ
    福にはさっさと別れればいいじゃんとイライラ
    こういうズルズルとした関係に縁遠い人生だったけどこういうこともあるんだなぁと楽しく読めました
    タイトル通り犬も食わないなぁと思いましたね

    0
    2026年07月12日
  • ガーデン

    Posted by ブクログ

    人間の性格やビジュアルをそれに応じた花の見た目や特性で表現していて見事。「僕なしで夜を過ごした部屋はどことなくよそよそしかった」という一文は植物に女性的な生を与えていてぞくっとした。また主人公は一貫して人間関係に深く踏み込まないようにしていて、人に傷つかないようにしている。自分もそういう一面はあるなと思いつつも、適度に踏み込んでストレスを得る方が成長出来た実感はあるので多肉植物的なのかなとも思った。尾崎世界観さんによる解説も素晴らしい。

    0
    2026年07月12日
  • マリエ

    Posted by ブクログ

    4.0
    恋愛も結婚も人間関係も、人によって捉え方や目指すものが違うのに、画一的な正解ルートがあるように思ってしまうのはなんでなんだろうなあ

    0
    2026年07月12日
  • アンソロジー 料理をつくる人

    Posted by ブクログ

    料理を作る人に焦点を当てた6つの物語。おいしそうな料理も、作る人あってこそ。どんな思いが込められて料理は作られるのか、という視点に触れられる新鮮さがあった。

    0
    2026年07月09日
  • 桜の首飾り

    Posted by ブクログ

    特に「春の狐憑き」「花荒れ」が印象に残っている。
    "目先の善悪に囚われてはいけません。すぐに出る答えなど大した価値はないのですよ" 本当にそう思う。掴み所のない尾崎さん、素敵だ。若林が勤める丘の上の美術館は他の話でも出てくるのだけれど、短編集でそういう小さな繋がりがあると嬉しい。
    豆大福と苺パフェの描写があまりにも美味しそうで、釣られて甘味が欲しくなってしまう。琥珀糖を綺麗だと喜ぶゆきちゃん、憎めないなぁとわたしも思う。大島と深山が交わす会話のテンポ感や雰囲気もまた良い。咲いている花だけでなく、"水溜りの花筏"も乙なものと思える人で在りたい。
    桜を通して関わっていく、名前のない関係性の2人が好き。

    0
    2026年07月09日
  • さんかく

    Posted by ブクログ

    食べ物の描写が美味しかった!
    特に「ひつじとパクチー」絶対に美味いだろww

    ストーリーは微妙な三角関係
    女性2人は素敵だが煮えきれない男性にちょっとイラッとした

    0
    2026年07月05日
  • ひきなみ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女の子2人の友情物語
    思春期特有のざらっとしててどろっとした関係がもうなんだな尊いだった。2人がしあわせでよかった。

    逃亡した男の人もふわふわとしててほわっとしててかなり心を掴まれて、この作者さんは弱いところにふわっと入ってくるような繊細な男性を書くのが上手すぎませんか〜〜〜としみじみ
    もうすこしだけ逃亡している間の2人の生活の中身とかなにがあったかとか知りたかったな、番外編でないかな?

    0
    2026年07月05日